日光中禅寺湖南岸の社山から黒檜岳へ+千手ヶ浜の九輪草
- GPS
- --:--
- 距離
- 13.6km
- 登り
- 909m
- 下り
- 913m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年06月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
★千手ヶ浜と菖蒲ヶ浜を結ぶ遊覧船は6/1〜7/3の季節運航です。 午後のみ3便あります。菖蒲ヶ浜乗り換えで歌ヶ浜まで戻れます。 詳細は、 http://www.chuzenjiko-cruise.com/timetabl.html で確認して下さい。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
【歌ヶ浜から社山へ】 ●道標もあり良く整備された道なので危険箇所などはありません。 ●歌ヶ浜・阿世潟の間は、気持ちのよい林相の散歩コースです。また、社山だけを往復するならば、若干の起伏はあるものの阿世潟まで自転車で入ってもいいかも知れません。狸窪の半月峠分岐付近までは舗装されていますが、その先は未舗装の林道です。自転車を利用している釣り客もいました。 ●阿世潟峠から社山の間がこのコース上で一番展望の良い部分です。阿世潟峠のちょっと上の無線塔のある露岩が一番でしょう。 ●早朝、雨上がりの時は、阿世潟峠から先はスパッツを着けた方がズボンの裾が汚れないですみます。 【社山から黒檜岳へ】 ●国土地理院の地形図では登山道の記載がありませんし昭文社の地図では破線になっている部分です。標識は少なく木々に付けられたマーカーが頼りですが、気持ちの良い快適な笹尾根です。足尾方面の展望がよいコースです。 ●笹が深くて踏み跡が見えにくい場所もありますが、全体的にはしっかりとした踏み跡がついています。1816メートルのピークを登るあたりは左に逸れる獣道?が何本かありますが、基本的には尾根通しの道を歩けば迷うことはありません。 ●大平山の右手の1954メートルのさらに右手で右に曲がり黒檜岳の樹林帯に入りますが、ここには標識があります。 ●黒檜岳山頂は、登山コースから西に外れた場所にあります。木に打ち付けられた×○の標識がある場所が分岐点なので×の方向へ3分ほど歩けば山頂に着きます。 【黒檜岳から千手ヶ浜へ】 ●×○の分岐点から中禅寺湖へ向けて緩やかに下りますが、1802メートルあたりで緩く左に曲がります。標識はありませんが間違うことはないと思います。 ●しばらく急な下りになりますが、1550メートルあたりにある木が捲きついた大岩で道を間違えました。本道は岩を左側から巻いて岩の裏側に回って尾根通しに行くのが正規の道です。踏み跡だけをたどって歩いているとここで左に沢へと下ってしまいます。途中、細めの倒木が道を遮っているのでここで気がつくと思いますが。 ●大岩から先はしっかりとした道だし、1400メートルあたりで右折してジグザグ道へ下るのですが、ここには標識があるので迷うことはないと思います。 【千手ヶ浜から歌ヶ浜へ】 ●本来なら、中禅寺湖周遊歩道を歩いて歌ヶ浜まで戻るのですが、6月中は、千手ヶ浜の九輪草見学のための臨時遊覧船が出ているので、この船を利用すると、船上から今歩いてきた山並みを見ながら歌ヶ浜まで戻れます。 |
その他周辺情報 | 清滝インター近くに日光市営の日帰り温泉「やしおの湯」があります。 |
写真
感想
梅雨の中休みを狙って平標山ノ小屋に泊まりながら上越国境の稲包山、三国山あたりを歩いてこようと思っていたが、なかなか二日続きで雨マークが取れる日がない。まだかまだかと待っている間に6月も下旬になってしまった。
こうなったら1泊2日は無理でも日帰りなら雨に降られずに行けるのではないかと思い、天気予報とにらめっこをしながら行き先を探した。その結果、九輪草が見頃だという奥日光の社山・黒檜岳縦走コースに絞り込んだ。
社山・黒檜岳のコースはずっと昔から気になっていたが、ガイドブックを見る限り、あまりおもしろそうな山には思えなかったので登山リストから漏れていた。ところが先日、ヤマレコosatoさんの投稿記事を見てたら社山・黒檜岳間は素晴らしく気持ちの良い笹尾根のようだし、社山の展望も捨てたものではなさそうなので急に行きたくなってしまったのだ。
九輪草が見頃の下山口の千手ヶ浜はこの一ヶ月限定で遊覧船が寄港するそうなので、歌ヶ浜を基点として遊覧船を利用した周回コースが出来るのも魅力だ。車に戻ってからの中善寺の立木観音参拝も計画に入れよう。
毎日サンデーの身分なのでわざわざ天気の悪い日に出かけることはない。と言いながらも出かけようと準備を済ますと天気が悪くなる。延期、延期を繰り返し、最後は、梅雨なのだから多少の雨は覚悟しようと雨対策をしっかり整えたうえで出発した。
早朝出発はちょっときつそうなので、山行にゆとりを持たせるため前日に登山口の歌ヶ浜まで行って車中泊することにした。
午後6時40分に横須賀を出発した。寒気が南下しているためあちこちでゲリラ豪雨と雷が発生しているという。東北自動車道の埼玉県内あたりでそれに出くわした。川のような雨と雷鳴がとどろく高速道路をトロトロと走りながら、それでも午後10時には歌ヶ浜駐車場に着いた。
中禅寺湖畔の雨はやんでいた。ニュースステーションを見ながら一杯飲んで明日に備えて早々と布団にもぐり込んだ。午前3時に目が覚めたので外をのぞくとなんと満天の星空ではないか。好天を期待して再び布団にもぐった。
午前4時に目が覚めた。外はぼんやりと明るい。霧が出ているが男体山は見えている。釣り客の車がぽつぽつとやってくるが登山者はいないようだ。
洗面や朝食、準備運動などをゆっくり済ませ、午前5時前に出発した。湖や周囲の山々は霧で見え隠れしている状態だが朝霧は好天の証だ。期待して湖岸を阿世潟に向かって歩く。昨夜の雨でしっとりとした空気が清々しい。
釣り人があちこちで竿を振っているが、中禅寺湖は東日本大震災の原発事故の関係で釣れた魚の持ち出しが禁止されている。餌釣りは禁止でルアーかフライのみ、しかも返しのない針しか使用できない。そしてキャッチ&リリースである。それでも釣り人が絶えないのはかなりの大物が釣れるのだろうか。
阿世潟で山道に入るが阿世潟峠までは一投足だ。まだ霧が晴れない。しかも風が通り抜けるので肌寒い。涼しいはずである。気温は10度だ。
峠から稜線を登るのだが、今回のコースで、峠から社山までの間が一番良かった。霧がどんどん晴れていき、男体山をはじめとした日光の山々が姿をあらわし始めた。稜線の反対側はいち早く霧が晴れ、足尾の町並み、庚申山から鋸山、皇海山などの山並みがすっきりと姿を見せている。上州側の山々はよく見えているのに、山の知識が乏しいため山座同定が十分出来ないのがちょっと悔しい。
最初の展望台は、無線アンテナが立つ、露岩の積み重なったピークだが、この展望は社山山頂まで続く。登るにつれ、霧で見え隠れしていた男体山や眼下の中禅寺湖も全貌をあらわし思わずカメラを向けたくなる景色が続いた。
曇り一時晴れのち雨の複雑な天気予報が大ハズレし、雨上がりの澄んだ空気と真っ青な青空が心を弾ませた。
社山の苦しい登りもこの清々しい景色に和まされ苦にならない。苦にならないというか、しょっちゅう足を止めては写真を撮っているので苦しくないのだ。梅雨の真っ最中にこれだけの好天に恵まれたのだから先を急ぐ必要もなかろう。時間的にも余裕を持って早立ちしたのだから。
阿世潟峠からあちこちの写真を撮りながら歩いていた割には社山の山頂には思ったより早めに着いた。展望が良いと聞いていたが男体山側は樹木に覆われているので展望はない。西方の足尾側の展望のみである。
眼下に赤い山肌の尾根がずっと見えていて気になっていたが、渡良瀬川の上流にあたるので、この付近にはきっと沢山の銅鉱があったのだろう。かつては銅の採掘で賑わった足尾もいまは寂れているらしい。いつか足尾側から皇海山に登るときにでもゆっくり鉱山跡を見学しようかと思っている。
天気もいいし、今日は誰も登ってきそうもないので山頂でゆっくり展望を楽しみながら朝食にした。
社山から黒檜岳、千手ヶ浜の間は不明瞭な部分があるらしくガイドブックでは現在破線になっている。いわゆる難路である。osatoさんのヤマレコ記事を見ても笹が登山路を覆ってわかりにくい部分があるとのこと。でも、これだけ天気が良ければ行く方向が常に見えているので、2万5千の地形図があればさほど迷うこともなかろう、というのが私の判断である。
先日行った丹沢の榛の木丸のコースなんぞ、地図には載っていないコースで、しかも道標が一本もないにもかかわらず、しっかりとした踏み跡のあるわかりやすいコースだった。
しかし、社山を一歩出たとたん、さっそく道を探した。山頂の先に小広いお弁当を広げるのによさそうな草地があったが踏み跡は南へと下っている。北西側の背の低い樹林の向こう側にはこれから行く縦走路の笹原や黒檜岳が見えている。草地の踏み跡は明らかに方向違いだ。
樹林の入口を探したら赤土がむき出しになった岩の間に踏み跡があった。一歩樹林に踏み入れると赤テープが目に付いた。腰をかがめて歩くような背の低い暗い樹林だが少しばかり下るとすぐに林を抜け出た。行く手に気持ちのよい笹原が続いている。
手書きで縦走路を書き入れた2万5千の地形図と目の前に広がる景色を見比べてコースを確認する。
部分的に笹が茂って縦走路を隠している場所が多々あるが、小さなアップダウンを繰り返しながら、道を間違えることもなく黒檜岳へと少しづつ近づいた。登り着くピークの展望はいいし、笹の緑とダケカンバの白い木肌、すっきりとした青空のコントラストが何とも素晴らしい。この風景が見られただけでも来た甲斐があるというものだ。
縦走路の中間点付近に大きな広場のような凹地がある。テントが張れそうな場所もある。道は広場の左寄りに付いており、真ん中あたりに社山への道標がポツンと立っていた。
道は広場の先から深い笹藪の中をゆっくりとのぼり、大平山のずっと右側をかすめるようについている。行く先の木に、赤と白に塗り分けられたオリエンテーリングの標識のよな真新しい目印が付いている、と思ったらこのすぐ先に千手ヶ浜を示す道標があった。ここで右に曲がるとまもなく樹林帯に入る。ずっと見えていた足尾方面の山々ともここでお別れである。
ここの樹林帯には、赤と黄色のプラ板の目印が沢山付いているので迷うことはない。平らな道を10分も歩いて緩く登ると黒檜山山頂への分岐に着いた。山頂への案内板はない。
osatoさんの記事で覚えた×マークに逆らって左へ逸れるとほどなく黒檜に囲まれた黒檜岳山頂に出た。お手製の看板が2,3枚木に打ち付けられているだけの何もない静かな山頂だ。何もないのがいい。
予定よりずっと早い登頂である。あとは千手ヶ浜まで下るだけだ。予定した遊覧船よりずっと早い便に乗れそうだ。千手ヶ浜でゆっくり九輪草でも見物しよう。
参考にしているosatoさんはここの下りで迷ったらしいので、地図とにらめっこをしながら慎重に下った。1800メートルあたりで道は左の尾根へと曲がる。ここはしっかり確認できた。どちらも花期は終わっているがシャクナゲとシロヤシオが沢山ある。きっと最盛期は綺麗だろうな、などと考えながら下っていたら道を間違えた。
しっかりと踏み跡をたどって下っていたはずなのに、急に踏み跡が真新しく、しかも下るに従ってか細くなってきた。そういえば、途中で倒木をくぐったが、あれは通行止めの印だったのかもしれない。まだ下り初めてわずかなので、はっきりと道が確認できる場所まで戻ることにした。
木が大きな岩を捲いている地点まで登り返したらあったあった。本来の道は、下ってきたらこの岩を左側から巻いて岩の裏側に回るのだった。早く気がついて戻ってよかった。帰ってからヤマレコのosatoさんの記録を見直したらどうも同じ場所で迷ったようだった。
ここから千手ヶ浜までは迷うことなく下れた。1450メートルほどの地点から尾根道を右に曲がり、地図に載っているジグザグの道へと下るのだが分岐点にはしっかりと標識も立っていた。
湖岸の道へ出て乙次郎橋を渡ると川の上流に九輪草が見えた。散策路を外れて川沿いの道をたどると咲いている咲いている。川辺に赤、白、ピンクの九輪草が群落をなしている。
ここは、保護して増やした九輪草ではなく自然に増えた群落のようだ。この先に観光地化したネットに囲まれた九輪草の群落があるが、それはそれで見事だが、やはり草花は自然の姿の方がいい。しばしカメラを片手に川沿いを歩き回って可愛らしい九輪草をカメラに収めた。
九輪草を見学しながらも千手ヶ浜到着はまだ12時過ぎだった。この九輪草の時期だけ立ち寄る1日3便の遊覧船の最初の便で歌ヶ浜まで戻れることになった。
千手ヶ浜には、この時期を逃すまいと観光客がぞくぞくとやってくる。ほとんどが中高年の男女である。健康ブームにあやかって歩け歩けのツアー客のようだった。マイカーでは千手ヶ浜まで入れないのでツアーが人気のようだ。そういえば、ウチのカミさんも来たがっていたっけ。
遊覧船から今日歩いた縦走コースを眺めながら歌ヶ浜に戻ったのが午後2時過ぎ。今朝早かったのでお参りできずにいた中善寺に参詣してから清滝にあるやしおの湯に向かって走っていたら、それまで晴れていた空がにわかに暗くなりぽつぽつと雨が降り出した。やしおの湯の露天風呂に入っていたら本降りの大雨になってきた。
早起きは三文の得と言われるが、今日は三文どころか十文も百文も得したような気がした。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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おかえりなさい、osatoです。
阿瀬潟峠から大平山分岐までの尾根上の開けた楽しい山道を、youjiさんの青空の清々しい写真で思い出しました。
だいぶ背が高くなりましたが、九輪草はまだ咲いてるんですね。日陰の小川をバックにピンクや白が映えています。
道迷いに気づいたら正しいと確信できる場所まで戻るのが鉄則でだと、改めてyoujiさんに教わりました。
これからもよろしくお願いします。
千手ヶ浜から歌ヶ浜までは楽して遊覧船で戻りましたが
これも、このシーズンならではの特権でしょう。
貴兄の記事がとても参考になりました。
これからも楽しい記事を提供して下さい。
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