南アルプス鳳凰山〜薬師岳から観音岳へ〜
- GPS
- 32:00
- 距離
- 19.7km
- 登り
- 1,771m
- 下り
- 1,771m
コースタイム
横須賀出発(2:55)夜叉神峠登山口(5:55〜6:30)夜叉神峠(7:55〜8:05)
杖立峠(10:20)火事場跡(11:55〜12:05)苺平(13:40)南御室小屋(14:30)
2日目
起床(4:00)小屋出発(5:15)薬師岳(7:00〜7:15)観音岳(7:50〜8:10)
薬師岳(8:35)南御室小屋(9:30〜10:00)苺平(10:50〜11:00)
火事場跡(11:30〜11:40)杖立峠(12:15〜12:20)夜叉神峠(13:20〜13:40)
登山口駐車場(14:25)
過去天気図(気象庁) | 2015年04月の天気図 |
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アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
○杖立峠から先に雪があるものの南御室小屋までノーアイゼンでした。 ○薬師岳、観音岳の稜線も軽アイゼンで十分でした。 チェーンスパイクの人も不自由はなかった模様。 ○南御室小屋はまだ閉鎖中。冬期小屋は小さいものの快適でした。 (使用料1000円を料金箱に入れる) ○薬師岳小屋はまだほとんどが雪の下。屋根が出ている程度です。 |
写真
装備
備考 | ○風が強いと手やが顔が冷たいのでオーバーミトン、フェイスマスクがあると便利でした。 ○この時期、ピッケル、輪かんじき、スノーシューはいりません。 |
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感想
久しぶりに冬山フル装備で出かけたのだが重いのなんのって。昔に比べたら随分軽いはずだが、もう歳のせいか17キロの荷物は重かった。
鳳凰三山の稜線から雄大な北岳を見たいがため、天気の良い平日を見計らっていたがなかなか二日続きで晴れる日がやってこない。
そんな4月中旬の週末に好天の予報が出た。毎日日曜日の身分なのでなにも好きこのんで混雑する週末に行かなくても良さそうなものだが、もたもたしていたら1ヶ月以上山に行けないままゴールデンウィークに突入してしまいそうなので思い切って出かけることにした。
出発前夜に天気予報を見ると、寒気の縁がちょうど南アルプスにかかるそうだ。縁の付近では、突風が吹いたり雹が降ったり、変わりやすい荒れ模様な天気になるというではないか。まあ車で行くのだから、行ってみてあまり悪天候なら温泉にでも入って帰ってくるつもりで取りあえず出かけることにした。
午前3時に自宅を出発。ちょうど3時間で夜叉神峠登山口駐車場に着いた。駐車車両は浜松ナンバーが1台。出発準備をしているとパラパラと雨が降ってくる。それでも時折日も差すという、確かに変わりやすい天気だ。
今日は、薬師小屋まで行ってテント泊の予定だ。夜叉神峠まで1時間ほどのなだらかな歩きやすい道なのに峠まで1時間ちょっとかかった。最近は、バテることはないものの登りのペースがやたらと遅くなった。なだらかな登りでも早く歩けないのだ。もう歳だから性がないのかとあきらめてゆとりのある計画にしてはいるのだが、それでもやっぱり歩行時間は気になる。
どんより曇っているので当然夜叉神峠からは白峰三山は見えなかった。確かむかし、夏に来たときも雨で見えなかった覚えがある。ひと息入れてから先へ進む。ぽちぽちと日陰に雪が出てきた。
綺麗に手入れされた唐松林を過ぎて浮き石がゴロゴロする急坂にかかったころから雨が降ってきた。周りの山をみると標高があがるに従って雨模様のガスが濃い。急いで雨衣とザックカバーを着ける。何だが登る気が萎えてきた。風も強いし、この雨じゃあ北岳の展望は期待できないかも知れない、と弱気の虫が頭をもたげてきた。
自問自答の結果、薬師岳小屋まで行くのはやめて南御室泊まりに変更した。翌日の天候が良ければ薬師岳に登ればいいし、天気が悪ければ登山口まで戻るのもそれほど時間を要しないだろうということだ。
杖立峠から徐々に雪が出始め、火事場跡あたりからはしっかりとした雪道になった。降っていた雨もあがり、鳳凰山の上空だけがぽっかりと青空になってきた。
ここの稜線は急坂が少ないもののダラダラ道がやたらと長い。苺平までくればあとは南御室小屋まで下るだけなのに、これがまたやたらと長い。夏道だったらあっというまに下れるのに、いまの登山道はうっかりすると雪を踏み抜いてもがきそうなので慎重に歩くのでペースが上がらない。
途中で浜松ナンバーの先行者に追いついた。この方も薬師岳小屋まで行く予定だったが、「小屋は雪に埋まっていて使えない」むね話したらテントもないので南御室泊まりに変更するという。
すっかり晴れ渡った南御室小屋は気持ちのよいくらい明るかった。小屋本体はまだ閉鎖中だ。冬期小屋は小さな掘立小屋のようだったが明るいし二人で泊まるには十分な広さだったのでテントはやめて小屋に泊まることにした。
朝が早かったので早めに夕食をとり、あたりがうす暗くなるころにはシュラフに潜り込んだ。夜中にトイレに起きたら満天の星空で明日の好天が期待できた。
薬師岳までは夏時間で1時間半。まあトレースもあることなので2時間もあれば登れるだろうと算段し、午前4時に起床。ヘッドランプのいらない午前5時過ぎに小屋を出た。
期待通り、天気はほぼ快晴。登るにつれ樹間から真っ白な白峰三山が見え始めると早く大展望がみたいと気が急く。花崗岩の巨岩が出始め、雪に埋もれた薬師岳小屋を過ぎると薬師岳は一投足であった。
山頂からの展望は文句ない360度の大展望だ。正面には鳳凰三山の最高峰、観音岳が、目を左に移せば楽しみにしていた北岳がバットレスを真正面に見せてどかっと腰を据えている。その左手の間ノ岳、農鳥岳も立派だ。その後ろに見えるのは悪沢岳あたりだろうか。
登ってきた道を振り返れば、砂払岳の奇岩の遙か彼方には富士山も姿を見せているではないか。
浜松の方やテント泊まりの若者は薬師岳の展望に満足して下山していったが私は目の前にすくっと立っている観音岳が気になってしかたがない。曇っているならこのまま引き返してもいいが、折角これだけ晴れたのだからこのまま引き返すのはもったいない。往復しても1時間半ほどですむはずなので行ってみることにした。
雪の少ない稜線を40分も歩いたら巨岩が積み重なった観音岳に着いた。それまで見えなかった甲斐駒ヶ岳や仙丈岳が姿を現した。やっぱり来て良かった。稜線上はやや強い風が吹いていたが観音岳山頂の岩を背にすると風がなく暖かい。奥秩父や茅ヶ岳、八ヶ岳の霞んだ姿を楽しみながら、しばし誰もいない山頂で至福の時を過ごした。
観音岳まで足を伸ばしたので登山口まで戻るに全行程で9時間は必要だ。小屋に置いてきた重いザックを背負っての下山はそう楽ではなさそうだ。先を急ごう。
薬師岳を下っていたら、今朝、午前5時に駐車場を出たという若者が登ってきた。ここまでわずか3時間半である。いくら若いと言っても驚異的な早さである。
緩やかな下り坂が多い帰路なので急ぐ必要はない。雪の感触を楽しみながら余裕の下山である。今日は土曜日で久しぶりの好天なので登ってくる人も多い。悪いが明日の天気は今日ほどよくはないはずである。思い切って一日早く登って正解だった。
夜叉神峠で白峰三山に別れを告げて駐車場に戻ると車がずいぶん増えていた。先生に引率されてハイキングに中学生の団体さんもいるし、売店も店を開けていた。
帰宅を急がない私はこのあと、甲府昭和インターにほど近い山口温泉で汗を流し、奥藤本店で手打ちそばと甲州名物となった鶏もつ煮をいただいてから帰ることにした。
山も楽しいが、山を下りた後の温泉やグルメも楽しみである。公共交通機関で登っていた昔に比べたら車は便利である。夜叉神峠登山口からバスのある芦安まで歩いた30年前の鳳凰三山縦走が懐かしく思われた。
同日に南御室小屋で黄色いテント泊した夫婦です。
薬師小屋過ぎたあたりですれ違いましたね。俊足の若者は早かったですね。私たちもあの後、観音岳山頂で絶景を拝めました。
お互い良い登山が出来てよかったです。
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