北ノ俣岳、黒部五郎岳(富山百山 17、18座目)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 32.9km
- 登り
- 2,441m
- 下り
- 2,441m
コースタイム
- 山行
- 4:31
- 休憩
- 0:23
- 合計
- 4:54
- 山行
- 9:38
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 10:43
- 山行
- 3:27
- 休憩
- 0:13
- 合計
- 3:40
過去編については写真解説以外のすべての文章を感想欄に転載します。
過去天気図(気象庁) | 2013年10月の天気図 |
---|---|
アクセス |
写真
感想
金曜日
仕事を早じまいしてちょっと寄り道してから折立へ向かう。到着したら予想に反して駐車場はガラガラだった。
車中泊ももう慣れっこになっていてこれに関しては不安なし。夜に強い雨が降ったが寒冷前線の通過という予報通りで問題なし。夜中にトイレに立ったら満天の星空になっていた(寒冷前線の通過後は急速に天候が良くなる。しかしながら結果的に翌日のテント場は午後から大荒れでセオリー通りではない自然の姿を味わうことになる)
土曜日
4時に起床予定が4時45分だった。ちゃんと眠れたということで良しとしよう。寝ぼけ眼でうだうだ準備する。車のドアロックを解除して開けたら大音量の警告音が鳴り響いた。しまった!キーレスで施錠して就寝していたので解除もそちらでしなければならなかった。あわててキーを差し込んで音を止める。まだ寝ていた方々、ごめんなさい。
予定より約30分遅れのスタートだがかなり明るいのでヘッデンはしばらくして仕舞った。今回はテントを担いでいるのでついにダブルストックを採用、確かに歩きやすい。天気は曇り。低気圧が遠ざかりつつあるのだが影響はまだあって風も強い。今日は薬師峠のテン場まで。
出だしに健脚のソロ男性に抜かれた後は全く人に遭遇しない。「もしかして(テン場を管理している)太郎平小屋は営業を終了しているのか?」と疑心暗鬼になりその場合の対応について頭を巡らせる。問題は水の入手とトイレ。テント泊だけにしようか?薬師岳にしようか?等。
しかし、五光岩ベンチで追いついてきた登山者とお話したら大丈夫そうなので安心。これを皮切りに次々と自分を抜いていく登山者に遭遇。
太郎平小屋にてテント申し込みをする。連泊を申し込んだら「1日ごとに受付する」とのこと。その方が合理的かもしれない。小屋脇の水場で水を補給しようと思ったら涸れていた。また受付に逆戻りして事情を話したらわざわざ小屋内の蛇口から汲んできてくださった。ありがたいものだ(テン場にも水場はあるのだがこちらの水の方が安心という情報を得ていたのでこんなややこしいことをしたのだが、結局この方針は面倒で最後まで貫くことができなかった)。
テント装備の登山者数組に抜かれていたのでテン場には3,4番手かと思っていたら1番乗りだった。灌木の脇に平らな面があったのでそちらに設営。設営久しぶりで戸惑ったがなんとか完了。
テント内でまったりしていたら雨が降ってきた。風も強い。そんな中でも次々に登山者が到着して荒れた天気の中、テント設営している(自分はテント内でその音を聞いている)。
明日のためのパッキングをしてシュラフに潜り込む。随分と気温が低いのだ。
4時ごろになってなぜかピタッと風がやんだ時間帯に外へ出てみる(トイレに行くタイミングを待ち構えてもいたのだ)。ガイラインに結び付けていたテント受付済証が雨風で吹き飛ばされて近くに落ちていたのでメッシュアンカーの中に入れておいた。テントの数を数えると自分を含めて15張りだった。予想よりとても少ない。テントをやめて小屋泊まりにした人もいるかもしれない。
しばらくすると小屋の方からテント受付係がやってきて、まだ受付を済ませていないテントを回って料金を徴収し始めた。自分のテントにも声がかかったがメッシュアンカーに受付票があることを話して事なきを得る(お向かいのテントは受付票が完全に飛ばされたようでその事情を係に話していた。それほど強い雨風だったということだな)。
夕方に簡素な食事を済ませ、暗くなったのでさっさと横になる。
この夜はほぼ一晩中大荒れのコンディションだった。風がビュービュー鳴ってフライシートをパタパタ鳴らし、時折、みぞれと思われる個体が叩きつける音がする(雨ではない)。シュラフに潜り込んでいても足元が冷たい。テントマットとして使っている100均の銀マットを足元側に寄せてテントの縁で折り返すようにして靴下を二重にする。
少しはましになったが下半身が冷えている感覚が抜けない。このため、眠りも断続的になった。
結果的には翌朝が立山方面の初冠雪日だったので自分は軽い冬山で幕営したことになる。とても良い経験をしたと思う。いろいろなことが判った(それについては備忘で記載)。
備忘
・自分はタイベックを使った手製のグランドシートを使っているが防寒・防水に効果があるかどうかは分からない(使用目的はテントのボトム保護という貧乏人根性なので)。2日後撤収する時にボトムとの間に結露があったので防水についてはそれなりの効果はあったものと思われる。
・夏山ではテントマットは使っていなかったが今回は100均のアルミシートをテントマットとして投入。これも撤収時に結露していたので効果はあったようだ。連泊する時は朝毎に結露をふき取る作業が必要かも知れない。
・就寝用マットはリッジレストの半身用。長さが足りない下半身部分はザックを敷きこんだ。だが今回のようなコンディションでは全身用が欲しくなる。
・価千金だったのはこれも今回投入したタイベックの手製シュラフカバー。これがなければ凌げたかどうか。納体袋のような珍妙道具だが頼れるヤツだと判明。ちなみにタイベックシートは通販で購入した。
・シュラフは貧乏人御用達の化繊シュラフ(モンベルのスーパースパイラルバロウバッグ#3)。今回のようなコンディションではぎりぎりのところか。ダウンで冬用のやつが欲しくなる・・・。
・靴下は予備に持ってきたものと合わせて2重にしてなんとか凌げた。テントシューズが欲しくなる・・・・。。
・服装はいつも山に使用している化繊パンツ(庶民の味方Availで購入)にタイツ(これもグンゼのお手頃品)。アンダーシャツはHangtenの化繊モノ(多分ランニングシャツ)。これにまたまたAvailの化繊ジャージ上下。で留めはまたまたAvailで購入のダウンジャケット。
・ユニクロヒートテック上下はどちらかと言うと非常用の扱いで持参していたがあえて使わなかった(二日間とも)。また、使い捨てカイロも持参していたが使わず(二日間とも)。
・上記の構えで1晩越したが、ぎりぎり何とか凌げる、という感じ。特に下半身の冷えが辛い。テントシューズとダウンパンツあたりがあると多分冬季里山とか残雪期の山でも対応可能かと思われる。冬に二上山キャンプ場で幕営訓練をするつもりだが、今回は非常に良いデータ取りができたと思う。
・悪天候時設営用の大型ごみ袋(ザックを入れておく)、テントの夜用にキャンドルがあれば便利かと思った。
日曜日
テン場の朝は早い。他のテントからのざわめきとかで起こされるだろうと思ってアラームをかけずにいたら寝坊してしまった。寝坊したということはそれなりに眠っているわけで睡眠不足ではないということで前向きに考えることにする。テント前室の出入り口を開けようとしたらチャックが凍り付いていて開けられない。ようやく開けてみたらあらびっくり。雪塊がテント周りを縁取っており山々が薄く雪化粧している。
そして、寒い。
急いで朝食を取りトイレを済ませ、水場で本日山行用の水を2l汲む(今回の水分はこの補給2l前日の余り1l、これも前日余りの清涼飲料水約250ml。しかし結果的にこれは多すぎた。山行中に摂取したのは全量の半分以下)。
ウエストバッグ(後記備考参照)と軽量アタックザックに必要物を詰めていざ出発。予定より1時間遅れているが・・・・。
そうそう、出発前に隣のテントの人が「凍っていてテクニカルなところもあるかも知れないので気を付けて」と送り出して下さった(この忠告を軽視していたことを後で悔やむことになる)。雪が薄く積もった山道を少し登り、太郎平に出る。こちらの木道は雪がこびりついている。
小屋を過ぎて太郎山に登り、振り返ると少し雪をかぶった薬師岳が見える。
太郎山から北ノ俣岳は標高差30mほどを下り、それから標高差300mほどをなだらかに登って行く。ゆったりとしたアップダウンも途中にあって道のりは長い。しかしながら絶好の天気なので気分よく歩ける。
出発から2時間ほどで北ノ俣岳に到着。
目的地は肉眼では近いように見えるのだが北アルプスの距離感覚は要注意。まだ半分以上の行程が残っている。
北の俣岳から中俣乗越という最低鞍部まではせっかく稼いだ登りをかなり無駄にして200mほど降るのだが一気に下るのではなく結構な標高差のアップダウンが少なくとも3回はあり、そのほか小さなアップダウンもある。しかも行程が長い。今回の山行に「核心部」があるとしたら途中の赤木岳付近のプチ岩場だろうか?ここで少しルートを見失って右往左往した。
岩場を余計に登ってしまったがひょいと見下ろすとルートはピークを巻いているようにつけられていた(間違ってピークまで登ってしまってもルートはあるようだ。ピークにケルンがあったし)。
これでもか、これでもか、と続くアップダウンに気力を削がれながらもようやく中俣乗越に到着。池塘越しに見える水晶岳や赤牛岳が綺麗だ。
ちなみに気象コンディションは1日中晴れてはいたが夕方までは強風だった。なので地形の関係で風が吹いている個所と凪いでいる個所の体感温度が大きく異なっており、後で体調に大きく響くことになった。
中俣乗越から400mほど登ると頂上なのだがここにも顕著なアップダウンが1回ある。このあたりで氷が張っている個所を不用意にずかずか歩いてしまい左足を滑らせてしまう。慌てて左手のストックを突くがそこも氷面の上。つるんと見事に転倒して左腕を強打!
出発時に隣のテントの人が立てた「フラグ」を回収することになった。それよりも大きいのは出発が1時間遅れたことによるゆとりのなさかと思う。
腕へのダメージは山行が続行できる程度だったのでそのまま進む(現時点では強打した個所は触ると痛む程度)。かなりの急登をこなし、稜線の肩まで出る。道が分かれていて左へ行けば三俣蓮華岳方面へのカール内縦走路、右は黒部五郎岳。休まず頑張って山頂に到達。
「生きているうちにこれを見ることができて良かった」というぐらいの絶景だった。
山頂部で休憩する時に場所の選定を間違ってしまった。風の当たらない場所に登山者が集中していたがそれを嫌って風の当たる場所にいたら体を冷やしてしまった。
下山にかかる時も行動食のミックスナッツを少し地面に散乱させてしまったり水の移し替えでアタックザックを濡らしたりでもたもたしてしまったし、レイヤリングも失敗。着ていたダウンジャケットを脱いでしまったが寒かったのでそのまま降りるべきだった。ここでも出発の遅れが心のゆとりを失わせている。
肩の分岐点で慌ててジャケットを着用したがしばらくすると今度は暑くなってしまった。この時期のレイヤリングはどうしようもない。
帰りは雪がかなり溶けていて行きよりも楽だったが「とにかく長い」というのが印象。くたびれはしたが大絶景を見ながらの往復で「お腹いっぱい」状態。これだけ楽しめたのなら「明日は薬師岳、などと欲張らずにおとなしく帰ろう」と決意する(というかそうせざるを得ないような状況にこの後陥るのだが)。
帰りの北ノ俣岳では行きと太陽の方向が違っているので水晶岳方向がくっきりだった。
太郎平小屋でテント受付をしようとしたら受付係がテン場にいるとのことだった。行き違いになるのが嫌なので「どんな服装をしている人ですか?」と尋ねたら「髭面の人で見ればすぐに判る」とのこと。
テン場を目指して歩いていたら前から髭面の人(と連れの人)が来たので「テント受付の方ですか?」と問うたら当たりだった。その場で幕営料を支払って受付終了。
こんな感じで帰着が遅れた場合、黙っていれば幕営料をバックレることもできるのだろうな(自分はやらないけど)。
テントに戻って装備を解く。夕食のモチ入り棒ラーメンと魚肉ソーセージをお腹に詰め込んですぐにシュラフに潜り込む。体がほてったり冷えたりする感覚が押し寄せる。どうもヤバそうだ。
少し眠った後にお腹に違和感。お腹を壊したな。持参していた整腸剤を服用する。
結局その夜は朝までに3回ほどトイレを往復した。山行中に体を冷やしてしまう局面が多かったので夕食がうまく消化できなかったようだ(テン場の水が沢水なのでこれにあたったかと思ったが昨日から飲んでいるので違うようだ)。幸いだったのは夜も晴天だったことと気温が前夜よりも高かったこと。だが、トイレの便座(洋式なのだ)は飛び上るほど冷たかった(笑)。
次回からはこんなことがないようにしなければ。
夜中に何度もテントを出ることになったが満天の星空と富山の夜景、月明かりに照らされた周辺などを味わえたので良しとする。
月曜日
4時前に起床。ものすごく不安だったがお腹の調子は戻ったようだ。荷物を整理してアルファ米のおこわにお湯を注いでよく噛んで食べる。通常は固形スープにもお湯を注ぐのだが今回は白湯だけにする(味付アルファ米もスープも塩分が多いように感じるので)。
テントを撤収して7時に出発。最初は調子が出なかったがだんだん元気になる。今日は穏やかな日和で風も無風に近い。三角点までは暑いくらいだった。
自分の見たてよりずいぶん早く下山終了。とにかく、無事に行程を終えることができてよかった。
備考
・自分がテント泊で使っている大型ザック(オスプレーのeather70)はヒップベルトを外して雨蓋を連結させヒップバッグにすることができる。但し、こいつを作る作業やもとに戻す作業は結構時間がかかり面倒である(慣れたらそうでもないだろうが)。あとはこれをやるときはヒップバッグに重いものを入れない方が良い。いわゆる「腰パン」になってズボンがずり落ちてくる。
・今回、「着干し」に挑戦してみたがかなりの熱量が必要だと感じた(ということはカロリーをしっかり取っておかねばならないということでもある)。そして自分が着用している安物化繊では着干しが完了しても湿った感覚が抜けず、体温が奪われているようだ。と言うわけで・・・。
・つらつら考えるに、投入したり買い替えをすべきものの最優先はダウンパンツやテントシューズではなく、直接肌に触れるアンダーウェアであると判断した。目を付けたのはメリノウール。メリノウールは良いという評判は前から得ていた。
秋山セールを延長している好日山荘で扱っているものなどいろいろ検討したが自分としては安さと品質を備えているモンベルに軍配を上げた。と言うわけでアマゾンでスーパーメリノウールをぽちっとした(ついでにジオラインのブリーフも)。
ウールが良いと思ったのは濡れても体温を奪われないという素材特性のため。
・今回の食糧は下記のとおり。
下記のうち「ミックスナッツ」は、フルーツグラノーラ・アーモンド・カシューナッツ・マカダミアナッツ・乾燥バナナチップスを適当にブレンドしたものである。
なお、行動中はほぼ常時飴を舐めている。
前日夜 おにぎり2個
土曜日朝 おにぎり1個
土曜日昼 おにぎり1個、ミックスナッツ1袋
土曜日夜 山の棒ラーメン、切り餅、魚肉ソーセージ
日曜日朝 尾西のアルファ米(ピラフ)、フリーズドライスープ
日曜日行動食 ミックスナッツ1袋、菓子パン、ソイジョイ2個
日曜日夜 山の棒ラーメン(カレー味)、切り餅、魚肉ソーセージ
月曜日朝 尾西のアルファ米(山菜おこわ)
月曜日行動食 菓子パン、ミックスナッツ3分の1ほど
日曜日の行動食が不足気味で非常食扱いのソイジョイに手を付けたのが計算外だった。こういう点からも非常食は持っていくべきだな。
用意した食糧をほぼ食べつくす理想的な展開だった。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する