ディープ紀伊半島”はてなし”山脈。果無西部:丹生ノ川〜冷水山往復【和歌山県、奈良県】
- GPS
- 06:21
- 距離
- 17.5km
- 登り
- 1,155m
- 下り
- 1,137m
コースタイム
- 山行
- 5:45
- 休憩
- 0:30
- 合計
- 6:15
ヤマセミ温泉駐車場(グラウンド) 919 ― ヤマセミ温泉館入口 920 ― 果無越登山口 934 ― 動物除けネット 935 ― 兵生越道との分岐点 1002 ― 不明林道Aとの分岐点(地点) 1013 ― 991m標高点 1020 ― 和田ノ森 1031/1034 ― 不明林道A横断(地点) 1037 ― 1,135mピーク(展望点) 1101/1105 ― 林道Bと接点(北側絶景) (地点) 1110 ― 安堵山 1124/1131 ― ちょっとだけ林道 1136 ― 林道登山口(地点) 1141 ― 南側絶景ポイント 1147/1152 ― 1222mピーク 1205 ― 黒尾山 1216/1219 ― 果無橋登り口への分岐点 1238 ― 冷水山山頂 1243/昼食/1315 ― 果無橋登山口への分岐点 1318 ― 果無橋1332 ― 地点 1357 ― 地点 1415/1417 ― 地点 1438 ― 地点 1451 ― 兵生越道との分岐点 1502 ― 果無越登山口 1522 ― ヤマセミ温泉館入口 1535 ― 駐車場 1536
● 行動時間 06:17
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年04月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
(和歌山=丹生ノ川の丹生ヤマセミ温泉館駐車場) ヤマセミ温泉館駐車場―和田森―安堵山―黒尾山―冷水山―林道経由―ヤマセミ温泉館駐車場 (丹生ヤマセミ温泉館駐車場=和歌山市内) ●登山口へのアクセス ○丹生ヤマセミ温泉館 ・田辺市龍神の丹生ノ川にある。龍神中心部から県道735号を東進。丹生ノ川に至ったらヤマセミ温泉館への案内に従い右へと降りる。小学校跡のグラウンドが駐車場になっている。山に行くための駐車でも特に敬遠されるようではなかった (いずれの記述も2023.4現在) |
コース状況/ 危険箇所等 |
○ヤマセミ温泉館〜果無越登山口 ・舗装路を歩く。登山口には「果無越登山口」の大きな案内板がある ・登山口の手前にある小山を抜けるルートもあるようだが、現在その入口にある吊り橋は通行禁止になっているので利用できないものと思われる ○果無越登山口〜林道分岐〜和田森 ・植林帯の急坂登り。ジグザグに上ったあとは尾根を一気に登る。途中右側に分岐が二度現れる。最初は登山道の分岐。下降すると、南面を走る林道に出るようだ。次の分岐は林道。国土地理院地図に記載はない。上方へ向かう林道は和田森の先で北面の林道に合流する ・ヤマセミ温泉からのこのルートは熊野古道「奥辺路」として調査と再整備が続けられている。「奥辺路」は一本が果無山脈を経由して果無峠からは小辺路を通って本宮大社へと至るルート。もう一本は兵生越ルートと呼ばれるもので、福定付近から中辺路の大坂本王子へと向かうルート。奥辺路整備のおかげで登山口から冷水山に至るまで多くの標示が建てられている。標示は行き先とキロ程のあるもの ・ヤマセミ温泉では「果無山脈トレッキングコース図」を配布している。主要地点の写真も付いたガイドマップとなっている ○和田森〜安堵山 ・北面に林道が並行する。何度も昇降を繰り返すが、安堵山手前には北面の眺めのよい展望点もある ○安堵山〜黒尾山〜冷水山 ・安堵山から東へと下降してくると林道登山口。南面を走る林道が尾根の登山道と接している。また北面の林道もここで南面の林道と接続している ・林道どうしの交差点でもある林道登山口を過ぎると再び尾根道。黒尾山を過ぎるとようやく冷水山が見えてくる。最後の鞍部で林道へのエスケープ路を分け、山頂へ。山頂からもエスケープ路が分岐する。山頂からの道は使っていないのでよく分からないが、鞍部からの道はあまり明瞭ではなく、古いテープを探しつつジグザグの踏み跡と思しきところをたどっていく。最後の場面で林道への下降口が不明 (いずれの記述も2023.4現在) |
その他周辺情報 | ●買う、食べる ・コンビニエンスストアは、田辺インターからの場合は田辺市秋津、みなべインターからの場合はインター前、御坊からの場合は御坊インター逆向き側、国道311号からの場合は田辺市大塔がそれぞれ最後となる ・国道424号を有田川町方面へと進むと「道の駅龍游」がある。そこには飲食店も併設されている ●日帰り温泉 ・龍神にはそもそも龍神温泉がある。日帰り入浴については不詳。丹生ノ川には丹生ヤマセミ温泉館があり、こちらも歴とした温泉。大人800円。11時から20時まで。定休日は火曜 (2023.4現在) |
写真
感想
名前に惹かれる果無(=はてなし)山脈へ向かった。
果無山脈は、西は田辺市龍神村丹生ノ川から東は小辺路の果無峠の先まで続く標高1,100mクラスの山脈。一部は奈良和歌山の県境をなしている。また安堵山から冷水山にかけては十津川村に入り込んでいるもののアプローチは南の和歌山県側から県境を越えた上でとなっている。奈良県の山頂ながら和歌山県の山にこの2山が掲げてあるのも分からないでもない。
丹生ノ川から果無集落までを歩き通したいところだが、どちらも交通の便があまりにも悪い。クルマの回送に人手を借りない限りは一泊行程が必要になる。できないことではないのだが、それもナンだなぁと思案し、丹生ノ川から主峰冷水山までを往復することとした。
そもそもクルマでアプローチするにしてもとんでもなく遠い丹生ノ川には9時半近くにようやく着いた。急ぎ支度をして出発。温泉のおじさんから先に一人向かった旨を告げられた。
暫くは舗装路歩きを続け、登山口。満開を過ぎた桜が快晴の青空に映えている。
登山口には大きな案内標示が設けられている。ふと見ると、まだ新しい行き先標示には「奥辺路」の文字がある。龍神村の有志が中心となって熊野古道奥辺路の発掘が進められている。まだルート再興の段階にあるようだが、高野山から護摩壇山を経て果無山脈を通っていく険しいルートが蘇ろうとしている。今日はその標示の助けも借りて登る。
登山口からは急登が始まる。ジグザグを切って高度を上げていく。登りきってようやく尾根筋らしくなるがそこが兵生越(ひょうせいごえ)の分岐点。兵生越は果無経由とは別の奥辺路ルートだ。分岐からは尾根筋を下降していく道筋が見える。
こちらはさらに尾根を上る。暫く進むと右手が開けて林道が接していることが判る。林道は、ちょうどこの尾根を折り返しにしているようで、下からの道と上からの道がそれぞれ別れていく。帰りにはこの林道を活用して速達化する予定だ。上部でこの道の入口が明瞭だといいのだが。
その分岐を過ぎても尾根は直線的に上り続ける。ようやく緩むところが991m標高点。そこからは比較的穏やかな道取りが始まり和田ノ森へと至る。
和田ノ森山頂から少々尾根を進むと林道が横切って行く。どうやら先ほど見た林道のうち上部へのものはここに繋がっているようだ。そして、左側を見ると別の林道が並行していることが判る。こちらは道幅もある堂々とした道だが、轍も苔むしてしまっており、あまり使われていないようだ。
その林道と尽きず離れず、こちらは小さな上り下りを繰り返して進んでいく。
今日は快晴。頂稜らしく光が十分に差し込む。やがて樹木の薄いピークで北側が開ける。目前の牛廻山だけではなく、鉾尖山、左手には護摩壇山、更に左には城ヶ森山も見える。そして、行く手の安堵山もようやく姿を現した。
そこから一旦下降して林道と併走するようになると再び北面が開け、先ほどよりもよりはっきりと山岳展望を楽しむことができるようになる。よく見ると、右手には大峰の山々も見えている。少し霞がかっているが、八経ヶ岳から釈迦ヶ岳にかけての稜線とそれに続く山々もうっすらと見えている。
展望を満喫して最後の一登りで安堵山へ。ここも見晴らしは利かない。下り気味に東へと進む。並行している北の林道だけではなく、南側に並行する林道もせり上がってきてすべてが交わる。林道登山口とはここのようだ。
林道側を少し進むと冷水山方面への登山口には段付けもなされている。東へと一段上ると今度は南面の大展望が現れた。大塔山系が一枚の屏風のように並んでいる。半作嶺、三ツ森山、百間山と、それぞれに登頂した山々が並び、法師山から大塔山にかけての縦走路もここからははっきりと目で追うことができる。さらには、その左手には熊野古道中辺路終盤の山々が並ぶ中に、烏帽子山も見えている。この山脈は、紀伊半島の山々の大展望台になっている。
ややあって黒尾山。黒尾山を過ぎて下降し始めると、ようやく冷水山が姿を現す。
気持ちのよい日差しを受けながら、樹間に冷水の姿を見つつ進む。最後の鞍部と思しきところに新手の手製標示が現れる。ここが林道への2番目の下降路のようだ。そして最後の上りへ。緩い尾根を上りきると、開けた冷水山の山頂へと出た。
展望のよいこの山頂からは、南も北も存分に山並みを鑑賞できる。見える山自体は先ほどから変わるものではないが、両面どちらを見ても紀伊半島を代表する山々がどっしりと居並んでいる。
果無という名は、そもそも果てしなく美しい尾根が続くことから来ているという有力説がある。新緑の中の美しい尾根伝いも素晴らしいが、両面の山岳展望もまったく引けを取らない。
山頂からは、林道経由での帰着を目指した。山頂からの最初の下降路は判りにくいとの声を聞いたこともあって、先ほどの分岐まで戻り2番目のを選んだ。しかし、こちらもあまり明瞭とは言えず、最後の林道際では擁壁の上に出てしまい下降に悩むこととなったが、ちょうど擁壁の切れ目に果無橋があり、その橋の袂に無事降り立つことができた。
林道歩きは特段のことはない。アンド山手前の林道登山口にはクルマがおり、一群の登山者の姿も見える。とても一台で乗り切れる人数でもなく、途中ですれ違うこともなかったので、これから冷へと向かうところであろうか。林道のおかげで山頂部だけのハイキングが可能となっているのだが、この山脈はそれに止めてしまうのは惜しいように思う。
北面の私設林道や地理院地図にもない不明林道を経由して和田ノ森への登り途中に向かう。この林道は開削されたまではよかったが、使われた形跡がない。すでに落石だらけである上に轍の跡が見当たらない。地理院地図にないのもそれ故であろうか。
やがて見込んだとおりに和田ノ森への上り尾根の途中に顔を出した。かなりショートカットしたようだ。それもあってここで一息つき、あとはヤマセミ温泉まで一気に下山した。
温泉に着くと、先行者のクルマはすでになく、広いグラウンドに自分の車がたった一台。せっっかう駐めてもらったので、温泉にも入ることにする。
朝、声をかけてくれたおじさんはやはりこの湯の主のようで、愛想よく迎え入れてくれる。朝見たクルマの方は、今日はこちらに泊まっていくとのこと、クルマがどこに行ったのかはよく分からないが、どうやらそういうことのようだ。確かに、寄り付きがひじょうに悪いこの地まで来たら、山だけではなく、あらゆる良いところを経験して帰りたいものだ。
ほかにお客もない小さな温泉にゆっくりと浸かりながら奥山の自然を改めて思った。また行きたいと思う山々だったが、行くのが大変なことは間違いない。さて、何かいい手はないものか。
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