くじゅう連山 白水〜黒岳〜坊がつる〜三俣〜星生〜久住〜平治〜男池 縦走
- GPS
- 52:54
- 距離
- 34.5km
- 登り
- 3,498m
- 下り
- 3,504m
コースタイム
- 山行
- 6:58
- 休憩
- 0:48
- 合計
- 7:46
- 山行
- 8:42
- 休憩
- 1:05
- 合計
- 9:47
天候 | 晴れ~ガス〜雨〜曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
白水〜黒岳〜高塚山までは倒木や張り出した枝と転石の道で、テン泊装備ではあちこち引っかかってなかなか楽しいルート。大船山の米窪北回りの道は何処が道かわからないほどミヤマキリシマに覆いつくされ、枝をかき分けるようにして進む。星生〜避難小屋の北側尾根ルートはガスが濃いと、思わず崖下に吸い込まれそうなところが何か所かある。稲星〜中岳を南北に結ぶ鞍部から北西へV字の谷を下るルートは土砂崩壊のため通行禁止。少し覗いてみたが、荒れ果ててブッシュに行く手を遮られること間違いなし。中岳〜天狗の途中に石造りの頑丈な池の避難小屋があり、冬季はここにお世話になってもよさそう。ガスっていると、まったく池が見えない。平治岳の東にある1097窪地はソババッケという変わった地名。泥地が乾いてひび割れた様が独特の模様を作っている。 |
写真
感想
くじゅう連山2泊3日(山に興味ない人には苦行レベルの、読むのが疲れるほどの長文)
土曜日に有給をとり、最近無性に行きたくなっていたくじゅう連山にテント泊弾丸登山。
以下、ヤマレコにアップした長文
広島を2:30に出発し、車で5時間の予定が事故渋滞やらいろいろあって6時間弱。白水鉱泉に着いたのは8時30頃。天然に炭酸水が湧き出るということを数日前に初めて知り、受付の若いお兄さん?に声をかけると、おなかの具合でも悪いのか、半分無視。
「水を飲むのにお金がかかりますか?」
「・・・。勝手に飲む分には無料です。」
とりあえずコップに汲んで飲んでみると、うまい×100! 長時間の運転疲れもあったかもしれないが、ほのかに甘みを感じる奥行の深い味。天然の炭酸水というと硬いイメージだが、口の中に優しくきめ細かい炭酸が広がり、食道、胃へとふんわりと広がっていく、”まろやか”としか形容しようがない味わい。
「水を買いたいんですが。」
(目もろくに合わさず、めんどくさそうに)「・・・。そこの自販機で券を買ってください。」
「ここの水、すごくおいしいですね。」
「・・・(完全無視)」
「山に登るのに、ここに車を泊めてもいいですか?」
(ぶっきらぼうに)「奥の黒嶽荘に聞いてください。」
う〜ん、山登りに行って、現地で接触する人にここまで無愛想にされたことは初めての経験。多分すごく嫌なことでもあって、人と話をすることすら苦痛なのだろう。
始めて飲む天然の炭酸水がそんな稀有な経験すら気にならなくなるほど気分を爽快にさせ、車を奥に進めると、黒嶽荘の入り口にスペースがあり、車が泊まっていたので、そこを駐車拠点にして出発。5分ほど歩くと黒嶽荘にたどり着き、”黒嶽登山 シャクナゲ園入口”のアーチが出迎えてくれる。山道に入ってすぐに石楠花の枝の張り出したのや色々な雑木の倒木を跨いだり、くぐったり、すり抜けたり、ゴツゴツとした岩塊との間に身をよじらせたりと、テン泊装備ではあっちこっちに引っかかって思うようなペースが出ないが、全身をまんべんなく使えて楽しい。手つかずの原生林という感じを山全体が醸し出していて、登りだして5分で下界の下々のことは頭の片隅にすら存在できないほどの山没入モードに入る。前岳までの荒れた急登は、火山が多く自然林の宝庫の東北の山々の登りを想起させる。
前岳から黒嶽〜高塚山までは、等高線の軟派な見た目とは裏腹にやはりブッシュと言いたくなるくらいに低木が覆い茂り大小の火山岩がゴロゴロとした道を突き進み、喘ぎながらよじ登るような傾斜が待ち構える。テープがなければ何処をどう歩いても変わらないような地形感で、夏に葉が生い茂っていたら、地図とコンパス無しではテープを見落としたら迷って出れなくなるほど険しく、森深い。
高塚山には人が大勢いて、ここから先の道は今までの道と比べたらハイキングコースと言えるほどよく整備されていて歩きやすい、いわゆる普通の人が歩ける山道になっている。ここから南東の1556天狗岩まではちょっとした岩越を楽しめる。登った後の降りは目印が分かり難いので、うっかりすると違う谷底に下ってしまいそう。特にガスっているときは要注意だろう。
天狗分かれまで戻り、風穴へ向かって下る。ロープを伝って風穴の中へ降りていくと、20人くらいは住めるんじゃないかという大小の空洞がつながっていて、あちこちに木の板が散乱している。下山して男池〜白水鉱泉への道に設置された案内板で知ったのだが、7月末まで氷が残るこの風穴は、大正年間まで、蚕種を保存する天然の冷蔵庫として利用していたとのこと。
ここからどうするか少し迷ったが、少し寝足りないのと長時間ドライブで高塚山までに意外と体力を消耗した感があったので、1150大船山登山口まで降りずに、分岐から南に進んですぐの米窪北側を巻くルートへ取り付く。350mの直登は今日最後の登りだと判っていても、なかなか思うように足が前に出ない。時折振り返っては西日を浴びて燃えるように光り輝く高塚山と天狗岩を眺めて気力をチャージし、一歩ずつ登っていく。米窪を覗けるところまで登ったときにはすでに大船山が米窪に影を落とす位置まで陽が下がっていたが、思わず窪地のそこまで降りて行って探検したくなるような、いや、そこにテントを張ってまったりしたくなるような、何とも言えない光景に、目を奪われ、自然の営みの不可思議にあらゆる些事がどうでもいい気になってくる。
あとは平坦な道をぐるっと半周して降るだけだと思ったら、ミヤマキリシマの枝がびっしりと張り出して体を半身にしなければすり抜けられないような道をせり分けせり分け進み、5分で済む道が15分はかかっただろうか。段原についた時は、大船山避難小屋に気づかず、ブッシュばりのミヤマキリシマをかき分け大船山へ登ろうという気すら起きず、坊がつるへ早く降りてテントを張りたい一心でまっすぐ降りた。最終日に大船山を経由して帰ろうと思っていたが、この時には悪天候でここに立ち寄らないとは思ってもいなかったので、思い返すと登っておけばよかったと思う。
坊がつるキャンプ場はこの時期でもそこそこテントが張ってあり、法華温泉はかなりの客でごった返していた。四方を平治岳、大船山、久住山、星生山、三俣山にぐるりと囲まれたこの高原はシーズン期はテントでびっしり埋め尽くされるというのもうなづける。早々にテントを張り、空腹を我慢してまずは九州で一番高い所にある温泉という法華院温泉に浸かる。硫黄の香りのするいかにも山奥の温泉という感じで、はぁ〜〜〜っという長い溜息を出しながら、じっくりと浸かり、長い長い一日の疲れをたったの500円で洗い流す。夜は豆から作ったというパスタをゆでて食べてみたが、これが大失敗。ミートソースをつけても、スープに入れても、パスタそのものが、鄙びた豆臭く、食感ももっさりしていて、味もなにもかも、「まずい!!!」としか言いようのない、実に残念な夕食になってしまった。いくらタンパク質が補えるとは言え、疲労を回復する重要な儀式である夕食がこれでは翌日の力が出せないというものだ。もうこの手のパスタは二度と手を出すまいと硬く心に誓い、星空を眺めにテントを出る。最初はイワシ雲に覆われていた夜空もだんだんと雲もが晴れ、月が煌煌と照り輝やき、高原のテントを淡く照らし出す。満天の星々が山の稜線から降って落ちて来そうなほど迫り来る様に残念な食事の記憶も薄れてゆく。月明かりの中でも天の川がはっきりと見え、満たされた気持ちで星空撮影を満喫し、月が沈んでからまた写真を撮ろうとシュラフに潜り込む。
近くのテントの人がわざわざこっちのテントのすぐ近くまでやってきてカメラを構えたりぼそぼそと話したりする声で起こされ、デリカシーのない人がいるもんだなぁと、一言二言文句を言いたくもなったけど、せっかくの山の中でお互い嫌な気持ちをしたくないので、自分も星空撮影第二弾に精を出そうとテントを這い出す。月が沈んではいたが、写真に撮ってみると、まだ地平が明るいのが良く分かる。とりあえずは気が済むまでいろいろな設定で写真を撮ってみて、またシュラフに潜り込みウトウトとまどろむ。3時ごろから冷え込みが厳しくなり、薄手のジオラインと中厚のサーモジャケットでは背中が冷えるなぁと思いながら4時ごろまで粘り、再びテントを這い出すと、ちょうど漆黒の闇世に星座が時宜を得たりと言わんばかりに、宝石の如く眩く煌めいていた。寝る前に東の大船山の上に上がっていたオリオンがちょうど反対の西の三俣山に落ちようとしていて、写真に撮ってみるとやはり全く写りが違うのが分かる。
ちょうどオリオンがかかる三俣山の稜線にガスが出始めているのが分かり、御来光は拝めそうにないなと、朝ゆっくりを決め込み、7時ごろ十分明るくなってから出発。三俣山の南尾根直登ルートを登ると、中腹から上は結構岩肌をよじ登るところがあり、ここを下りに使うのは初心者はやめた方が良さそう。三俣山の上の方はガスっているとはいえ、大船山、平治岳の方はガスが晴れたりかかったりと、時折朝日が見え隠れする。ちょうど南峰に着いたころは二日目で一番晴れていたタイミングで、存分に景観を堪能できた。ここから進路を北にとり北峰、本峰、V峰、西峰と辿り、諏訪守越へ下る。石造りの立派な休憩所でレーションを腹にいれ、くじゅう連山で唯一噴煙を上げ続け、黒々とした火山岩の中に酸化して赤く染まった岩石が入り混じった荒地を流れ出した硫黄が白く染め、いかにも荒涼としたむき出しの火山という星生山を登っていく。
北アルプスの火山岩地帯を彷彿とさせるようなゴロゴロとした岩石帯を登っていくとやがて北千里浜の分岐へ出る。ここに着いた時は既に一面ガスに包まれ、視界は10〜20mほど。避難小屋は11月末まで閉鎖中とのことで、ちょうどお昼時ということもあり小屋前の広場は大勢の登山者でごった返していた。地元の野球部の少年達だろう、ユニフォームを着て訓練に来ているようだった。
星生山南側の牧ノ戸への道は馬で駆けたくなるような、どこまでも続くような平坦な道。北側の荒れた岩石地帯とは全く違う表情に少し戸惑いすら覚える。山頂真南直下の登り口に取り付き、途中まで登ったあたりから濃いガスに雨が混じりはじめ、已む無くカメラをザックにしまう。山頂についた時には視界は10mを切り、尾根伝いに北千里へ下るルートは足を滑らしたら崖下に落ちるんじゃないかというようなところが何か所かあり、慎重にルートを選ぶ。標高3000m級のアルプスを歩いているのと同じような気分で、前日からの疲れも溜まっていて、神経は使うとはいうものの、やはり山を歩いている楽しい気分が全てを凌駕し、嬉しくて仕方がない。北千里から久住山へ登るときは黄色いマーキングがようやく見えるくらいガスっていて、黄色という色の視認性はやはり優れているなあなどと一人合点しながら黙々と山頂を目指す。
久住山頂から稲星山へ向かうのに、分岐を間違えて南へ下ってしまったが、地図とコンパスをこまめに見ていたのですぐに気づいて軌道修正できた。少し下っていくと、軽装の登山者が、「牧ノ戸へ行くにはこっちであってっるんですよね?」と聞いてきたので、「牧ノ戸へ行くんだったら、この道は真反対ですよ!」と教えると、地図もコンパスもなく、まったく道が分かっていない状態で、非常に危険な人だった。地図を見せ、丁寧に道を教えるも、地図を見てもピンとこないのだろう、進行方向が真反対だということすら良く呑み込めないようだった。この久住〜稲星への道は赤いペンキのマーキングがあるようだが、来た道を引き返し、北千里へ下る久住別れの分岐まで戻れば黄色いマーキングしかないからそれと分かるはずで、そこから下ってとにかく左を目指してくださいとしっかりと伝える。ガスが出ていなければ一目で位置関係が分かる地形なのだが、視界が10mもないと方向感覚のない人は何処に向かうか全く読めず、非常に危険だ。
稲星から中岳に登るころは気温も低く、絶えず吹き付ける雨混じりの強風で大分消耗していて、早くテン場へ降りて温泉に浸かりたいという気持ちが脳内を占領し始める。一旦中岳へ登った後、最短ルートは中岳分岐から法華院温泉へ下る谷筋ルートだと、引き返すと、土砂崩壊のため通行禁止となっていた。結局北千里まで引き返して諏訪守越へ下らないと時間的にも体力的にも厳しいことが分かり、已む無く久住別れを目指す。登る気もなかったのに、本能からか、染みついた習性からか、池の避難小屋で休憩を取った後、気が付けばわざわざ天狗ヶ城を登ってしまった。晴れて入れば最高の見晴らしなんだろうなあ、と見えもしない周囲をぐるりと見渡し、白いガスの下にきっとあるであろう御池を脳内妄想で透視しながら、オート下山モードに100%スイッチを入れる。雨で岩という岩が滑りペースが出ないのを暗くならないうちにとひたすら歩き続ける。今度は晴れたときに思い切り景色を堪能してやろうとリベンジを誓いながら、温泉に浸かって口から魂が出ていくほどリラックスしている自分を想像しながら、棒のようになった足を動かし続け、防水じゃない手袋にしたのは失敗だったとしみじみ反省しながら、ただただ下っていく。何とか明るいうちにテン場へ戻りホッとし、すぐにでも温泉に浸かって冷えた体を温めいのをグッと堪え、まずは雨でぬれたウエアやギアを手入れし、先に食事をしっかり済ませて体力を回復してから、温泉へ。
夜8時までやっている温泉も7時頃はもう誰もおらず、一人貸し切り状態でルンルン気分。やはり口から魂が抜け出てしまうほどリラックスし、翌日も天候が回復しなければ大船山は諦めて平治岳のみ登り、男池へ下ろうとボンヤリ計画する。風呂を出たころには雨も霧雨になっていたが、やはりレインウエアがびっしょりするほど水分量があり、同じ霧雨でも山の中のはさすがに一味違うなと無駄に感心してしまう。テントに戻り今日は星空も何もあったもんじゃないな、とウイスキーをちびりやり、地図をじっくり眺め、一日を振り返りシュラフに潜り込む。
3日目の最終日はやはり明け方3時ごろから冷え始め、この時期は九州といえどやはり厚手のインナーにした方がいいなと反省しつつ、5時半近くまで粘る。朝一から冷たい雨具を羽織ってトイレに行くのは嫌なので、出発までの我慢を決め込み、朝の食事に取り掛かる。前日ゴアの雨具を羽織ればいいものを、薄手のナイロンのヤッケを羽織って午後丸一日歩いたせいで、相当汗をかいたのだろう、ウエアもびしょびしょになったが、尾西の山菜おこわが塩気の足りない味がして、味噌、塩、梅干しは必需品だと改めて準備不足を反省。とはいえ、今回の山行で初投入した焼き米(干飯)は大正解で、即席の味噌汁や各種汁物にぶっこんで少し煮込むともっちりした雑炊となり、おいしくて腹持ちもよく、体が芯から温まり、秋~冬の定番メニューに決定。何より作る量を調整できるのがすぐれている。
久しぶりの雨の中のテント撤収は朝の冷え込みの中、防水手袋がないとさすがに手が冷えて萎える。まあ、みぞれ混じりの雨の中薄氷をはたきながらのテント撤収に比べれば、可愛いもんだと言い聞かせ、サクサク作業を完了して出発。平治岳への登山道は入り口に石がどっさりと積んであり、「一人一石運動」と立て看板があり、「この先のぬかるみに、石を置いてください」とあった。なるほど歩いてみると、びっしりと石が敷き詰められていて、これは面白くていい試みだなと感心。平治岳はミヤマキリシマのピンクのイメージだが、晩秋のガスと風の中の侘しい佇まいは人を寄せ付けないものがある。大船山の方もそうだったが、ところどころ気の早い個体が花を咲かせていて、モノクロの世界にピンクのアクセントがほっとした気持ちにさせてくれる。スミレも一輪道端に咲いていて、植物というのは実に日照量にその命を預けているんだなと思わせる。平治へ登った後は風が強くて冷たいので足早に大戸越に引き返し、ソババッケへ下っていく。斜面一面に緑のコケをまばらに抱いた白い岩石が埋め尽くしており、この渓が陽を浴びたらさぞかし美しいだろうと、これまた脳内で妄想しながら降る。ソババッケは黒い沼の窪地で、乾いてひび割れた模様が不思議な世界観というか、異世界感を創り出し、思わずじっくりと滞在してしまった。
大分降ったあたりからブナが目立ち始め、かくし水にたどり着く。これまで色々なところで飲んできたブナの森の水とどうも味わいが違い、自分にはあまりおいしいと感じられなかった。火山で土地が痩せているせいなのかよく分からないが、この水でラーメンを作りたいという気にならなかった。男池に下ると、巨大なケヤキが門番を張っていて、思わず唸り声をあげてしまった。男池の水はアクアマリンとでもいうべき青色で、名水というだけあり、それなりにおいしい。それなりに、というのは、美味しいか不味いかと問われれば間違いなく美味しいと答える味なのだが、わざわざたくさん汲んで帰って飲みたいほどの味ではないということ。白水鉱泉の炭酸水とどちらがいいかと比べれば、男池の水を1とすれば、炭酸水は100だ。
男池から車道を通り駐車場へ戻る途中、碁石神社なるものがあり、参拝してみると、勝負事の神様ということで、占いができた。結果は偶数で「後手の先手、待ちに勝運あり、又の時期にそなえて勉学せよ」だそう。
車に戻り、黒嶽荘へ風呂と食事をしに寄ってみた。味わいのある旅館の中に入り、声をかけると、食事の支度にてんてこ舞いのようで、「お風呂は突き当りを左です。女風呂を使ってください。お客さん、女風呂を使って〜!」との返事。女風呂という言葉にときめきを覚えつつ、入ってみると、人一人でちょうどいいくらいの広さで、炭酸水がそのまま注がれた水風呂と、プラダンで蓋をした湯舟がお出迎え。3日間の疲れを全て吹き飛ばすような何とも言えないまろやかで、体中の細胞の隅々まで荷染み渡るような泉質に思わずにやけてしまう。水風呂に入ると、痛いほど冷たく、ぐっとこらえて肩までつかり、慌てて湯舟に戻ると、足や腰の疲れや痛みが回復呪文を唱えられたようにスーッと消えていく。こりゃ病みつきになりそうだなと、十分体を温めて2回目にチャレンジ。やはり湯舟に戻ると、全身の疲れと痛みがスーッと消えていく。3回目は足だけにして、しっかり疲れを取って風呂を上がる。これでたったの300円とは!
食事はできますかと聞くと、裏の方で注文して、とのことで裏手に廻ると、炭酸泉が流れ出てできた川のほとりに趣のある木造りの食事処がこさえてあり、川を背に風流な気分で食事ができる。地鶏定食と小マスの塩焼きを頼むと、2人前はあろうかという地鶏がドンとやってきて、長方形の炭焼きの火鉢でジュージューと焼きながら食す。ご飯をお代わりすると、大きめの飯椀にまさに三角形の山盛りについで、多かったかしら?と聞いてくる。一瞬たじろいだが、さすがに減らしてくださいとも言えず、まあ3日の山籠もりでこのくらい食べれるだろうとそのまま受け取る。地鶏を食べ終わるころに小マスの塩焼きが出てきたが、どこが「小」か分からないくらい立派なマス。結局ぺろりと平らげ、大袋一杯のカボスが100円だったのでお土産に買って帰る。石楠花はいつ頃が見頃か聞くと、4月20日から見頃だとのこと。帰り際にご主人がイノシシを捌くところで、大釜で丸一匹を湯がいたのだろう、皮を剥ぎはじめてすぐに、「こうすると良く(皮が)剥がせるわ」と奥さんに話しかけていた。本当は金曜の夜にこの宿に泊まりたかったのだが、満室だったため諦めたこともあり、ここにはいつか泊まりに来たい。
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