入山者は私一人、渡渉、藪こぎ必至、超不人気な奥只見の山・未丈ヶ岳
- GPS
- 08:25
- 距離
- 10.4km
- 登り
- 1,178m
- 下り
- 1,179m
コースタイム
天候 | 曇り時々晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
未丈ヶ岳は、黒又沢の橋が流失してから渡渉を強いられるため入山者が激減しているようです。従って、渡渉の準備と若干のルートファンティグが必要となります。 登山ポストはないし、携帯も入りません。渡渉が無事終わって尾根にとりつけば道に迷うことはないと思いますが、川の増水を考えて雨の日の入山は厳禁でしょう。 一番近い人家は銀山平ですが、売店、食堂などは一切ありません。翌日の準備をするなら小出の市街に戻った方が無難です。 |
写真
感想
未丈ヶ岳は、日本百名山はおろか、三百名山にも入っていない。
近くには、百名山の平ヶ岳や越後駒ヶ岳などがあるためその陰に隠れてその存在すら知らない人が多い。
関越自動車道の小出ICからわずか30分ほどで登山口に着けるというのに、この夏休み期間中の日曜日、登山者は私一人きりだった。
この不人気の理由は、数年前の豪雨で登山道の橋が流失してしまい、数回の渡渉を強いられるためのようだ。
再建の見込みは一切ないのに迂回路の案内もない。
登山口に「黒又川の橋流失」の表示があるだけだ。
橋の先にある従来の登山道に至るまでは必然的にルートファンティングが必要になる。それに人が入らないので登山道の草木は伸び放題。
山頂手前の1時間ほどは藪こぎを強いられるありさまだ。
このままでは数年先には登山道は消滅してしまい入山できなくなってしまうかも知れない。
この山の登山口は、奥只見シルバーラインのトンネルの中の避難シャッターを開けて外に出ると登山口がある。
誠にユニークなスタートである。
駐車場には1台の車も止まっていない。
あまり天気は良くないが雨の心配はなさそうである。
今回は渡渉用に地下足袋を用意した。
登山靴をザックにくくり付け地下足袋姿で出発した。
藪を漕ぐようにして歩き出すとガイドブックには説明されていない小さな沢に下りる。
向かい側の土手にフィックスロープが垂れ下がっているので、これで向かいの尾根に登るのかと思いきや、ヤマレコ記事ではこのルートは間違いだと書いてある。
ではちょっと沢を下ってみようかとバシャバシャと沢の中を歩いたらすぐ右手にしっかりとした登山道が見つかった。
これが本道である。
ここまでは別に無理に沢の中を歩かなくても行けるが、そこは地下足袋の強みで気持ちよく水の中を歩いた。
尾根の先を巻くようにちょっと歩くとナキ沢の右岸に出るのでフィックスロープがある向かい側に渡る。
ここは飛び石で渡れそうだが迷わず水の中に入る。
冷たくて気持ちがよい。
しばらくナキ沢の左岸の林の中をを歩くと右手にナキ沢へ下りる道がある。
ステンレスの鎖を伝わって左岸に下りると向かい側の土手にも同じような鎖が掛かっているのが見える。
ここの渡渉も飛び石で渡れれそうだがちょっと足場の石が足りそうもない。
流れもちょっと急である。飛び石があろうがなかろうが地下足袋には関係ない。
浅瀬を選んで難なく対岸へ渡る。そのまま向かいの鎖を伝わって山腹へ登る。
今度は黒又川沿いに平らな道が上流にのびている。
左下の流れの中に流失した橋が引っかかっていた。
橋が架かっていた地点まで行ったが、この付近には岸辺に下りる道がない。
第一この付近は深くて流れが急なので渡渉は不可能である。
ヤマレコ記事にあるように、若干戻って下降地点を探すとそれらしき踏み跡があった。
流失した橋の橋脚が流れの真ん中に取り残されている。
どこにもテーピングは見あたらないが、ここが渡渉地点に間違いないと思われた。
川幅は多少あり流れも強そうだったが水深は膝くらいで意外と楽勝で渡れた。
しかし、ここは雨後の増水だけは気を付けないといけないだろう。
何せ、高さ10メートルほどのコンクリート製の橋が流されてしまったくらいだから。
地下足袋を登山口に履き替え、灌木の繁る藪の中を上流(本来の橋があった方向)に向かって歩いていったら明瞭な踏み跡があり、間もなく本来の登山道へ出られた。
ここまでくればあとは迷うところはない。
尾根道をずっと歩けば山頂にたどり着くはずである。
登り始めるとまもなく展望が開け、右手の谷の奥に、明日登る予定の荒沢岳が、鳳が羽ばたくような山容を見せている。
いますこし登ると荒沢岳の右手に残雪の抱いたどっしりとした大きな山が見えてきた。
どこの山だろうかと考えたら、どうやら越後駒ヶ岳のようだった。
稜線続きには中の岳も雲の合間に見え隠れしている。
いずれは登らなくてはならない山の一つだ。
尾根の行き着くところに未丈ヶ岳の山頂が見えているがすごく遠い。
あと何時間歩けばあの頂に立てるのか、ちょっと気が遠くなるような遠さである。それでも順調に歩いて974mの三等三角点ピークに着いた。
山頂がぐっと近くなったような気がする。あと2時間半である。
一旦松の木ダオまで下ると山毛欅の綺麗な歩きやすい登り道となる。
大きな山毛欅が見所だが、幹に心ない登山者が掘った落書きが目立つのが残念である。
この山毛欅の林が終わると、いよいよ最後の急登になるのだがここからが大変だった。
登山者が少なくなったお陰で下草が伸び放題なので足下が見えない。
この藪こき状態が1時間近く続けたら勾配が緩やかになり、ネマガリダケに囲まれた小さな山頂に飛び出した。
真ん中にちょこんと二等三角点がある。
山頂を示す標柱も風雪でかなり傾いている。
ものの本には「360度の展望だ」と書いてあるが、さっきまで見えていた周囲の山はことごとく霧の中に隠れてしまい、今日の展望はゼロ。
おまけにネマガリダケの背が伸びて、こちらも背伸びをしなくは周囲が見渡せなくなっていた。
「山頂でお昼を」と思って食事を引き延ばしてきたので、ここで昼食にすることにした。
ちよっと気が引けるがベンチもないので三角点を腰掛けにして定番のお稲荷さんを頂いた。
お昼にお稲荷さんというのは、数年前に北海道羅臼岳に登ったとき、山頂で一緒になった方にもらったのがきっかけだ。意外とバテているときでも喉を通るので、以来、山でのお昼用に必ず持って行くようになった。
何も見えない山頂ほどつまらないものはない。
雲の切れ間から時々見える奥只見の山々もどれが何という山だかさっぱりわからない。
そのうち、守門岳、浅草岳、会津朝日岳あたりを登ろうかと思っているのが・・。
いつもなら下りで時間を稼ぐのだが、ここの下りは手強い。
何せ足下が見えない藪なのでそろりそろりと足場を探りながら歩くのだ。
それでも数回、枯れ草に隠れた木の根っ子やネマガリダケに足を取られて滑った。しかし、山毛欅林まで来ればもうこっちのものだ。
快調に下って渡渉地点まで戻り、再び地下足袋に履き替えて川を渡り、駐車場に戻ったのは午後4時過ぎ。
広い駐車場に私の車だけがぽつんと人待ち顔に止まっていた。
どうやらこの日は釣り客も来なかったようで、夏休み期間中の日曜日だというのに、ここに来たのは私だけのようだ。
何と人気のない山なのだろうか。
明日は荒沢岳に登る予定だが天候がいまひとつパッとしない。
午後の天気予報では、晴れ時々曇り一時雨とまったくあてにならない天気予報だ。
明日の予定は朝起きてから決めることにして、とりあえず小出の町へ戻ってゆーぱーく薬師温泉で汗を流し、食料を調達したら荒沢岳登山口の銀山湖畔へ行くことにした。
明日のことは明日にならないとわからないから。
そのほかの山の記録は、私のHP「蝸牛の足跡」で見て下さい。
コメント
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蛇20匹に驚きです。それだけは出会いたくないと早めに行ったのですが、それでも出たので、きっとたくさんいるのだろうなあと思わされました。
徒渉から尾根に取り付くまでが分かると、安心ですね。
私が行った頃よりいっそう薮が大変そうな様子に見えますね。
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