雲上の荒島岳へ☆勝原コース↑~中出コース↓
- GPS
- 09:05
- 距離
- 14.0km
- 登り
- 1,347m
- 下り
- 1,407m
コースタイム
- 山行
- 2:46
- 休憩
- 0:04
- 合計
- 2:50
天候 | 1日目;曇りのち雨 2日目:曇りのち晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
勝原コースは雪が繋がるまでは他のレコにもあるようにかなりの泥濘地獄 中出コースはほとんど泥濘なし |
写真
感想
この荒島岳には撤退の思い出がある。荒島岳の登山口の近くの宿泊先に向かうべくサンダーバード号で福井に向かったのは二年前の1月の大雪の日であった。福井市内でも70cmの積雪があり、特急サンダーバード号は福井で運転取りやめとなる。九頭竜湖線は当然のように運休であるが、福井からはバスで移動して、越前大野の旅館に前泊することが出来た。翌日は前日の悪天が嘘のような快晴に恵まれたものの中出からの登山口からはラッセルのあまりの深さに登山口から数百メートルで撤退。勝原登山口まで移動して、先行者のトレースを追うが結局たどり着けたのはしゃくなげ平までであった。
荒島岳に捲土重来する機会を伺っていたが、長男の受験が終わったところで、ようやく長男と共にこの山に登る機会を得る。基本的には日帰り山行の山ではあるが、日帰りかテン泊かと長男に選択権を与えたところ、山頂で朝を迎えたいということだったのでしゃくなげ平のテン泊山行が決まる。コースは鉄道と組み合わせて、勝原から登り、中出コースへと下山する予定とする。前回撤退した中出コースのその先が気になっていたのだった。
下唯野の駅はプラットホームがあるだけの殺風景なところだ。道なりに駅を通り過ぎて、南の坂道を登ると道路脇に広々とした空地があり、車を停めることが出来る。準備を整えて駅に移動するとまもなく九頭竜湖行きの気動車が一両で到着する。つまり列車でも電車でもない。
勝原駅からスキー場のある登山口に向かおうとして東に進むと、道は九頭竜川を渡っていくようだ。駅前の道を左手に進む必要があったようだ。川沿いを歩くと古い林道が現れ、まもなく国道に出ることが出来た。
スキー場の近くに来ると物々しく工事をしている。トンネルを掘っているようだ。入り口の男性が「荒島岳への登山ですか?」と声をかけられる。「はい、そうです」と答えると、「ここを登るとすぐに登山口の駐車場ですから」と案内して下さる。二年前もここを通っているのだが、1m以上もの雪の壁が出来ており、その下に舗装路があるとは思いもしなかった。登山口の駐車場では降りてこられた女性二人組のパーティーが泥濘みが酷かったことを教えて下さる。
登山口からは全く雪がないスキー場跡を登る。前回は完全に雪原が広がっていた記憶しかないが、背丈ほどの高さのある灌木がかつてのゲレンデの斜面には一面に生えている。スキー場の上部に達するとリフトの遺構があるが、前回登った時にはこれが全く目に入らなかったということはこのあたりでは少なくとも2mは雪が積もっていたということだろう。
スキー場から樹林の中に入ると女性達に頂いた情報通り、ひどい泥濘み道となる。足元に注意しながら登って行くしかない。まもなく頭上にはめくるめく山毛欅の大樹が現れるようになる。
登山道には雪が繋がらず泥濘みが延々と続く。登山者が多く往来することが融雪と泥濘に拍車をかけているのだろう。上から降りてきた若い男女の三人組がもうすぐそこで雪になりますよと教えてくれたあたりでGPSを確認するとトトロの木を通り過ぎたところだった。
山毛欅林の林床には笹が目立つ。前回はこのあたりで笹を見た記憶が全くないのだが、これらの笹も雪の下だったのだろう。登るにつれて笹の姿も見られなくなったのは雪の下に姿を消したのかもしれない。壮麗な山毛欅の林に見惚れながら登るうちにしゃくなげ平に到着する。
テントを設営して中に入り込むとまもなく雨がテントを叩き始める。夕食は近江高島で手に入れてきた近江牛の焼肉から始まる。翌朝の好天を祈りながらすぐに眠りに落ちていった。
夜中にテントを抜け出すと数メートル先も見えないような濃厚な霧が立ち込めている。明け方になり再び目が醒めると風に混じって飛来する氷がカサカサとテントを当たる音がする。5時前に出発する予定いたが残念ながら完全に霧の中だ。しかし5時半を過ぎたところでテントの外を見ると何と空が晴れ上がって暁の美しいグラデーションを見せている。
慌てて飛び起きて身支度を整えると早々にテントを飛び出し、荒島岳の山頂を目指す。しかし、先程、テントの中から見たのは幻だったかと思うほどにあたりは白い霧に包まれている。それでも霧の中から次々と姿を現す山毛欅の樹々は何とも幻想的で、それはそれで美しい。
樹林帯を抜け出すとあたりには霧氷の化粧を施された低木が現れる。樹々の彼方では空は淡いパステルカラーのグラデーションを見せ始める。
もちが壁と呼ばれる急登を登りきったあたりでおぼろげながらに霧の彼方に朝日が現れる。ほどなくすると丁度、雲海の上に出たのだろう。視界が晴れたと思った瞬間、一気に琥珀色の光が飛び込んできた。その光の下には茫洋とした雲海がどこまでも広がっており、その上には白山の山頂が顔を覗かせている。すぐにも経ヶ岳の山頂も雲海の中から徐々に浮かび上がってくる。このダイナミックな景色の変化は何とも感動的だ。
中荒島岳からは薄く霧に霞む白い雪稜を進む。先には山頂しかないことは理解してはいるものの、雪稜の先には夢幻の世界へと入っていくような錯覚を感じる。尾根上の樹々にはモンスターのような樹氷が現れる。荒島岳の山頂はかなりの暴風で、それまでの中荒島岳からの登りとはまるで風の強さが違う。残念ながら全ての展望はガスの中であった。
再び中荒島岳に戻ると雲海がだいぶ低くなったようだ、経ヶ岳が雲の上にすっきりと顔を出している。突然、視界が晴れたかと思うと越前大野から福井方面の景色がカーテンを引いたかのように雲の中から現れる。
後ろを振り返ると
もちが壁にさしかかると単独行の男性とすれ違う。その後は続々と登って来られる方々とすれ違う。しゃくなげ平にたどり着いて山頂部を振り返ると山の上の方はすっかり晴れているのであった。
テントを撤収すると下山は中出コースへと入る。中出コースは歩く人が少ないので、トレースがないことを想定してスノーシューを携行してきたのだが、前日にそれなりに人が歩いているようで、しっかりとトレースが出来ていた。スノーシューのトレースはなくワカンかツボ足のトレースのみだ。
こちらのコースも山毛欅の林が続く。山毛欅の立派な大樹は勝原コースの方に軍配があがるようだ。小荒島岳の山頂は随一の荒島岳の展望台と云えるだろう。荒島岳の手前では沸き起こる雲が荒島岳の最後の眺望に名残を惜しむ。
林道と交差するあたりで雪が切れる。雪がなくなると勝原コースのような泥濘みを心配したが、こちらの中出コースは植林地の中の砂礫の多い道であり、全くと言ってもいいほど泥濘みは見られない。
中出の駐車場には数台の車が停められている。すれ違った登山客のものだろう。駐車場を通り過ぎると林道脇では蕗の薹が数多く咲いている。駐車場までも蕗の薹はあっておかしくはないのだが、よくよく考えたら既に摘まれた後なのだろう。しかし、駐車場から下は歩く人はほとんどいないから蕗の薹が残っていたのだと思われる。
樹林を出ると左手には大きく銀杏峰と部子山、正面には越前甲を眺めながら、下唯野駅への道のりを歩く。車に乗り込み、越前大野へ向かう道路から振り返るとすっかり雲のとれた荒島岳が均整の取れた大きな山容を広げているのだった。
越前大野はめぐるところが多い。まずは伊藤順和堂でいもきんつばを入手、次はそのはす向かいの花垣に立ち寄る。この酒造も昔から気に入っているところであり、どの酒にしようかと迷うのだが、今回は山廃純米と蔵元限定の茶木屋を選ぶ。福そばで越前そばに舌鼓を打った後は順和堂の向かいの老舗の味噌店で味噌を求める。
帰りの道すがら、近江高島では座禅草の群生地に立ち寄ると丁度、座禅草は花盛りであった。花というよりは帽子を被った可愛らしい小人のような花に出会うことが出来て家内は大喜びだ。長男はというと車の中でひたすら睡眠を貪っているばかりであった。
JR九頭竜線って勝原辺りでもいい感じなんですね。勝原からはトンネルだから貴重な鉄橋シーンかも。
山頂の祠は寒々しい雰囲気満載ですね。私が登った時は山頂の標識は雪で埋まっておりましたので、積雪は少なそうですが風もあり寒そうです。
中出コースはこの季節、人は少ないものかと想像しておりましたが、トレースは付いていたとのこと。このお山は、勝原からのピストンが殆どかと思っておりましたが、色んなルートを皆さん楽しまれているんですね。
「いもきんつば」いいですね。私は地元の人にお尋ねして、地元のスーパーにて大きな厚揚げも買って帰りました。
味噌も有名なんですか? そうなると醤油も美味しいのかな。甘みのある地方の醤油って美味しいですものね。
さすがはののさん JR九頭竜線にも「いもきんつば」もよくご存じですね。
確かに勝原を越えると延々とすぐに長いトンネルに入ってしまいますね。勝原のあたりでは両側に山が迫ってきて、いい雰囲気だと思います。
中出コースは人が歩いていないことを想定してスノーシューを担ぎ上げていったのですが、日によってはトレースがない可能性があると思います。勝原コースの山毛欅、中出コースは小荒島岳の展望と静けさとそれぞれに魅力があるので、また訪れることがあればやはりどちらのコースも歩いてみたいところです。
味噌はまだ賞味していないのです。豊作だったフキノトウで蕗味噌を作ろうと思ったのですが、前回、八丁平からの帰りで坊村の近くで摘んだ蕗の蕗味噌がまだ残っており、天麩羅にしたので一瞬でなくなってしまいました。
果たして有名かどうかわかりませんが、古びた感じの老舗の門構えに惹かれて店に入ってしまいました。木之本も酒蔵のすぐ近くに有名な醤油のお店がありますね。古い文化が栄えたところでは美味なものが残っている可能性が高いのだと思います。
荒島岳の登山レコはたくさん上がってきても山毛欅の木をクローズアップされたものはそれ程ありません。
勝原コースにそびえる山毛欅は見事ですね!息子さんや奥様と比較できる写真を拝見すると、その大きさに驚きます。
私の唯一の荒島岳山行は、台風迫る秋の日に中出コースをピストンした思い出深いものです。暴風雨の中、ただただピークを踏みに行っただけの、荒島岳だけに正に荒行とも言える悲惨な山行でした。
そんな中でしたので周囲をよく見る余裕がありませんでしたが、中出コースにも大樹とは言えないまでも美しい山毛欅林があったように記憶しています。
ラストから2枚目の写真、猫好きには堪らない一枚です😊まさに座禅を組んでいるかのようですね😆
うりさん コメント有難うございます。
>暴風雨の中、ただただピークを踏みに行っただけの
それはそれで思い出に残る印象深い山行でしょうね。そんな状況で敢えて勝原コースを選ばないのもうりさんらしいですね。
仰る通り、中出コースも小荒島岳の前後は山毛欅の林が続きますが、勝原コースの山毛欅は一見の価値ありだと思います。ただし、ののさんのコメントにもあるように勝原コースは人が間違いなく人が多いと思います。
>ラストから2枚目の写真
さすが、写真のコメントの魔術師の異名をとるうりさん、まさにそうですね。
写真拝見しかけて、いや待てよと感想から拝見しました。もはや文学小説で、出だしからグイッと中に引きずりこまれ、雲海の頭に出た爽快感などすっかり一緒に体験した気になりました。その後に写真を拝見し、さらに印象深く荒島岳を味わえ、一粒で二度美味しく感じました。
私も6年前の春の残雪期に登った時、荒島岳を下りてから小荒島岳に寄り、すっかり気に入りました。ポカポカした山頂独り占めで、荒島岳や白山を堪能したのを思い出しました。越前大野の旨そうな情報メモしときますm(_ _)m
今日の快晴、またどこかの山楽しまれてるんでしょうね。
(uriさんが私のレコに書かれてた、座禅を組むネコ、今頃意味わかりました^^;)
ペワさん コメントどうも有難うございます。そしてほとんど備忘録のような長文駄文にお付き合い下さり・・・最後まで読んでくださる奇特な方は少ないと思うのですが、
荒島岳は越前大野から見上げると小荒島岳が前座に聳えているので小荒島岳の山頂を見上げると麓から見上げるのとはは違う山容をみることになりますよね。
この勝原コースは展望がないのに対して小荒島岳からの荒島岳の展望があまりにも素晴らしいので、ここに立寄るか否かで山行の印象がまるで異なると思います。
本日は銀杏峰と部子山の周回でした。山行は良かったのですが、その後に大変なアクシデントがありましたが、なんとか無事に帰宅しました。車は廃車になりそうです。
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