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懸垂下降器について
質問2025年09月23日 15:13 (2025年09月27日 13:15更新)
懸垂下降器はATCやルベルソのガイド付きが現在の主流なのか?エイトカンより性能が優るのか。どちらを使うべきかという質問です。

当方、1990年代から2000年代初めに社会人山岳会に入ってアルパインやフリ−を経験してきました。今また山を再開し簡単な沢やゲレンデで練習を始めているところです。

ユーチュ−ブ等で研究しても、登山店に行ってもエイトカンは過去の遺物となっている印象を受けました。私の経験だと懸垂やビレイ器具について、始めた頃はエイトカン、ぶたっ鼻を使用し、後半頃にガイド付きではないATCやルベルソが出てきて、主にビレイ用に使用していました。(下降できないわけはないけど、エイトカンの方が使い勝手が良い。)ガイド付きは2006年頃出現?

マルチピッチにおいて、ガイド付きのATC等はセカンドビレイの安全性において画期的と思いました。(昔はグリップビレイ的、無理な方向への屈曲をつくることで静止していたのだから野蛮だったなぁと)

しかし、下降においてはスムーズさ、落としにくさ、半固定がすぐ出来ることにエイトカンに分があると思っていました。バックアップのためブルージック(の類のノット)をいちいちセット
していませんでした。せいぜいヌンチャクをロープ間にかけて、末端処理からは落ちないようにした程度でした。エイトカンはビレイ操作においてもロックがなく使いやすいと思っています。

現在、ガイド付きのATC等の下降を調べるに、器具下にブルージックのバックアップは必須としているようですね。確かに半固定が物理上できないのなら必要と思います。しかし、付け外しに手間がかかるのは嫌だなと。

一方、懸垂途中で登り返しが必要な緊急事態において、ガイドロックがアッセンダ−として機能することは素晴らしいと思いました。

慣れた技術の方がミスが少ないと思いつつも、これだけエイトカンが使用されていないのは理由があり新しい技術に慣れるべきと心が傾いています。ご意見頂ければ嬉しく思います。
回答2025年09月26日 10:36 (2025年09月27日 13:15更新)
少し逸れるかもしれませんが、懸垂下降時のデバイスについて以前検証したことがあるので書きます。壁のない状態での50mほどの懸垂下降です。ATC、カラビナ(ムンターヒッチと2回巻き付け)、エイト環を比較しました。

エイト環の場合、下降に伴い下降者がどうしてもある程度回転します。回転するのはロープがエイト環を通過するときにねじれが生じ、これをロープが戻そうとするためです。(ねじれを生じさせないように下でロープを張っているとキンクが発生してロックしてしまいます。) ねじれが生じるのは、ロープがエイト環を垂直方向(ロープの流れと平行方向)に通過するときです。

回転は、カラビナに2回巻きつける(蔓巻きらせんの状態)ことで抵抗を取って下降する方法を取るとより顕著です。(ダイナミックロープでは十分な抵抗が取れないため、ナイロン製三つ打ちロープをダブルとして検証しました。) 実際の下降で確認したほか、カラビナのスパインでロープが蔓巻きらせん状になる形をとり、 カラビナの向きが固定されないようにしてカラビナを下方へ引いていき、カラビナの挙動を確認しました。すると30cmの移動でカラビナは1回転しました。カラビナの向きを固定するようにしてカラビナを下方へ引いていくとロープにねじれが溜まっていき、やがてキンクします。

エイト環の場合、構造上、ロープが完全な蔓巻きらせん状になることはありませんが、ロープの通過時にねじれを生じさせる部分があるため、カラビナほどではないけれど下降者が回転してしまいます。ムンターヒッチでの回転はエイト環でのそれと同程度でした。ムンターヒッチの場合、ロープが下方向へ抜けるところでカラビナのスパインを通過しここでねじれを生じます。なので、意図的にここを外して上方向へ抜いて操作すると回転は生じませんでした。

一方、ATCでは下降時の回転は起こりませんでした。これはロープの通過時にねじれを生じさせる要素がないためです。

いずれにしてもそれほど長い距離でなければ問題になりません。ねじれをロープが吸収してくれるのと、回転したとしても回数が少ないからです。50mをカラビナ(2回巻きつけ)で下降したときは目が回りました。

蛇足ですが、登り返しが想定されるときはグリグリで降下するといろいろと楽でした。ただグリグリはカラビナやエイト環、ATCに比べ重いし、構造がやや複雑でトラブったときに少し心配ではあります。

以上、参考になれば幸いです。
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k_horii様 ありがとうございます。
器具の構造によるキンクの生じ具合度の違いは考えたことがありませんでした。ほとんどエイトカンなので他の方法の経験は少ないのですが、印象としてムンタ−ヒッチは滅茶苦茶キンクする。atcも結構キンクする。(でもatcは直線的に流れるからそうではないのか。)だったのですが。

今一緒に練習しているパートナ−も私同様に30年振りなので、実際の現場使用の多勢が把握出来ていないのです。インターネット界ではATC類優位と思いました。登山店では聞いてなかったので売れ筋を聞いてみようと思います。
回答2025年09月24日 13:42 (2025年09月27日 13:15更新)
・沢登りではかさばらないエイト環だけで行くことが多いです。懸垂下降に使えることはもちろん、確保に関しても、シビアなビレイを必要としない場合が多いですし、セカンドビレイでも水流沿いの場合はロックしてはむしろ困りますので。ただ、厳しい登攀を伴う場合や下山時に懸垂下降を繰り返すことがわかっている場合は、ATC類を持っていくこともあります。

・アルパインでは逆にDMM Pivotオンリーです。沢登りとは逆の理由です。

・ATC類での懸垂下降時は、ロープが地面に着いていることが上から目視できていなければ、最初に降りる者に限り必ずバックアップをつけます。慣れればさほど手間はかかりませんし、重いものでもありませんし。

私の場合はこんな感じですが、たぶんみなさん一家言ありそうな、面白いテーマですね。
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juqcho様 ありがとうございます。同様な使い勝手をイメ−ジします。
いったん引退しようと思ったエイトカンはやはり良いものではないかと思いました。
ATC類での場合はお書きの通り、最初の者がバックアップ付き、セカンドは先行者による下からロープ引っ張りビレイが落としどころかなぁと思っているところです。
回答2025年09月23日 23:17 (2025年09月27日 13:15更新)
私は懸垂下降はエイト環 ビレイはATCと使い分けています。確かに両方持つと重くなりますが、それぞれの使い慣れと機能性を優先するとこうなりました。

懸垂下降時のセットのしやすさ、セットのスピード、落とす心配、ロープの太さに左右されずに調整可能な下降速度などはエイト環が良いです。いざという時に途中で停止する場合もロープをくるっと回すだけでできるので精神的に楽です。バックアップはほぼ行ったことは有りません。下降ラインが途中で曲がるとか、ライン上に障害物が有るなどの場合のみバックアップしています。

ATCは大方はペツルのルベルソを使っているようですが、私はグリベルのマスタープロを使っています。ただしロープの太さでロープの流れがかなり変わるのであまり推奨できません。
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ジュリア様 ありがとうございます。お書きになった内容は同じ感覚です。私も2つ持ちで行くつもりですが、その場合でもエイトカンはメインとしないで予備とするべきかと思った次第です。ほとんどのユーチュ−ブ教材はATC等での下降解説なので。