熊野古道:丁石道・小辺路・小雲取越・大雲取越(高野山〜那智)
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コースタイム
2日目)8:45赤松院→9:05大滝口女人堂跡9:15→9:49薄峠→10:26大滝集落鉄橋→11:25スカイライン交差→11:50水ヶ峰分岐12:10→14:23大股バス停→15:52桧峠16:00→16:30伯母子岳山頂16:43→16:53伯母子峠→17:35旅籠今西家跡
3日目)5:30旅籠今西家跡→7:29三浦口バス停7:40→8:40三十丁の水→9:28三浦峠9:40→11:00矢倉観音堂→11:30今西バス停→13:40橋本橋→15:43観音堂15:50→16:21果無峠16:30→17:45七色辻手前
4日目)5:50七色辻手前→6:30八木尾バス停→7:25三軒茶屋跡→8:00熊野本宮大社8:20→8:25大斎原→9:10請川橋9:20→10:58百間ぐら→13:35小口13:50→14:10円座石→16:04越前峠16:10→16:40石倉峠→16:58地蔵茶屋跡
5日目)5:30地蔵茶屋跡→6:22色川辻→8:00那智高原休憩所→8:30那智(那智大社・青岸渡寺・那智の滝、参詣)→9:30大門坂上→9:50大門坂下→10:50那智温泉12:05→12:23補陀洛山寺・浜の宮王子12:40→12:45那智浦
天候 | 18日)猛暑、晴れ。 19日)曇り時々雨。 20日)晴れ。 21日)曇り、夜は雷雨。 22日)晴れ。 |
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過去天気図(気象庁) | 2011年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
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コース状況/ 危険箇所等 |
エアリアにはマップありません、こちらのHPから地図情報をダウンロードできます(http://www.wakayama-kanko.or.jp/walk/index.html)。 書籍版は、こちら(http://www.fusosha.co.jp/book/2007/60515.php) ただしこのマップの標準タイムは、かなり健脚。エアリアの標準タイムと比較すると、2〜3割速いペースです。ご注意ください。 水場はほぼすべて出ています。また、自動販売機も利用できます。ただ、那智高原休憩所だけは、自販機は建物内なので、建物が開いている時間でないと利用できない。 全行程の20%くらいは車道歩きです。車道歩きはある意味、とても疲れますのでお気をつけあれ。 ちなみに、舗装道路ゾーンは次の通り(一部、登山道というルートも含む)です:九度山駅〜展望台先の小屋・高野山内・スカイライン交差〜大股バス停・三浦口バス停近辺・西中バス停〜橋本橋・八木尾バス停〜三軒茶屋跡・熊野本宮大社〜請川・小口近辺・地蔵茶屋近辺・那智近辺・大門坂下〜那智浦。 大雲取越は、小口から円座石までが迂回ルートがとられています。たぶん、路肩が崩落しているのでしょう。指示プレートと青いリボンに従いましょう。 空海ゆかりの地では、橋ではストック(=杖)を突かないほうがいいと思います(四国ルールかもしれませんが、十夜ヶ橋の逸話がありますので。ちょっとした巡礼者の気遣いです。くはしくは→http://www.geocities.jp/toyogahashi/syokai.html) 熊野古道は巡礼の路です。普段の登山スタイルにプラスして、往時の巡礼者の気持ちや信仰にちょいとでも思いをはせてみるのが、熊野古道を歩くポイントだと思います。 |
写真
感想
今年の夏の、「すごい楽しみだ〜コース」は、熊野古道でした。
もともと小辺路を予定していましたが、どうせなら中辺路(那智〜本宮)もプラスして一気に海に出てしまえというのが、今回の楽しみだ〜プランに無鉄砲がミックスされた瞬間。
熊野古道は、もっとちゃんと歩かれたほうがいいと思っています。
そしてレジャーというだけでなく、いつもの登山ポリシーにプラスして、その昔の信仰の人々のことや気持ちなどに思いをはせてあげると、熊野古道も本来の意味を取り戻すことでしょう。
信仰の道は、信仰の道として、感じるのが一番だと思うのです。
《高野山丁石道(九度山駅〜高野山)》
九度山からわくわくして出発。
途中、真田幸村蟄居の地など興味深いところもありますが、今後の行程を考えてスルーします。柿の葉寿司屋さんも、スルー。
慈尊院から先は山道っぽくなりますが、いかんせんコンクリートの道。
稜線までずっとコンクリートで、猛暑の中そうとう疲労します。
丁石が几帳面に並んでいますので、この数が減っていくと少し励みになります。
六本杉峠で自信満々に道を間違えて、行く予定ではなかった丹生都比売神社方面に下ってしまう。
ま、これも流れでしょう。
なにせこの丹生都比売は高野山の守り神ですから。
美しい神社でした。
登山初日ということと、むちゃくちゃ暑かったこともありとても疲れましたが、高野山近くに来ると風に乗って抹香の香りが漂ってきて、ああ高野山なんだなと思います。
壇上伽藍では、久々に曼荼羅を見ます。
金剛界曼荼羅と胎蔵曼荼羅という、1つのものである大日如来から派生した2つの異なる真理。これが、向かい合う形で護摩壇に配置され、祈祷する僧侶の体で物理的に統合される。
この物理的統合の秘密を知ったのは、15年前の壇上伽藍ででした。
あのときは鳥肌が立ったな〜。
奥の院は、夜行くことにしました。
聖域ですので写真撮影は控えていますが、常夜灯に導かれて進む夜の奥の院はとてつもないところです。
人の知覚しえる領域じゃない。
昼に奥の院いったことのある人は、ぜひ次は夜にどうぞ。
《小辺路(高野山〜熊野本宮》
2日目、この日はスカイライン以降車道歩きが連続し、結構しんどいです。
スカイラインの後は、アスファルトの林道ですから。
おまけに途中で霧雨からだんだんはっきりした雨に変わり、レインギアを装着したら、今度は雨が上がるという徒労。
伯母子峠への登りは、民家の庭先を抜けるようなルート(熊野古道の登り口はいつもそんな感じ、本当に庭を突っ切りますから)。
登りは元気にむしむし行きます。
3時過ぎから大量のアブにたかられましたが、無事に伯母子岳に到着。
山頂は古道ルートではないですが(そうですよね、巡礼者がわざわざ体力使って無駄にピークをせめる理由はない)、登ってみました。
下って後は、今日の宿を探します。すなわち、平らなところ。
昔の旅籠の今西家跡が、建物は完全にないですが平地があるので、ここで幕営。
翌日(3日目)は、三浦峠に向かいます。
ここで、登山者と出合います。小辺路で出会ったひとは、ここの2名のみ。もっと歩こう、熊野古道。
三浦峠を越えると、十津川まで9キロの車道歩き。地獄のようです。
延々歩いて14時前に果無峠の登山口に着きますが、体力がもたず、一気に減速。
本当は本宮まで今日中にいきたかったですが、もうムリ。
果無峠を過ぎて下りながら、七色分岐手前でテント一つ分のスペース見つけ、幕営。
4日目、早く出発するつもりが寝坊。
というより、なかなかテントが明るくならなくて、朝に気がつけない。
今日も車道を交えつつ、8時過ぎに本宮に到着。
今日の予定は、那智高原休憩所まで行くこと。
しかし、疲労が蓄積してきていて思うようにペースが上がらず、予定は放棄。
ま、昨日は本宮まで到着している予定だったので、そこから計画はほころんでいるのですが……。
早朝に本宮を参拝し、旧社地である大斎原にもお参りして、いよいよ中辺路に向かいます。
《中辺路(小雲取越:本宮〜小口)》
ここからは、何度も通ったことのある見知ったところです。
違うのは、いつもとは逆の、本宮から那智へのルートを取ること。
心安い半面、うへ〜あの下り坂登るのか〜、なんて思うところも。
知っているが故の弊害。
しかし、小雲取越は比較的緩やかな場所なので、特に問題なく進みます。
キザキザの山肌を巻くように進むので、この難所はかごを担ぐことを前提にした人夫にとっての難所だと思います。
さほど疲労しませんが、桜峠からの下りはなかなか急です。
《中辺路(大雲取越:小口〜那智》
小口からはいきなり、古道はう回路を指示されておりいささか不安になりますが、円座石のところで無事に合流。
ここからが、うへ〜あの坂登るのか〜ポイント、胴切坂です。
胴体が切れるような苦しみがある坂。
確かに下りは、最低にしんどいです。
登りはさぞかし大変だろうな〜とおもっていたら、ここでハイなゾーンに突入です。
いわゆる、ランナーズハイ的な時間。
何しても、全然疲れない時間。
これ幸いと、もくもくと登ります。ハイなので、ラクラク。
しかし1時間たってハイは切れました。しかし急坂はまだまだ続きます。
一気に標高差800アップは、きついですよ。長いですよ。
疲れ果てながら越前峠到着、そしてそのまま次の石倉峠もクリア、これで難所はすべて終わりました。
熊野古道の石畳は特徴があります。
階段状ではなく、斜面に水平に並べられているのです。
おまけにこれが、苔むして水気を含んでつるつるになっている。
歩きにくいこと、おびただしい。
石倉峠からの下りは、水もその上を流れているので、滑りやすさ倍増。
すごい慎重に歩いていましたが、滑って転びました。
気をつけましょう。
そして本来の目的地にはとてもじゃないがつけないので、今日は地蔵茶屋跡まで。
あまりに自分が汗臭いので、川で水浴びしました。生まれて初めてかも、水浴び。
夜半は雷と豪雨。
あけて五日目、雨はやんでいます。
このままぐんぐん進み、那智高原休憩所到着。
しかし、ここで泊まらなくてよかった。
水が出てないし、自動販売機はレストハウスの内側なので、鍵閉められると買えないので。
ただ、昨日のうちにここまで来れなかったので、妙法山阿弥陀寺は行かないことにします。
死者の髪あげを今に残す寺、死者のつく鐘のある寺、修験者の火定三昧のある寺、女人高野阿弥陀寺はすごいところです。
また今度行きます。
その先、那智にはすぐに到着し、那智大社や青岸渡寺などを参詣。いいところです。
そして、大雲取越のルートが昔のままで嬉しい。
2年前、ラジオで「熊野古道の道幅を江戸時代の幅にする」という工事のニュースを聞いたことがあったので。
実は私、この工事については大反対なんです。
これは、巡礼道路のあるべき姿についての問題です。
話せば長くなるので、反対の論拠を単純に言うと、巡礼道路の正しい姿は、「江戸時代の」とか「平安時代の」ではなく、今この瞬間、今現在歩かれている姿こそ、巡礼道路の正しい姿だと思うから。
《中辺路(那智〜那智浦》
大門坂以降は車道です。
あまりに自分が汗臭いので、那智温泉のぬるめの湯で、ゆったり汗と疲れを取ります。
温泉から出ると、あとは締めくくりです。
補陀洛山寺で、過去の渡海僧について思いを巡らせ(お堂にあがってお参りしますが、いつも決まってみょーな汗がだらだらでてきます、不思議なことに)お堂で静かにお参りします。
そしてそこから歩いて数分、とうとう海に到達しました。
高野山の山奥から、和歌山県の南端の海へ、感慨深いです。
《おまけ》
新宮速玉大社にも参詣して、三社詣で満願にしました。
そしてむちゃくちゃ楽しみにしてきた「めはり屋」のめはり寿司ですが、ご不幸のため臨時休業でした。
残念ですが、いたしかたないというところでしょう。
また今度、ここのめはり寿司食べるためだけに、新宮いってやろ!
コメント
この記録に関連する登山ルート
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こんばんは^−^
ロングコースをお疲れ様でした!
『信仰の道は信仰の気持ちで感じるのが一番』に共感します。
猛暑日の翌日は雨だったり コースも所々、大変だったようですが
苔や、ちょっと鬱そうとした雰囲気などは神秘感があるような
余談ですが、山行きのゴールが海って、実はいつかはやってみたいと思っています。
お疲れ様でした〜〜!!
や〜、この夏二つ目の無鉄砲登山。
ルート登録したら、紀伊半島がまるまる表示されてしまって、あらためてロングだったんだな〜と実感しています。
熊野古道は私の山歩きの原点とも言うべき場所なので、天候など大変なときもありましたが、やはりとても気持ちがよかったです。
何度も歩いたし、またこれからも、何度も行ってしまうんだろうな〜。
神秘的ですよ〜。
どうも15年前に初めて熊野古道を歩いたときは、まさしく亡者の出会いで、この世ならざるものに出会ったような気もしますし。
山から始まって海へゴールは、ロングになりますが、充実感ありますよ〜。
山の上からの展望で、かなたに海が見えた瞬間なんか、最高です。
ぜひぜひ挑戦してみてくださいませ。
わたしは、ittiさんのレコで、北アルプス行ってみるかな〜という気持ちになりつつあります。
seizanryoさん、こんばんは
また素晴らしい縦走ですね
35Lとはちょっと凄いパッキング技術です。
昨年の吉野〜熊野本宮の縦走もじっくり読ませていただきました。
歴史を学び、先人に思いを馳せての山歩き。素晴らしいです。
海まで、というのもいいですね。
ちなみにスケールは小さいですが千葉の山は鋸山など下山するとそこは海、です^^;
いつかは吉野〜熊野本宮の奥駈をしたいですが夏は暑さと水不足との戦いになりそうですね・・・
かといって良さそうな5月や秋は長期休みはちょっと・・・難しいですね
とりあえず本を購入して歴史を勉強することにします。
shira-gaさん、こんばんは。
やはり私は、縦走を愛しています。
ザックのパックは、なんだか入っちゃうんですよね〜。
ま、ZERO POINTのザックなんで、35Lといいつつもそれ以上がんがん入るんだと思いますが。
お酒関係とかおもちゃ関係とか持たないから入るんだと思います(山の中だけ禁酒)。
あと、昨年の大峯奥駈のときは食料に生米持参したのを、アルファ米にしているのでこれがまた省スペースに役立ちました。軽いしね。
熊野に魅せられて、はや15年。
信仰と文化と生活が混然一体となった世界がそこかしこにあって、とてつもないところだと思います。
私が熊野を初めて学んだ本は、『死の国・熊野』豊島修著(講談社現代新書)です。入門から深いところまで語られているので、おすすめです。
大峯はマニアックな本しかなかった気が……。
大峯奥駈もshira-gaさんの脚力なら、私の半分以下の日程でOKなのでは!?
奥駈の水場は、年によっては細かったり枯れていたりするらしいので、要注意ですね。
あと、南奥駈は本気で水場自体が乏しいです。あるいは、水を汲むために往復1時間とか……。
ぜひ、熊野に足を延ばしてみてください。
いいところですから!!
人の足ってすごいですね。
5日間で、117キロ以上。一日約23キロ以上を歩き続ける5日間。
熊野は、BSで見ていいところだなーっと思ってました。
地理がよくわからず、遠そうなので、わたしには行けない山と思ってました。
ひとりでここまで出来ると、相当な自信がつきそうですね。うらやましいです。これからもがんばってください。
kinokoさんこんばんは。
ロングです。地図見ると、結構笑えます。
歩くのって遅いようで、結構その積み重ねで遠くまでいけたりするんですよね。
ま、今回は車道も多いコースなんで、それで距離がかせげているってのもあります。
……行動時間も長めですが。
熊野はいいところですよ。
和歌山の南端なんでアプローチに時間かかりますが、やはり「死の国」といわれていただけあって、独特の雰囲気があります。
那智の滝から熊野本宮までは、比較的昔の状態で古道が残っていますので、おすすめします。
小口で一泊するか、がんばれば一日で踏破できます。
熊野に行く機会あったら、またご連絡あれ。
コアでディープな熊野をご紹介しますよ。
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