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ヤマレコ質問箱 カテゴリ:カラダ管理

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緊急度 3カラダ管理
脳梗塞経験者の登山は?
質問2014年01月12日 14:16 (2014年05月12日 17:49更新)
昨年夏に軽い脳梗塞(延髄)を患いました。3〜4年前からの動脈硬化傾向が直接の要因のようで、1週間程度の検査入院で平衡感覚低下と左半身の温痛感覚失調のまま生活しています。
その後、悪玉コレステロール減や、体力づくりとストレス発散をかね、高校時代に山岳部だったこともあり何十年ぶりに登山を始めました。
ところが、ある山岳フォーラムで診療所に駆け込む病気のトップ3は高山病、脳梗塞、心筋梗塞とのこと。かかりつけ医からは、登山禁止ということは全然ないとのことでしたが、実際に脳梗塞経験者の登山は危険なのでしょうか?どんなことに気をつけなくてはいけないのでしょうか?
無積雪期はアルプス縦走や百名山など、冬は近くの1500m程度の里山など、いずれも月2回程度歩きたいと思っています。
アドバイスお願いします。
回答2014年01月18日 19:57 (2014年01月24日 07:55更新)
rindow33さん。
検査データ拝見いたしました。PICA branchの閉塞によるものですね。このレポートからすると、その主幹動脈である椎骨動脈は解離や高度狭窄などの問題はないようです。全身状態としては高LDL/低HDL血症、高中性脂肪の状態です。おそらく、高脂血症がリスクファクターである、穿通枝の閉塞(ラクナ梗塞)による延髄外側梗塞です。高血圧や糖尿病はどうなのでしょうか(服薬内容からみると無いようですが)。

一般に症状を伴う穿通枝閉塞の梗塞(症候性ラクナ梗塞)の再発予防には、1、血圧管理、2、抗血小板剤内服、3、合併リスクファクターの管理、4、禁煙、5、過度の飲酒の禁止、6、脱水をさける、7、もし肥満があればそれを改善 が必要であるといわれています。rindow33さんの場合は、合併リスクファクターは高脂血症(コレステロール、中性脂肪)の治療になります。

さて、登山中の注意ですが、これに関しては、明らかに分かっていること(明確な根拠のあること)は少ないようです。ただ、前述のように、脱水は良くないと思われますし、登山中の飲酒も止めた方が良いと思います。また、頑張りすぎて血圧を上げるのもあまり良くないと思います。寒冷に関しては、心筋梗塞ではリスクファクターのようですが、脳梗塞ではあまり言われていないようです。ただし、冬期には経験的には脳卒中の患者が増える傾向にありますので、急激な温度変化は良くないかもしれません。

抗血小板剤を内服されていますが、プラビックス75mgの内服で怪我での止血が困難となる事はありません(抜歯などの歯科治療においても服薬中止の必要性は無いと、脳卒中ガイドラインでは明記されています)。

高所での影響ですが、3000m前後で高山病になる人がいるようです。高所では脱水傾向になるので、水分補給が必要です。どのくらいの高度でどのくらいの脱水になるかは私にはわかりません。私の高所登山(7000m峰登頂)の経験では4000mを越えたあたりから、なるべく水分を補給して尿量を確保するようにしていました。日本の山では、富士山の頂上あたりでは、水分補給を意識する必要があるような気がします。

登山は有酸素運動としては消費カロリーが多く、激しい運動に入ると思われます。しかし、ゆっくり登れば、体重の減少や高脂血症、高血圧、糖尿病の改善につながり、脳梗塞の予防にも有効だろうとおもわれます。ですから、決して無理をせずに、十分水分を補給してのんびり登られるのが良いように思います。同じ50代として、是非とも脳梗塞に打ち勝って、登山を楽しんでいただきたいと思います。
もし、何かありましたら、メッセージメールをいただければ幸いです。
良い山行を続けられるよう、お祈りいたします。
お礼 
pamir88さま
アドバイスありがとうございます。
また返信が遅れまして失礼しました。
だいぶ安心しました。ただし高所や極寒山行はやはりリスクがありそうですね。
リスクを自覚しつつも、あまり消極的にならずに続けたいと2,000m程度は登り続けたいと思います。
先週末30年ぶり積雪山行をしてきました。ワカンでなくいまどきのスノーシューで。
やはり山は四季すべて楽しみたいですから。7,000m峰なんてすごいですね。うらやましい限りです!
今後ともよろしくお願いします。(HPときどき拝見させていただいています)
回答2014年01月13日 00:30 (2014年01月15日 22:28更新)
はじめまして。神経系の専門医(脳神経外科専門医と脳卒中専門医)としてご回答いたします。

簡単な病歴ですが、おそらく右延髄外側症候群(Wallenberg症候群)でしょう。多くは、椎骨動脈のトラブル(動脈硬化または動脈解離)によるものです。動脈硬化が原因のようですので、抗血小板剤を内服されているのでしょう。私の経験ではWallenberg症候群は、解離性知覚障害(半身の温度感覚と痛み感覚の低下)はなかなか回復しませんが、ふらつきや構音障害(呂律が回らない)、嚥下障害(飲み込み難い)の回復は良好です。多くの患者さんはほぼ発症以前の生活レベルに戻り、とくに動脈解離が原因の患者さんでは、血管撮影所見によっては投薬なしで生活している方もいらっしゃいます。

教科書をコピー/ ペーストしたような回答では無意味です。rindow33さんに適切なアドバスをするには、脳血管撮影(またはMRA) 所見(特に両側椎骨動脈と脳底動脈の状態)やMRI所見、高血圧や高脂血症の有無などの情報があれば助かります。それらの大まかな情報をメッセージにて頂ければメッセージにてアドバイスいたしますよ。

私はrindow33さんと同世代で、高校大学で山岳部に所属していました。最近、体力の低下を自覚していますが、それでも登山は続けたいと思っております。どうかよろしくお願いします。
お礼 
pamir88さま
先日はありがとうございました。
MRA所見を確認したところ、以下の通りでした。
●病名:#1 脳梗塞(右側延髄外側) #2 高脂血症
●所見:頭部MRI DWIで右延髄外側に点状の高信号域を認め、Walleberg症候群を呈したと考えられる。MRAでは右後下小脳動脈は描出されており、Rt.PICAの分枝が閉塞したと考えられたキサクロットの点滴を開始。3D-CTAでは動脈解離を疑う所見なし。
●検査結果数値(基準値外のみ):平均血小板容積7.1、単級数6.3、LDL155、HDL37、トリグリセライド225、eGFR74.5
●内服薬:プラビレックス75、リピトール10、ランソプラゾール15 ※それぞれ朝1錠
以上です。
素人による一部抜粋のため、過不足や見当はずれはお許しください。
以上、登山における禁止行動、危険・要注意要素などの有無を教えて下さい。
某製薬会社社員(高校時代の山岳部同僚)からはとりあえず寒冷地山行はNGじゃないのと言われましたが、この類の脳梗塞で倒れる危険性は高いのでしょうか?
よろしくお願いします。
======

ご心配いただきありがとうございます。
まさに病状はご指摘の通りで、平衡感覚はほとんど気にならず、立ち上がったときにふらつく程度です。
一番気になるのは左足のももが常にジンジンしており、温痛感覚がないのにいつも微弱の電気が走っています。気になるだけで運動に支障はありません。MRI所見や画像や薬など後日サイトにアップしてみます。最初はCTでも見つからず、MRIで発見されたというくらい小さな白い影です。ちなみに先生も「この部位の脳梗塞で一番やっかいな”嚥下障害”が出なかったのは不幸中の幸い」とおっしゃっていました。
それにしても「脳梗塞きっかけで登山復活」⇒「登山で脳梗塞再発」では笑い話にしかなりません。
せっかくアルプスが近いので、いまのうちに少しでもたくさんの山、名山に登ってみたいという希望です。こちらこそどうぞ宜しくお願いします。
(追伸)30年ぶりの登山用品選びでそのファッション性に驚きました。
回答2014年01月12日 21:13 (2014年01月15日 21:34更新)
数年前、上越のとある山にて登山中に仲間(60代前半)が脳梗塞を発症しました。(3月頃)
前夜登山口の駐車場にて仮泊(テント)飲酒後数時間の仮眠をし、翌朝言動に少しおかしなところが有りましたが「寝ぼけ」ているのかな?程度で出発、2回目の休憩時に当人から「朝からの記憶が全く無い!」との申し出に”もしや!”と感じ、手持ちの水をありったけ飲ませ直ちに下山しました。
駐車場から一番近い公衆電話にて119番通報(公衆電話には位置を示す記号が有り)救急車にてN市の脳外科病院に収容、断層撮影の結果、軽い脳梗塞だったが既に血流が回復し危機的な状況は脱したとのこと数日間の入院にて帰京しました。

前夜の睡眠不足と水分の摂取不足により血液濃度が高まっていたこと、普段から飲酒、高脂質な食生活等が遠因とも思われます。
当人はその後、山行前後の飲酒は控え、食生活にも注意を払うようになりました。
現在はアルパイン系から足を洗い、もっぱら縦走と軽い沢登りを中心に負荷に留意しながら登山を続けております。

山行前の十分な睡眠と水分補給を忘れずに、常にハンディを背負っていると意識し行動すれば長く山を続けていけると思います。
どうかより良き登山人生を!
お礼 
アドバイス、ありがとうございます。
睡眠不足と水分摂取不足・・・、まさに私の発症時と同じです。広告制作という仕事柄、連日の熱帯夜に、深夜までエアコンもかけずに仕事していた時期でした。しかも高脂質な食生活とまさに悪循環で、お医者さんからも仕事的にもストレス発散を意識するようにと言われて復活した登山です。せっかく仕事以外の趣味ができたので長く続けていければと思っています。(実は発症後、タバコと缶コーヒーと菓子パンとコンビニ弁当やめました。これだけでも相当リスク背負っていたと思います。)
やはり毎日コンスタントに水分摂取ですか。お医者さんから言われた1日1.5リットルは簡単そうで意外とハードルの高い量ですが頑張りたいと思います。
回答2014年01月12日 17:42 (2014年01月14日 00:47更新)
脳血管障害(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血)後遺症の方の登山上の注意点としまして、通常、発症前と比較すると体力・筋力が低下して運動をすると疲れやすくなります。さらに中には視野障害・四肢の機能障害やバランス力の低下がみられ、登山中に転倒する可能性も有ります。また、もし出血されてもアスピリン等の抗血小板薬やワルファリンカリウムを服用なされている場合は、軽度の外傷でも止血しにくい事もあります。
貴方様が通院で薬物療養中の場合は、どの薬をどの様に服用しているか、をメモして身に着ける事も必要です。
中には、登山中にろれつが上手くまわりにくなり、声を出せない場合も想定されます。したがって登山される場合はこれらの配慮も欠かせません。
また、高所では尿量が多くなる事もあります。それと同時に移動中は発汗で水分が失われていきます。
脱水症状になれば、血液が濃縮され粘調度が増して血管が詰まり易くなるので再発の可能性も有るのでは。したがって、移動中は水分を適切に摂るようにして、脱水にならない事であります。
要するに危険を伴う事を自ら十分に認識する事です。登山に付いての目安として、通常の日常動作を自分で出来る事、筋力低下、間隔障害、言語障害があっても行動に制限がないことがあげられるのでは。
但し、脳血管障害発症にめまいを伴う小脳失調症状が残っている場合や高度の頚動脈狭窄(けいどうみゃく きょうさく)が見られる場合には登山をしない事です。
脳血管障害によるけいれんが見られる場合は、定期的に薬を服用して、抗てんかん薬の血中濃度が安定していることが必須です。
それと、症状を理解している人が同行するのがよいのでは。もし、高所で倒れたら、同行者は高所脳浮腫としての治療を行う様に。
さて、
>ある山岳フォーラムで診療所に駆け込む病気のトップ3は高山病、脳梗塞、心筋梗塞とのこと・・
との事ですが、高山病は確かにトップですが、後は消化器系や筋肉痛や関節痛を始め打撲等が山岳(夏山)診療所で受診されるのが多いですね。

登山は、体力が伴います。まして百名山ともなると高所に含まれるのが多くなります。
主治医と十分に相談をなさって、決して無理をなさらないで下さい。
(参考まで)
お礼 
さまざまなアドバイス、ありがとうございます。
薬手帳のコピー持参、単独登山回避、相棒への協力依頼(高所脳浮腫としての治療)など早速実践していきたいと思います。(相棒からは登山保険加入も進められているところです)
幸い、温痛感覚障害と急に散った時のふらつき程度で落ち着いています。しばらくは無理せず様子をみることにします。