紅葉が最盛期を迎えつつある霞沢岳へ
- GPS
- 32:00
- 距離
- 47.5km
- 登り
- 3,200m
- 下り
- 3,189m
コースタイム
- 山行
- 4:00
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 4:10
- 山行
- 8:47
- 休憩
- 1:33
- 合計
- 10:20
天候 | 2日間とも晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
往復2050円 沢渡駐車場 1日600円 |
その他周辺情報 | 島々の竜島温泉「せせらぎの湯」510円がお勧めです |
写真
感想
霞沢岳は、北アルプスの中でも数少ない登り残した山の一つだが、どうゆう訳か登りたい山リストに入っていなかった。自分でもよくわからないが、それなのに急遽出かけることになった。各地の天気予報を見ていたら急に霞沢岳に登りたくなったのだ。
登山の基点となるのが徳本峠だ。ここへは15年前にテントを担いで島々谷から越えたことがある。今回は、上高地側から入って徳本峠に登り、小屋に泊まって霞沢岳を往復する計画だ。
9月28日(月)晴れ(朝のうち霧)
1日目は徳本峠に登るだけなので大正池からゆっくり上高地を散策してから小屋に向かった。通年マイカー規制がされたシーズンオフの平日なのに上高地はすごい人だ。河童橋から明神、横尾へ続く林道も観光客や登山者がひっきりなしに歩いている。梓川に沿った気持ちの良い林道だが落ち着かない。
明神の先で徳本峠へのみちに入るとそれまでの喧噪が嘘のように静かになる。第一、前後に人がいない。昔からの峠道なので歩きやすい。予定よりか1時間も早く小屋に着いた。今日、霞沢岳を往復してきたらしいツアー客が小屋の前を占領していた。
徳本峠小屋は、定員30人の予約制と書いてあったが、一人一枚の布団に寝てもらいたいので原則25人しか予約を取らないそうだ。一応、今日も満員だそうだ。満員で25人なら混雑感はあまりないだろう。
早く着いたので夕食までの間、食堂で焼酎のお湯割りをちびちび始めた。山の本はあるし、親切な小屋の方が色々な情報を教えてくれるので退屈はしない。あっという間に小さなボトルに入った焼酎は空になってしまった。しかたなく二階に上がってひと休みすることにした。
この小屋の布団は羽毛布団だから軽くてぽかぽかして気持ちが良い。布団にくるまってうとうとしていたら夕食の時間になった。若いお姉さんが作った天ぷら中心の夕食だ。豚汁風の味噌汁が美味しい。
消灯時間には間があるのに、夕食が終わって外が暗くなってしまうと誰もが布団に入って寝てしまう。霞沢岳へ向かう人で早い人は朝2時には小屋を出るというから誰もが早寝だ。
私はアルコールも冷めてしまったし、さっきうとうとしたせいか全く眠くない。それでも布団にもぐって目をつむった。ところがところが、眠れそうになったと思ったら誰かがトイレに起きていった。ドアの開け閉めの音で目が覚めてしまった。
再び眠れそうになったころ、また別の人がトイレに起きていく。それが延々と午後10時過ぎまで続いたからたまらない。予備の焼酎を飲んだが酔っ払って眠るには量が少なすぎた。午後10時をだいぶ過ぎたころトイレに行く人もいなくなりやっと寝ることが出来た。
9月29日(火)晴れ(朝のうちは曇多し)
どこかでガサガサ荷造りの音がするので、「もう朝が近いのか」と思って時計を見たらまだ午前0時ではないか。いくら霞沢岳が時間がかかるといっても夜中の0時に起きて行くのは早すぎるのではないか。この人を筆頭に順次出発準備をする人がパラパラ起き始めた。
山慣れた人なら寝ている人に迷惑を掛けないよう、寝る前に荷造りをしておいてそっと起きていくのに、今の人は起きてから荷造りをするのだ。カソコソ、コトコト、寝ているととても気になるものだ。隣の人とひそひそ話をしている人もいる。いくら小さな声で話していても話し声は耳につくものだ。ひどい人になると熊除けのカウベルをカランコロン鳴らしながら荷造りをしている。こんな状態が延々と続く。
4時半に起きて5時に出発する予定だったがもうこうなると寝ていられるものではない。完全に寝不足だが、私も4時には起きて出発準備をすることにした。
外は曇っているからまだ暗い。ヘッドランプを点けて歩き始める。よく踏まれた登山道なのでランプでも道は明瞭だった。歩き始めて30分ほどで雲間から太陽が顔を出してきたのでライトは要らなくなった。
ジャンクションピークを越え緩やかなアップダウンを繰り返しているうちに穂高にかかっていた雲も取れ始め、行く手には霞沢岳と前衛のK1,K2が見えだした。予報通り天気はいいようだ。
K1の登りはきつかった。1時間くらいの急登が続く。しかし登り着いたK1からの眺望は素晴らしい。まさに穂高の展望台だ。私が登ってくるのを待っていたかのように、それまで奥穂にかかっていた雲もすっきりどこかへ飛び去っていた。おととし怖い思いをしながら歩いた西穂からジャンダルムへの稜線。奥穂と前穂を結ぶ吊り尾根。眼下には帝国ホテルの赤い屋根が緑の林の中にポツンと見えている。
いくら見ていても飽きない展望を我が物顔で見ながらここで朝食用のお弁当を食べることにした。最近の山小屋の食事は目を見張るように美味しくなった。昔のようにカレーライスだけとかいうのはほとんどなくなった。山小屋でこんなものが食べられるの?と言うほど下界と何ら変わることのない食事が出るようになった。徳本峠小屋のお弁当も疲れた体でも食べやすいよう寿司ご飯になっていた。
居合わせたおばさんたちは、霞沢岳山頂はすぐ目の前だというのに今日中に上高地に下りたいのでK1で引き返すという。K1ピークの展望を満喫すればそれなりに満足は出来るがここまできたら山頂を踏まなくては悔いが残る。頑張って先へ進もう。
地図ではK1から目の前のK2を越えて山頂までは35分とあるが、そんな時間で行けるのかと思うほどちょっと厳しい稜線だ。時間的には十分余裕があるので、コースタイムにとらわれず、慌てず急がず、マイペースで歩いたところ意外と早く山頂に立つことが出来た。
霞沢岳の山頂は、さっき見たK1の展望にさらに広げた360度のパノラマが待っていた。目の前の乗鞍岳がでかい。そのすぐ左には、ちょうど一年前に大噴火をして多くの犠牲者を出した御嶽山が見えている。今日はやけに静かで噴煙さえ見えない。
目を左に移せば中央アルプス、長大な南アルプスが横たわっている。蝶ヶ岳から大滝山はうっそうとした緑の稜線を足元に広げている。
夕べの寝不足もどこかへ吹き飛んで帰りの足取りは軽かった。あの山中とは思えぬ上高地の喧騒に巻き込まれるのはちょっと辛いが、思った以上に満ち足りた山行が出来たことに満足し、早くも思いは次の山へと膨らんで満員のバスの客となった。
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