台高山脈縦走

- GPS
- 21:38
- 距離
- 50.8km
- 登り
- 5,357m
- 下り
- 4,250m
コースタイム
- 山行
- 6:17
- 休憩
- 1:38
- 合計
- 7:55
- 山行
- 8:40
- 休憩
- 0:42
- 合計
- 9:22
| 天候 | 1日目(10/22):曇りのち雨 2日目(10/23):小雨一時晴・曇 3日目(10/24):晴れ |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2005年10月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
下山口:大台ヶ原バス停から奈良交通バスで近鉄吉野線大和上市駅 |
写真
感想
1日目(10/22)
近鉄の始発電車に乗り榛原駅から奈良交通の小型バスに乗った。途中鷲家で乗換えとなり高見山登山口BSで下車した。道中一緒になった大阪から来た三人組の女性、彼女達も高見山から台高山脈に入り、明神平でテントを張るそうだ。一足先に出発しすぐ初老の男性を一人追い越すともう誰もいない。昨年の11月大台方面とは逆の三峰山へ縦走した時もこのルートで登っている。その時は日帰りだったので1時間15分で登ったが今日は20圓硫拱を背負っているのでそうは行かない。
昔の伊勢南街道の石畳の道を歩いていると1年前の記憶が甦ってきた。小峠から本格的な登山道となり、登り切ると高見山(1,248m)山頂だ。東の三峰山と共に霧氷で有名なこの山もはっきりしない天気と、何もない季節で人はいない。山頂の祠と2等三角点「高見山」、展望台を兼ねた休憩小屋、すべて懐かしい。山頂から北を見ると、どんよりした雨雲が殆どの山を隠しているが三峰山や台高山脈はスカイラインがはっきりし薄く日も差していた。しかし上空には雲があり雨の降り出すのも時間の問題か・・・
風が強くじっとしていると寒い。5分程の休憩で先に進んだ。三峰山へのルートを左に分けると、ここから先は台高山脈。急斜面のジグザグ道を高見峠に向けて下った。半分ほど下りた頃、早くもポツポツと降り出した。強くならないうちにと雨具を着た。雨粒は雲を呼び広がっていた視界は一挙に無くなってしまった。歩き出すとすぐ下って行く老夫婦が一組、雨が降り出したので山頂は諦め引き返すと云う。一寸諦めが早過ぎるような気もするが・・
高見峠(約895m)は奈良と三重を結ぶ旧国道が通り車で来ることができる。そして高見山への最短登山道でもある。駐車スペースもあり、これから登ろうか登るまいかと思案中の3人組に山頂の様子を聞かれたが、「さっきは曇りで展望が利いた」と答えた。天候が悪化した今では何の参考にもならないのだが・・・
高見峠を越え台高縦走路へと進んだ。小ピークを2つ程越えて緩やかに標高差180mを登り返すと雲ヶ瀬山(1,075m)に達した。山頂は樹林帯で展望はない。940m程の南タワに下降、P1007の先のハッピノタワからは連続の登りでハンシ山(1,137m)、地獄谷頭(1,175m)と只管樹林帯の中を進んだ。伊勢辻山(1,290m)、赤ゾレ山(1,300m)は開けた山頂だがガスで何も見ることができなかった。
台高山脈は大台辻まで一貫して奈良・三重の県境尾根で要所要所に石の境界標が埋められていた。そして東吉野村の透明三角形のプラ板の指導標もあり良い目印になる。それでも赤ゾレ山に登ると山頂表示だけで指導標はなく、ついつい北の尾根に入ってしまい何処に導くのか古びた赤テープも付いており10分余りも下ってしまった。だんだん踏み跡が怪しくなり方角を確認するとまったく反対方向! がっくりして山頂へ登り返した。
此の先は馬駆ヶ辻(1,320m)、国見山と続き、国見山(1,419m)には2等三角点「青俣山」があり、水無山(1,441m)はこの日の最高峰で、斜面を下ると明神平の広場に達した。天王寺高校の真新しい小屋と天理大学の古びた小屋があるがどちらも非公開で一般登山者は利用できない。東側に5分程下ると水場があり幕営するにはもってこいの広場だ。この雨の中4張のテントが設営されていた。まだ14:30水の補給だけして更に先に進んだ。
前山(1,414m)、三塚(1,400m)、明神岳(1,432m)、笹ヶ峰(1,367m)とただ只管歩き一応の目安としていた千石山(1,380m)に達した。国見山以来の三角点峰で3等三角点「蓮1」の標石が設置されていた。今夜の天場を探しながら下り、標高1,200m辺りで尾根の東側に一寸した平地を見つけ幕営地とした。登山地図には記載がなかったが、すぐ傍に小さな沢があり水が取れて絶好のロケーションだった。強風と雨の中、寒くて指の感覚が失せ設営に手間取りながらもテントに潜り込むとホッと一息つくことができた。
2日目(10/23)
昨夜の風はすごかった。一晩中ビュービューと凄まじい音で木々を揺らしていた。19時頃に一旦止んだ雨も深夜1時頃だろうか、また降り出し朝になっても降り続いている。テント撤収に手間取りすっかり明るくなった6:18漸く出発できた。北西の風は稜線に吹きつけ煽られる。今日の1本目は赤山(あかくらやま1,394m)、雨の中楽しめるものは何もなく黙々と登るだけ。千里峰(1,390m)、奥ノ平峰(1,350m)、霧降峰(1,360m)と接近しており、歩き始めて1時間余りで4座も登頂できた。奥ノ平峰と霧降峰は晴れていると展望がよさそうだった。赤山の下りで久しぶりに人に会った。霧降峰あたりで幕営したという夫婦で、天候の回復を願い励ましあった。
池木屋山(1,396m)は2等三角点「中奥」があり台高山脈の中央部で三重県側の三方に登山道が通じている。南西に延びる県境の天黒尾根に入り、ホウキガ峰(1,346m)に達する頃、晴れろ!晴れろ!と念じていたのが通じ、雲の切れ目から太陽が顔を見せた。上空は青空となりこれでこそ! とテンションが高くなった。
3等三角点「罌粟谷」のある弥次平峰(1,275m)に近づくと馬の背状態になり歩き難くなった。ピークを越えても同じような稜線が続き深いキレットもありアップダウンが厳しい。待望の晴れ間も束の間、西から飛んできたガスが峰に纏わり付き再び雨粒を落とし出した。風が強く寒かったので雨具はまだ着たままだった。良かったのか悪かったのか?
台高南部に入ると踏み跡程度の道で厳しさが増した。注意していないと獣道に付いた踏み跡を辿ってしまい「これは?」と思い引き返すことが再々となる。その中でも一番心強いのが赤や黄色のテープがナビしてくれるので目印がなくなると「?」と立ち止まり確認した。アップダウンの続く長い道程で馬ノ鞍峰(1,178m)に達し休憩していると西側に伸びる尾根から人が登ってきた。明神谷からの登山道で、晴れるはずだと思って来たそうだが、天気が悪いので縦走路に入らず引き返すそうだ。馬ノ鞍峰を出発すると雨も上がり一安心。すぐ下の二重山稜帯の鞍部で男性が一人休憩してい。山ノ神ノ頭付近で幕営し明神谷へ下るそうだ。情報交換しているとこの先あてにしていた池地越の水場はぬた場で飲める水ではないとのことで、湯谷の頭の先の水場までないそうだ。そして地池越に達すると水場に至る沢は倒木が蔽い、とても確認に行く気にもならなかった。
名無しピークを二つほど越えると父ヶ谷越、少し広場もあり幕営できそうな感じ。標高差90mほど登ると3等三角点「湯ノ谷」のある山ノ神ノ頭(1,099m)、縦走路から20m程西に入るとピークがあった。先に踏み跡が続いており明神谷に下る登山道のようだ。馬ノ鞍峰で出合った男性が、天気が良ければこの尾根を下りたかったと言っていた。
ピークを二つ、三つ越えると湯谷の頭(1,065m’)だが山頂標識も無く注意していないと通り過ぎてしまいそうだった。更に顕著なピークを三つほど越えP1164の手前を直角に右折し下りきった鞍部は広々として幕営には持ってこいだ。三重県側に5分程下ると水場があり、澄んできれいな水が得られた。4.5卆茲凌胸卍圓泙膿覆猴縦蠅世辰燭南部縦走路の悪路で結構時間を食ってしまい、時刻は15時40分、今日はここでテントを張ることにした。
3日目(10/24)
夕べ、ビュンビュン吹いていた風も夜半には収まり朝から晴れ。昨日振子辻まで行けなかったので、うまく行けばと考えていた小処温泉への下山は諦め大台ヶ原駐車場までにしたので平日は1本しかない16:15のバスに合わせてゆっくり出発した。台高南部に入ってから続くアップダウンの登山道は今日も同じ、1,082mのピークを越え登り詰めると父ヶ谷の高の肩に達した。少し南に入った処にピーク(約1,220m)があり、ここが山頂と思われるが山頂標識はなかった。
杉又高への稜線は幾つピークを越えたか分からないほど、小刻みにアップダウンが続いた。おまけに稜線上は“馬の背”とまではいかないが“像の背”ほどのところにシャクナゲなどの樹木が密生し、腰をかがめてもザックを引っ掛けてしまう場面も再々だった。それに苔むした倒木も多く通過に苦労した。稜線上奈良県側の伐採地で大峰山脈の大普賢岳の展望が利くところがあり久しぶりにカメラを取り出した。そう言えば昨日は1回もカメラを出さなかった。杉又高(1,080m)は縦走路から東に100mほど入ったところ、訪れる人も稀だろうが踏み跡はしっかり付いていた。ただ山頂にはなにもなかった。相変わらずのアップダウンを進み振子辻に着いたのは9:15で幕営地から2時間18分が経過している。台高、大峰の山域で“辻”は分岐点のことで主に峠に相当するがここはピークになっていた。元々の幕営予定地だったが、狭い山頂でテントを張る余裕はなさそうだった。登山地図には“キャンプ適地”とあったのだが・・・・
遅れ気味の行程にピッチを上げようとするが、アップダウンと樹林でスピードは一向に上がらない。ピークを5つほど乗り越え引水サコ(1,418m)に到着すると、益々時間が押してバスの時間が気になりだした。次の御座(1,170m’)はかなり厳しい岩峰でこの山脈中の最難所だろう。固定ロープの助けを借り石楠花の枝を掻き分けて這い登ると流石に展望は抜群で大普賢岳や白鬚岳(1,378m)の眺めが素晴らしかった。
さらに急斜面を登り添谷山(1,250m)に到ると3等三角点「添谷」があるが展望はなかった。心持ち歩きやすくなった道で4つほどピークを越え鞍部に達すると大台辻だ。筏場からの登山道が合流しているが下の方で吊橋が落ちて通行止めになっていた。此処までずっと辿ってきた奈良・三重の県境尾根と分かれ三重県側の谷筋についた古道を歩いた。一般道に入り広い道で路肩は苔むした石垣で整備されていた。谷の源頭のコブシ峠で尾根の張り出しを乗越し、三津河落山から延びる尾根の懐に入り山腹の巻き道で序々に高度を上げた。三津河落山の尾根はなだらかで気になるテープがあり尾根通しの踏み跡があるようだが、時間が気になるので地図どおりの道を進むことにした。金明水は湧水でおいしくペットボトルに補給した。暫く行くと橋の残骸が谷に落ちておりこれが“安心橋”かと思ったが、そうではなくてもう少し行くと真新しい立派な橋があり“安心”した。
三津河落山の懐から発する沢を何本も渡り、その度に大きく切れ込み登山道も大きく迂回した。沢の横断は結構厳しいところもありロープで谷に下り対岸へのロープで登り返す難所も存在した。それでも全体としては分かり易く歩き易い。殆どが樹林帯だが2、3箇所日出ヶ岳、巴岳を正面に見られる箇所があった。軈て登山道は川上辻に達し、処女ルートは終わった。一般登山道に入り行程も捗りバスの時間は問題なくなりゆっくり行くことができそうだ。
大台道路からの入口に通行止めの看板とロープがあり筏場方面への進入を規制している。そして日出ヶ岳から経ヶ峰に至る尾根ルートも植生保護のため進入規制されている。一寸気が引けながらもロープを越えてミヤコザサの茂る斜面の踏み跡を進んだ。右手には鹿の食害を防ぐためのフェンスが続き巴岳(約1,645m)の山頂に着いた。山頂付近は岩稜だが特に問題なく着くことができた。“巴岳”と書かれた石碑のような山頂標識がせっちされていた。
巴岳の東稜線を進むと日出ヶ岳(1,695m)に達した。山頂域の柵を乗り越えるとハイカーの屯する展望台のある山頂だ。1等三角点「大台ヶ原山」の標石にタッチし高見山〜大台ヶ原の縦走達成を確かなものとした。展望台に上がると西側の大峰山脈を一望、昨年の奥駆道縦走に思いを馳せた。東側には尾鷲湾がすぐ近くにあり入り組んだ海岸線が美しい。
台高縦走を終え正木嶺から尾鷲辻へと南下し大台ヶ原独特の背の低い笹原を爽快に歩いた。伊勢湾台風で木々が倒れ、苔むした森林に日が差すようになり、ミヤコザサが繁茂し出し、それを餌とするシカが増え、食料が不足する冬に立木の皮を剥がし、それによって更に立ち枯れしてしまう。そして増々笹が茂り草原になると云う悪循環を起こしてしまい現在の大台ヶ原山が形作られているようだ。尾鷲辻からは遊歩道に入り15:25大台ヶ原駐車場に到着し3日間の台高山脈縦走を終えた。16:15のバスで大和上市経由、21時帰宅した。
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