鹿島槍ヶ岳〜八峰キレット手前で転落・ヘリで下山
- GPS
- 09:11
- 距離
- 12.1km
- 登り
- 2,029m
- 下り
- 881m
コースタイム
- 山行
- 8:26
- 休憩
- 0:44
- 合計
- 9:10
天候 | 晴れ時々ガス |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2023年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
|
コース状況/ 危険箇所等 |
【鹿島槍ヶ岳(南峰)まで】 一般的な登山道で、危険箇所はありません。道迷いの懸念もないでしょう。 【鹿島槍ヶ岳(南峰)以降】 南峰を超えると急に険しいルートになります。八峰キレットの核心部は鎖や梯子が整備されおり、注意深く進む必要があります。踏み跡はわりと明瞭なので、道迷いの懸念もあまりないと思いますが、岩場で進むべき方向を間違わないように注意が必要です。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
ゲイター
日よけ帽子
着替え
靴
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
ファーストエイドキット
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
カメラ
ヘルメット
|
---|
感想
八峰キレット核心部の手前で転落して骨折(のちに判明)、ヘリに収容されて下山することになりました。主に事故後の状況になるので事故対策にはなりませんが、忘れる前に経緯を残しておきたく、記録しておきます。基本的に時系列順ですが、若干前後しているところもあります。
【事故発生】
鹿島槍ヶ岳から八峰キレットを越えて五竜岳に向かう予定で登山開始。キレット小屋の見えるところまで順調に進んでいたのですが、八峰キレットの核心部の手前で転落してしまいました。ちょっとイヤらしい感じのところで、体勢を前後入替えようとしたときにザックに振り回され、岩を掴んでいた手が離れて転落。幸い、下にやや広い登山道があって(それがわかっていたからの油断)、一回転して止まったので命は助かりましたが、2回転していたらやばかったかもしれません。たかだか1m程度の滑落ですが、転落時に右脇腹を強打しました。頭も打ちましたが、ヘルメットをしていたおかげで助かりました。普通に丁寧に行けば問題ないようなところでしたが、ここまで特に怖い思いもなくスムーズに来ていたので、油断があったのだと思います。
【ガイドさんの救護】
吃驚はしましたがさほど大事に思わず、立ち上がってザックを背負ってみたら、脇腹の打撲が思った以上にキツく、特に降りの左足で踏ん張ると痛みます。これはもうちょっと休んで回復してから行こうと、登山道脇で休憩。休憩中に、ついさっき追い抜いたツアーの方々に追い着かれました。最初は笑顔で見送っていたのですが、最後のガイドさんのところで「転落したんですよ」と弱音が出てしまいました。今思うと心細かったのだと思います。「脇腹が痛む」と言うとテーピングで応急処置をして下さり、多少マシになりました。そしてそのまま小屋まで付き添っていただけることに。前屈みで歩くようにとのアドバイスも頂きました。大変有難かったです。
【キレット小屋で様子見】
降りで痛むのは変わりませんが、八峰キレットの核心部は問題なく通過して、なんとかかんとかキレット小屋に到着。取り敢えずチェックインしましたが、先ほどのガイドさんがキレット小屋駐在の遭難対策協議会のA島さんに話を通して下さっていたようで、A島さんに事情を説明。痛むところを確認して取り敢えず湿布を貼っていただき、様子を見ることにしましたが、どんどん痛みが酷くなってきました。じっとしておくのがよろしかろうと寝転んでいたのですが、一旦寝転ぶと次、起き上がるのが非常につらい状況になってきました。仰向けでないと痛むし、寝返りなんて無理無理で、身動きが取れません。周りの方々もおっしゃっていましたが、事故直後はアドレナリンが出ていて痛みを感じないだろうとのこと。痛みを堪えつつなんとか起き上がって、座っているのが一番ラクでした。
【救援要請】
当初は一晩様子を見て判断することになっていましたが、A島さんが見かねたのか私が知らないところで警察と連絡されていたのかはわかりませんが、救助要請をしてはどうかと提案されました。この状態で明日、安全に下山できるとは到底思えない状態になっていたため、素直に救援要請をお願いしました。基本的にこちら側で判断してお願いする必要があるようです。で、A島さんが無線と携帯電話を駆使して長野県警に連絡してくださり、ヘリを要請。天候次第なのでいつ飛ぶかわからない状況でしたが、幸い好天だったため、来ていただけることになりました。この時点でかなり安心しました。ヘリ搭乗にあたってザックの外にあるモノは全て中に入れるように言われましたが、それは全てこちら側でやらないといけません。何かあった場合責任問題にならないようにとのことでしょう。
【人定(じんてい)確認】
ヘリ要請に先立ち、氏名、生年月日、住所はもとより、転落場所・時間・状況等の詳細、痛む場所、登山届けの有無、当初の予定、遭難保険加入の有無、登山歴(夏と冬それぞれ)等を詳細に尋ねられました。もちろん、嫌みで書いているのではないことを明記しておきます。下山後も警察から同じことを何度も尋ねられるかもしれません、とアドバイスされましたが、結果的に数回、電話で短いやり取りがあっただけで、A島さんからの情報で概ね、コトは済んでいたようです。A島さんは常に親身になってこちらの様子を確認してくださり、不安にならないように気遣っていただきました。
【ヘリ下山】
ヘリが来ていただけることになったため、小屋裏のヘリポートに移動。とは言えすぐに来るのではなく、まだ飛び立っているわけではないとのこと。準備ができたら無線でA島さんに連絡があって、ようやく離陸時間と到着時間が判明。その後もA島さんが天候や風向風力等の情報を無線でやり取りされていました。その間、A島さんからヘリ到着時の注意点や乗り方等をうかがいました。雑談をしたりしているあいだにヘリ到着。A島さんにお礼を言う間もなく、ホイストで釣り上げられてヘリに収容。松本の相澤病院に搬送されました。なお、ヘリの中では今回の顛末をツイッターやらyoutubeに載せていいかとか、動画とか撮っているが報道してもいいかなどを確認されました。個人情報はわからないようにするとのことで、特に問題もないのでOK。ちなみに翌日、長野県のとある放送局のホームページに記事(写真等は無し)が載っているのを偶然見つけましたが、数字がちょっと違っていたりして(~_~;)
【退院】
病院にて問診、触診の後、CTとレントゲン撮影とエコー。結果、11番目の肋骨骨折とのことでした。CTを見せてもらいましたが、見事に折れていました。幸い、脳や内臓には出血が見られないとのことで、痛み止めの点滴と座薬で退院。何とか近くのホテルを確保できたので、とぼとぼ歩いて向かいました。前屈みでゆっくりゆっくり歩いていたので、知らない人が見たら本当に「とぼとぼ」歩いているように見えたことと思います。長い一日になってしまいました。帰宅後、脇腹を見たら内出血で広範囲に赤黒くなっており、そら痛いわなぁ、と。
■8/28追記:地元の整形外科で再度診てもらったところ、11,12番目の肋骨と、1〜4番目の腰骨横突起を骨折していました。トホホ・・・
■10/14追記:地元の整形外科でレントゲン撮影して回復具合を確かめているところですが、先週の診察で、新たな骨折部位が発見されました(~_~;) 結果、肋骨の骨折は8〜12番目の合計5本。レントゲン写真を見たところ、8番目は素人目にも結構ガッツリと折れてる(~_~;) なんでこれが今までわからなかったのかな(~_~;) しかも全然仮骨形成してないし、完治はいつになることやら(~_~;)
【最後に反省】
生きて帰ることができたのはラッキーだったとしか言いようがありません。自分ではあまり怖い思いをした実感が薄いのですが、冷静に振り返ると死の一歩手前だったと思います。慢心することなく、常に緊張感を保って山に向かいたいと思います。今回はヘルメットに助けられた部分もありました。自分にできることはできるだけやっておくことも大事だと思いました。
大変でしたね (^_^;)
でも本当に命が無事で良かったです
ネット記事にて鹿島槍で滑落事故との情報を何本か読みましたが、すべからく「10m滑落した男性を通りかかった登山者が発見」と書いてありました
全然事実と違うじゃん!やっぱり報道を鵜呑みにしてはいけませんね!
てか、その記事の当事者があめちゃんだったなんて超ビックリです!
兎にも角にも、ご無事で良かった!
助けてくださった皆様に感謝です!
骨がくっつくまでお大事に (^▽^)ノ
まいど(^^)/ 自分でも吃驚です(笑)
いやはや、命あっての物種、足が付いた状態で帰還できて本当によかったです。油断大敵です。以前から、奥様にも会社の人にも「見た目と違って結構鈍くさい」人認定されているので、これからも謹んで気を付けようと思います(←山登りをやめようとはこれっぽっちも思ってない)。今回、助けてくださった方々には本当に感謝の気持ちしかありません。
さて、ネット記事、1m転落じゃ緊迫感がないからゼロ一つ付けとけ、って感じでしょうかね???こちらとしては、たかだか1mでも打ち所次第で酷いことになるよ、死ぬかもしれないよ、ってことを報道してほしいと思いました。実際、1mの高さから無防備な状態で腹ばいや仰向けで落ちるところを想像してもらえたらと思いますね。ちなみに現場は、10mも落ちたら誰にも見つけられずに死んで行くような場所でした。
今回の件は本当に助かってよかったと思っています。これからは、これまで以上に気を付けて山に向かいたいと思います。
KASHITAKUと申します。いつもレコ拝見しております。
今回の事故、本当にお悔やみ申し上げます。命に別状がなく本当に良かったですね。
初めてのコメントがこんな形になるとは夢にも思いませんでした。レコを見てビックリした次第です。
私どもバンザイ登山隊で、つい先日八峰キレットを含む後立山縦走してきたばかりだったので、この事故のについては、隊の中でも話題になっておりました。年齢も近いことから、他人事ではなく明日は我が身だと皆で戒めあっていたところです。
お怪我が回復されたら又登山再開されると思いますが、お互い安全登山を肝に銘じて山行しましょう❗️
はじめまして(^^)/ コメントありがとうございます。
こちらこそいつもバンザイ登山隊のレコ、拝見しております。
KASHITAKUさんは唐松から2泊3日で通過されたんですよね。
本当に吃驚です。
今回対応してくださった遭対協の方が仰っていましたが、なぜこんなところで、って言うところで転落したりすることが多いようです。自分もそうだったのですが、危険なところではむしろ緊張を強いられるので、「なぜここで」って言うところで気が緩んでいるのかなと思います。そして、緊張を強いられるところだと助かっていないので、助かった人の言だと、そうなっちゃうんでしょうね。
今回のことを他人事にせず、戒め合える仲間がいるのは素晴らしいことだと思います。KASHITAKUさんも、どうぞ安全に登山を楽しまれてください。私ももちろん、10月の予定を考えているところです(笑)
初めましてですが、大変な所で大変な目に遭って😰しまいましたね💦
数年前、テント二泊で扇沢駅から唐松岳迄行って八方のロープウェイで下山しましたので、現場の状況はある日程度分かります💦アソコで10mも落ちて助かる訳が無いと思いましたが(´・ω・`)❔
そういう経緯だったのですね🙏😭報道を丸ごと信用出来ないのを再確認しました( >﹏< *)💦
かくゆう私も昨年の今頃、地元の山で滑落し右足首を骨折‼️同行者や救助隊のお陰で夜を過ごし、翌日防災ヘリで救急搬送されました🤣💦
現在その時折れた骨も固まったので 接合プレートを外す手術で入院してます(*^^*)(笑)
同じような体験記を見つけたので👀コメントさせて頂きました、山ではないですが、転んで助骨にヒビが入った時の痛み😭を思い出しました💦( >﹏< *)助骨が折れたのなら アレの何倍かと思うと息が詰まりそう(・・)💦?
お大事に😌💗🍀して下さいm(_ _)m
はじめまして(^o^)/ コメントありがとうございます。
テン泊装備であそこを降るのはなかなか怖そうですね。あのときは登ってくる人とすれ違いましたが、それはそれでヘロヘロで大変そうでした(^_^;)
肋骨骨折は見た目何ともないですが、本人は大変ですよね。自分は横向きに寝る派なので、未だに仰向けにしか寝られないのが辛いです。寝返りも打てないし、ちょっとしたクシャミでも痛いし。あと、満員電車は恐ろし過ぎて乗れません(~_~;)
nekojigenさんも山で骨折されたんですね。この時期だったら夜は結構寒かったんじゃないでしょうか。横に人がいてくれるのは、それだけでもすごく心強いですよね。自分はソロだったので、もし人目に付かないところまで転がっていたらかなり辛かっただろうと思います、って言うか、あそこでそんなことになっていたら死んでますけどね(~_~;)
ようやく完治?とのことで、おめでとうございます。自分はもうしばらくかかりそうですが、お互い、これからも十分注意して山行を楽しみましょうね。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する