絶景かな、絶景かな・信州百名山・子檀嶺岳
- GPS
- --:--
- 距離
- 10.0km
- 登り
- 696m
- 下り
- 692m
コースタイム
- 山行
- 3:50
- 休憩
- 0:40
- 合計
- 4:30
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年12月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
コースは歩きやすく間違うことはありません |
その他周辺情報 | 田沢温泉、沓掛温泉がお手頃です |
写真
感想
この山は「こまゆみだけ」と読む。日本の難読山名のひとつに数えられるが檀の字ひとつで「まゆみ」と読むそうだ。そう言えば山に入るとよくマユミの木を見かける。感じではこの檀をあてるようだ。夏に白い花を咲かせ、秋になるとピンク色の果実をつける。尾瀬などでもよく見かけるあのマユミのことだ。
ではこの山にマユミの木が沢山あるのかというと全くなかった。山全体が赤松に覆われている。どうやらこの山は松茸の産地のようだ。きのこ止めと言って一般の人はきのこを採る目的では入山できない。最盛期には監視員が入るそうだ。あちこちに入山禁止の看板が出ていた。
それにこの山は麓から見るとその山容が目を引く。大きなプリンのような台形の山が麓からすくっと天にそびえ立ち、東面には急峻な岸壁を従えている。周囲にある夫神岳や女神岳なども目につくが、この子檀嶺岳ほど人の目を引く山しないだろう。登山をしない観光客でさえ「あの山は何という山ですか」と聞くほどだ。
前の日の夕方、道の駅「あおき」に着くと子檀嶺岳を正面に見る位置に車をとめた。刈り取られた田んぼ越しに暮れゆく子檀嶺岳を心ゆくまで見られる絶好ポイントである。
昨夜は冷え込んだ。厳冬期用のシュラフにもぐり込んで車中泊を決め込んだが車内が冷蔵庫に入っているように冷え込んだ。夜中に外に出てみたら満天の星空だった。
午前6時に起きるとフロントガラスは真っ白だった。田んぼや畑も霜で真っ白だ。気温はマイナス3℃。今年一番の冷え込みを迎えた。
日の出は午前6時30分ころだが、すでに東の空は赤らんでいた。雲ひとつない快晴である。テルモスに熱い紅茶を詰め込んで歩き始めた頃、すでに小学校へ向かう子供たちの登校が始まっていた。子供たちと朝の挨拶を交わしながら西洞の集落の坂道を登った。
右前方に子檀嶺岳の岸壁が近づいてくると林道が終わり暗い植林地の山道に入る。山頂まで100分の標識があったが、たぶん普通に歩ければそんなにはかからないだろう。この植林地はそう長くはなく、やがて明るい雑木林の中を登るようになる。松の木が多く、きのこ止めの張り札がやたらと目立つ。きっと天然松茸が沢山採れるのだろう。
稜線に出ると梢越しに雪山が見えた。方向的には北アルプスだろうがよくわからない。ひとつ山が特定できれば芋づる式にわかるのだが木が邪魔してそのひとつがわからなかった。早く山頂に立ってゆっくり見たいものだと歩調が早くなる。
昨日の夫神岳の急登ほどではないが、この山頂手前の急登もかなり堪える。おまけに深く積もった落ち葉でスリップして歩きずらいのだ。昨日伸びきったふくら脛が再びビンビンに伸びきってくる。明日から筋肉痛になりそうだ。
ふと息を整えようと立ち止まったらさっき見えていた北アルプスの山波が途切れた木の間からズラリと見えた。休憩がてら双眼鏡を取り出して山座同定を試みたところ、槍ヶ岳の尖った鋭峰が特定できた。そうなればあとは簡単である。常念岳と穂高岳が重なり合っていたのだ。どの頂も真っ白だった。
ここから山頂まではわけもなかった。さほど広くない山頂に大きな祠が三基も祀られていた。昨日とはうって変わって雲一つない快晴だ。さっき見えていた穂高岳あたりは松の木に隠れてしまったが、その松の木の間から乗鞍岳が顔を出している。
左に順に目を移していくと、鉄塔が乱立した美しが原高原、昨日登った独鈷山、夫神岳の後ろには八ヶ岳、噴煙をあげている浅間山から四阿山、その後ろに小さく顔を出しているのは横手山だろうか。戸隠から高妻山、雨飾山などの頸城山系もうっすら雪をまとっている。そして西側には、北アルプス北部の白馬岳から五竜、鹿島槍ヶ岳あたりが白屏風を立てたように並んでいる。まさに絶景である。
眼下には、青木村や塩田平、遠くは上田の街並みが箱庭のように見えている。双眼鏡でのぞくと道の駅にとめた私の車も見えた。
ビデオを撮ったり写真を撮ったりしていたら地元の観光協会の人たちが登ってきた。青木村の観光開発の一端としてこの子檀嶺岳をどう活用したらいいのか現地視察に登ってきたようだ。360度の展望を確保するため山頂付近の木々を少し切る相談をしていたが、展望を得るために自然に育った木を切る必要はないと思うのだが、いかがなものだろうか。
風も穏やかだし、天気もこれ以上良い天気はないだろうというくらい素晴らしい天候に恵まれたが、いつまでも山頂にいるわけにはいかない。何度もなんども展望を楽しみ、この素晴らしい景色を脳裏に焼き付け山を下りることにした。
下山は、国宝の三重の塔がある大法寺側に下りるのだが、これまたこちらの登山口は素晴らしい。道はなだらかで登りやすいし、麓には羊を放牧している牧場があり、独鈷山や塩田平を正面に臨む丘には誰もが使える休憩舎が造られていた。
麓には、国宝の神社仏閣が数多くあるし、温泉もあるし、夜はこの小舎に泊まって暮れゆく山並みを眺めながら友と酒を酌み交わし、翌日には子檀嶺岳で展望を楽しむという計画も悪くはないだろう。
緩やかな坂道を下りながら子檀嶺岳の麓に広がる桃源郷のようなこの風景を何度もなんども振り返らずにはいられなかった
コメント
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実はここも登ったことがあります。スイマセン・・・・
ずいぶん前に発刊された日本の山1000という分厚い本にこの山が掲載されていて、難読の山ということで興味を持ちました。
武骨な山容とは異なり登山道はやさしく山頂からの眺望もよかったですねー
来年の大河が真田で、上田はご当所になるので地元の行政や観光業界はブームを一過性に終わらせないように新しい観光資源を探しているようです。
名山がそろう信州であえてこの山に人を集めるには木を切るという手だてもやむを得ないかな・・と思います。
ああ、そういえば、来年の大河は真田でしたね。
それで観光協会や青木の役場の人が登っていたのですね。
それにしても当郷の休憩所はいいとこですね。
役場の人にそれを話したら、西洞にも造りたいようなことを言ってましたよ。
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