剱岳(別山尾根ルート)〜別山〜雄山
- GPS
- 21:27
- 距離
- 20.4km
- 登り
- 2,469m
- 下り
- 1,929m
コースタイム
- 山行
- 4:14
- 休憩
- 0:39
- 合計
- 4:53
- 山行
- 6:06
- 休憩
- 2:32
- 合計
- 8:38
- 山行
- 4:27
- 休憩
- 1:18
- 合計
- 5:45
- 山行
- 3:34
- 休憩
- 1:13
- 合計
- 4:47
天候 | 1日目:晴れのちガス、2日目:快晴、3日目:快晴、4日目:晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2018年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
【往路】 高速バス: バスタ新宿(23:15)→富山駅北口(6:05) 富山地鉄立山線: 電鉄富山(7:05)→立山(8:16) 立山ケーブルカー: 立山(8:40)→美女平(8:47) 立山高原バス: 美女平(9:00)→室堂(9:50) 【復路】 立山高原バス: 室堂(13:40)→美女平(14:30) 立山ケーブルカー: 美女平(14:40)→立山(14:47) 富山地鉄立山線: 立山(15:05)→電鉄富山(15:54) [たてやま2号] 北陸新幹線: 富山(16:33)→東京(19:12) [はくたか570号] ■コメント ・「電鉄富山⇔室堂」の切符は、まとめて1枚で買える。(立山黒部アルペンルート通しチケット:写真1参照) ・電車(富山地鉄)は往復共にまあまあ空いていて、頑張って席取りという感じでもなかった。ケーブルカーは混雑したが、わずか7分の乗車なので頑張って座る必要もなし。バスは全員座って室堂まで行けるので、ケーブルカーで我先に降りてバスの行列の先頭に並ぶ必要はない。 ・往路のバスでは進行方向に向かって「左」の席に座る方がよい。称名滝や弥陀ヶ原、大日岳の山々がよく見える。 ・富山から室堂までは直通バスも存在する。しかし、残念ながら翌日(7/14)からの運行とのことだった。もっとも、便利なバスが使えない日程のおかげで、今回の剱岳への登山道は空いていたのかもしれないが。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
■今回のコースはどこもよく整備されていて、たとえ鎖場でも安心して登ることができた。(いつも「低山バリエーションルート」の「曖昧」な整備状況に慣れているので余計そんな気がした) ■そんな優良コースでも以下の点は気になった: (1)前剱の頂上に至る道は、かなりの急斜面であるにもかかわらず、角の鋭い石・岩がゴロゴロしている。ちょっと油断すると落石を引き起こしそう。万が一、落石が人に当たれば大ダメージになりかねない。 (2)「カニのタテバイ」は、1本目の鎖の最後のところ(幅1mくらいのステップの直前)がちょっと岩が盛り上がっている感じになっていて、足場が見つけにくかった。鎖を通す輪っかの部分の金属がいい足場になった。 (3)「カニのヨコバイ」は、やはり横歩きの最初の一歩を置くのが難しい。 (4)別山へ登る途中(写真44の直前あたり)は、真砂土(花崗岩質の土砂)の急斜面になっていて滑りやすく、その割には手がかり、足がかりに非常に乏しかった。ある意味、今回の山行で最も緊張したところだ。 上記(1)〜(4)いずれも、詳細は「感想」の本文を参照してほしい。 ■この時期はまだまだ雪渓が残っている。とは言え、今回は気温も高いのか雪渓はザラメ状になっていて、凍っているところは無かった。大勢の登山者に踏まれているためか、歩きやすくもなっている。また、急な斜面をトラバースするような場所もほとんど無く、したがって、雪渓上でもあまりアイゼンを使う場面は無かった。(使ってもせいぜい4本爪の軽アイゼン程度) |
その他周辺情報 | ■雄山神社で購入したTシャツのデザインがカッコいい。汗も乾きやすい材質で、使えるなぁコレ。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
防寒着
雨具
着替え
靴
サンダル
ザック
ザックカバー
サブザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
ナイフ
カメラ
ポール
アイゼン
|
---|---|
共同装備 |
ファーストエイドキット
新聞紙
ウィダーインゼリー
|
感想
■きっかけ
今回同行したSB氏とは、数年前から「還暦になる前までには剱岳に登ろう」という話が出ては消えていた。しかし、今年はSB氏の本山行に懸ける熱意は並々ならぬものがあり、6/23「四阿屋山」などの岩場練習山行などを経てついに実現したのであった。
■準備
準備において最も迷ったのがアイゼン・ピッケルの携行。今回行って判ったのは、7月中旬では雪渓は大量に残っていること、急な斜面の雪渓トラバースは無いこと、雪渓は凍結していなかったということだ。小屋の発信する情報では当然アイゼン・ピッケルは持って来いという感じだったが、実際には無くても大丈夫だった。
しかし、今回の山行は珍しいくらいの好天に恵まれて、気温も高かったのでこのような結果だったのかもしれない。凍結していれば緩い斜面でもアイゼンは必要となるだろう。そうだとしても、アイゼンは精々6本歯、4本歯の軽アイゼンで、加えてポール×2があれば大丈夫ではないだろうか。
■ルートの印象
剱岳は一般登山道としては屈指の難しさと言われているが、毎日何百人(ちょっとオーバーか)も通る登山道でもあるので非常に良く整備されている。普段よく行く低山のバリエーションルートは、いつ設置されたのかわからない虎ロープとか鎖とか、間違った方向へ誘い込む仕事道とか、崩れかけの橋とか桟道とか、まったく信頼の置けない物事に溢れている。その点、今回のルートは最高難度のカニのタテバイにしても、鎖の確かさや誘導のためのペイントなど、低山バリルートで感じる「曖昧さ」は一切無く安心して登ることができた。怖いけど安心して登れるコースという感じだ。
■ちょっと言っておきたい点
(1)前剱を登る場合は必ずヘルメットを被ること
一服剱から前剱を眺めると「ええっ、あんな急坂登るの!?」という感じなのだが、実際に登ってみるとまあ普通の急坂だ。しかし、ここは登り始めから頂上まで小石と言おうか小岩というかそんなものが敷き詰められている。疲れたからと言ってちょっとでも気を緩めると、小石を蹴飛ばして自分が落石発生者になってしまう可能性が高い。急坂かつ多数の登山者なので、当たれば大事故になるだろう(実際、有名な難所よりここが一番事故が多いらしい)。当然、他人も落石発生者になる可能性が高いので、髪の毛に良くないにしても、ヘルメットを被って身を守るのがいいだろう。
(2)カニのタテバイは最後が難しい
カニのタテバイは今回のメインイベントだったわけだが、たしかに高度感はあった。いや、本当はもっと数百メートルとか落ちてるのかなと思っていたのだが、数十メートルくらいだろうか。それでも落ちれば一巻の終わりだが。
とは言え、高度感はあるものの足場はしっかりしている。しっかり岩や鉄杭に足を乗せていけば安全に登ることができる。そして、カニのタテバイは最後の幅1メートルくらいの岩のステップに立つことができれば、そこで核心部は終了する。
しかし、ここに至る最後の2メートルくらいを登るのに、ちょっと足の置き場に迷った。最後の2メートルは岩が少しだけ盛り上がっているようになっていて、足を置けるような岩の窪みは無い。代わりに鉄杭が3,4本打ち込まれていて、これを手がかり足がかりにして登る。ここは相当の高度感を感じる。
だが、その盛り上がりの岩の下に立っていると、その鉄杭に至るまでの足場が確保できなかった。左のやや低い鉄杭は少し離れていて使えないし。と言って、曖昧な足場のまま鎖を使って腕力で登るのも危険だ。と、そこで、鎖を通すための輪っかがついた金属製のボルトが岩に打ち込まれているのに気付いた。これを足場にしたところ、その上の鉄杭に達するとことができ、事なきを得た。時間にすれば10秒くらいの逡巡かもしれないが、ここが今回の山行の岩場で唯一迷ったところだろうか。
(3)カニのヨコバイは最初の一歩がやや難しい
これは、他の人からの報告でも何回も言われているところだが、トラバースするところの足がかりへの第1歩がやや難しい。一旦そこに足を置いてしまえば、その足がかりの岩は平らで幅も結構あるので、鎖を掴みながらカニの横歩きのごとく安全にトラバースすることができる。
問題は、トラバースのための足がかりへの第1歩をどう置くかだが、私が行ったときは岩の上に赤ペンキの矢印で足の置き場所がしっかり指定されていた。鎖を掴みながらその赤ペンキの下を覗き込むと、わずかに足場となる白っぽい岩が見えた気がする。ちなみに、トラバースで使う足の置き場の岩は横歩きする長さに渡って、なんとなく白っぽくなっていて白い廊下状になっている。この廊下を延長したあたりの高さに第1歩の足場あると考えてもいいのかもしれない。
しかし、より実戦的には、ここも多数の登山客が列をなしているので、先に行く人がどのあたりに足を置くかを観察するといいと思う。また、仲間が先に行っていれば、仲間に誘導してもらうのが一番安心だろう。
(4)真砂土は滑る
剱岳と言うか、立山全般かもしれないが、花崗岩質の岩が多いような気がする。その花崗岩が崩れてできたのが真砂土と呼ばれている土なのだが、これが結構よく滑る。その最たるものが、別山の尾根へ向かう途中の登路である。雪渓のために正規のルートから外れていたのかもしれないが、急傾斜の割には手がかり足がかりに乏しいところがあった。それだけなら良かったのだが、土が非常によく滑り、肝を冷やした。
また、前剱からの下りにおいて、同行のSB氏があともう少しで武蔵のコルというところで滑って転んでしまった。(後日になって捻挫と気付いたそうなのだが)
この辺りの登山道は最初から滑りやすいと肝に銘じた方がいいかもしれない。
■反省
(1)日焼け
今回の山行は珍しいくらいの好天に恵まれたのだが、その分、日射しも相当強かった。しかも三千メートル級の山となれば紫外線も強い。普段、低山を逍遥しているときはまるで気にしていなかったのだが、今回ばかりは耳のあたりが日光でじりじり焼かれるのを実感した。
あいにく日焼け止めも帽子も持っていなかったので、日焼け止めはSB氏に貰って、帽子は手拭いをほっかむりみたいにして代用した。次回からはこのような高山山行では日焼け止めも帽子も必ず持参したいと思う。
(2)ウィダーインゼリー
普段、山の食料にはまったく興味を持っていないのだが、今回シャリバテ気味のときに、SB氏からウィダーインゼリーをいただいて、一発でシャリバテ解消したのには驚いた。これも次回の山行からは必ず持参したい。
■おわりに
今回の山行は、自分には珍しくかなり天候に恵まれた山行だった。今までずっと気になっていた山だったので、無事行くことができて感激だった。これも、同行のSB氏の熱意によるところが大なので感謝したい。
また、今回の剱岳山行では、途中でNHKの撮影班とすれ違った。彼らがこのとき撮影した映像は、後日8月11日に「北アルプスドローン大縦走〜立山・剱岳〜」という特番で放送された。再放送があれば是非観ていただきたい。
加えて、今回同行のSB氏は、今回の道中の詳細を以下の名称でAmazon Kindleにて上梓している:
題名 :「さるではムリだ劒岳」
著者名:「海河童」
URL:https://www.amazon.co.jp/gp/product/B07HDZ39ZZ/
よろしければ是非。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する