笠ヶ岳(笠新道→大ノマ乗越→小池新道)

- GPS
- 17:16
- 距離
- 26.4km
- 登り
- 2,388m
- 下り
- 2,386m
コースタイム
- 山行
- 16:01
- 休憩
- 1:15
- 合計
- 17:16
| 天候 | 晴れ時々曇り/風あり |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2025年04月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
【全般】 雪は基本的に緩んでいて、クラックや踏み抜きも多い。 夜19:30頃から標高2662m付近の大ノマ岳山頂付近で雪は締まり始めたが、標高を下げていくと夜でも緩んだままで、2300m付近では21:00頃になっても緩んだままだった。 【区間ごと】 <左俣林道> 新穂高温泉-中崎橋:川の左岸を歩く。舗装路だが、途中から断続的に積雪やアイスバーンとなる。土砂崩れで非常に歩きにくい区間があるので注意。 中崎橋-笠新道:右岸に渡り、平坦に近い雪道を行く。大規模雪崩の跡で盛り上がった箇所が複数ある。 <笠新道> 笠新道入口-杓子平:夏道の露出した区間と雪道が断続的に続く。標高1550mあたりでかなりまとまった雪道になった印象。1900m-2000m付近でかなり急な雪道を上がるようになった。緩んだ雪質の急傾斜にクラックが時々現れる一方、稀に平坦地があって休憩することができた。 杓子平-笠ヶ岳稜線(笠新道抜戸岳分岐):目の前の展望が開け、笠ヶ岳の山頂と稜線が現れる。なるべく標高を下げずに進むのが正解。 <笠ヶ岳稜線> 笠ヶ岳-秩父平下降点:ほぼ稜線の一番上を歩く。ハイマツに近いところでは踏み抜きやすい。左俣側は雪庇となっているので端を歩くのは避けたい。 秩父平下降点-秩父平:完全な雪道の下りのうち、最も傾斜の緩いところを進む。シリセードの跡があった。稜線を双六谷側へ移る際、滑ったら左俣谷の底へ落ちそうなトラバースがあるので注意したい。 秩父平-大ノマ岳:夏道は稜線伝いだが先行者の踏み跡に従い、やや双六谷側をトラバースした。傾斜は強くないが、日没後も雪はまだ緩く緊張した。19:30頃、2662mの大ノマ岳山頂付近で雪が硬く締り始めた。 大ノマ岳-大ノマ乗越-:急傾斜を一気に下る。下り始めると雪はまだ緩んでいた。雪質を考慮して念のためバックステップを使う箇所もあった。 <大ノマ乗越のカール> 大ノマ乗越-秩父沢出合:大ノマ乗越の直下こそ急傾斜だが、徐々に十分歩ける斜度に落ち着いていく。どこでも歩けてしまいそうだが、下山を考えるとやや右(西)よりを歩いた方がよい。 <小池新道> 秩父沢出合-小池新道入口:左俣谷右岸まで下りながら進む。秩父沢自体はまだ見えなかった。川に合流してしばらく歩くと左俣林道に合流する。 <左俣林道> 小池新道入口-笠新道入口:左俣谷右岸のなだらかな道を進む。全面雪に覆われている。 ※笠新道-新穂高温泉は往路と同じ。 |
| その他周辺情報 | 日帰り入浴:中崎山荘、ホテル穂高、ひがくの湯など 仮眠:道の駅 風穴の里など |
写真
装備
| 個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
ゲイター
バラクラバ
ヘッドバンド
靴
ザック
アイゼン
ピッケル2本
ストック
スノーバスケット
行動食
飲料
日焼け止め
保険証
携帯
時計
サングラス
|
|---|---|
| 備考 | 防寒着、バラクラバ、輪カンジキは使わなかった。 |
感想
今回は失敗記録です。
恥さらしだと思いつつ、書ける限りのことを公開します。
槍穂高連峰の稜線から飛騨側を眺めるとすぐ近くにありそうな笠ヶ岳。
槍穂や西銀座は歩いたことがあるものの結局ずっと後回しにしてしまっていました。
当初は月曜を休みにして四連休で裏銀座を考えていたのですが、予報は強風や霧、吹雪となってしまったので行き先変更です。
土曜は雨飾山、日曜は笠ヶ岳にすることにしました。
【計画】
<コース>
まず、この時期は冬季バリエーションルートの記録が多いものの、現在の自分のレベルでは不安が多いので避けておきたい。
⇒笠新道の往復を選択した。
<時間>
行程が長く、一泊が確実ではある。
順調に進めば日帰りできなくはないが、それでも12時間以上はかかる。
⇒翌日の天候と荷物の重量を考慮し、日帰りを選択した。常念岳東尾根の経験を踏まえれば無理ではないという判断だったが、これが甘かった。
【実際】
<左俣林道>
新穂高温泉-笠新道:アイスバーンや雪崩跡など歩きにくい区間もあったが、概ね順調に進めた。
<笠新道>
笠新道入口-杓子平:夏道の露出した区間と雪道が断続的に続き進路がわかりにくくなった。1900m-2000m付近でかなり急な雪道を上がるようになり、ペースが上がらなかった。当初の計画では下りも笠新道のつもりだったが、緩んだ雪の急傾斜を考えると遠回りでも大ノマ乗越へ向かった方がよいのではないかと思った。
杓子平-笠ヶ岳稜線(笠新道抜戸岳分岐):ルートミスにより時間も体力もロスした。特に、すぐ近くにシュルントを見つけた時には心が折れた。稜線に出た時には14:00を過ぎてしまっていた。
<笠ヶ岳稜線>
笠新道抜戸岳分岐-笠ヶ岳山頂:ハイマツに近いところでは踏み抜きやすかったが、概ね歩きやすかった。しかしペースが上がらず山頂到着時点で16:00を過ぎてしまった。
笠ヶ岳山荘に冬季避難小屋は無いと思っていたため雪洞を掘るか、双六小屋冬季避難小屋へ向かうか、大ノマ乗越経由で下山してしまうか悩んだ。
昨年同時期の北穂高岳ではアイスバーンによる痛ましい事故が起きているし、こちらも日没後のアイスバーン化が心配だったが、結局下山を選択することにした。
笠ヶ岳山荘-秩父平下降点:ハイマツ近くの踏み抜きと雪庇とで歩く場所がやや難しく、ハイマツ漕ぎを選ぶ区間もあった。
秩父平下降点-大ノマ岳:夏道は稜線伝いだが先行者の踏み跡に従い、やや双六谷側をトラバースした。傾斜は強くないが、日没後も雪はまだ緩く緊張した。19:30頃、2662mの大ノマ岳山頂付近で雪が締り始めた。
大ノマ岳-大ノマ乗越-:急傾斜を一気に下る。下り始めると雪はまだ緩んでいて、雪質を考慮して念のためバックステップを使う箇所もあった。
<大ノマ乗越のカールと小池新道以降>
大ノマ乗越-秩父沢出合:大ノマ乗越の直下こそ急傾斜だが、徐々に十分歩ける斜度に落ち着いていった。2300m付近では21:00頃になっても雪は緩んだままだった。危険箇所も無くなり、安心感が出てきた。
川に合流してしばらく歩くと左俣林道に合流する。傾斜もほとんど無くなっていくが、雪崩跡などは歩きにくかった。
新穂高温泉の無料駐車場に着いた頃には23時半近く、当然それなりに疲労もあったが、それよりも安心感が遥かに勝っていた。
【失敗】
_爾蠅盂淇憩擦鮖箸Ψ弉
…笠新道を登ることはできたが、登ってみて下りたくないと思った。下れたとしても滑った場合に助からない気がしたので、おそらく長時間かけてバックステップすることになっていたと考えられる。
ここで遠回りになっても大ノマ乗越からの下山に計画変更した。
⊆飮卻燭ら稜線までの間のルートミス
…向かって左側を行こうとして、時間・標高・体力をロスしてしまった。また、すぐ近くにシュルントを発見し精神衛生上もよろしくなかった。
テントを車に置いてきてしまった。
…当初はテント泊縦走を考えていたが、機動力を考えて置いてきてしまった。雪洞を掘る、遠いが双六小屋冬季避難小屋を目指す、遅くなってでも下山するなど考えたが、いずれも不安しかなかった。
(実は笠ヶ岳山荘の物置に避難することができたようで、これを認識していたら双六小屋は選択肢に無かった。)
ぅ好檗璽張疋螢鵐粉末・アミノ酸粉末を車に置いてきてしまった。
…完全に忘れた。塩分摂取の手段に不安が出てきてしまったのは不安だった。摂れるとしたら豆腐バーのみ。結果的に足が攣るようなことは無く済んだ。
ゥ譽鵐織ーの返却時間を翌日昼にしてしまい、延長できなかった。
…笠ヶ岳山頂は電波があったので延長を試みたが、次の方の利用予定に影響してしまうらしく叶わなかった。
はじめからもう半日余裕を見て借りられていたら、アイスバーン化を心配しながら下山を強行しなかったかもしれない。
一方で、稜線で風が吹いてもずっとではなかったこと、冷たい風ではあったが凍えるような寒さではなかったこと、緩んだ雪ではあったが結局アイスバーンにはならなかったことなど気象条件は有利に作用した。
ダウンジャケットを着ることもなかったし、水と行動食が豊富にあったことも安心材料ではあった。
【感想】
完全にやらかしました。計画に無理がありました。
時間超過で暗くなってしまったのは1月の光岳以来です。
日帰り登山としてはこれまでで最も長い行動時間になってしまいました。
夏は体力的に辛いと有名な笠新道ですが、とにかく恐ろしいです。
部分的には45度は越えているであろう急傾斜に緩んだ雪が恐ろしく、しかも滑ったらおそらく谷底で助かる気がしません。
途中で考え直すにしても下るのも地獄です。
それでも杓子平から見上げる稜線の開放感は素晴らしいし、背後の槍穂高連峰に焼岳、乗鞍岳は圧巻です。
信州側の蝶ヶ岳と対をなすような飛騨側の展望台です。
稜線に上がれば北ノ俣岳や黒部五郎岳、薬師岳、双六岳など北アルプス最深部の景色も見事です。
近いようで遠い山なので、登頂の達成感もひとしおではあります。
(ただし、時刻が時刻だったので下山の不安の方が遥かに強かったです。)
事故や怪我無く帰って来られたのは気象条件など運がよかったからに他なりません。
K.TAIRA

















ありがとうございます!
運よくアイスバーン化しなかったことも大きく、おかげさまで事故や怪我無く下山することができました!
あの笠新道の急登は恐ろしかったです…
長時間行動はきつかったですが、帰りたい一心でどうにか歩けました。
お疲れ様でした!
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