木曽駒ヶ岳・空木岳・越百山

山キチどん
その他1人 - GPS
- --:--
- 距離
- 32.5km
- 登り
- 3,717m
- 下り
- 3,818m
コースタイム
- 山行
- 7:39
- 休憩
- 2:04
- 合計
- 9:43
- 山行
- 6:22
- 休憩
- 1:56
- 合計
- 8:18
| 天候 | 1日目(7/23):曇りのち雨 2日目(7/24):晴れ後曇り後雨 3日目(7/25):晴れのち曇り |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2005年07月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
電車 タクシー
下山口:シオジ平自然園からタクシーでJR飯田線飯島駅 |
| その他周辺情報 | いいじま温泉 |
写真
感想
1日目(7/23)
前夜、京都から急行“ちくま”に乗り、2:33木曽福島に着いた。昨年は同時に上りの“ちくま”がホーム反対側に到着したものだが、今期は臨時列車となり上り列車の設定がないのが寂しい。下車した人の殆どは御岳を目指す人達で、信仰登山のおばあちゃんの姿もあった。3:30の臨時バスが出てしまうと、待合室には私一人、明るくなり始めた4:50タクシーに乗りキビオ峠に向かった。
木曽駒ヶ岳二合目に位置するキビオ峠は標高約1,216mで福島Aコースの登山口となっている。広いスペースに東屋もあり展望がよい。アンテナを高く揚げた1BOXカーが1台停まっていた。5:12歩行開始、タクシー運転手の話によると昨夜雨があったようで、確かに下草はたっぷり露を含んでいた。樹林帯の確りした道を登り始め40分程歩くと分岐が現れた。左に折れると木曽見台(1,560m)で尾根から張り出したピークになっていた。晴れていると木曽福島の街などが見下ろせるのだろうか。このピークで一本入れて汗を拭っていると。昆虫採取の大学生が二人登って来た。
分岐点付近が三合目で二合目からの標高差は300m余りある。ジグザグ道で高度を稼ぎ赤林山(2,178m)の東を巻いた。踏み跡があれば寄ってこようかと思っていたが、道はなく標高差100m余りの藪漕ぎの余裕は無く諦めて先に進んだ。四合目、五合目と指導標を横目に見ながら進み六合目に到ると福島Bコースへの水平道が分岐した。福島Bコース七合目方向と麦草岳ルートの分岐点だが、麦草岳への指導標のボルトが1本外れ、とんでもない方向を示していた。一般的には福島Bコースと合流する七合目に向かうようで、岩稜難路の麦草岳へは赤点線道となっている。この辺りは標高2,400mあり高山植物が咲き乱れていた。ゴゼンタチバナ、ツマトリソウ、イワツメクサなどおなじみの花の他、コマウスユキソウとも言われるヒメウスユキソウも見られた。
尾根を直登する登山道の踏み跡は薄くなるが確りしていた。やがて樹林帯から這松帯に変わり、右手から上松Bコースが合流した。歩き始めて5時間、「麦草岳2,721m」の指導標が現れた。麦草岳北峰で3等三角点「麦草頭」が設置されていた。140mほど南に麦草岳の最高点があり2,733mある。こちらの山頂には山頂を示す物は残念ながら何もなかった。一寸寂しいが360°の展望が楽しめた。登山地図には載っていないが北峰は福島Bコース七合目への分岐ルートがあり、地形図には記載されていた。
先に続く木曽前岳への道は更に険しく危険なガレ場の縁を上下し、梯子やロープに助けられて進んだ。僅かの距離なのに行程は捗らず、1時間半掛かり漸く木曽前岳(2,826m)に到着した。結局六合目から3劼瞭残に3時間も要してしまった。山頂を出発しようとすると雨が降り出し雨具を着るが、歩き出すとすぐに止んでしまったので玉ノ窪小屋に着くと雨具を脱いだ。
最後の斜面を登り詰めると木曽駒ヶ岳(2,956m)に達し、1等三角点「信駒ヶ岳」のある山頂に立った。石垣で守られた駒ヶ岳神社の祠が二つ木曽と伊那の国ごとにあり信仰登山の山であることが覗えた。ここまで来ると俄かに人が多くなり千畳敷までロープウェイで登ってきた観光客が軽装で徘徊していた。何やら大きなザックが場違いに感じてしまった。山頂のガスは時折さっと晴れ、中岳や和合山が姿を現した。木曽駒を越えた中岳との鞍部(2,865m)には頂上山荘があり、その傍らの広場は中央アルプス唯一の天場で色とりどりのテントが並んでいた。中岳(2,925m)に登り、山頂の岩の上で一瞬のガスの隙間を狙い木曽駒を撮ることができた。眼下には今日の宿泊地宝剣山荘と天狗荘が見えた。風景に満足して下り、F澤さんと待ち合わせの宝剣山荘に行くが満室で予約のない人は天狗荘へと回された。
中岳から小屋の傍に見えていた山を天狗岩と思い込み時間も早いので登りに行こうと小屋を出ようとするとなんと雨が降ってきた。すぐ戻るので大したことはなかろうと雨具は上だけ着て出発した。山頂に立つと人ひとりが登れる岩がありてっぺんに立つがガスで何も見えず、おまけに雨脚が強くなり、ズボンはびしょ濡れ、早々に下山し小屋に戻った。濡れた雨具やズボンを干し一息つくと、雨に濡れそぼってF澤さんが到着、お疲れの模様で16時から夕食を食べると、17時過ぎにはお休み。この小屋も登山者の他、観光客やツアーの人達で賑わい、一寸違和感を覚え同宿者と話をすることもなく過ごしてしまった。
2日目(7/24)
朝3:30に目を覚ますと一面のガス、朝食を済まし4:50出発しようする時、小屋の前で雲の隙間から太陽が覗き期待もしていなかったご来光を見ることができた。しかも日の出と共にガスがさっと晴れ周りの山も姿を現した。昨日から宝剣岳だと思っていた和合山方向に行こうとすると、F澤さんに道が違うと指摘され始めて気が付くというお粗末さ、地図は見るものですね。そうすると昨日夕方に天狗岩だと思って登ったのが宝剣岳で、何も雨の中無理に登ることもなかったのだ。改めて登った宝剣岳(2,931m)、今日は展望も利き木曽駒やこれから縦走する南方尾根の檜尾岳、熊沢山、空木岳が素晴らしく見通すことができる。
宝剣岳は鎖を伝っての登下降で渋滞が起きやすいがまだ他の登山者はなく快調に進めた。山頂を乗越し鞍部からは1日目時間があったらピストンしたかった三ノ沢岳(2,846m)が分岐の向こうにどっしりと構えていた。サギダルの頭(2,880m’)を越し極楽平の鞍部では真下にロープウェイの千畳敷駅のあるカールが見下ろせた。まだ5:40だと言うのにスピーカーから何やら声が聞こえてくる。次のピークは島田娘(2,858m)で“山”かどうかは見解が分かれるだろうが、ピーク性があり標高点でもあるので“山”に数えた。
岩稜のアップダウンで30分余り進むと濁沢大峰(2,724m)のピークに到るが、ガスも一緒に上がってきて視界を覆い隠してしまった。宝剣山荘を4時過ぎに出発したと言う6人パーティーが山頂で出発直前、空木岳まで行って今日中に下山するとのことだが、少し強行軍かも。急斜面を一挙に下り標高2,536mから再び急登すると檜尾岳(2,728m)に達した。3等三角点峰「梯子樽」が設置され、ガスが取れ再び雄大な山頂風景を見ることがでた。伊那側へ下る檜尾尾根の登山路が伸び、すぐ下の小ピークには檜尾避難小屋が建っていた。濁沢大峰を一足先に出た6人パーティーに山頂直前に追いつき、再び先行しそうな雰囲気だったが、メンバーの一人が体調不良により空木への縦走は断念し檜尾尾根を下山するようだった。
先行者のいなくなった稜線は昨夜の雨をたっぷり含み這松が煩くなると容赦なく靴やズボンを濡らしてしまった。次のピーク大滝山(2,708m)は縦走路を5m西に入った処にあり山頂標識はなく気をつけて見ていないと通り過ごしてしまいそうだった。池ノ平カールの縁を歩くが谷をガスが埋めて見通せない。登り詰めると熊沢岳(2,778m)だがまたガス出て何も見えない。熊沢岳から東川岳の間は熊沢五峰と呼ばれる岩峰群で、本谷山、伊那川岳、殿ヶ岳、鞍ヶ岳と名の付くピークがあるとガイドブックには記されているが、山頂標識は一切なくどの峰がそれか特定は困難だった。1時間程で東川岳(2,671m)に達すると、ガスが切れ空木岳が眼前に迫ってきた。
急斜面の道を木曽殿越へ下ると、木曽殿山荘があった。木曽側の倉本への下山路をトラバースするように6分ほど入ると“木曽殿の力水”という水場がある。縦走路上で数少ない水場だ。“木曽殿”と言うのは源氏の木曽義仲のことで、義仲がここを越えたことに因むそうだ。休憩することなく空木の斜面に取り付き約370mの標高差を登る、本日一番の登りだ。見上げればピークに見えていたのは第1ピーク(2,782m)でまだ80mほど足りない。再び雲の中に没し、岩稜を越え漸く辿り着いた空木岳(2,864m)は2等三角点「駒ヶ岳」があるが北西側の岩場が三角点よりも標高が高そうだ。登頂を喜んでいるとポツポツと雨が降り出したので山頂もそこそこに今日の宿泊地駒峰ヒュッテへと急いだ。5分の距離らしいがガスで見えず発電機の音だけが近さを実感させた。小屋に入るととたんに雨は激しくなりまさに滑り込みセーフと言ったところだった。
平成10年に建て替わった明るい温もりのある小じんまりとした小屋で、2食付でなんと5,500円、寝具は貸し出しのシュラフが1,000円。今日は予約が10人と我々飛び込みが3、4人と頃合。池山コースを登ってきた人達と、越百山あるいは木曽駒ヶ岳からの縦走者が相半ば。結局予約者の一人がノーショーで、小屋番は御飯を炊く量を最後まで悩んでいた。夕食後はお酒の振る舞いがあり儲けた気分になる。とにかくアットホームで落ち着ける小屋だった。
当初の計画では空木岳を越えて赤梛岳、南駒ヶ岳間のカール内にある摺鉢窪避難小屋に泊まる予定だったが水場もなく稜線からの下降、登り返しが面倒で敬遠した。気になっていた台風7号は、明日夜から影響が出そうで、安平路山への藪漕ぎ縦走はガスの中、ルートファイディングの困難さも予想され断念した。エスケープとして中小川コースを下り、登山口の中小避難小屋で泊まることも考えていたが、明日中に一気に下山してしまうことにした。
3日目(7/25)
4時に起床、外に出ると月は大きく、星は輝いていた。ご来光を見ようと急いで支度するが手間取ってしまい、4:58に漸く出発できたが、残念ながら太陽は上がってしまっていた。登り6分で空木岳山頂に達した。朝の晴れ渡った木曽駒から連なる昨日歩いた稜線を一望でき、雲の上に顔を出した御岳や南アルプス、南に目を転ずれば今日のルートの南駒ヶ岳なんかも素晴らしい。山頂に来ていたご来光ウォッチ組に別れを告げて南の縦走路に踏み出した。この先も岩峰の登下降が続き厳しい。1時間で赤梛岳(2,798m)に達した。振り返ると空木岳の雄姿が圧倒的な存在感を示していた。
東の尾根にポツンと飛び出す田切岳(2,730m)を横目に見て南下すると、カールの中に摺鉢窪避難小屋が見えた。カールの下縁、“百間ナギ”のガレ場に落ち込む先端近くに建っている。赤梛岳山頂からはかなりの高度差があるようだ。鞍部に下りると小屋への分岐道があり、先ほど感じた高度差もここまで下りるとそれほどでもないようだ。分岐を過ぎ130m余りを登り返すと南駒ヶ岳(2,841m)に到った。仙涯嶺、越百山、南越百山とこの先縦走する山々が望め、その先に今日縦走を断念した安平路山も見えた。すぐ南側のピークは結構存在感を持って聳えている。何か名前が付いていてもいい峰ではと思ってしまった。
急な斜面を下りだすと見事なコバイケソウの群落があり、イワカガミやシナノキンポウゲ、ミヤマキンバイ、チングルマなどが咲き乱れていた。V字形に登り返すと仙涯嶺(2,734m)の岩峰に出て、ガスが纏わり付きがちな南駒ヶ岳を望んだ。益々近づいた越百山は仙涯嶺以北の山とは明らかに一線を画した穏やかさで佇んでいた。木曽側の天気は比較的安定しているのに伊那側からは続々とガスが這い上がり山容を覆い隠すことが再々となってきた。仙涯嶺の岩場を脱すると這松の穏やかな稜線歩きとなり徐々に高度を上げた。
越百山(2,613m)山頂は最高点の南側に3等三角点「越百」と山頂標識が設置されていた。少し下ると飯島町のシオジ平に下る中小川コースを分岐する。その分岐点に荷物をデポし片道10分の南越百山(2,569m)へピストンに出掛けた。分岐から一歩足を踏み入れると急に踏跡が細くなり、安平路への藪漕ぎ道へのプロローグを感じさせるに十分だった。ここから安平路小屋まで12.2キロ、8時間50分のコースタイムになっている。中央アルプス完全縦走を目指していたのに途中断念は悔しいが、台風の接近を前に無理は禁物、ここで引き返し分岐点に戻った。
稜線に別れを告げて、草深い谷筋を下降すると、あまり歩かれていないのは歴然で稜線上にはなかったニッコウキスゲの花を見つけ道草をした。15分程下ると旧越百小屋跡の水場があり、駒峰ヒュッテで買った浄化天水の残りは捨てて詰め替えた。なお現在の越百小屋は越百山から木曽側遠見尾根を1時間下った鞍部にある。
ここからは水が豊富で幾筋もの沢を渡り、枝沢を集めて中小川の沢がはっきりしてくると、勾配がきつく滝の連続で渡渉や沢下りを繰り返す難路となってきた。落差の大きい滝を通過する際は高巻きと際どい斜面に付けられた鎖や梯子を伝って下ると云う険しさで、登山地図では赤実線道だが、現地では上級者向けとされているようだ。分岐から1時間程下ると岩に“三段の滝”と赤ペンキで書かれた場所があり見上げると確かに滝が三段、下の河原が心持ち開けているので10時を過ぎたばかりだが昼食タイムにした。
ここまでもかなりのハードさだったが、この先が核心部の“カモシカ落し”となる。少し行くと左手に“飛竜の滝”が下に見えた。ここは断崖の上で、凄い傾斜で一気に下った。流石のF澤さんも必死の様子(本人の弁では「ほとんど泣きそうだった」そうですが)、慎重に、慎重に下り最難関を越えるがまだまだ安心は出来ない。小さな滝は頻繁に現れその都度急降下を伴った。軈て“相生の滝”上部に達すると太くなった沢の渡渉も一苦労で、上流に渡渉点を探した。枝沢から流れ込む“乙女の滝”の半ば位を横切ると登山道も徐々に穏やかになり漸く林道(中小登山口)に出合った。林道歩き0.7キロで林道端に建っている中小避難小屋に達した。一時宿泊も検討したが、中を覗くと暗く、古びた畳が敷かれ薄汚い、殆ど使われておらず、休憩するのも躊躇するような代物だった。
林道とは云え駒峰の小屋番の話によるとこの先土砂崩れで不通箇所があるそうでそこまでは林道歩きを余儀なくされるが当分携帯は通じそうになくどこまで歩くことやら。シオジ平自然園の入口を左に見てさらに進むと建設重機が林道幅一杯に止まり作業中ですり抜けて通った。どうやらここが不通箇所らしく、その先にはダム工事の現場があり大型ミキサー車が出入りしていた。工事のおじさんに状況を聞くと、「この下の駐車場まで車が入れる。電話はそこの工事事務所で貸して貰え」とのこと。結構嫌気が差していた林道歩きから間もなく開放されそうだ。小屋から2.9辧▲轡ジ平自然園の駐車場がありなるほど工事事務所のプレハブが建っていた。通常でもここが一般車の進入限界のようだ。
30分してタクシーが到着、飯島への最短ルートは舗装工事で通行止め、迂回して駅近くの“いいじま温泉”で降ろしてもらい久しぶりのお風呂で汗を流した。サッパリすると打ち上げのビールをと、お店を捜すがどこも“準備中”諦めて飯島駅前の酒屋で缶ビールを買って乾杯。F澤さんは飯島BSから中央高速バス、私は飯田線で飯田まで行き名古屋行き高速バスに乗るべく飯島駅でパーティを解散した。
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する


















いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する