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大森山尾根から六方山、釜房ダム管理施設の尾根周回
日程 | 日帰り 7.2 時間 往復/周回ルート |
---|---|
エリア | 蔵王・面白山・船形山 |
ジャンル | 無雪期ピークハント/縦走 |
技術レベル | 5/5 ※技術レベルの目安 |
体力レベル | 3/5 ※体力レベルの目安 |
見どころ | 温泉あり 眺望あり 紅葉あり |
距離/時間
[注意] |
水平移動距離: 8.87km
最高点の標高: 1016m 最低点の標高: 443m 累積標高(登り): 935m 累積標高(下り): 943m |
アクセス |
車・バイク |
コースタイム | 小屋の沢市政林道奥 ---(100分)--- 小屋の沢ピラミッド ---(180分)--- 六方山 ---(80分)--- 釜房ダム管理施設 ---(75分)--- 小屋の沢市政林道奥 |
ルート説明:
六方山は蔵王から東に伸びる尾根上にあるどっしりと大きな山であるが道はなく、訪れる人もごく稀な三等三角点峰である。我々は一昨年の2月に、宮城里山文庫に出ている南面の林道の奥から南尾根の途中に登りつくルートを試みたものの、胸まで潜る雪に行く手を阻まれ敢え無く敗退、3月に入って、同じ林道の入り口から即尾根を辿るSONEさんルートを選び、堅雪を踏んで快適な登頂を果たした。更に4月には、北側の小屋の沢からまっすぐに北尾根を登って再度の登頂を達成したのだった。この時、東側に端正なピラミッド型の山が目に入った。その美しさにしばし見とれた。当初は野上五山の最高峰、クラスミ山と思ったが、クラスミ山はさらに東に位置する筈で、これはいったい何という山だろうと地形図を見る。このあたり、名前が入っている山は大森山しかない。が、その南に、完璧な三角形を描いて等高線が引かれている山があった。これに間違いない! 796メートルの独立標高点である。未だに名前が分からないこの山を、ここでは仮に“小屋の沢ピラミッド”と呼ぶことにする。六方山北尾根から東を眺めれば、直ぐに「ああ、これね!」とわかるであろう。さて今回は、この謎の山に登るのが目的である。そしてあわよくば六方山まで行けたら、ということで、絶対に行く人のないこの山めざし、Kinuasaと二人、ゴールデンウイークの見事な晴天の日を選んで挑戦した。
雁戸山のブドウ沢コース入口があることでこのあたりの岳人にはよく知られた小屋の沢林道に車を乗り入れる。新東北渓流釣り場の目前で、左に分岐する林道がある。入口左には「市政林道」、右には「キリンビール水源の森」の大きな看板があるので見落とすことはない。すぐに小屋の沢に架かる橋をわたる。ここは、六方山北尾根の取り付き点でもある。さらに林道を進み、道が水流を渡って、間もなく現れる橋の手前で車を置く。地形図で見ると、ここは小屋の沢ピラミッドから西北西に伸び出る尾根の末端の筈である。登った記録は皆無の山であるし、勿論道があるはずもなく、あくまで地形図から判断してここを選んだのであった。8時35分、行動開始。さっそく、取りつき点を物色する。尾根の張り出しはすぐに見て取れる。しかも、谷と接する辺りは緩傾斜となっている。すると、何やら踏み跡のようなものが! しかもテープまでついている! なんと、ここからしっかりとした道が開削されていたのだ。小屋の沢ピラミッドは、ほとんど全山がツツジで覆われており、その密な枝ぶりは、とても藪漕ぎで登れるような代物ではなかった。この道がなかったなら、今日の山行はのっけから躓いて終わっていたであろう。この立派な道に感謝しつつ、新緑と青空の素晴らしいコントラストの中、一気に高度を上げていく。左手には、谷を隔てて小屋の沢三角点のでっぱりが尾根にアクセントをつけている。やがてその向こうに、大東岳が雪をまとってにゅっと頭を出す。それまで、ぐいぐいと稜線をまっしぐらに登っていた道が、突如、左に曲がり、そのまま延々と巻き始めた。ほとんどアップダウンのない道をひたすら巻に徹する。雪が完全に融けているので問題なく歩けるが、積雪期にはこのトラバースは怖いかもしれない。前方に大森山から伸びる稜線が迫ってくると、のびやかな平坦地となり、9時32分、鞍部に到着である。早い昼食をとり、先ほどまでの密な灌木藪とはうってかわって木もまばらな丸い稜線を山頂目指して登ってゆく。芽吹いたばかりの黄緑にまばゆく輝く木々の間から、相変わらずどっしりと座した大東岳、風ノ堂(かぜんど)を前衛に擁した神室岳、峻険極まる雁戸山が、高さを競っている。10時15分、念願の小屋の沢ピラミッド山頂に立つ。小ぶりの石柱がある。山頂からは、これらの三山に加えて、左には屏風岳から熊野岳まで蔵王の主峰が、右には遠くに船形が望まれる。せっかくなので木登りして、目前に広がる白銀の山々の眺望を満喫する。小屋の沢ピラミッドまでは、あっけないほど容易に来る事が出来た。しかし、果たしてここから六方山まで、行きつけるであろうか。主稜は、最高点から石柱の方向に少し戻り、ここからやや右寄りに(来た道は左)進む。まだ切り分けがあり、林業作業用の札が木に貼られていたりする。尾根は次第に広がって鞍部に近づいた気配であるが、このあたりにくるともはや人の入った気配は消え去る。切り開きも札も何もない。そんな時、足元にちょうど食べごろのヤブレガサが、ひょこひょこといくつも頭をもたげているのに気付いた。これはゴマ入りの衣をつけて天婦羅が最高! なんていいながら、山菜取りを楽しんだのもつかの間、正面に見える小ピークをめざし、藪の薄い所を拾って再び登る。本当に人の入った形跡がない。藪は次第に濃くなり、うーん、篠竹が深いぞ、とちょっとたじろいだとき、右手に白く輝く雪渓が目に入った。これはしめた! とばかり雪渓に突撃する。アイゼンを装着して、嬉々として雪渓を登る。サクサクと快適な雪渓はすぐに終わるが、左を見上げれば既に小ピークの直下であり、まばらな下草を踏んで楽々801メートル独標の狭い山頂に立つ。ここから、再び濃くなったり薄くなったりを繰り返す藪の中を、明確な尾根型に沿って登ってゆく。それまで人の気配は皆無だったのが、突如、国土調査の黄色い杭が出現。なぜだ? と思ったがここからは間隔を置いて杭が打たれていた。おそらく、東に派生する尾根に沿って杭が打たれているのであろう。一昨年に登った南東尾根と合わさる地点が近づいている感触に励まされ、ブナが主体となった明るい尾根を進む。12時20分、890メートルピークに立つ。この下は、一昨年辿った南東尾根の分岐点となっている場所だ。小休止!と座って膝を見たら、今年初のマダニが乗っかっているのであった。890メートルピークを降ると、左には隣の尾根が迫って二重山稜の様相を呈するようになる。この特徴的な地形の場所が、南東尾根ルートとの合流点である。左には、後烏帽子が間近に迫り、五色岳の東壁も至近の距離である。右には、大東岳や船形山が美しい。最初はそんな眺めを楽しんでいたのだが、次第に篠竹が深くなってゆく。丈の低い所を選んで進んでいるうちに、尾根の南側に入り込んでいった。それが失敗であった。身の丈をはるかに超える篠竹の密藪に入り込んでしまったのだ。そこで考える。尾根の北面には、まだ雪が残っているかもしれないぞ。少しずつ右に右にと藪漕ぎの方角をずらして登る。すると次第に篠竹の猛威は減退してゆき、尾根の北面に回り込むことに成功した。前回ここを通った時には、完全に雪に埋もれていたため、この猛烈な篠竹藪にいたぶられることもなかったわけである。案の定、尾根の北面にはとびとびに雪面が残り、これを拾いつつ、六方山山頂を目指した。まもなく、見覚えのある山頂の「藪」が見えてきた。13時25分、三度目の六方山登頂を果たした。1024.5メートルの三等三角点の北側直下には、全方位に枝を広げた立派なブナの木があるので、これを目印にすればいい。それにしても、ここからの雁戸山の眺めは迫力満点だ。しばし休憩をとり、下山を開始する。まっすぐ北尾根を辿ることになるが、尾根型が最初は全く分からない。三角点と一本ブナを結ぶ線の延長方向にまっすぐ進む。すると、まもなく、尾根が形を成すようになる。しかも、この尾根には獣道が付いている。尾根の東側には雪庇がついていて、藪逃れをしたい誘惑に駆られるが、いつ落ちるか分からない名残の雪庇には踏み込まず、あくまで藪尾根を進む。陽だまりにはイワウチワの群落が、短い春のひと時を一瞬も無駄にすまいと、思いっきり花びらを広げて咲き競っている。目前の雁戸山は、午後の光をまっすぐに受けて、残雪が金属的なきらめきを放ち、雪の落ちた岸壁の漆黒との相克が、神々しいまでのコントラストをなして目に飛び込んできた。スケールの大きな眺望に励まされ降るうちに、獣道も登山道らしくなってくる。こうなれば釜房ダム管理施設は近い。15時、管理施設到着。ここからは、実によく整備された道が、林道まで続く。右手には、谷を隔ててきれいな三角形の小屋の沢ピラミッドが、少しずつその容姿を変えながら、見る者を魅惑する。今日はあの山頂に立ったのだ。その充実感をかみしめつつ一気に下る。林道到着は16時丁度、更に20分の歩程で駐車地点に戻った。六方山を無雪期に登るには、途中まで立派な道のあるこの北尾根が、上部の藪も薄くルート判断も容易なので最良の選択であろう。小屋の沢ピラミッド経由で周回する場合は、大森山尾根までは雪が融けていて且つその先はまだ堅雪に覆われている4月中旬が、最適と思われる。積雪期には眺めの良い南東尾根が一番だ。名号峰から伸びる尾根上、猫鼻の東から尾根を辿って夏場に六方山に至った記録もあるが、我々には未知の領域である。
雁戸山のブドウ沢コース入口があることでこのあたりの岳人にはよく知られた小屋の沢林道に車を乗り入れる。新東北渓流釣り場の目前で、左に分岐する林道がある。入口左には「市政林道」、右には「キリンビール水源の森」の大きな看板があるので見落とすことはない。すぐに小屋の沢に架かる橋をわたる。ここは、六方山北尾根の取り付き点でもある。さらに林道を進み、道が水流を渡って、間もなく現れる橋の手前で車を置く。地形図で見ると、ここは小屋の沢ピラミッドから西北西に伸び出る尾根の末端の筈である。登った記録は皆無の山であるし、勿論道があるはずもなく、あくまで地形図から判断してここを選んだのであった。8時35分、行動開始。さっそく、取りつき点を物色する。尾根の張り出しはすぐに見て取れる。しかも、谷と接する辺りは緩傾斜となっている。すると、何やら踏み跡のようなものが! しかもテープまでついている! なんと、ここからしっかりとした道が開削されていたのだ。小屋の沢ピラミッドは、ほとんど全山がツツジで覆われており、その密な枝ぶりは、とても藪漕ぎで登れるような代物ではなかった。この道がなかったなら、今日の山行はのっけから躓いて終わっていたであろう。この立派な道に感謝しつつ、新緑と青空の素晴らしいコントラストの中、一気に高度を上げていく。左手には、谷を隔てて小屋の沢三角点のでっぱりが尾根にアクセントをつけている。やがてその向こうに、大東岳が雪をまとってにゅっと頭を出す。それまで、ぐいぐいと稜線をまっしぐらに登っていた道が、突如、左に曲がり、そのまま延々と巻き始めた。ほとんどアップダウンのない道をひたすら巻に徹する。雪が完全に融けているので問題なく歩けるが、積雪期にはこのトラバースは怖いかもしれない。前方に大森山から伸びる稜線が迫ってくると、のびやかな平坦地となり、9時32分、鞍部に到着である。早い昼食をとり、先ほどまでの密な灌木藪とはうってかわって木もまばらな丸い稜線を山頂目指して登ってゆく。芽吹いたばかりの黄緑にまばゆく輝く木々の間から、相変わらずどっしりと座した大東岳、風ノ堂(かぜんど)を前衛に擁した神室岳、峻険極まる雁戸山が、高さを競っている。10時15分、念願の小屋の沢ピラミッド山頂に立つ。小ぶりの石柱がある。山頂からは、これらの三山に加えて、左には屏風岳から熊野岳まで蔵王の主峰が、右には遠くに船形が望まれる。せっかくなので木登りして、目前に広がる白銀の山々の眺望を満喫する。小屋の沢ピラミッドまでは、あっけないほど容易に来る事が出来た。しかし、果たしてここから六方山まで、行きつけるであろうか。主稜は、最高点から石柱の方向に少し戻り、ここからやや右寄りに(来た道は左)進む。まだ切り分けがあり、林業作業用の札が木に貼られていたりする。尾根は次第に広がって鞍部に近づいた気配であるが、このあたりにくるともはや人の入った気配は消え去る。切り開きも札も何もない。そんな時、足元にちょうど食べごろのヤブレガサが、ひょこひょこといくつも頭をもたげているのに気付いた。これはゴマ入りの衣をつけて天婦羅が最高! なんていいながら、山菜取りを楽しんだのもつかの間、正面に見える小ピークをめざし、藪の薄い所を拾って再び登る。本当に人の入った形跡がない。藪は次第に濃くなり、うーん、篠竹が深いぞ、とちょっとたじろいだとき、右手に白く輝く雪渓が目に入った。これはしめた! とばかり雪渓に突撃する。アイゼンを装着して、嬉々として雪渓を登る。サクサクと快適な雪渓はすぐに終わるが、左を見上げれば既に小ピークの直下であり、まばらな下草を踏んで楽々801メートル独標の狭い山頂に立つ。ここから、再び濃くなったり薄くなったりを繰り返す藪の中を、明確な尾根型に沿って登ってゆく。それまで人の気配は皆無だったのが、突如、国土調査の黄色い杭が出現。なぜだ? と思ったがここからは間隔を置いて杭が打たれていた。おそらく、東に派生する尾根に沿って杭が打たれているのであろう。一昨年に登った南東尾根と合わさる地点が近づいている感触に励まされ、ブナが主体となった明るい尾根を進む。12時20分、890メートルピークに立つ。この下は、一昨年辿った南東尾根の分岐点となっている場所だ。小休止!と座って膝を見たら、今年初のマダニが乗っかっているのであった。890メートルピークを降ると、左には隣の尾根が迫って二重山稜の様相を呈するようになる。この特徴的な地形の場所が、南東尾根ルートとの合流点である。左には、後烏帽子が間近に迫り、五色岳の東壁も至近の距離である。右には、大東岳や船形山が美しい。最初はそんな眺めを楽しんでいたのだが、次第に篠竹が深くなってゆく。丈の低い所を選んで進んでいるうちに、尾根の南側に入り込んでいった。それが失敗であった。身の丈をはるかに超える篠竹の密藪に入り込んでしまったのだ。そこで考える。尾根の北面には、まだ雪が残っているかもしれないぞ。少しずつ右に右にと藪漕ぎの方角をずらして登る。すると次第に篠竹の猛威は減退してゆき、尾根の北面に回り込むことに成功した。前回ここを通った時には、完全に雪に埋もれていたため、この猛烈な篠竹藪にいたぶられることもなかったわけである。案の定、尾根の北面にはとびとびに雪面が残り、これを拾いつつ、六方山山頂を目指した。まもなく、見覚えのある山頂の「藪」が見えてきた。13時25分、三度目の六方山登頂を果たした。1024.5メートルの三等三角点の北側直下には、全方位に枝を広げた立派なブナの木があるので、これを目印にすればいい。それにしても、ここからの雁戸山の眺めは迫力満点だ。しばし休憩をとり、下山を開始する。まっすぐ北尾根を辿ることになるが、尾根型が最初は全く分からない。三角点と一本ブナを結ぶ線の延長方向にまっすぐ進む。すると、まもなく、尾根が形を成すようになる。しかも、この尾根には獣道が付いている。尾根の東側には雪庇がついていて、藪逃れをしたい誘惑に駆られるが、いつ落ちるか分からない名残の雪庇には踏み込まず、あくまで藪尾根を進む。陽だまりにはイワウチワの群落が、短い春のひと時を一瞬も無駄にすまいと、思いっきり花びらを広げて咲き競っている。目前の雁戸山は、午後の光をまっすぐに受けて、残雪が金属的なきらめきを放ち、雪の落ちた岸壁の漆黒との相克が、神々しいまでのコントラストをなして目に飛び込んできた。スケールの大きな眺望に励まされ降るうちに、獣道も登山道らしくなってくる。こうなれば釜房ダム管理施設は近い。15時、管理施設到着。ここからは、実によく整備された道が、林道まで続く。右手には、谷を隔ててきれいな三角形の小屋の沢ピラミッドが、少しずつその容姿を変えながら、見る者を魅惑する。今日はあの山頂に立ったのだ。その充実感をかみしめつつ一気に下る。林道到着は16時丁度、更に20分の歩程で駐車地点に戻った。六方山を無雪期に登るには、途中まで立派な道のあるこの北尾根が、上部の藪も薄くルート判断も容易なので最良の選択であろう。小屋の沢ピラミッド経由で周回する場合は、大森山尾根までは雪が融けていて且つその先はまだ堅雪に覆われている4月中旬が、最適と思われる。積雪期には眺めの良い南東尾根が一番だ。名号峰から伸びる尾根上、猫鼻の東から尾根を辿って夏場に六方山に至った記録もあるが、我々には未知の領域である。
ルート詳細
1.
小屋の沢市政林道奥
(470m)
道あり
道なし。藪、雪渓。
藪尾根。道なし。
4.
釜房ダム管理施設
(840m)
雨量計
雨量計
道あり。
5.
小屋の沢市政林道奥
(470m)
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