南アルプス南部(聖岳〜赤石岳〜荒川三山)
- GPS
- 73:10
- 距離
- 34.2km
- 登り
- 3,558m
- 下り
- 3,588m
コースタイム
25日(日)聖沢登山口8:00〜聖平小屋12:40(総時間4:40、内休憩時間計0:40)
26日(月)聖平小屋5:30〜聖岳〜兎岳〜中盛丸山〜百間洞山の家13:15(総時間7:45、内休憩時間計1:30)
27日(火)百間洞山の家5:30〜百間平〜赤石岳〜荒川小屋〜荒川中岳〜荒川東岳(悪沢岳)〜丸山〜千枚岳〜千枚小屋15:00(総時間9:30、内休憩時間計2:00)
28日(水)千枚小屋6:00〜椹島9:10(総時間3:10、内休憩時間計0:20)
天候 | 全日晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2010年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
【下山】椹島から駐車場まで東海フォレストのバス |
コース状況/ 危険箇所等 |
時計回りに縦走しました。 ・兎岳と中盛丸山への登りにそれぞれ左側が切れ落ちた危険箇所あり ・荒川東岳(悪沢岳)の登りは全体的に急な岩場多し ・千枚岳の登りに一箇所、短いが崖を登るようなところあり、取り付きの両側も切れ落ちており要注意 反時計回りの場合は、これらが下りとなるので一層注意が必要でしょう。 |
写真
感想
憧れの南アルプス南部縦走。小学校の時、地図帳で赤石山脈・聖岳・赤石岳などの名は知っていました。
学生時代は北アルプスや八ヶ岳が多く、南アルプスは冬の鳳凰三山と、もう一つは明神谷で行方不明になった仲間の捜索に向かった夏の光岳だけでした。
(後から振り返れば、新道開拓のために仲間10名程と光小屋に逗留していたAとBが、長逗留の余暇として、二人で一旦山を降りて再び光小屋を目指すように深い沢に入ったものの、幾つ目かの大きな滝を巻いたところで互いを見失い、結局Aは降りてBは登ったため離れ離れになってしまったという単純なミスが原因の遭難騒ぎでしたが)
昭和59年のよく晴れた夏の夕方、井川の交番からAの電話を受けて、急いでザックに荷物を詰め、もう一人の仲間と落合って出発しました。静岡県警の捜索隊が谷筋から入ると聞いたので、我々は光岳に向かい、小屋にいる仲間たちに急を知らせることにしました。焦る気持ちとは裏腹に東海道線の島田駅で終電になってしまい駅舎で一泊。翌朝、ノロノロと走る大井川鉄道に焦れながらも終点の井川駅に。そこからは当時細々と走っていた路線バスに乗って、ようやく畑薙ダムに到着した頃には、既に夏の陽もすっかり空高く昇っておりました。
昨日からずっと、Bが今無事なのかダメなのか何度も何度も考え続け、無事だとすると今はこの尾根辺りにいるはずだとか、繰り返し地図をトレースすることしかできることもなく、焦燥で心は疲れきっていましたが、休む間もなくダム沿いの石コロ道を歩き出し、いよいよ光岳に向けて、茶臼岳への登路に入るために渡った畑薙の大吊橋の上で、湖面を渡る風に吹かれて感じた、例えようのない重苦しさを今でもはっきりと思い出すことができます。
そして、轟々と流れるウソッコ沢の音に威圧感を受けながらも急かされるように、暗い森の中を随分と登り、ようやく茶臼岳の岩だらけの山頂を越えて光岳への樹走路に入ったところで、霧の中から聞き覚えのある話し声と共に、光小屋に逗留しているはずの仲間達が現れました。
彼らがなぜここにいるのか直感しましたが、聞けば、やはり私たちが行方不明だと思っていたBが、実は2日間かけて光小屋に到着し、Aが行方不明である事を告げたため、小屋に居た彼らがその急を知らせるために茶臼経由で下山するところだったわけです。
お互いに行方不明だと思っていた者が無事であることが判かった瞬間、手を取り合って小躍りするように喜びあったのも束の間、ヘナヘナとその場に座り込んだものです。
しばらく動くことすら出来ずにいる私たちを包むように、霧が優しく流れていたことを覚えています。
まだ携帯電話はもちろん無く、無線も一般登山者には使われていない時代のことでした。
このような出来事があったためでしょうか、その後、足が向かわず疎遠となっていた南アルプスの核心部をついに長い歳月を越えて訪れたわけです。
思い出の大吊橋と蒼白く濁ったダム湖を、今回はマイクロバスの一通過点として静かに車窓から眺めるだけでしたが、湧きあがってくる感慨を抑えることが出来ませんでした。
こうして、初日はさっぱりとした気持ちで聖沢から登りはじめ、その後、3泊4日の間は毎日、朝霧がすっと消えては終日晴天という日が続き、一滴の雨にも降られなかったのはたいへんな幸運で、山の神様のささやかな思し召しだったのでしょう。
夏山最盛期だというのに、山頂も縦走路も人が少く、兎岳や中盛丸山辺りでは、山頂も自分一人、前後も人影なしといった状況で若干の寂しさもありましたが、紺碧の空の下を黙々と歩くうちに心も頭もカラッポになり、たいへんに贅沢な自由を満喫することができました。
南アルプスの空の美しさと豊かな水、そして山容の大きさと同化した気持ちにすらなり、見渡す限りの展望に心を踊らせ、風に揺れるお花畑に深く慰められました。
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