キラズ山(富山百山 9座目)
- GPS
- --:--
- 距離
- 9.6km
- 登り
- 749m
- 下り
- 742m
コースタイム
- 山行
- 5:48
- 休憩
- 0:03
- 合計
- 5:51
過去編については写真解説以外のすべての文章を感想欄に転載します。
トレースはかなり適当です。
過去天気図(気象庁) | 2013年07月の天気図 |
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アクセス |
写真
感想
昨日午後5時時点の天気予報では本日0時から6時間ごとの降水確率は40、30、40、30%の順でとても微妙な数値だった。
今回考えていたプランは下記のとおり。
1 1泊で剱岳(自分の体力、現時点で日帰りは無理)
2 焼岳
3 キラズ山
4 歩荷訓練
1は昨日夕方5時の時点で諦めた。頂上を狙うのは天候回復が予想される日曜日だが土曜日の予報がいやな感じなので。しかし結果論的には行けていたかもしれない(今朝になって降水確率は下がったし、立山方面は雨に降られていないようだし)。
2は今朝というか夜半の時点で諦めた。雷雨で目が覚めるぐらいだったし。でも結果論的には行けていたかもしれない。
3は今朝の天気予報を見て決めた。そこそこ天気は持ちそうなので。
4でも良かったがせっかく予報が良い方に変わったのでちょっとした山には行っておきたい。
以前、どこかの山で登山者と会話していて「キラズ山はつまらない山だよ」と言われたことがある。そういうわけでなんとなく敬遠していた山なのだが富山百山に入ったため「眺望が望めない時に登ろう」と思っていたところ本日が条件的に良さそうなのでこの山にする。
6月ごろに一度予習したことはあったので軽く復習程度に情報をおさらいしたうえで朝7時半に家を出る。猪谷から神通川を渡って左折してややこしい林道ルートを行く。吉野・東猪谷林道竣工記念の広場を過ぎるとダート道になって高度を下げ始めたので「おかしい」と思い、広場に戻って携帯のGPS機能で現在地を割り出すも対象物がないのでさっぱりわからない。もう少し先かなと思ってダート道をあらためてさらに行っても全く埒が明かない。明らかに間違いなので引き返す。広場からちょっと戻ったところ、お目当ての作業道分岐と思われるところには何の看板もなかった。「間違っていたら林道歩きでも良いや」ぐらいの気持ちで林道少し上部の路側帯に車を停めて歩き始める。
この作業道は最初はコンクリート舗装されているが徐々に荒れていく。自分が車をデポしたあたりが一番良い駐車場所だろうな。
しばらく歩くとカモシカに遭遇。かなりの至近距離まで近づくことができた。1時間近く歩いて事前の予習通りのところに登山口があった。さっそく登り始める。
この道、藪だらけ。時々自分の足が見えなくなる。夏に来るもんじゃないな。そのうち雨が落ちてきて本降りとなった。滑りやすい登山道がますます歩きにくくなる。
雨宿りできるところで少し休む。撤退も考えたが時間的にはあと30分程度で頂上のはずなので続行する。
夏の低山は雨具をつけても意味がないのでそのまま雨に打たれながら登る。ちょっと急ぐ気持ちが発生してペースが上がってしまったが最後の急登(ロープが設置してあった)を登り切って山頂到達。周りは樹木に囲まれて眺望などない。本当にこんな天気で丁度だったな(笑)。ちょっと休んでさっさと下山にかかることとする。今回の山行、実はドラマがここからスタートする。
ロープ設置地帯を抜け、見覚えのあるマーキング木に来たのだが、どうもルートが不明瞭である。赤ペンキでマーキングしてある木があるのでそのルートを取るのだが「こんなところ来たっけ」状態だったのでもう一度見覚えのあるマーキング木までもどる(このウロウロで25分ほど消費しただろうか)。地図とコンパスを取り出し、帰路の方角を特定するとマーキングのコースがそれなりに合っている。十数メートルごとに木にマーキングしてある立派な登山道、行きに使った道よりも歩きやすくて広いし手入れが行き届いている感じ。ここで「もしかして自分が使ったのはマイナールートでこちらが本道ではないか」と思ってしまう。「方向は合っているからなんとかなるだろう」とそのルートを下山に使うことにする(今、考えてもなぜこのような判断を下したのか?まあ登ってきたルートを見つけられなかったからだろうけど)。ここからコンパスと地図を頻繁に出しながら自分が今いるルートを割り出す。どうやらこのルートは頂上から北の尾根沿いに道がつけられているようだ。行きに使った登山道は帰りだと北北西の方向に斜面トラバースなのだがほぼ平行しているので「どこかでショートカットルートがあって登山口の林道先に出るのだろう」と勝手に考える(こういうのはイケナイですなあ)。北尾根から西の枝尾根にルートがつけられている(ちょうど登山口へ向かう方向)ことを確認できた時は「これはもらったな」と勝利を確信。しかしながら登山道は無情にも登りになって北向きに進路を変える。変だなと思っているとまた下って登り返しとなる。いくらなんでもおかしいので登り返しの斜面でひょいと後ろを見る。運良く天候が回復していてキラズ山から通過してきた尾根がすべて見通すことができた。尾根ピークの数を数えて自分が登山口から遠ざかっていて1020.8ピークの登り口にいると推定(かなりの確度のはず)できた。自分の選んだルートは道なりだと登山口に到達しない!
「やっちまった」と思う。間違ったら引き返せ、を実行できなかったためだ。というか1回それをやったのだが登ってきたルートを見つけられなかったのでついこちらに誘われた。
携帯の電波が届く個所だったので家に電話を入れる。「下山ルートを間違った。現在地は特定できているがビバークになるかもしれない」と。恥を忍んで警察に助けを求めようか(今の登山道はどこへ繋がるのか?正規の登山道へ抜ける便法はないか?問い合わせようかと本記で考えた)と思ったが「完全な道迷いではない。ビバークすればなんとかなるはず」と思い直す。
バッテリーを節約するため電源を切る。家への電話後、改めて自分の現在地をきちんと地図とコンパスで特定。どうやら1020.8ピークへの登り斜面にいることはまちがいなさそうだ。なので鞍部へ降りて1000ピークへ登り返し、次に降りた鞍部からだと登山口が直線距離で最も近くなる。その付近に近道でもあるのではないだろうか?と考える。頂上付近まで登り返すのは心理的にいやである(ああ、こうしてみんな遭難コースへ行くのだな)。
何か近道があるかもしれないので目を凝らしながら逆戻りする。問題の鞍部に来ると杉の木にテープでマーキングしてあった。というかここは藪ではなくて明らかに杉を植林した人工林である。ここで「第二の賭け」に出るか思案。この斜面を直線距離で100〜150m下ると登山口付近に出るはずなのだ。明らかに人の手の入った杉林ということは「林道が近い」証拠でもある。「やってみる価値はある」と決断(但し、絶対に人工林の外ヘは出ないことを条件とした)。コンパスを胸のあたりで固定しながらほぼ南の方向(登山口があるはずの方向)に斜面を下る。もちろん道などないが見通しの良い杉林なのでそれほどのプレッシャーにはならない。途中で沢があったので水筒に水を補給。清潔度が気になる弱い流れだったが水をゲットしてますます落ち着くことができた(これ重要!仮に頂上付近まで完全登り返しになっても水と非常食があればなんとかなりそう)。しかしながら人工林は急斜面にぶち当たって終了。うまく行かないもんですな。
この杉林はとても気持ちが良い。杉の葉が下につもっていてふかふかである。まだ時間があるとはいえビバーク地を登り返しの頂上付近にするのはちょっと嫌である。地面は堅いだろうし虫はいるだろうし。「よし、時間は早いけど鞍部が見えるところまで登り返して杉林の適当な所でビバークしよう」と思う(かなり疲れてもいたのだ)。
というわけで降りてきた杉林をまた適当に登り返す。「そういえば一か所、草むらの緩衝地帯みたいな個所を横断したな。ああ、あの辺か」と思ってその個所を横断しようとすると突如として作業道出現。「へ、何、これ、何」と目を疑う。しかもそこは見覚えがあって登山口付近の作業道である。狐につままれたようというのはまさにこのことで杉林の下りで作業道にぶち当たるならまだしも諦めて登り返すところでぶち当たったのでますますわけがわからない。家に帰って地図とにらめっこしながら可能性を探ったが「鞍部から降りてくるときに登山道を横切ったことに気付かずに降りてしまい、登り返しは西側にルートがずれたことによって作業道にぶちあたった」が一番あり得る可能性として残った。
それはともかく、本当に作業道なのか信じられなかったのでわざわざ登山口まで少し登り返してみたらちゃんと登山口はあった(笑)。
家に「ウルトラCで下山できた」と連絡を入れ、あとは車デポ地までてくてく歩いて山行終了。
今回は結果オーライだったがこのような幸運は2度あることはなかろう。
幸運その1 天候が回復して、引き返し検討時に通過してきた尾根筋が見通せたこと。
幸運その2 鞍部と登山口を結ぶ地帯は藪ではなくて人口林だったこと。
幸運その3 家に電話できたこと(連絡なしビバーク突入だったら下手すりゃ遭難騒ぎ)
幸運その4 結果的に使わなかったがビバーク適地があったこと(ふかふかの杉葉ベッドに水も入手可能という天国コース)
振り返ってみれば「ちょろい山」と軽視する気持ちが自分にあったことは否めない。今後は気を付けることにする。
保険に入った途端にお世話になるかと思った(実はピンチになっても保険のことは全く意識に上らなかった)が大丈夫だった。一歩間違えればとんだ「フラグ回収」になるところだった。
ちなみに立派な北尾根ルートについて言及した登山記録はネットにも見当たらなかった。みんな惑わされることなく本来のトラバース登山道を往復できているのだろうか。それにしても自分のような道迷い(というかルートミス)をする登山者が今後出ないように祈るのみだ(歩き易さでは断然北尾根ルートに軍配、登山口から北尾根ルートへの明確な連絡がないのは「大人の事情」なのだろうかな)。
あと、「地図、コンパス」の威力を実感した。持参していなかったら終わっていたかも。登山用GPSを持っていればもっと安心だったかもしれないが「GPS欲しい」以前の対応が必要だろう(要するに自分が登ってきたルートを忘れるな、ということ)。
あと、あの尾根道はそのまま行くとどこへ繋がっていたのだろうな?
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