晩秋の高川山
- GPS
- 04:22
- 距離
- 6.6km
- 登り
- 560m
- 下り
- 641m
コースタイム
天候 | 晴れ、時々粉雪 |
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過去天気図(気象庁) | 2024年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車
【帰り】田野倉(富士急行) |
コース状況/ 危険箇所等 |
よく整備されている。ルートを決めていれば迷わないが、分岐がたくさんあるので間違えないように。 |
その他周辺情報 | 田野倉駅のトイレは故障中。(2024.12.8現在) |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
ソフトシェル
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
レジャーシート
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
カメラ
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感想
12月上旬に関東近辺の山に登ることになった。当初、我らがリーダーは八ヶ岳を考えていたらしいのだが、超絶技巧木彫作家の須田悦弘展に行きたいということで、その翌日、日帰り登山でそんなにハードではない適当な山を探すことにした。この時期であれば、空気が澄んでいて、かつ晴れの確率も高いので、富士山を望む山がいいのではないか。とくれば、大月秀麗富嶽十二峰である。ご存知の方も多いと思うが、大月市出身の写真家・白簱史朗氏の美しい写真が載ったパンフレットが発行されている。その十二峰のうちのどれか、ということで、当初、扇山から百蔵山に抜けるコースを考えたが、我々は公共交通機関利用者なので、また、秋の日暮れの早さを考えると、今回はこのコースは少々厳しいかな、と考えて高川山が候補に挙がった。実は筆者はこれまで秀麗富嶽十二峰のうち半分ほどに登っているのだが、日頃の行いのせいで、綺麗に富士山が見えたのは高川山だけである。その時の写真をリーダーに見せると乗り気になり、行き先はめでたく決定したのであった。
今回のコースは中央線の初狩駅から富士急の田野倉駅へ抜ける。筆者の好きなスタートもゴールも列車の駅というコースである。バス停と違って駅ならばたとえ列車の本数が少なくても雨や日差しを避ける駅舎はあるし、通常はトイレもある。バス停だとそうはいかない。何かと安心である。あとは天気が問題だと思っていたが、果たして当日の天気予報は晴れ。しかし、中央線の中から望む北側の空は晴れているが南側は雲が多い。そんなことを観察しているうちに初狩駅に着いた。
たった2年前に来たというのにすっかり忘れていたが、初狩駅はホームから改札に出るのに廃線を横切っていく。いや、まだ完全に廃線ということではないのかもしれない。トイレは改札の内側である。男子は小2、大1(ジャパニーズスタイル)の構成である。筆者も利用させてもらったが、順番待ちで結構時間を要してしまった。それでも予定の5分遅れで山行に出発した。
初狩駅から登山口への道は案内がたくさんあって分かりやすい。中央線をくぐって線路の南側に出て、小さい橋を渡ってお墓の横の上り坂を登っていくと、登山口に着く。写真にあるようにトイレが設置されているのだが、2年前にあっただろうか? 記憶力がどんどん衰えている気がする。まあ、そこで身支度を整えて、少し登ると本格的な山道になる。やがて分岐がいくつか出てきて、男坂と女坂の分岐では予定通り男坂を選択。まずまずの急登である。ここを登り切って女坂と再合流するところで振り返ると、ドーンを富士山が見えるはず・・・であったのだが、残念、ほとんど雲に隠れ、裾野がちょっと見えているだけ。なかなかうまくいかないものだ。
気を取り直して、山頂までの道を進む。富士山が見えなくても、今日はリーダーが激推しのスモールツイストなる保存食を持ってきているらしいので、まだ楽しみは残っているのだ。そしてリーダーに疲れを悟られないようにしながら山頂に到着した。
山頂に到着してみると、お、先ほどよりだいぶ雲が晴れてきている。これは少し待てば富士山が見えるかも、ということで、山頂は結構狭いのだが、場所を見つけて早めのランチタイムにすることにした。スモールツイスト(今回はミートソース味ショートパスタ)はお湯を注いで出来上がるまで15〜20分かかるので、それまで富士山に掛かっている雲が晴れるように念力を送った。すると日頃の成果(何の成果だ?)が出たのか、ちょっとずつ富士山山頂の雲が引いていくではないか。その様子はアップした写真の通りである。いやいや来た甲斐がありました。その間、リーダーは卵を抱いたペンギンの親鳥のようにお腹にスモールツイストを抱えてひたすらスモールツイストの孵化に全力を注いでいた。そうしたリーダーの努力のおかげでミートソース味のパスタが完成し、賞味させていただくことにした。なかなかのクオリティである。筆者が以前に買った安い保存食とは比べ物にならないぐらい美味かった。
富士山にもランチにもまずまず満足したところで、小雪も舞ってきたので下山を開始した。この頃になると山頂は大変な混雑で、ちょっと場所を長く使い過ぎてしまったかと反省した。下山に入るともう富士山は見えない。ひたすら下る。前回来た時は大月へ直接行く「むすび山コース」をとったが、今回は田野倉駅に行く。ただ、途中までは一緒の道である。前回こんなに急だったかな、という感じでそれなりに(筆者にとっては)険しい道を下りていく。
途中リニア新幹線関連と思しき施設を遠目に見たりして、ぼちぼち休憩しようかと思って、ふとザックの横に手をやると、あれ、違和感が・・・。ザックを下ろして確認してみると。横に括りつけてあったはずのストックの下1/3の部分がすぽっと抜け落ちているではないか。説明が難しいが、ザックの留め紐部分に差し込んであった先端部分が外れて、歩いているうちに緩んで落ちたらしかった。どこで落としたか分からない。うーん、ザックを下ろした時に外れたと思われるから、30分ぐらい前にキジ撃ちした辺りか?一度は戻って探そうかと思い、一瞬戻りかけたのだが、見つけられる可能性が必ずしも高くないと思い直し、断念することにした。今年、某講習を受けて宗旨替えし新規購入したシングルストックだったので、とても悲しかった。深田久弥は槍ヶ岳を評して「それは悲しいまでにひとり天をさしている」と書いた。中原中也は、渓流で冷やされたビールを「青春のやうに悲しかった」と詠んだ。偉大な先人の表現を見ると簡単に「悲しい」という単語を使ってはいけない気になるが、でも悲しかったんですう。安くはなかったんですう。あー、山頂で紙ごみを二つほど拾って、ちょっといいことしたなあ、と思っていたのに、重量比で2桁以上違いそうな物体を山に残してきてしまった後悔もあって、しばらく落ち込んだ。ゴールの田野倉駅でも列車の時間がうまく合わず、これなら大月に出たほうが良かったかな、とか思いつつ、大月駅でリーダーが行こうと言った喫茶店もその時間は営業しておらず、ちょっとしょんぼり帰宅した。
まあ、でも富士山もほぼ全体が見えたし、今回も無事帰宅できたし、よしとしよう。ひと風呂浴びた後、自宅近くの中華料理店で、よく冷えたビールを心の中で峰を仰ぎながら(中也の詩のように)「泣きいるやうに飲んだ」のはもちろんである。 (完)
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