池平山(南峰まで)
- GPS
- 56:00
- 距離
- 27.0km
- 登り
- 3,168m
- 下り
- 3,168m
コースタイム
- 山行
- 4:48
- 休憩
- 0:17
- 合計
- 5:05
- 山行
- 7:17
- 休憩
- 2:08
- 合計
- 9:25
- 山行
- 10:41
- 休憩
- 0:59
- 合計
- 11:40
コースは手書きです。北峰へトライしたルートと平の池散策ルートは記載省略しました。
天候 | 9月20日 晴れ 9月21日 晴れ午後から霧 9月22日 晴れ |
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過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
ケーブルカーと高原バスを乗り継いで室堂へ 立山駅と室堂往復乗車券4310円。 10圓鯆兇┐覯拱は高原バス乗車前に荷物券(片道につき300円)購入した上、バスの荷室に荷物を入れてもらいます。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
登山届のボックスは室堂ターミナル階段上がったところにあります。 1日目 室堂〜剱御前小舎 浄土橋まで標高差150m降り、剱御前小舎まで500mほど登ります。道は整備されています。 剱御前小舎〜剱沢キャンプ場〜剱澤小屋〜真砂沢ロッジ(キャンプ場) 剱沢を標高差1000mほど降下します。 剱澤小屋のしばらく後から雪渓取り付きまでそれなりの急降下道です。 連休で通行者が多いのか雪渓にはトレースがついていました。 長次郎谷出合から少し降って左岸に高巻き道があってナムの滝を回避します。その後、また雪渓に戻りますが、真砂沢ロッジの手前で再び左岸の道へ入り、最後は数十メートルの雪上歩行になります。 2日目 真砂沢ロッジ〜二股 しばらく歩くと三の沢出合です、通常は雪渓をそのまま剱沢沿いに降るのですがこの箇所に大きな穴が開いているため、雪渓を対岸に渡りハシゴ谷乗越へ向かう山道に入ります。やがて現れる分岐を左に曲がって剱沢に降り、仮設橋を渡って本来の道に合流します。 四の沢を横断した後に少し高巻く箇所と二股近くで迷いやすいかもしれませんが基本的に近藤岩が見えるまで剱沢左岸を歩けばよいです。 二股〜仙人峠 標高差500mほどを上ります。それなりの急登で、ロープ設置箇所、ハシゴ設置箇所などありますがそれなりの注意を払っていれば問題ないと思います。 仙人峠〜池の平小屋(キャンプ場) 仙人山の山裾を巻くように道がついています。 池の平小屋(キャンプ場)〜池平山(南峰) テン場を出て直ぐに分岐があり右へ行きます。そのまま道なりに行けば池平山(南峰)です。 池平山(南峰)〜撤退箇所〜池の平小屋 南峰の手前数メートルのところに踏み跡があり降下します。左側に岩の壁面があるバンドが終了すると右に曲がって踏み跡をたどります(古いフィックスロープあり)。4、5mの壁面が現れてこれを降りなければなりませんが自分の技量では無理と判断して撤退しました。帰りは来た道をそのまま戻ります。 3日目 池の平小屋(キャンプ場)〜室堂 往路をそのまま戻ります。 |
予約できる山小屋 |
剱澤小屋
|
写真
装備
備考 | 軽アイゼン 雪渓の降りに使用して登りは使用しませんでした。 雪に慣れている人ならアイゼンなしでいけると思います。 ハーネス スリングを使った簡易ハーネスで臨みましたが本物を持参すべきだと思いました。 サンダル 軽量化とかさばりを避けるため持参しませんでした。テン場では登山靴の靴紐を下のほうで結んでサンダル替わりにしました。 |
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感想
(前置き)
踏破を目指している富山百山の難関は池平山(北峰)と黒部別山なのですが、今回は池平山を目指すことにしました。一昨年と去年、大窓経由での攻略を念頭にとりあえず大窓まで偵察しようと現地へ赴いたのですが一昨年は雷岩付近でルートロスしてやる気なくして撤退、去年はほぼ同じ地点で足を滑らせて白萩川にドボンをやり、大窓へ行く気持ちが萎えました。
いろいろな人の記録を読み漁った結果、自分のような一般登山者がなんとかたどり着けそうな方法は安全なルートで南峰まで行ってそこから北峰を目指すやり方であると結論を出しました。南峰から北峰まで地図上の直線距離はたった270mほどです。
しかしながら、南峰からの降下に岩の壁があって厳しいということも同時に知ったので、最も大変場合は、簡易ハーネス(環状スリング2本とカラビナ使用)を利用した懸垂下降システムでなんとかなるのではないかと思い、次のような準備で臨みました。
1 覚えたロープ結び
・インクノット
・エイトノット(ダブルエイトノット)
・インラインエイトノット(簡易縄梯子を作るため)
・(ダブル)フィッシャーマンズノット
・ボーライン(ブーリン)
2 用具
8,3ミリ20m補助ロープ
環状スリング2本
カラビナ2個(1つは安全環付き)
細引き(3m1本、2m2本、1m2本)
エイト環
手袋(ゴム付き軍手)
ヘルメット
3 岩壁(核心部)降下の想定
・残置ロープを使う。
・自分のロープを残置ロープの補助としてシングルで利用(往復なのでロープは垂らしたままにする。ロープが必要なのはこの箇所だけらしいので)
・自分のロープで簡易縄梯子を作る(同上)。
・懸垂下降(同上)。
・ロープを使わない別ルートを探す
4 練習
近所の河原で3mほどの懸垂下降数回
(本編)
1日目
4時半過ぎに立山駅に到着したのですが駅まで800m以上ある河原の駐車場にやっと停めれる状態でした。
ケーブルカーは2番便でした。
真砂沢ロッジ(キャンプ場)は2年前に自分がテントをはじめて購入して最初の1泊をやった思い出のところです。なのでルートは覚えていました。雪渓降下は前回アイゼンなしでこなしましたが今回は軽アイゼンを利用しました。
斜度が一番きつかったのは平蔵谷出合付近です。
剱沢雪渓は軽アイゼンを装着したほうが歩きやすいかなと思いますが長次郎谷出合のところで転倒しました。
真砂沢ロッジには「頑張れば池平小屋(キャンプ場)までいけるかも」という時間帯に到着しましたが前日は睡眠不足だったので自重しました。
2日目
迂回ルートがしんどかったです。「本来はこんな遠回りしなくて良いのに」という精神的なものがあったのだと思います。剱沢へ降りるルートとハシゴ谷乗越へ向かうルートの分岐でちょうど剱沢方向から夫婦連れと思われる登山者が来られたので奇妙に思い、行き先を聞いたら仙人池ヒュッテとのことで逆方向(真砂沢に戻ろうとしている)ということが判明しました。どうやら三の沢で超危険なスノーブリッジ状の箇所を通過して(あるいは雪渓の割れ目に下りてまた雪渓に登り)そのまま本来のルートを降りて仮設橋に差し掛かり、真砂沢ロッジで指示された「橋を渡ってください」に従った結果こうなってしまったようです。
自分は2年前にハシゴ谷乗越から黒部ダムに抜けたことがありますが、そのときもハシゴ谷乗越付近でルートミスをしたパーティに出会ったことがあります(二股へ行くつもりなのにハシゴ谷乗越方面へ行ってしまった)。
この辺りは雪渓の状態によるルート変更やら仮設橋があったりなかったりで情報収集が大切なところのようです。
先ほどの二人連れ方々とは仙人峠付近まで同じようなペースで抜いたり抜かれたりしながら登りました。男性の方は還暦を過ぎておられるそうでなんかすごいな、と思いました。
(中略)
書きたいことはたくさんあるのですがすっ飛ばして池平山北峰トライについて記載します。
南峰頂上では完全にガスっていて風もあり寒いほどでした。頂上付近でポケットの中身と携帯電話をアタックザックの奥に入れて登攀具をすぐ取り出せるよう上部に入れ替える作業をしたかったのですが風が強かったので簡易ハーネスを身に着けるだけで踏み跡に入りました。左側に壁面があるところが終わって直進しようとして「これ降りれるのかな」という箇所でしばし考え込みました。おっかなびっくり移動しようとしたら手をかけた岩がはがれたり足を付いた岩がずれたりしたので少し戻り、きょろきょろしたら踏み跡が見つかりました。
この時点で「自分にはルートファインディングの素養がまだ足りない」という認識に至りました。
で、踏み跡をたどると残置ロープが出てきたので核心部が近いことが判りました。
目に飛び込んできた核心部は一見して「自分の技量では無理」という岩壁でした。
それでも何とかならないかと考えをめぐらせました。
わずかなスペースのテラスには新しい捨て縄が落ちていたのでどうやら懸垂下降の箇所なのですが「こんな狭いスペースで作業するのか?手が届くところにあるあの木が支点なのだろうがいったいどうやってセルフビレイするんだ?というかセルフビレイするためにあの木へ近づくだけでやばいのだが?仮に懸垂で降りても帰りにロープだけでこの壁をよじ登る腕力が自分にあるか?」等いろいろ疑問が出てきて頭の中がぐるぐる回りになりました。
残置ロープはあるのですがかなり古びていて信用できません。ガスっていて視界も悪く、テンションも上がらず、ここでアタックザックをおろして中身をごそごそする気力もわきません。かといって「せっかくここまで来たのに」という気持ちもあり、心の葛藤が始まりました。
何分考え込んでいたのか判りませんが。ふと、「もう十分」と憑き物が落ちたような心境になりました。以前、釜谷山に登れなかった時は「今回はダメでもこの次は行けそう」という感触があったのですが今日の池平山はそのような感触がありません。
そうしたら不思議と心が軽くなり「富山百山のうち池平山(北峰)とついでに黒部別山は対象から外し、98山を目指そう」という気持ちになりました。
「山はほどほどのところでやっておけ」というのは自分が山歩きを始めたときに参考にしていたHP主の言葉なのですが、このあたりが自分にとって「ほどほどのところ」なのだと思いました。
慎重に踏み跡を登り返し、頂上に戻ります。そのタイミングで来ておられた男女二人組の登山のうち男性と言葉を交わして下山にかかります。
気持ちが吹っ切れたのかその後は淡々と落ち着いてテン場まで降りてきました。
テン場に下りるとテントのガイラインに「帰ってこられたら受付へおいでください」と書かれたダンボールの切れ端が付けてあり、何事かと思って受付に行ったら設営場所の移動をお願いされました。本日は露天風呂の日だそうで自分のテント設置場所から丸見えだということです(入り口は逆方向になっているし、別に覗くつもりはないのですけどね・・・・)。ペグを抜き、テント内にあった重たい荷物を手当たり次第ザックに突っ込んでテントから出して小屋のスタッフの方が用意した代替地へお引越ししました(自分はボーっとしていたので撤収と設営をしなければならないのかとげんなりしていたのですがテントごとお引越しが出来てなによりでした)。小屋からはお詫びにということでビールを1本サービスで頂きました。
3日目
この日は事故や危険行為に行き会いました(遠くから目撃したものも含む)。
事故1
二股を過ぎてどんどん行くと男性が登山道に仰向けになって寝ておられ、曲がって折れそうになっているストックが脇にありました。足をやられ真砂沢ロッジに救助要請をしているそうです(現場へ向かう真砂沢ロッジのスタッフには迂回路を歩いているときにすれ違いました)。これは翌日の新聞報道に掲載された案件で登山道での転倒による骨折でした(ヘリで救助、搬送)。
危険行為
迂回路をクリアして三の沢付近に差し掛かった時、迂回せずに突っ込んできた二人組登山者が雪渓割れ目の向こう側に見えました。丁度居合わせた登山者が「戻ったほうがいいんじゃないのー!」と叫んでいましたが彼らは壁面に雪がへばりついているだけの箇所(雪庇)を通過して三の沢上部に出て雪渓(おそらくスノーブリッジ)をトラバースして来るようです。こういうのは成功するにしても失敗するにしても見たくないので自分はそのまま真砂沢ロッジへ向かいました。新聞ネタになっていないということは彼らの命がけのトライは成功したのだろうと思いますが、目撃しておられた登山者の「バカだねえー」という一言が一番ふさわしいように思います。
事故2
剱沢のテン場を過ぎて登りにかかろうという時に数十メートル先の別踏み跡をたどって降りてきた男性が派手に転倒しました。付近の登山者(同パーティの方?)がザックから医薬品を取り出して手当てをしているようなのですが転倒した男性はうずくまって頭に手をやっているのでもしかしたら頭部から出血していたのかも知れません。山岳警備隊の剱沢警備派出所の近くなので重篤ならすぐになんとかなる場所です。不幸中の幸いというべきかなと思いました。この案件は新聞には載っていなかったのでセルフレスキューでなんとかなったのだろうと思います。
事故3
浄土橋から室堂へ登り返しているとき、大走り登山道付近でかなり長い間県警ヘリがホバリングしていたのを目撃したので何らかの救助がなされていたのだと思います。
事故1と事故2に行き会い「山の事故はなんでもないところでも起こる」を実感しました。本当に何でもないところだったので。
危険行為については二人組登山者の気持ちもなんとなく推測は出来ます。「せっかくここまで来たのに戻るのは嫌。引き返して迂回するくらいならこの程度の危険は許容範囲」という心境なのかなと思います。これに味をしめて種々のリスクに対して「前回大丈夫だったから今回も大丈夫」を繰り返すことが一番危険な道と思います。そうならないよう願うばかりです。
話は前後しますが剱沢雪渓で隣県のFさん(こちらも還暦過ぎ)という方に話しかけられ、雪渓ルートの一部と雷鳥坂から雷鳥沢ヒュッテまではお喋りしながら歩きました。気がまぎれてしんどさが軽減されました。往路で出会ったご夫妻にせよFさんにせよ、いまどきの還暦というのは体力的にまだ中年域レベルなのかと思います。
予定では剱沢のキャンプ場にもう一泊でしたが、歩けそうだったので室堂まで戻って仕舞いにしました。
室堂の最終バスは公式には17時5分だったのですがこの日の立山界隈は大入り満員だったためバスに乗ったのは17時50分過ぎでした。室堂への登り返し、気づいてみればぎりぎりで時間に間に合うよう、取っておきのアミノバイタルを飲んで結構慌てたのですがこんなことならもっとゆっくり歩けば良かったです(笑)。
今回、最大の目標だった池平山(北峰)に届かず、富山百山踏破目標も98山に限定するという心境の変化がありました。もう少し時間が経てばまた百山を目指す気持ちになるかも知れませんが今は98山をまず踏破、という気持ちになっています。そういう意味ではターニングポイントになった山行だったと思います。
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