大河の一滴が生まれる荒海山(太郎岳)
- GPS
- 05:45
- 距離
- 8.8km
- 登り
- 744m
- 下り
- 744m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2013年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
登山口の八総鉱山跡付近には道幅が広くなったところがあるので適宜駐車できます。 登山ポスト付近まで林道になっていますが、かなりぬかるんでいるし、道幅も狭いので、手前にとめた方が無難です。ポストまで歩いても10分くらいですから。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
○ 登山ポストは林道の終点にあります。 ○ コース全般、歩きにくい場所ありますが、特に危険な場所はありません。 標識もしっかり付いているので迷うことはないでしょう。 ○ 地元の山岳会が登山道の笹を切り払ってくれたので藪漕ぎはありません。 ○ 頂上付近の稜線は、左側が切れ落ちているので気をつけましょう。 ○ 福島県側の山頂から三角点ピークへの道は笹が覆いかぶさっているので 足下をよく見て行けばたどり着きます。 |
写真
感想
荒海山は、福島県と栃木県の県境に位置する標高1580mの山で日本三百名山に数えられている。
この山に降る雨は、福島県側に流れれば阿賀野川となり日本海へと流れつく。
栃木県側に流れれば鬼怒川となり、やがては利根川と名を変え太平洋へと注ぐ。
流れを東西に分ける分水嶺なのだ。
かねてから登りたい山ベストテンに選出していた山なのだがなかなか登る機会がやってこない。
10月に入ってそろそろ紅葉が始まっているのでは、と期待して、他の山を後回しにして荒海山へ行くことにした。
台風の時期でもあるので仕事を調整して4連休にし、
そのうちの天気のよい日に出かけるつもりだったが初日から大荒れの天気予報。
天気の回復を待っていたが、やっと3日目になって
雨マークが曇りに変わったので、とにかく出かけてみることにした。
荒海山は、登降時間が6時間くらいだし、この日は、南会津の温泉付き道の駅「きらら289」で車中泊する予定なのでそんなに早く家を出る必要はなかった。
しかし、山に出かける日というのはどうも早く目が覚めてしまう。
3時半に起きる予定だったが3時には目が覚めてしまったので、
そのまま出発することにした。
東北自動車道、西那須野・塩原ICから塩原温泉を抜け、
野岩鉄道鬼怒川線の会津高原駅前を通り、
登山口の八総鉱山跡の登山口まで約4時間で着いた。
登山ポストのあるところまで何とか車で入れそうだったが、
道が相当ぬかるんでいるので、みなさんが止めている駐車スペースに並んで止めた。
先客は4台いたが、登山準備中にさらに2台きた。
駐車場所から登山ポストまではほんの10分くらいだ。
ごついタイヤを着けた4駆が1台、路肩にとまっていた。
ポストの先にコンクリート堰堤があり、どこに泊まった人たちなのか、
3人のおばさんハイカーが遊んでいた。
しばらく、荒れた林道跡を歩くと林道の終点で沢を渡ることになるが、
ここは飛び石伝いに難なく渡れる。
登山道は、渡った先の枝沢沿いの道を登る。ここからやっと山道らしくなった。
どんより曇っていた空がにわかに晴れだし、時々日差しも出るようになった。
朝の気温が10度でやや寒さを感じたが、この沢沿いの道はまったく風がなく、
止めどもなく汗が噴き出てくる。
沢から離れて尾根に取り付くころはすっかり青空が広がり、
思わず「やったね」と一人で合点する。
フィックスロープが垂れ下がった急坂を登り切ると尾根に飛び出す。
尾根の反対側から強風が吹きつけていた。山が唸っている。
噴き出た汗がさっと引き体が冷えていく。
尾根に出たらゆっくり休もうと思っていたがとてもとても休憩どころではない。
いま登ってきた側にちょっと戻ると風がなく日だまり状態だ。こちら側で休むことにした。
しっかり準備したはずなのに、今回はゴアテックスの雨衣が入っていなかった。
予備のポンチョをザックに入れてきたが、この強風ではポンチョは役に立たないだろう。
雨が降らないこと、風が収まることを期待して稜線に戻った。
風があるもののここの稜線は気持ちがいい。
アップダウンも少ないし、ブナやクヌギの巨木が目を楽しませてくれる。
しかし、そんな尾根歩きも長くは続かなかった。
徐々に木の根が張り出した、歩きにくい道に変わってきた。
大きな根っこや倒木を、跨いだり乗り越えたり、
時にはよじ登ったり、歩きにくいことこの上もない。
木々はまだ葉をつけているので展望もきかない。風も強い。
空は再びどんよりと曇ってしまった。
面白味の乏しい尾根歩きが続く。
勾配も急になってフィクスロープのお世話になりながら登り詰めると山頂へ続く、展望が開けたやせ尾根に出た。
地元の山岳会が、登山道にはみ出したクマザサを切り払ってくれたので歩きやすい道が山頂まで続く。
ただ、このやせ尾根は左側が絶壁なので雪のある時期はちょっと怖い場所になるだろう。
大きな段差を乗り越えたら南陵小屋に出た。
山頂はこの小屋のすぐ裏だった。
思ったより狭い山頂には、荒海山の看板と「大河の一滴ここに生る」の石碑が建っていた。
風も強いし空は真っ黒。
目の前の山々も黒く沈んでいる。
燧ヶ岳、日光連山、高原山あたりはすぐにわかったがその先がよくわからなかった。
山頂が二つに尖った山はどこだろう。
雲がかかった山並みはどこだろう。全然わからなかった。
それより空模様が心配で、いまにも雨が降ってきそうだった。
三角点のある栃木県側の山頂を見てこようと、笹藪についたか細い道に踏み込んだ。
福島県の山岳会もここまでは手が回らなかったのが、手入れがなされていない、
消え入りそうな道をたどって三角点ピークへ着いた。
わずか5分くらいの距離だった。
山頂には栃木県側の呼び名の「太郎山」の標識が立てかけてあった。
福島県側の山頂に戻ると単独行のおじさんが到着したところだった。
三脚を車に忘れてきたのでこれ幸いとばかり、このおじさんに記念写真を撮ってもらった。
相変わらず風が強いのでのんびりお弁当を広げるわけにもいかないので南陵小屋で休むことにした。
3畳ほどの小さな小屋で、テーブルと荷物箱(中は見ていないが)があるだけだ。ちょっと湿気ぽいが、しっかりした造りなので緊急時には十分役に立つだろう。
定番のお稲荷さんのお昼だが、セブンイレブンのお稲荷さんはちょっと味が薄い。下界で食べればちょうど良いのかもしれないが、山で食べにはもう少し濃いめの味の方が美味しく食べられる。
テルモスに入れてきた暖かいお茶で体を温めていたら騒がしい登山者がやってきた。
小屋からはその姿は見えないが、先行した男性が「小屋に着いたぞ」
「山頂はこっちだぞ」などと大声で仲間に声をかけている。
食事が終わったらもう一度山頂へ行こうかと思っていたが、
狭い山頂で騒がしいグループと一緒になるのはごめんなので入れ違いに山を下りることにした。
明日登る予定の七ヶ岳の山頂は雲に隠れてしまった。
強い風に乗って時折、霧のような雨が顔をなでていく。
明日の天気は大丈夫だろうか。
「まあ、今夜は温泉に入ってゆっくり寝て、明朝、天気が悪かったら温泉巡りをして帰ればいいや」と気楽な気持ちで荒海山をあとにした。
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