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ルートID: r1039 上級 2泊3日 甲斐駒・北岳 「特集・夏のアルプスを歩く!後編」

白根三山縦走【特集・夏のアルプスを歩く!後編】
しらねさんざん

濃い緑山行に最も適した時期 薄い緑山行に適した時期
1月
2月
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
南アルプスの縦走と言えばまずは”ここ!”
スタンダードな縦走コースながら、変化に富んだ飽きのこないルートは満足度も高くおすすめです。
固有種の高山植物も一見の価値あり。
※2017年07月04日更新
ルート長23.4km
登り標高差1674m
下り標高差2354m
行程概要: 広河原・吊り橋分岐(1529m) → 旧広河原山荘(1520m) → 白根御池分岐(1660m) → 大樺沢二俣(2240m) → 草すべり分岐(2740m) → 小太郎尾根分岐(2860m) → 北岳肩ノ小屋(3000m) → 両俣分岐(3100m) → 北岳(3193.2m) → 吊尾根分岐(3090m) → トラバースルート分岐(2980m) → 中白根山(3055m) → 間ノ岳(3189.5m) → 農鳥小屋(2800m) → 西農鳥岳(3051m) → 農鳥岳(3026m) → 大門沢下降点(2828m) → 大門沢小屋(1700m) → 大古森沢出合(1235m) → 早川水系発電所取水口 → 森山橋(1030m) → 大門沢ゲート → 奈良田第一発電所(866m) → 奈良田駐車場

【南アルプス北部】白根三山縦走【特集・夏のアルプスを歩く!後編】の詳細解説

\ おすすめポイント /
  • 固有種を含めた高山植物の宝庫
  • 変化に富んだ山歩き
  • 日本百名山で第2-3位の高峰に登る
モデルプラン
1日目
歩行時間:7時間15
広河原山荘〜大樺沢〜右俣コース〜小太郎尾根分岐〜北岳肩の小屋〜北岳〜八本歯分岐〜北岳山荘
2日目
歩行時間:7時間20
北岳山荘〜中白峰山〜間ノ岳〜農鳥小屋〜西農鳥岳〜農鳥岳〜大門沢下降点〜大門沢小屋
3日目
歩行時間:3時間30
大門沢小屋〜八丁坂〜大門沢登山道入口〜奈良田第一発電所〜南アルプス公園線ゲート
山と高原地図 《ヤマプラ》
http://yamare.co/1oTsPK
コース概要 北岳への登山口として知られる広河原から登山を開始する。
車道を北沢峠方面へわずかに進み、左手の道から吊橋を渡ると広河原山荘を通過する。
ここから白根御池小屋への分岐までは熊の出没情報が多いところなので、各自対策をして歩くことをおすすめしたい。
分岐を通過すれば大樺沢沿いの道となり、そのまま二俣へ導かれる。
二俣の分岐を右手に進み、急な斜面を登り始める。
小太郎尾根との分岐までは急登が続くが、上部はお花畑が美しいところだ。
稜線に上がり細かなアップダウンを繰り返しながら登ると肩の小屋に到着する。
北岳は近そうに見えるが、意外と遠いので留意のこと。
日本で2番目に高い北岳の山頂は広く、多くの人で賑わうところだ。
山頂を辞して急なザレ混じりの斜面を下り、吊尾根との分岐を通過すれば北岳山荘が見えてくるはずだ。
今日はここで1泊する。
2日目は中白峰山・間ノ岳・農鳥岳を越えて大門沢小屋まで歩く長めの行程だ。
山荘を出発すれば中白峰山の登りとなるが、朝一番の運動としては適度な斜度の登りが続く。
中白峰山を通過、緩く下って鞍部から間ノ岳への登りとなる。
避雷針が設置された2つの偽ピークに惑わされるが、稜上に戻り左奥のピークが間ノ岳となる。
ここも多くの人で賑わうことだろう。
間ノ岳から下れば農鳥小屋に到着だ。
ここの支配人は登山道の状況や天気について詳しい。
この先、天候や道の状況に不安があれば尋ねてみるとよい。
農鳥小屋から西農鳥岳へ登り、いったん小さく下ると農鳥岳への登りとなる。
南西側の斜面をトラバース気味に登れば農鳥岳山頂へ達する。
山頂を後にして緩く下れば大門沢下降点だ。
ここからは長くきつい下りが大門沢小屋まで続く。
壊れた木橋を数回渡り、やがて傾斜が緩んでくれば宿泊地となる大門沢小屋に到着する。
3日目は奈良田へ下るのみだ。
橋を繰り返し渡りながら下るが、悪天候時は増水することもあるので要注意だ。
八丁坂をつづら折れで急降下すると大古森沢を渡る。
ここを過ぎると概ね歩きやすい道となり、やがて取水口の吊橋を渡る。
大きな堰堤を通過して森山橋を渡ると、ほどなく大門沢登山口に到着。
あとは舗装された車道を2kmほど下れば奈良田第1発電所のバス停にたどり着く。
計画書提出先 山梨県警察本部または南アルプス警察署地域課
※登山口に登山計画書提出ポストあり
宿泊 北岳山荘 / 090-4606-0068
http://www.city.minami-alps.yamanashi.jp/sisetsu/kitadake-sansoh
大門沢小屋 / 090-7635-4244
http://www.daimonzawa.com/
※収容人数が少ないため夏期は大変混雑する。
交通 マイカー規制区間があるため甲府駅・芦安・奈良田の各所よりバスまたはタクシーを使用。
山梨交通
http://yamanashikotsu.co.jp/
上記にて確認のこと。
また各都市部からの直行バスも運行されている。
駐車場 芦安に市営無料駐車場あり。
奈良田に町営無料駐車場あり。
アドバイス 人によって大きくコースタイムに差が出るルートである。
奈良田に下山となるため同所からのアクセスをおすすめする。
右俣コースに入ってからは急登が続く。
右俣コースは小太郎分岐まで落石に注意したい。
北岳山荘から農鳥岳間は尾根上で遮るものがなく悪天候時には厳しいルートとなる。
大門沢は長く辛い下りが続くので留意のこと。
サブコース 大樺沢左俣から八本歯を経由して北岳へ登ることも可能。
逆コースは大門沢の登りが長く不向きだ。
エスケープルート 特になし。
悪天候時の行動は慎むこと。
入浴 《奈良田の里温泉・女帝の湯》
ぬめりが強いアルカリ泉質温泉。駐車場から近く便利だ。
http://hayakawa-zaidan.com/?pid=34634695
おすすめ周辺情報 《こんぼうす》
奈良田の里温泉に併設された食堂。川魚料理など地元の食材を味わえる。
http://www.town.hayakawa.yamanashi.jp/tour/spot/meal/konbousu.html
《古民家カフェ鍵屋》
ジビエ料理や手作りのケーキを楽しめるお店。
http://cafe-kagiya.com/
《南アルプス山岳写真館》
国内には留まらずヒマラヤなどで撮影した作品は一見の価値あり。
http://hayakawa-zaidan.com/?pid=34634654
《早川財団・麓の直売所》
早川町では昔から栽培されていた幻の果物「ポポ」のシャーベットを購入できる。
http://hayakawa-zaidan.com/?pid=34634525
1
初日のスタートは広河原インフォメーションセンターからとなる。
奈良田方面・芦安方面からのバスが同じ時間帯に到着するので大変な混雑具合だ。
2
北沢峠方面のゲートを通過してわずかに進めば広河原への分岐点だ。
3
吊橋を渡り対岸へ向かう。
4
広河原山荘を通過する。
登山届の提出はここが最終地点となる。
5
しばらくは樹林帯の歩きやすい道が続く。
この周辺は熊の目撃情報が多いところなので注意しながら歩こう。
6
白根御池小屋との分岐を通過する。
7
二俣までは大樺沢に沿って標高を上げていく。
なお本流の水は飲用に適さない。
8
沢沿いの道には架橋が所々に設置されている。
ただし悪天候時には増水に伴い通行できないこともあるので注意が必要だ。
9
正面に北岳バットレスを仰ぎ見る大樺沢二俣に到着。
ここは右手に折れて「肩の小屋・北岳山頂」方面へ進む。
10
分岐から右俣コースを登る。
徐々に急な登りとなるので焦らずゆっくり進もう。
11
右俣から離れて樹林帯をつづら折れで急登する。
12
植生保護用の鹿柵に沿って登れば草すべり分岐に到着。
13
分岐を過ぎると正面に稜線が見えてくる。
この辺りはお花畑になっていて綺麗なところだ。
14
斜面に乱れ咲くシナノキンバイ。
ミヤマキンポウゲと同じ花色だが花弁が大きいのでよく目立つ。
15
猛毒で知られるトリカブトの亜種となるキタダケトリカブト。
名前の通り北岳の固有種だ。
16
タカネグンナイフウロはグンナイフウロよりも更に標高が高いところに咲く。
色が濃く背丈は低い。
17
小太郎尾根の直下までお花畑が続く。
18
稜線に上がると小太郎尾根分岐に到着する。
正面には北岳が大きくそびえる。
19
気持ちのよい稜線を北岳に向けて歩き出す。
20
岩場も現れるが難易度は高くない。
ただし疲れが出てくる頃なので転倒などには注意しよう。
21
岩場が多くなり標高が上がると植生も変化する。
シロバナタカネビランジはナデシコの仲間だ。
22
こちらは希少種のタカネマンテマ。
似つかわないがタカネビランジとは近縁の仲(同科同属)でビランジの近くを探すと見つかることが多い。
23
細かなアップダウンを繰り返すと正面に肩の小屋が見えてくる。
24
北岳肩の小屋に到着。
ここから山頂までは約1時間の距離だ。
25
肩の小屋から山頂までは岩場混じりの急な登りが続く。
26
両俣小屋分岐を通過する。
ここから両俣小屋へ下る道は一般向きではないので安易に立ち入らないこと。
27
背後には甲斐駒ヶ岳から鋸岳への稜線と仙丈ヶ岳が美しくそびえる。
28
いよいよ北岳の山頂が近づいてくる。
29
国内第2位の高峰となる北岳の山頂に到着。
30
山頂付近に設置されている三等三角点。
点名は「白根岳」で標高は3,192.18mとなっている。
31
山頂を辞して北岳山荘へ向かう。
ここはザレていて急な下りとなるので転倒に注意したい。
32
途中には梯子も設置されている。
山頂から北岳山荘までは思っているほど近くはない。
33
キタダケソウ。
名前の通り北岳だけの固有種だ。開花時期が早く夏山最盛期には姿を消していることが多い。
34
チョウノスケソウ。
チングルマと同じバラ科の植物で分類的には「低木」となる。
35
吊尾根分岐を通過。
左手は八本歯のコルから池山吊尾根・大樺沢方面へ下る道だ。
36
正面に間ノ岳を眺めながら緩く下れば北岳山荘を視界に捉える。
37
初日の宿泊地となる北岳山荘に到着。
今日はここで1泊となるが混み合うことも多いので留意のこと。
38
受付には混雑具合を示す看板が設置されている。
39
夕食は品数も豊富で美味しいと評判だ。
(一例)
40
【2日目】
今日は間ノ岳・農鳥岳を越えて大門沢小屋まで向かう長丁場だ。
できるだけ早出することを心掛けたい。
41
まずは富士山を左手に見ながら中白峰山(※中白根山)へ向かう。
しばらくは気持ちの良い稜線歩きが続く。
※環境省と県・国土地理院によって山名が異なる。
42
中白峰山への登り。
朝一番としては適度な斜度で歩きやすい。
43
中白峰山に到着。
ピークとしては目立たない存在だが山頂からの展望は特筆すべきものがある。富士山や間ノ岳・仙丈ケ岳・甲斐駒ヶ岳などを一望できる。
44
山頂を後にして正面に見える間ノ岳へ向かう。
45
緩く下ると西側の斜面を進むようになる。
46
避雷針が設置された2つの偽ピークを通過する。
47
稜線上を進むと間ノ岳が程近い距離となる。
左奥が山頂だ。
48
国内第3位の高峰となる間ノ岳に到着。
条件が整えば雄大な富士山を遠望することも可能だ。
49
山頂から荒川三山・赤石岳方面を望む。
右手のピークは塩見岳だ。
50
山頂を後にして農鳥小屋へ向かう。
51
農鳥小屋までは下りとなるが地図上の距離よりも長く感じることが多い。
52
徐々に傾斜が緩んでくるとまもなく赤い屋根の農鳥小屋が見えてくる。
53
農鳥小屋に到着。
小屋のご主人が定位置に座っている。天候など不安な点があれば遠慮せずに尋ねてみるとよい。
54
小屋からは西農鳥岳へやや急な登りとなる。
55
静岡県側の斜面から台地状の尾根を左手に回り込むように進む。
56
稜線上に出るとまもなく西農鳥岳だ。
57
西農鳥岳の山頂に到着。
農鳥小屋から1時間弱の距離だ。なお農鳥岳より西農鳥岳のほうが標高が高い。
58
西農鳥岳からは南西側の斜面をトラバース気味に進む。
岩混じりのところもあるので足元には注意したい。
59
農鳥岳への最後の登り。
この行程中でほぼ最後の登りだ。
60
農鳥岳山頂に到着すれば白根三山は完遂。
あとは2日間に渡る奈良田までの長い下りが待っている。
61
山頂からは緩く下り大門沢下降点へ向かう。
62
40分ほど下ると慰霊碑が建つ大門沢下降点に到着する。
いよいよきつい下りの始まりだ。
63
樹林帯に入り延々と急な道を下っていく。
歩き難いところも多く難儀するところだ。
64
木橋を数回渡るがどれも壊れており歩き難い。
転倒などに注意して慎重に渡ろう。
65
傾斜が緩んでくれば歩きやすい道になり大門沢小屋に到着する。
目安として大門沢下降点から2時間半は下ることになる。
2日目はここに宿泊する。
66
部屋は基本的に土間に板張りだ。
非常に混雑することも考えればシュラフを持参したい。
67
大門沢小屋の夕食。
ご飯と赤だしの味噌汁はおかわり自由だ。
68
朝食は玉子かけご飯。
69
【3日目】
最終日は大門沢小屋から奈良田まで下るのみだ。
小屋を出るとすぐに1つ目の橋を渡る。悪天候時は増水することもあるので注意が必要だ。
70
しばらく沢沿いの道を緩く下っていく。
71
何回か橋を渡る。
転倒などしないよう足元に注意して慎重に渡ろう。
72
沢から離れ小尾根を乗越す。
ここを右手に折れると八丁坂の下りとなる。つづら折れの急な下降だ。
73
八丁坂を下り終えると大古森沢を渡る。
74
広河内周辺まで下れば樹林帯の歩きやすい道が続く。
75
取水口施設にある1つ目の吊橋を渡る。
揺れるので1人づつ渡るように心掛けよう。
76
巨大な砂防ダム上に出ると橋を渡り対岸へ進む。
77
森山橋を渡って再度対岸へ渡る。
78
森山橋から進むとほどなく大門沢登山口に到着する。
ここからは舗装された林道を奈良田第1発電所まで歩くことになる。
79
奈良田第1発電所までの車道歩きは約2kmの行程だ。
80
奈良田第1発電所に到着。
芦安や夜叉神峠に車を停めていればバスで広河原へ戻ることになる。
奈良田の駐車場までは更に歩いて20分を要する。
81
【入浴】
奈良田の里温泉「女帝の湯」は強アルカリ泉質。
ぬめりが強い温泉だ。
82
【おすすめ周辺情報】
奈良田の里温泉の食堂「こんぼうす」では早川町の特産品となる「南アルプスハム」のベーコン丼がおすすめ。
83
【おすすめ周辺情報】
「古民家カフェ鍵屋」はジビエ料理の評判がいい店だ。
カフェらしく手作りケーキも楽しめる。
84
【おすすめ周辺情報】
「南アルプス山岳写真館」は山岳写真家として先鞭をつけた白旗史朗氏の記念館でもある。
国内には留まらずヒマラヤなどで撮影した作品は一見の価値あり。
85
【おすすめ周辺情報】
早川町では昔から庭先で栽培されていた幻の果物「ポポ」のシャーベット。
早川財団の「麓の直売所」で購入可能だ。
※上記の情報は記事更新日(2017年07月04日)時点の情報です。最新の情報については、出発前に現地の各関係機関にお問い合わせいただく事をおすすめします。

※本記事内にて各山域に生息する動植物の紹介を行う場合がありますが、自然保護区域への立ち入りや希少生物の採取・捕獲・譲渡・販売等は、法令により禁じられています。多くの方が自然を楽しみながら登山ができるよう、動植物の保護にもご協力ください。
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