盛夏の花残る大朝日岳(古寺鉱泉ピストン)
- GPS
- 32:00
- 距離
- 17.5km
- 登り
- 1,666m
- 下り
- 1,656m
コースタイム
- 山行
- 6:30
- 休憩
- 4:10
- 合計
- 10:40
過去天気図(気象庁) | 2014年09月の天気図 |
---|---|
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
道は良く整備され、特に危険な個所はない。 |
その他周辺情報 | 下山後、川西町りんご温泉に立ち寄る。料金も300円と安く、展望も良い。湯船にリンゴが浮いているのが珍しい。 |
写真
感想
登山道は古寺鉱泉・朝陽館の裏手を回りこむように、電光型に登って行く。
昨夜の朝陽館の泊り客は15人ほどだった。ほとんどの人達が、既に小屋を出発していた。
それにしても、昨夜の朝陽館の夕食は、良かった。岩魚の塩焼き、ミズ、ゼンマイ、ブナハリタケなど、地物の素朴な山菜尽しが食卓に並んだ。ご飯も、美味だった。
霧が立ち込める中、尾根に登りついた。空を見上げると、明るさが増し、やがて霧が上がり、青空ものぞきそうな予感がする。
尾根に取りついてすぐ、女性2人のパーティーが追いついて来たので、道を譲る。途中、登山道脇にブナとヒメコマツの巨木が寄り添うように密着して生えている珍しい光景を目にした。「合体の樹」という表示がしてあった。
灌木の中の緩登がひたすら続く。道は整備されていて、登りやすいのだが、すぐにも晴れると思った霧は、いっこうにあがらず、しかも、風がないので、蒸し暑さが募り、いささかうんざりして来た。日帰り組だろうか、何組かの登山者に道を譲った。
この古寺鉱泉からのコースには、山頂までに、一服清水、三沢清水、銀玉水(ぎんぎょくすい)と水場が3か所もあり、それが適度な距離に配置されているので、水を沢山持っていく必要がないので、助かる。
小朝日岳の登り口まで来ても、霧は相変わらずなので、山頂を経由しても、景色は望めないと思い、相棒と相談して、巻道を行くことにする。相棒は5月の雲取山以来の山登りなので、そろそろ足にきているようで、少しきつそうな様子だ。
11時20分、銀玉水までやって来た。宿の人の言う通り、この銀玉水、冷たくで実においしい。伏流水となって湧いているから、とりわけ旨いのだという。大朝日岳避難小屋には水場がないので、ここで今日と明日の分の水を補給していく必要がある。
水を詰めたために急に重くなったリュックを背に、小屋への最後の急登が始まった。すると、霧が不意に晴れて、目の前に大朝日岳の姿が大きく立ち現われた。小屋も見えてきた。大朝日岳の稜線には、何人もの登山者が登り下りしているのが見えた。
小屋に着いて、しばらく休んでから、ガスの晴れ間を見て、大朝日岳に登る。山頂までは10分ほどで着いた。
山頂は雲海の上にあった。雲の海の中に、鳥海山、月山、蔵王連峰、吾妻連峰、会津磐梯山、そして飯豊連峰が、まるで島のように浮かんでいた。あまりの絶景に、山頂をなかなか立ち去り難い。
小屋に戻り、夕食時、持参したビールを、どうしても冷やして飲みたいということになった。中岳への縦走路の途中に金玉水(きんぎょくすい/決して他の読み方をしないように…)という水場があり、その近くに雪渓が残っている。その雪でビールを冷やせば、限りなく旨いに違いない。冷えたビールへの執着が、疲労に打ち勝った。
金玉水まで下ると、何とそこには、盛夏に見られるような花々が咲き誇っていた。ニッコウキスゲ、タカネマツムシソウ、ヨツバシオガマ、その他、名前は分からないが、8月初旬に見かけるような花々が谷を彩っていた。ビールに釣られて、やって来たおかげで、素晴らしい花畑を目にすることができた。
小屋は平日にもかかわらず、ほぼ満杯状態だった。しかし、日が短くなったせいもあるのか、6時過ぎにはほとんどの人が寝袋に入り、寝息を立て始めた。
翌朝。
期待した通り、晴れた。御来光を見に、再び山頂を目指す。雲海の上に突き出た大朝日岳山頂からの眺めは、何度登っても、その展望に圧倒される。雲海の高さがが昨日よりも、低いせいで、月山、蔵王、吾妻、磐梯山、飯豊の山々が、より大きく鮮明に眺められる。そして、中岳、西朝日岳、寒河山、以東岳と連なる朝日連峰の全容も朝日に照らされて、遠く連なっている。どこか飯豊を思わせる、この光景は、いつまで見ていても見飽きない。
下山路は、来た道を帰った。下りのクライマックスは小朝日岳だった。登りの際には巻いた小朝日岳は、山頂を経由することにした。小朝日からの大朝日岳、そして朝日連峰の眺めも素晴らしい、の一言だった。
その景色を目に焼き付けて、あとはひたすら下った。三沢清水から下は、霧が出て、それが却って、涼しさを呼び、暑さを免れて歩くことができた。
11時ちょうどに古寺鉱泉の登山口にたどり着く。朝陽館には臨時休業の札が掛かっていた。
実は、今から28年前の1986年、今回同行した相棒と朝日連峰を縦走したことがあった。あの時は、朝日鉱泉から登り、鳥原山、大朝日岳を経て、西朝日岳、寒河山、以東岳と縦走し、大鳥池に下山した。あの時も、途中、大朝日小屋に1泊した。しかし、28年前の記憶はほとんど失われ、わずかに覚えているのは、小朝日岳の上り下りのきつさと、銀玉水の絶品の冷たさと、旨さくらいだ。
今回は、その失われた記憶を上書きして、新たな思い出を作ってくれたような、心に残る山旅だった
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