日帰り槍ヶ岳目指すも敗退

- GPS
- 13:02
- 距離
- 28.1km
- 登り
- 2,051m
- 下り
- 2,046m
コースタイム
- 山行
- 12:38
- 休憩
- 0:24
- 合計
- 13:02
| 天候 | 晴れてましたが山頂近くは時折強風 |
|---|---|
| 過去天気図(気象庁) | 2025年11月の天気図 |
| アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
| コース状況/ 危険箇所等 |
危険個所はありませんが、とにかく長いルートです(^^;)。林道終点あたりからずっと着雪しているので、無雪期と比べると時間を要します。 |
| その他周辺情報 | 私はいつも最初の信号手前の栃尾温泉を利用させていただきます。シャンプーや石鹸は使えません。協力金300円程度とのことです。 |
| 予約できる山小屋 |
槍平小屋
|
写真
感想
前週末は仕事で何もできず。そしてこの3連休を迎えるにあたり、なんかやってやるぞと思っていたところ、ふと槍が頭に浮かびました。せっかくなので旅行がてら行ってみるのもいいかも。と、土曜日にパッキングをしてゆっくりと出発しました。
ところが折しも名神高速の集中工事にぶち当たります(^^;)。彦根の先から米原の先まで大渋滞。抜けるのに1時間近くかかってしまいました。しかし逆方向の渋滞はさらに伸びていました。連休初日だから下りは交通量多いですもんね。
東海北陸道から高山へ。そして新穂高ロープウェイを目指します。途中買い物もすませ、登山者駐車場へ。今晩はこちらでビバーク。思ったより時間がかかって疲れましたが、運転のあとはなぜか寝つきが悪くなる(^^;)。無理やり寝て明日に備えます。
結局浅い眠りでしたが、4時に起きて5時に出発。登山届を出して出発するも、あたりはあまりに真っ暗(^^;)。ヘッデンだけが頼りです。小さな物音にも驚きます。そのうちうっすらと明るくなってきたと思えば、あっという間に遠くの山が見えてきて。北アルプスに来たことを実感できました(^^)。
まずは右俣林道を進みます。まあとにかく長いルートなのでゆっくりはできぬ。穂高平小屋はトイレを使わせてもらえるようでした。ちょっと先に牧場のようなところ。西穂高岳西尾根の取りつきですね。さらに進むと白出沢分岐。こういった北アルプスの山系に自分がいると実感できる名前がずらずら出てくると気分は盛り上がって行きます(^^)。
しかしまだ林道すら終わってません(^^;)。しかも標高も上がってないので滅入る。いや、これは上高地から涸沢までを歩いていると思えばおんなじか。堰堤の下を越えて行くと、ようやく登山道が始まりました。
以前来たときは乗越分岐あたりから着雪していた記憶がありますが、今日はすでにしっかり着雪。これは時間がかかりそう(^^;)。それに進めど景色が全く変わらないので飽きますが、アルプスの稜線が近いので時折稜線が見えると力をもらえます。ジャンダルムが見えた時は「おお!」と声が出てしまいました(^^)。
ということはまだ奥穂の横あたりか。鎌田富士の取り付きなんかを探したりしつつ進みます。そのうちようやくこの沢筋にも太陽の光が差し込みました。ちょっと補給して装備変更。滝谷を過ぎると森の中へ。この森を抜けると槍平に到着です。
突然森が開けると、槍平小屋が見えました。一本のトレースが伸びる両側は新雪に光が反射してキラキラと輝いています。なんともきれい。季節が違うと別世界です。ここで初めてハイカーさんと遭遇。トレースの礼を言うと、最初からあったとのこと。そうか、連休だから昨日から来られてるんですね。テン場にはテントもあり。そりゃそうだ。
さてその先は槍ヶ岳を目指して進んで行きます。まだ登りは厳しくなさそうなのでツボ足で進むことにします。ここからは開けた場所を登るので景色がみるみる良くなっていく(^^)。振り返れば遠く正面に乗鞍岳が見えます。このあたりで最初のすれ違い。もう登って来られたんだ。泊まられた方かな?早いですね!しばらくしてもう一人。さらにもう一人。この3番目の方に「穂先はいかがでしたか?」と声を掛けました。この天気だから富士山まで見えたでしょうね。しかし返答は意外なものでした。
「もうとにかくふかふかで。3人で行ったんですけど、かなり大変でした。ちょっと間違って右方向に付けちゃったんで、左寄りに行ったほうがいいと思います。え?日帰り?それは頑張って。頑張って行ってください」とのこと。穂先に右も左もあったっけ?ふかふか?あとになってわかることでした。
だんだん足のズレが出てきたのでアイゼン装着。そして飛騨沢がググっと右に曲がっていくと、ついに槍ヶ岳山荘の角がちょこっと見えました(^^)。ああ、懐かしいな。前回は誰もいない中を独りで登ったものでした。今日はトレースもあるし余裕だろうと、山頂での写真のポーズを考えておりました。
ところが乗越分岐手前ぐらいからアイゼンの効きが悪くなってきた。踏み込むと下にずれる。場合によっては足元が下がる。ペースが落ちる上にやたらしんどくなってきます。遠くに登っている人が見える。まあトレースを辿れば数人でも踏んでくれている分、追いついていくだろう。
ところが追いつかない。さらに足元は悪くなっていき、ズボズボはまる。まるで春の腐った雪のよう。柔らかいザラメの上にクラストしたそのザラメ、その上に新雪が乗った構造で、それらの厚みが場所ごとに違っている感じで一足ごとに感触が違う。
先行者を眺めていると、なんと二手に分かれ始めた。この時、さっきの会話を理解しました。つまり既存のトレースは、右方向に付けちゃったと言われたさっきすれ違った3人が付けたトレースで、確かに大喰方面に向かっています。そこで私の前のグループが、飛騨乗越方面へ新たにトレースを刻み始めたというところでした。
さっきのは穂先の話ではなく、この乗越への話だったと理解したので、ラッセルを手伝おうと追いつこうとするもこれができない。どうにもこうにも踏み抜いてしまうため、進まない。でも少しずつ距離を詰めて行きます。
そのとき突然前から人が現れました。おお、ほかにも先行者さんがいらっしゃったんだ。話を聞くと、みんな右のトレースから登ったものの、下山は本来の方向から向かおうとしたとのこと。ちょうど人が登ってきたので喜んだものの、結局踏み抜き地獄は同じだったとのことでした。
スライドしたものの確かに足元は良くない。それでもゆっくり登っていくが、今度は時計が気になってくる。もしや届かないかも。さっきまで写真のポーズの心配をしていた自分の馬鹿さ加減に呆れます。それでもこの好天での穂先からの眺めを見たい。必死に登る。じわじわと詰めて行くものの、その時は近づいてきます。
「現在の時刻は12時35分です。標高は2995メートル」とのヤマレコの通知をついに聞いて、撤退が決定。12時半に撤退を設定していたので5分オーバーですけど。せめて乗越から先の景色ぐらい見たかったな。見上げると小屋の端が見える。名残惜しく背後の山々を眺める。足はまだ生きている。
いや、どうせヘッデン下山だったらいっそ行こうか?槍も人生最後だろうし。
いかん、誘惑を振り切ろう。たまたまここですれ違った人に「こんにちは。私はここで撤退です」と、意味不明の宣言。ご迷惑をおかけしました(__)。「日帰りだとその時間ですよね。お気をつけて」と温かい言葉もいただいてしまいました。
一度足が下に向くと、思ったよりたくさんの人が下山されているのが見えます。こんなに入っていらっしゃったのか。槍平までは景色のいい道が続きます。なんか、来た時よりテントが増えているような。今日明日で来られている方もいらっしゃるんでしょうね。
ここからはまたなかなか標高の下がらない長い下山が続きます。どこの山頂にも行けなかったので、たまに見えるアルプス稜線が帰りには逆につらい。いつまで続くんだろうと思った登山道が終わると林道へ。帰りはありがたい。しかし下山はまだまだ先。ここで気温が下がってきたので服を調整し、サングラスをしまってヘッデンを用意しました。
暗くなっていく林道ですが、朝は暗闇が怖かったものの、不思議と今はヘッデンさえあれば全く怖くない。疲れているせいか、川の音がAMラジオ音質の歌唱局のように聞こえてきて気持ちも朗らか。やっとこ下山しました。
そのあとは懐かしい栃尾温泉に久々に入浴。変わってなくて嬉しい(^^)。ただ女性にはあまりお勧めできないかも(^^;)。高速道路の工事のため、夜間走行で帰ったほうが良いと思い、そのまま帰路へ。米原がダメなので北陸道を目指す。が、こちらも集中工事であちこちが一車線化。夜間で交通量が少なくて良かった(^^)。
久々の北アルプスは撤退というより敗退でした。出し切った上で届きませんでしたが、そんなチャレンジをさせてもらえて感謝です。そういう一日をまた持てますように。
kinnikubucho




槍ヶ岳での悪戦苦闘お疲れ様でした。
何時もの琵琶湖西岸かと思いましたが、突如の雪の槍ヶ岳は、予想外でした。
何か、気するものがあったのでしょうか。
次回は、山頂登頂と無事下山を期待しております。
また、琵琶湖西岸はほとんど登っていませんが、毎回のレコを読むうちに詳しくなっており、不思議な感覚です。
もうすぐ比良にも雪が降りそうです。また雪の中をもがける日がくるのが楽しみです。KOTOWAKAさんのご山行記録も楽しみにしております!
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