熊野古道:小辺路(十津川―果無峠―本宮大社)と石地力山【奈良県、和歌山県】
- GPS
- 07:35
- 距離
- 18.7km
- 登り
- 1,361m
- 下り
- 1,440m
コースタイム
- 山行
- 6:29
- 休憩
- 1:06
- 合計
- 7:35
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本宮大社前 721 =奈良交通バス= 蕨尾口 755(※迂回による遅延)
▲魯ぅング
蕨尾口 757 ― ドライブイン 804/808 ― 蕨尾口 812 ― 果無林道入口 818 ― 果無峠入口 822/823 ― 眺望地点で休憩 839/848 ― 櫟砂古分岐 852 ― 岩本様宅の押印所 853/858 ― 世界遺産の碑 900 ― 上部で再度舗装路へ 908 ― 右くまのみちの石標 909 ― 上部の登山口 911/913 ― 第二十七番観音 920 ― 天水田 930/935 ― 山口茶屋跡 943 ― 第二十三番観音 950 ―観音堂 1005/1016 ― 第十九番観音 1028 ― 第十八番観音 1037 ― 果無峠 1046/昼食/1113 ― 果無山 1118/1119 ― 石地力山 1135/1137 ― 果無山 1153 ― 果無峠 1157 ― 峠から1.2km 1218 ― 二十丁石 1229 ― 眺望点 1246/1253 ― 三十丁石 1253 ― 第十番観音 1302 ― 七色分岐 1308 ― 第六番観音 1323 ― 第四番観音 1338 ― 一旦舗装路から民家庭先 1347 ― 八木尾登山口 1353 ― 熊野萩バス停 1404 ― 道の駅 1410/休憩/1424 ― 旧国道から分岐 1433 ― 舗装路から茶屋跡への山道へ 1441 ― 三軒茶屋跡 1442/1443 ― ちょっと寄り道展望台への分岐(上) 1458 ― ちょっと寄り道展望台への分岐(下) 1502 ― 祓殿石塚遺跡 1510 ― 車道へ 1512 ― 熊野本宮大社裏口 1515 ― お詣り ― 熊野本宮大社表の鳥居 1524 ―世界遺産センター 1526
● 行動時間 7:29
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
(和歌山市内=世界遺産センターP、本宮大社前=奈良交通バス=蕨尾口) 蕨尾口―果無集落―果無峠―三軒茶屋跡―本宮大社―世界遺産センター (世界遺産センターP=和歌山市内) ●登山口へのアクセス ○本宮大社前 ・五条、新宮、紀伊田辺などからのバスが発着するターミナル。世界遺産センターの前にある ・この地域のバスは、海外並みに一つの時刻表にすべての会社(コミュニティバスを除く)を記載するなど、ちょっとでも外国人を含む観光客の利便を高めようと工夫している ・マイカーの場合には、世界遺産センターの駐車スペースはわずかに30〜40台程度だが、裏手の河川敷に百台超規模の駐車場があるので、そちらを利用することができる ○十津川温泉、柳本の果無登山口 ・果無登山口から本宮方面へは入口が明瞭。西中・三浦峠方面へは、同登山口の道を挟んだ向かい側にある小径へと進むと、柳本吊り橋へと通じている ・登山口最寄りのバス停は「蕨尾」。今回は、押印帳目的もあったため「蕨尾口」までバスで行き、国道168号を少々歩いて登山口に向かった (いずれの記述も2022.9現在) |
コース状況/ 危険箇所等 |
○果無登山口まで ・車道歩き。国道168号には歩道はない。車通りは多くはないが、スピードが出ているので要注意 ・国道を外れてからも、登山口までは舗装路歩き ○果無登山口〜果無集落〜上部登山口 ・急な坂道。石畳が支配的 ・果無集落では民家の庭先のような所も複数回抜ける。どこも直進方向が古道ルート ○果無集落上部登山口〜果無峠〜八木尾バス停 ・上部登山口以降も峠までは石畳が時折見られる。ただし全体的にはふつうの山道が多い。西国三十三観音が(おそらく)ほぼ等間隔に並んでおり、進行の目安になる ・果無から峠までは、ほぼ休むことなく上り続ける道。上部のほうが厳しい。八木尾から峠までは果無側ほどに急ではないと思われる。石畳よりも土の道に木段が目立つ ○果無峠〜石地力山 ・斜面方向も尾根方向もゆったりとした尾根筋。上り下りも緩やか。踏み跡も明らかだが、赤テープが誘導してくれる ・2つの山頂以外には標示はない ○八木尾バス停〜三軒茶屋跡 ・舗装路歩き。バス停が多いので、それが目安になる。平岩口バス停で旧国道を離れ三軒茶屋跡へと上る。茶屋跡の直前で舗装路を離れて山道に進む。目立たない分岐なので注意したい ○三軒茶屋跡〜本宮大社 ・すべて山道だが、急坂はない。幅広の歩きやすい道 ・途中に「ちょっと寄り道展望台」がある。片道5分程度の寄り道だが、大斎原が見通せる。長旅の後であれば感動ものだろう (いずれの記述も2022.9現在) |
その他周辺情報 | ●買う、食べる ・十津川温泉には飲食店はそれなりにあるようだ ●日帰り温泉 ・十津川温泉には宿屋多数。多くの宿で日帰り入浴できるようだ (2022.9現在) |
写真
感想
いよいよ小辺路を完歩。高野山から熊野三山までのトレースが一本で繋がった。高野山から熊野本宮大社まですべて日帰りで5日間。クルマと公共交通機関とを活用し、可能な限り同じ道の往復を避けたプランとした。今回はその第5回目。十津川温泉から熊野本宮大社までの最終コースだ。
早朝、熊野本宮大社の向かい側にある世界遺産センター駐車場に到着。奈良交通バスで十津川村の登山口へ移動。このバス路線は「日本で一番長いローカルバス路線」として有名なもの。和歌山県の東端JR新宮駅から国道168号を伝い十津川村やJR五条駅を経て近鉄大和八木駅までを結ぶ。同社のHPによると、路線の走行距離は169.8km、バス停は168、一日3往復、所要時間は6時間半にも及ぶとのこと。これまでにも断片を利用してきたが、全線一気に乗る機会はなかなか訪れない。
今回は本宮大社前から蕨尾口まで30分強利用。数名の乗客を乗せたバスは、険しい奈良和歌山県境を越え、途中での乗降なく蕨尾口に着いた。ここは十津川温泉の一角だが、閑かだ。押印帳へのスタンプを期待して旅館を回ってみたが、三軒目でようやく開いている店をみつけた。
果無集落への登山口まで移動し、いよいよ出発。前回までの続きからのスタート。いきなり急坂の石畳が続き、雨後の滑りやすい石畳を避けつつ両側の土の面も踏みながら登る。集落が近づいてきた頃に展望地点。先行する年配女性の一人歩きに追いつく。聞けば旅行の同行者に果無集落で待ってもらい、登山口から集落までを足慣らしがてら歩いているとのこと。足慣らしにしてはずいぶん大変なところを選ばれたものだが、歴史を体感できる道を歩くことは満足感のあるものであるようだ。
先行し、果無集落に到着。民家の庭先のような所を抜ける。庭に押印所もある。このような高地に今も生活があることに驚く。
更に続く石段を登り、有名な「世界遺産の碑」を過ぎる。振り返ると十津川の山並みが静かに立ち並んでいる。急坂を登るとまた舗装路に顔を出し、いよいよ果無峠への登山口。ここに登山届もある。舗装路の先にも続く石段を登っていく。
果無集落からは西国三十三観音が続いている。先ほどの集落が三十番でここが二十九番だ。三十三番は集落から櫟砂古に向かう道筋にある。ちなみに観音堂が第二十番、果無峠が第十七番、第一番は八木尾にある。
果無峠に向けての登り坂は、容赦ない。途中で平坦が現れることは殆どない。石畳も多く残されている。国道の開通やモータリゼーションにより、歴史の中に置いていかれた道だけに、昔の姿がよく残っているようだ。天水田のベンチ箇所でようやく一息つく。ここは雨などの天水のみで営まれていた田だという。上部の山口茶屋の主がここで田をやっていた。まさに隔世の感。歴史の中の話だ。
その山口茶屋跡を過ぎ、いくつかの観音様を見送ると観音堂。こんな山中にも拘わらず立派なお堂が建っている。中には3体の仏様。しっかり拝見しようとしたが、「中にマムシがいます」の張り紙に躊躇して、覗くのはやめておいた。観音堂にある水場でリフレッシュしていよいよ峠へと向かう。最後の区間はこれまで以上の急坂。観音様は一定間隔ごとにあるものと思量するが、これまではおよそ3分から5分に一体であったものが、ここでは一つ迎えるごとに8、9分係っている。そんなにゆっくりと歩いたつもりもないが、空腹もあって歩が進まない。
やっとの思いで峠に到着。先行の士が休憩中。関東から日数をかけて熊野古道に来られているそうで、行き帰り含めて3日で一区間、小辺路ではこの区間を選ばれたとのこと。当方は和歌山に赴任中に巡ろうとしているのでそれぞれ日帰りできることと比較すると、やはり熊野は遠い地であることを感じてしまう。
その方を見送り、こちらは石地力山への立ち寄りを目指す。せっかく果無峠まで来たのだから、果無山脈の名峰石地力山にも行ってみたい。峠からひと上りで果無山。見通しの利かない尾根状の小さなピークだ。ここにリュックをデポして約1km先にある石地力山を目指す。
ここは果無山脈と呼ばれる紀伊山地の中でも大塔山系と並んで奥深い山並みだ。ただし、果無山脈は20kmくらいの山並みの殆どが標高1,100mくらいで一定しており、なだらかな山並みといった印象だ。果無山から石地力山にかけても同様で、両肩の斜面もなだらか、進む尾根筋も激しい昇降のない穏やかなものだ。てくてく進んで石地力山へ。西へと続く果無山脈が軽く切り開かれた樹間に垣間見える。うっすらとガスも出ており、深山の気配が漂う。いつかは縦走してみたいものだ。
戻って、いよいよ八木尾へと下降。
しばらくは緩やかなへつり道を進み、やがて木段のある急下降へ。次々と観音様も現れるが樹間を黙々と下り続ける風情は変化に乏しい。
三十丁石の手前で本宮町方面を臨める展望点があり、休憩。ちょうど眼下に熊野萩の辺りが見え、熊野川に架かる橋が横たわる。そこまで歩いて行くのかと思うと、ずいぶん遠いようにも感じる。
こちら側に残る少ない石畳を下り、観音様もいよいよ第十番を過ぎる。そして七色分岐。この辺りから和歌山県と奈良県の県境となり、2つ先のピークを巻く辺りからは和歌山県に入る。
道路の土河屋トンネルの上をいく辺りから急激に下り水利施設を見ると八木尾の集落も近い。ここでも民家の庭先を抜けて下りていく。下りきると、旧国道の八木尾バス停の前に出た。
八木尾から熊野萩を抜けて道の駅奥熊野古道ほんぐうへ。道の駅で一休みする。ちょうど国道に出た頃が一日で一番暑い時間帯となったこともあり、道の駅で休めるのは天佑だ。クーラも利いた中で汗を静める。
改めて最終区間へと出発。三軒茶屋跡へは、旧国道から舗装路歩きを続け、最後の最後で山道へと進む。山道歩きわずか1分で三軒茶屋跡へ。約1ヶ月前に来たばかりのこの地点で中辺路ルート歩きに合流した。
前回同様に、ここから本宮大社へと歩く。途中の展望台には今回は立ち寄らず、まっすぐに大社を目指す。前回と同様に裏口から入り、お詣りをして表口から出た。
世界遺産センターに着いた頃には快晴で、夕方に向けて日陰になりそうな場所に駐めたクルマはあまり暑くもならずに駐まっていた。
小辺路の押印帳は、終了しても証明書発行などはない。同時に集めた2つの世界遺産ルートの押印帳は、世界遺産センターに持って行くと、もう一つのスペインの世界遺産サンティアゴ・デ・コンポステーラも歩けば、証明を発行するとのこと。その説明を聞きながら、さて、いつになったらそちらに行くことができるんだろうと思ってしまった。
歴史ある道はそう易々と制覇できるものではないなぁ。
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