八ヶ岳南部(美濃戸口⇒清里駅)、硫黄岳、横岳、赤岳、阿弥陀岳、真教寺尾根【長野、山梨】
- GPS
- 17:31
- 距離
- 33.1km
- 登り
- 2,865m
- 下り
- 3,081m
コースタイム
美濃戸口 5:13 - 北沢南沢分岐 5:14 - 美濃戸山荘 5:52 - 堰堤(林道終点) 6:22/28 - 赤岳鉱泉 6:58/7:13
- 赤岩の頭 8:09/16 - 硫黄岳 8:36/51 - 硫黄岳山荘 9:03/間食、昼寝/9:31 - 横岳奥ノ院 10:02/11 - 三叉峰 10:23
- 石尊峰 10:32 - 地蔵の頭 10:56 - 赤岳天望荘 10:59/昼食/11:33 - 赤岳頂上山荘 11:55 - 赤岳 11:57/12:12
- 赤岳頂上山荘 12:14/昼寝/54 - 南陵阿弥陀岳分岐 12:58 - 巻道分岐(A) 13:06 - 文三郎道分岐(B) 13:11
- 文三郎道阿弥陀岳分岐(C) 13:36 - 行者小屋 13:41/間食/13:58 - 中山越 14:04 - 赤岳鉱泉 14:20(泊)
○10月9日(日)
赤岳鉱泉 5:15 - 中山越 5:34 - 中山展望台 5:36/58 - 中山越 6:00 - 行者小屋 6:04 -文三郎道阿弥陀岳分岐(C) 6:12
- 中岳コル(D) 6:41/デポ/45 - 阿弥陀岳 7:05/26 -中岳コル(D) 7:40/45 - 中岳 7:53/56 - 中・赤鞍部 8:00
- 文三郎道分岐(B) 8:09/11 -巻道分岐(A) 8:16 - 南陵合流 8:20/21 - 真教寺尾根分岐(E) 8:25/31 - 赤岳 8:41/46
- 赤岳頂上山荘 8:48/9:06 - 赤岳 9:09 - 真教寺尾根分岐(E) 9:16/21 - 六合目 9:56 - 扇山 10:36/42
- 牛首山 10:50/食ほか/11:22 - 賽の河原 11:50 - 展望ヒュッテ 11:55/アイス/12:05 - 羽衣池 12:31/33
- たかね荘 12:39 - 美し森展望台 12:45 -美し森駐車場 12:55 - 清里駅 13:25
(清里 14:01 = 小淵沢 14:23/15:00 = 茅野 15:15/30 = 美濃戸口 16:07)
●行動時間
○10月8日 : 9:07
○10月9日 : 8:10
天候 | 8日:晴れ、9日:快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス 自家用車
(自宅) = (美濃戸口P) - 硫黄岳〜赤岳 - 赤岳鉱泉(泊)- 阿弥陀岳、真教寺尾根 = (清里駅) =<列車、バス>= (美濃戸口) = (日帰り温泉) = (自宅) ●アクセス ○美濃戸口) ・諏訪ICから車で向かったが、地図で把握していないとわかりにくいかも ・茅野駅から、県道188号線、県道196号線を経由し直進すると、美濃戸口までまっすぐである。茅野駅前から東進する県道(=188号線)から「粟沢橋」交差点で右折、「神之原」交差点で更に右折すると県道196号線。10km以上直進で美濃戸口 ・ただし、「神之原」から県道17号線との交差点「柳沢」までの間は狭隘なので、以下に示すルートの方が良いかと。バスもそのように通り抜ける。県道188号線を東進し「神之原」を通り抜け、「大泉山」交差点を右折、「柳沢」交差点を左折すると、上記の道筋に ・エコーラインからの交差点には交差側に「美濃戸口」という標記は出るが、それ以外はなかなか行き先に「美濃戸口」が見られないので注意を要するかも ※上記は諏訪ICからを意識しているので、諏訪南ICからの場合には、導入路を含め事情は異なる ○美し森) ・清里駅まで歩いたので、自動車誘導については、略 ・清里駅前に横たわる道を右折し、道なりに進むと、徒歩約30分で「美し森」の駐車場 ・駐車場建屋の裏手から「展望台」への登りを進むとやがて、「美し森」展望台 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●コース状況 ○全般 ・さすが、人気の山域だけあって、分岐ごとの標識等に不明瞭さはない ・箱庭のような狭い領域にコンパクトに多数のルートが詰め込まれている。しかも急峻な地形のため見通しもききやすい。ガスさえなければ自身の位置や山座同定には悩まないと思う ・おそらく思うよりも急峻な岩稜を持つ山であるので、十分な気構えを ○美濃戸口〜赤岳鉱泉 ・美濃戸口から堰堤までが林道 ・美濃戸の一番奥にある「美濃戸山荘」の前で南沢への道を分ける。更に林道を進むと、やがて堰堤 ・堰堤からは北沢に架かる橋(写真参照)を何度か渡る。基本的に流れに沿って登っていく ○主稜線(赤岳鉱泉〜硫黄岳〜横岳〜赤岳) ・基本は一本道 ・横岳付近では、ところどころでリッジを超えるなどの荒技もあるが、方向指示は明瞭 ・赤岳に登るルートはどれも急峻。主稜線北陵は大きな岩盤をよじ登る ○文三郎道、行者から阿弥陀岳への道、中岳ルート、その巻道 ・赤岳近傍は岩壁登り。難度が高いわけではないが、十分に注意を。また、今回もそうだが、シーズンにはずいぶん渋滞するようだ ・文三郎道は、階段や土留めなどのルート保全整備が行き届いている。もともと急峻な尾根筋であるため、土留め区間では、その一段一段の段差が大きすぎて登りで使うとさぞや疲れるであろうと思われる ・行者小屋から阿弥陀岳へのルートは、文三郎道とはずいぶん異なり、つづら折りの緩やかな登り。ただし、途中に二箇所崩壊箇所があるので注意を要する ・中岳ルートと南稜を結ぶ巻道は、へつり道だが歩きやすい。中岳ルートから山頂への岩登りが渋滞しているならば、こちらへ迂回し、南陵を登る方が早いかも。今回のように途中で荷物をデポして進んでも、直登の方々よりもずいぶん早かった ○真教寺尾根〜清里駅 ・ルート自体は明瞭だが、長い尾根。リフト上の展望台までの途中には「扇山」「牛首山」「賽の河原」くらいしか標識がない ・下りの場合、最初の岩場が長く急激。その区間には鎖も設置されている。鎖を使わずとも下降できる場所が殆どであるが、連続的に急崖が続くだけに、用心のためにも鎖を手にするほうが良いと思った ・樹間に入ると眺望は限られる。「牛首山」では、権現山が樹間に見える ・「美し森」から「清里駅」までは、きれいに整備された一本道。ずっと歩道もある。最後に踏切を渡ると駅はすぐそこ |
写真
感想
●序
八ヶ岳に行こうと決めたのは、今年の初めのこと。
日本アルプス以外の2800mは富士山とここしかない。いくつもの頂が広い裾野を従えたその豊かな山容は魅力的。日本アルプスのどこから見ても、群で圧倒するアルプスとは異なり、傍らに穏やかに佇んでいる麗人の様相である。
その麗人を目指したが、登ってみたらそのイメージは違っていた…。
➊美濃戸口〜赤岳鉱泉
前夜神戸を出発して車で美濃戸へ。途中休憩を挟みつつ4時半過ぎには到着。本当ならば列車で来たかったが、唯一の足がかりとなる新宿からのムーンライト信州は満席。仕方なく車だが、行程が行程だけに、最後が面倒なことになる。
準備をして出発するが、料金を払う先が分からない。まぁ後でもいいや、と割り切り。
八ヶ岳山荘の前で美濃戸方面の林道へ。林道を黙々と進むと美濃戸。まず「やまのこ村」が見えてくる。それを過ぎて進むと「美濃戸山荘」。美濃戸山荘前で南沢道を分け、更に林道を進むと、堰堤が見えてきて林道終点。流れに沿った木道を行く部分もあるが、工事用足場板を掛けた橋を何度も渡りながら、緩やかに登る。沢を少々離れかけると赤岳鉱泉。
❷赤岳鉱泉〜硫黄岳〜横岳〜赤岳
赤岳鉱泉から進み、じょうご沢を渡ると登りにかかる。比較的緩やかだが、休みなく登る。周囲のコメツガの枝を見ると下向きになっており、雪深いことがわかる。やがて、赤岩の頭。左手の峰の松目側にピーク。ここまで来てガスが一気に上がり始めた。主峰赤岳が濃いガスの中からようやく姿を現す。意外に近い。
次に目指す硫黄岳も見えてくる。ごつごつとした岩組の先に山頂が見える。
一登りで山頂。広い河原のよう。山頂標識に近づくと、その先の爆裂火口の縁が見えてくる。韓国岳や雌阿寒岳などの火山で見られる火口壁と同様だが、不思議なことにも半周分もない。残りはどこへ行ったのか。同時に、ここは火山の成果物であることを改めて認識。
先ほどから風が強い。体感はマイナス。陽が差してきたといえども寒い。とりあえずは硫黄岳山荘に逃げ込む。ストーブが出ている。床に置いてあったチラシにはアンカの案内。文字といい、チラシの台詞といい、小屋番の思いやりを感じる小屋。ぜんざい一杯を頂き、そのあとストーブにあたったまま、うたた寝。昨晩の寝足らずが利いてくる。歩行時間が計画よりもずいぶん早いことも心に余裕を持たせる。
外からの足音にふと目が覚め、我に返り再出発。次は横岳。岩登りである。大同心を脇目に見ながら岩峰を極める。途中リッジを超える部分で対向の一群が遅々として来ない。足がすくんで動けない人が居るよう。結局、こちらから進んだが、さて、あの一行はどうしたのやら。
確かに、予備知識が不十分だと八ヶ岳にはこんな急崖があるとは思わないかもしれない。自身も同じで、麓の牧歌的な雰囲気とは対照的な荒々しい山であることを再認識。
やがて、奥ノ院。狭い山頂は人でいっぱい。鱗のように薄く聳える赤岳の横顔もはっきり見え始める。後ろには南アルプス北岳も。赤岳から阿弥陀岳へのスカイラインの眼下には行者小屋も。意想外に狭い範囲にいろいろなものがある。十分に堪能して先へ。
大同心や小同心はそれぞれ踏み跡が見えているので、行くことはできるのかもしれない。しかし、主稜線自体がこれだけ急峻な所を通過しているのだから、余計な冒険は考えない。やがて、杣添尾根が分かれる三叉峰。ケルンはあるが標識はない。振り返ると無名峰越しに奥ノ院が見える。こちらから見ると岩峰というほどには見えないのだが。
石尊峰から先では、どこがどこだかしっかり認識できなかったが、何度かのピークを越え、岩を下り進む。途中「二十三〜」という石刻があった。二十三夜峰を指すものと思うが、解読できず。
次第に赤岳が近づく。天望荘も間近に。やがて地蔵の頭。小さなお地蔵さまも置いてある。ここから天望荘までは少し登り返しだが、一息の距離。一気に天望荘へ。
ここでお昼にすることに。相変わらずに寒いものは寒いので、山荘東面の日向に座り、おにぎり。今日もコンビニ購入品が主体。ここはもう少し改善したいが、荷を増やしたくない思いもあって両立しがたいところ。
そそくさと片付け、いよいよ赤岳への登りに。どうやら、大きな一枚岩を登るようだ。登りの人、下りの人、皆が立ち止まって一点を見ているので振り返ると、ヘリコプター。荷揚げ用のこともあるだろうが、ヘリがホバリングしている場所に違和感があるようだ。“あの辺だと遭難救助じゃないの?”というような声が聞こえる。(事後分かったことだが、地蔵尾根で遭難された単独行の方に対応されていたようだ。その方は残念なことにも亡くなられたようだ。)
赤岳にむき直し、登りに。一枚岩にずっと鎖やアンカーが打ち込まれている。それらを目印に、一気によじ登る。斜度も厳しいが、足がまっすぐに立つところが全くないのも厳しい。
やがて、頂上山荘前に飛び出す。まずは山荘を通り越して頂へ。ここも狭い山頂である。残念ながらちょうど山頂到着くらいからガスが上昇してきて、周囲の視界を奪ってしまった。ふと足下を見ると。ネズミの子であろうか、不似合いな生き物がウロウロ。頂上山荘があるからというのもあろうが、珍しい。
視界がなくなったので、少し気抜けして頂上山荘へ。眠気覚ましのつもりでコーヒーを頂き、本来ならば眺望の利きそうな食堂でくつろいでいるうちに、また寝てしまった。ふと目覚めると、さっきまで居た人たちは誰も残っていない。慌てて出立。しかし、視界が利かないことに変わりはないので、本日中の阿弥陀岳は止めにして、下降することに。
❸赤岳〜文三郎道〜行者小屋〜赤岳鉱泉
南陵から途中で分かれ、阿弥陀岳・文三郎道方面へ。なかなか急崖の下り。登ってくる人が足下に居るようだ。行き交いも困難な箇所も多く人の量は知れているが渋滞気味。斜面の途中に分岐。中岳方面を分けて、文三郎道へ。登ってくる人の疲労感が強いが、足下を見れば納得。急な砂礫の斜面につけられた道には、土留めをしてあるのだが、その段差が大きい。一段が50cm以上はあろうか、大人でも必死に登らなければ行けないほど。
当方は下りでまだ良かったが、それにしても足には苦しい道。半ばからは階段が整備されている区間が増えたが、階段がこれだけ連続するのも凄いこと。行者小屋が見え始め、ようやくこう配もなくなると、阿弥陀岳への道と合流。そのまま行者小屋に到着。
行者小屋では名物のおでんを食べようかとも思ったが、あいにく殆ど食べられた後。ついでに言えば、今日は一日中なんか食べているような気もするので、ホットミルクにとどめる。
見上げると、一瞬ガスが切れて横岳から赤岳に掛けてのスカイラインがあらわに。その高度感のある壁は立ちはだかり、スカイラインは鋸歯のよう。激しい文三郎道の登りもよく見える。
中山越へのわずかな登りを終え、緩く下ると赤岳鉱泉。朝通り過ぎた小屋に別ルートで戻ってきた。
小屋は超満員で、談話室や一部の廊下にも寝床を準備している状態。それでも布団半分サイズの空間を確保しやすくするために、個々人に半分折りの敷布団を配布してくれているのは、うまい配慮だと思った。鉱泉と言うだけに風呂があるのが珍しく、ありがたかった。
夕食は、これまでに泊まった数少ない山小屋経験の中では最高級で、しっかり手の加わった食事を堪能させて貰った。
❹赤岳鉱泉〜中山展望台〜阿弥陀岳〜中岳〜赤岳
陽が昇る前に出発し、中山展望台での日の出を期待。暗い中を展望台まで登る。薄暮の中に横岳、赤岳、阿弥陀岳が静かに佇んでいる。本日の日の出時刻5:46になるが、当然ながら聳える山々よりも遥かに低いこの場所からはまだ陽が見えない。
しばらくすると、遠くに見える中央アルプスに赤い陽が差し始める。御嶽も雲上に赤く聳えている。しかし、こちらの阿弥陀岳などにはまだ日差しが見えない。
そう、この標高差では、実際に陽が出るまでには、あるいは赤岳などの背後が赤くなるには、まだ時間がかかるようだ。待っていても仕方ないので、やむなく先に進むことに。
行者小屋を超え、文三郎道との分岐。昨日下りてきた道と分かれ、再び南八ヶ岳の核心部へ。阿弥陀岳への登りは文三郎道とは異なり斜面をジグザグを切りながら登っていく。斜度は硫黄岳への登り程度だが、斜面の明確なつづら折りである点が異なる。最後の大きなうねりを過ぎると、二度崩壊地と遭遇。一度は強引に残った山側を超えるが足下が危ない。もう一箇所は大きく巻くことになる。崩壊地を過ぎると、中岳コル。遠目には標柱が十字架のように見えた。
コルに荷物をデポして身軽に阿弥陀岳を往復することに。長いはしごを登り切ると、ちょうど日の出のポジション。赤岳の南側から“陽が昇る”ところ。残念ながら、水平線からの日の出とは異なるので、“日の出”の雰囲気にはならない。
急な岩登りを続け、足だけで登れるようになってしばらくで阿弥陀岳山頂。360度の絶景。果ては白馬岳から、北、中央、南の日本アルプス、富士山までが遮るものなく展望できる。手元の権現山も富士山と南アルプスを従え堂々と聳えている。
素晴らしい眺望を十分に堪能し、中岳方面へ。中岳コルから一気に中岳に達し、文三郎道を見ると、驚くような巨大集団が登ってくるのが見える。団体ではないだろうが、渋滞で団子状態になっているようだ。赤岳への上部の岩場で枯れrにの見込まれてはたいへん、と先を急ぐ。文三郎道との合流点を過ぎ岩場の基部に達してみると、すでに渋滞中。こちらは巻道に向かうつもりなので、渋滞を脇目に進ませて貰う。
人気のない巻道に進み、主稜に向けてトラバースするとすぐに主稜線。こちらは全くといっていいほど人がいない。
赤岳方向に岩を登り返し、真教寺尾根分岐へ。ほんとうはここから真教寺尾根を下るつもりだったが、昨日の眺望のなさを想い、赤岳に再度立つことに。またもデポして、赤岳に向かう。竜頭峰を巻きつつ、中岳方向からの登り道を俯瞰すると、確かにとんでもない人の量。渋滞もするはずで、先ほど下の分岐で追い越した一群は、まだまだはるか下の方であった。
わずか20時間ぶりに再訪の赤岳で、阿弥陀岳と同様の景色に加えて、秩父や浅間の山々を楽しみ、頂上山荘へ。ココアを頂きながら、秩父左側の山座などを教わる。
❺赤岳〜真教寺尾根〜美し森〜清里駅
今日は早くもガスが上がってきたようだ。負けないうちにと、出発。二日続けでお世話になった頂上山荘ともいよいよお別れ。
赤岳を通り抜け、真教寺尾根分岐で荷物を手にして、足下に切れ落ちている真教寺尾根へ。
いきなり急峻な砂礫地帯の下り。ここは鎖を手にすることで滑り止めになる。
続けて岩場の下り、鎖がなくても進めそうだが、その長さを見ると、万一の自身の落下や、スリップによる他者への危害なども心配なので、鎖が手に届く範囲で下降。途中すれ違う登山者も少なく、比較的すいすいと下降。最後に並行する鎖で短い直壁を降りると、樹林帯に。しばらくは急下降の続き。やがて、見晴らしのいい岩に。権現岳はすでに頭がガスの中。県界尾根もガスに包まれ、小天狗であろうか、ピークが一つ見えているくらい。
こちらも、目の前の牛首山でさえうっすらと見えている状態なので、視界が消えないように、先を急ぐ。
やがてピーク。牛首山と思いきや扇山。山名標示はあるものの、見晴らしはない。起伏の少ない樹間の道を更に進むと牛首山。今度は切り開かれた樹間から権現岳が見えている。
仕事の電話が掛かってきて、大きくロスタイムが発生。電話が通じる山はいざというときには役立つが、こんな時には困ってしまう。
牛首山からは、山らしくない軽装者と頻繁にすれ違うようになり、牛首山を目指す即席ハイカーが増えてきたことがわかる。周囲も笹原に変わり、先にあるリフト山頂展望台を一瞬見たら、しばらくで「賽の河原」。もっとおどろおどろしいところかと思ったが、ただの開放的な空間。秩父や富士山方面の見晴らしがよさそう。
残念ながら、背後の八ヶ岳はガスに隠れており、牛首山の三角錐だけが見えている。
リフト乗り場の展望台に到着。山名標記に、向かい側に聳える山は茅ヶ岳とある。赤岳山頂からは目立たなかった1700m峰が、どっしり立派に構えている。
更に笹原を下り続ける。防火帯と思しき植生の異なる一帯を抜けると、羽衣池。俗化した周囲に一瞥をくれつつ、整備の行き届いた木道を降りたかね荘脇を抜けて展望台。展望台からは木道を一気に下って駐車場。観光案内所の裏手に降りた。
そこからはバス便もあるのだが、清里駅まで歩いてみることに。よく整備された車道の脇にはきちんとした歩道。それをずっと下り続ける。清里北澤美術館を過ぎた辺りで、聞き慣れた踏切の音が。
最後は踏切を越え、観光地と化した駅前を過ぎて、高台の静かな清里駅に到着した。
●その後
列車で小淵沢、茅野と戻り、茅野からは美濃戸口行きの最終バス。まさか、この時間に向かう人もあるまいと思っていたが、意外にも同行者あり。
終点まで、目の前には硫黄岳〜横岳〜阿弥陀岳が鎮座しているが、主峰赤岳は阿弥陀岳の背後。
終点バス停に到着し、今度はちゃんと営業している駐車場管理の事務所に立ち寄り料金を支払い、長い旅は終了した。
何度も来たくなる山だと思った。
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