祝瓶山ー針生平から鈴振尾根を登る
- GPS
- --:--
- 距離
- 8.6km
- 登り
- 1,058m
- 下り
- 1,042m
コースタイム
天候 | 曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
その他周辺情報 | 登山口から数キロの、五味沢に「白い森交流センターりふれ」に日帰り入浴施設がある。 |
写真
感想
祝瓶山。いわいがめやま、と読む。何やらお目出度い名前の山だ。朝日連峰のほぼ南端に位置し、日本三百名山のひとつで、しかも東北のマッターホルンといわれている。数年前から、一度登ってみたいと思っていた山だった。
自宅からアプローチが近い小国口の針生平から、鈴振尾根を登ることにする。予報は久しぶりに、昼には晴れるという。それを、期待して出かける。
五味沢の集落を過ぎると、1車線の砂利道となるが、いくらも走らないうちに登山口に着いた。登山口には既に、3台ほど車がとまっていた。ほぼ同時に、到着した車から、5,6人の男女のパーティーが降りてきた。
どちらに登るのですか、と尋ねると、祝瓶山だという。初めての山なので、同時に登り始める人達がいるのは、心強い。
最初に荒川に架かる大石橋を渡る。幅30センチほどの細い板が渡してあるだけの、つり橋だ。川面からの高さがあまりないので、さほどの恐怖心は起きないが、ぐらぐら揺れるので、やはり緊張する。
渡り切って、直ぐに再び、沢に掛かる板の橋を渡ると、赤い三角屋根の小屋が見えてくる。
ここから分岐点までの1キロ弱は、平坦な遊歩道のような道が続く。分岐の標識(至・カクナラ・大朝日岳/至・祝瓶山)を右に道を取ると、本格的な登山道らしくなる。
灌木の茂る尾根道をひたすら登る。道の脇には、ところどころ萩に似た花が咲いている。標高618メートルから817メートルまでは、けっこうな急登が続く。クマよけの鈴がにぎやかに鳴る。それで鈴振尾根というのだろうか。時折、右手に朝日連峰の主稜部が見えるが、上の方は雲が掛かって、見えない。
標高817メートルから一旦50メートルほど下り、登り返しとなる。はるか遠くに、三角に尖ったピークが眺められるが、あれが山頂だろうか。しかし、山頂の手前に、一の塔というピークがあるはずだ。そうだとすると、まだまだずいぶん先が長いと感じる。
登るにつれて、ナナカマドの赤い実が目立ち始める。いくつかの急登を経て、岩の重なる個所を越え、ようやく一の塔にたどり着いた。鋭く尖った山頂は大分、大きくなって来た。しかし、山頂は時折ガスが掛かり、見えたり隠れたりを繰り返している。
かなり疲れが出ていたのだろう、標高1350メートルにある分岐、赤鼻を経て、祝瓶山荘に下る道との分岐にも気が付かなかった。最後の急坂を喘ぎながら登り切ると、視界が開けて、山頂に立った。
そこには、三角点の石柱と、祝瓶山1417Mと書かれた、ちょっとみすぼらしい木の柱が淋しく建っていた。強い風が吹いていて、誰もいなかった。
すると、登山口に3台ほどあった車の持ち主は、大朝日に登ったのだろうか。それとも釣り人だろうか。
山上にはガスが掛かって、朝日の主稜は見えない。下の方は晴れていて、南西方向に小さく祝瓶山荘と木地山ダム湖が意外な近さで、眺められた。
風が強いので、山頂のはずれの草薮の中で、食事を取ることにした。コッヘルでインスタントラーメンを煮ていると、ブヨだろうか、虫が次々に飛び込んでくる。そのたびに、箸でつまんで取り除ける。むろん、虫は絶命している。ブヨでだしを取るなんて、絶対したくない。こんな経験は、あまり記憶にない。祝瓶山のブヨはラーメンに目がないのだろうか。
悪戦苦闘して食事をしていると、こんにちはという声がして、ひとりの男性が登って来た。登山口にいた団体さんかと思ったが、他の人がいないので、違うようだ。
食事を終わって、声を掛けると、その人は、こちらとは違う祝瓶山荘からのコースを登って来たそうだ。
新潟にはいい山が沢山ありますよね、というので、いやいや、山形の方があるんじゃないですか、と互いにエールを交換する。
山上を覆うガスは、いつまでたっても晴れそうもないので、下山することにする。晴れていれば、素晴らしい景色が展望できるだろうに、残念だ。
下り始めてすぐに、登山口で一緒だったグループの人達が登ってくるのに出会った。皆さん和気あいあいと、楽しそうに登ってくる。
赤鼻への分岐あたりまで下ってくると、朝日連峰の主稜線が見えてきた。雲が取れて、大朝日の尖った三角形が姿をあらわした。
鈴出の水場まで下って来て、せっかくなので、水を汲んで持ち帰ろうと、リュックを開けるが、水筒がない。山頂で食事をした時、まとわりつく虫に気が取られて、忘れてきてしまったに違いない。30年以上使ってきた水筒なので、愛着があるが、ここからまた山頂を往復するだけの力は残っていない。あきらめて、悄然と山を下る。あれを持って、あの山この山、と随分登ったな、と多少感傷的になりながら、登山口にたどり着いた。
2日後、パソコンで「飯豊朝日連峰の登山者情報」という、よく見るサイトをのぞいて、あっと声が出た。何と、あの水筒が写真入りで載っているではないか。親切な方が、麓の小国警察署に届けてくれたのだ。
多分、同じコースを登った、あのグループの人達にちがいない。あのような古い、ボロの水筒をわざわざ警察署に届けていただき、ありがとうございました。山で受けた親切のお蔭で、祝瓶山は忘れがたい山となった。
コメント
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こんばんは。祝瓶山でお会いしたグループの一人です。
磨かれた年代物の水筒で、きっと大切にされていたんだろうな〜〜と、そのままにしておけませんでした。
新潟の方だったのですね。私達も新潟です。水筒を目印に、どこかのお山でお会いできるかもしれませんね 〜〜。
おはようございます。届けてくださったのは、やはりあのグループの方だったのですね。水筒は随分長く使ったのだから、あきらめようと、自分にいいきかせていた矢先でした。ほんとうに、感謝いたします。新潟の方たちだったのですね、そうですね、またどこかでお会いできるかもしれないですね。レコ楽しく拝見させていただきました。
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