【1日目】 中房温泉行きの始発バスは満員。駐車場も混むかと思ってかなり早めに家をでたが、穂高駅駐車場はガラガラ。 でもバスが穂高駅に着くと登山客がわんさか(驚) 早朝に東京方面から着く電車でみなさん登るんですね。バス五台くらいでてたんじゃないかな。お盆だから混みますよね。 中房温泉から下の道は両サイドずらりと路上駐車。登山口から1キロぐらいは駐車の列ができていてビックリ。 6時ピッタリに中房温泉から登山開始。合戦尾根はここしばらくの好天と沢山の登山客の踏みあとですごく乾いていていい感じ。それにしても人が多い。 合戦小屋まではスムーズだったが15キロのリュックの重さが堪えてくる。 おまけに天気が良すぎる。贅沢言ってはいけないがじりじりと暑い。スイカがものすごく食べたかったけどパスして、今日の予定地の西岳を目指す。 合戦小屋を過ぎるとついに見えてきた槍っ!これでまた元気が出てくる。樹林帯もすぎて稜線を渡る風が実に心地いい。 燕山荘で小休止の後、大天井に向けて表銀座縦走開始。 この縦走路はその辛さをわすれさせてくれる展望の良さがある。それは槍の存在 とにかく槍がそのすべてを見せてくれている、これほどのモチベーションはない! 砂礫地にはコマクサの群落が!これが燕のコマクサかと感激。 大天井までの縦走路は表銀座のハイライトですね。右側に常に槍が存在する縦走は実に気持ちいい。来てよかった〜と思う。 だがこの辺りから前日の車の運転と睡眠不足の影響からか、大天井の登りはヘロヘロ。大天荘で昼食を摂り、大天井岳のピークハント。この辺りから槍に雲がかか ってきた。典型的な夏山の天気。この後の空模様が少し不安。 さて、西岳までいくか? それとも大天荘のテン場で今日の行動を終わるか? 時間は13時。うーん、ちょっと遅くなるが西岳へ行こう。明日の槍のモルゲンロートは西岳からの方が美しいはずだしね。 思い切って再び行動開始。大天井ヒュッテまで結構降る。人がだれもいなくて西岳方面への登山者も少なそう。北鎌の参考にしようと貧乏沢の降り口探したけどよく わからなかった。ビックリ平は尾根に出たとたん裏銀座の山並みが見えてホントビックリ。ここからの縦走路も展望よくて気持ちいい。 西岳ヒュッテ到着は4時半とかなりおそかった。小屋でテント場の受付すると、本来なら水は売れない時間だ、でも売ってやるからはやくもってこい、蛇口閉めるぞ って言われて(蛇口ってなんだ?)気分悪し。極めつけは水を買ったお釣りが全部百円玉だったこと。 なんで?(・・? 理由は有料トイレのチップを払いやすくするためなんだとさ。一回100円、毎回払ってください、払わなかったら退去してもらいますからと真顔で言われた。(・o・) ここのホスピタリティはある意味すごい。ここまで徹底するとね。でも他の人はどう感じてるか....興味のあるところですね。 大急ぎでテント張って、食事していると雨が降ってきた。1時間ほどで上がったが夏の天気はこれがあるからね。夕方は槍も常念方面も曇って良く見えません。 でも夜中には槍ヶ岳方面はすっきりと晴れて期待通りの星空が撮れました。 さて、明日は期待通りモルゲンロートが見られるのか?期待はずれに終わるのか? 山旅は二日目に続きます。 【2日目】 4時に起き、早々と朝食を済ませ朝焼けの瞬間に備える。テントから覗けば今朝は快晴! しかし、ここのテン場のロケーションは槍を見るためのテン場といっても過言ではない。 期待通りの朝焼けを写真に収めることができました。昨日は遅めの到着だったので西岳にも登っていなかったので、とりあえず西岳に登頂。この後、東鎌尾根 →槍→西鎌尾根で三俣までの縦走です。 西岳から水俣乗越までの急降下は日もまだ高くなく日陰の降りでしたが、乗越からは太陽を背中に背負い、じりじりと炙られながらの登りで体力消耗します。 それにしても徐々にでかくなる槍が岳は迫力満点。北鎌尾根のギザギザも間近で見ると恐竜の背中みたいですごい。槍ヶ岳山荘が見えていて遠く、ようやく槍 の肩に到着した時は一安心。しかし、テント泊装備だと時間はほぼコ―スタイム通りで、これからの縦走が少し不安にもなります。 さて、穂先に向けて空身で登ります。先日のクライミング講習のおかげか、一昨年初めて登った時よりはスムーズに登れました(^^ゞ でも、頂上は満員電車を思わせるほど人で一杯。祠の前はまるで初詣状態です(笑) さっさと記念撮影をすませ、降り開始。最近のブームなのか山ガール、山ボーイがわんさかいて、さすが人気の山だなと思います。 表銀座はここで無事終了。ここからが長い長い裏銀座です。槍の肩に戻り、さて西鎌に向けて降ろうと、ひょいと槍を見るともうガスの中。 西鎌方面もガスガス。先ほどまでの天気が嘘のように一瞬でガスに包まれてしまいました。 西鎌尾根はガスの中の縦走で展望がまるでありません。時折ガスが晴れて硫黄尾根がその姿をみせてくれますが、そこだけ山肌の色が違い不気味というか存在感 のある山です。 花やライチョウを撮影しながらの縦走はスピードも上がらず、これまたコースタイム通りとなり午後2時に双六小屋に到着。行動食しか口にしていなかったの で、とりあえずラーメンを食すことに...ところがラーメン頼んでいる間に雨が降り出しラーメン食べ終わると本降り状態になってきた。 ここで完全に萎えてしまい、今日の縦走はここまでとしました。ついでに雨の中テントを張る気力もなく、あっさりと小屋泊まりにしてしまいました。 なんという軟弱者。あー、自分でも確かにそう思う。俺って軟いヤツだと自己嫌悪に陥ってしまいます。こんなことでは完全縦走なんてできないのでは? よし、明日は早出して今日の遅れを取り戻そうと決意。でも軟弱者はしっかりと小屋の美味しい食事(双六名物天ぷら定食)を頂いているのでありました。 さて、これからの縦走は無事続けられるのか?? 山旅は3日目に続きます。 【3日目】 この日は前日の遅れを取り戻すべく、午前2時45分に出発です。予定では三俣まで行ってる予定ですから、この位に出発しないとね。それと今日はテン場が三俣から 向こうには烏帽子までありませんから、いやでもいかなきゃ仕方ない。 コースタイムでも12時間くらいのかなり無茶な縦走です。 真っ暗な中、三俣までの巻き道を行きます。空は所々晴れてますがガスもしっかり残ってます。そんな中でも晴れ間に流れ星が見えたりして嬉しくなります。 でもヘッデンでの登山はあまり気持ちいいものではないですね。三俣峠あたりから明るくなり始め、三俣山荘でご来光です。槍ヶ岳の稜線がシルエットで浮かび上が りました(裏銀座で槍を見たのはこれが最初で最後でした) 三俣から見上げる鷲羽岳はしっかりとガスの中。鷲羽〜ワリモと雲中の縦走となり赤岳頂上からは何も見えません。水晶小屋は昨年泊まりましたがいつもガスの中で あまり相性良くありません。 さっさと真砂岳方面へと向かいます。ここからは初体験の縦走路ですが、赤岳⇔真砂岳の縦走路は険悪な個所も多く要注意です。特にこの辺りは風が強いらしく 水晶小屋のスタッフも風が強いので注意してほしいといってました。 東沢乗越には「黒部の山賊」に書いてあった遭難者の弔いでしょうか、お地蔵さんが祀られていました。この東沢乗越、強風地帯で有名らしいのですが、テント 張ったような、テント泊地に格好の平らな場所があります。後で野口五郎小屋の道普請の方に聞いた話では、あそこはテント泊にもってこいの場所なんだそうで 、風がハイマツの上を飛んでいくのだそうです。私は張ろうとは思いませんでしたが(笑) 東沢乗越過ぎると天気が良くなり始め、水晶岳から赤牛岳が見え始め、行く先には野口五郎岳がたおやかに横たわっています。ここらが裏銀座縦走路のハイラ イトでしょうか、水晶〜赤牛の稜線と天気が良ければ薬師〜立山が見えるはずです。 野口五郎岳は白い砂礫の殺風景なピーク。裏銀座は静かな縦走路ですが、この辺りだれもいません。仕方なくピーク標柱だけの写真を撮り、小屋の方へ向かいま す。 野口五郎小屋は強風地帯に立地しているためか屋根をこれでもかと岩とワイヤーでつなぎ止めてあります。裏銀座のものさびしいところにありますが、登山者に は心強い存在。カレーライスを頂きましたが、すごくおいしかったです(少しデミグラスソースの味が混ざっていたような感じで美味でした) 野口五郎小屋を後にし、烏帽子へ向かいます。三ツ岳を過ぎたあたりから赤牛方向の空が黒くなり始め、明らかに雨が降っていると思われる雲が徐々に東の方へ 向ってきました。 これはいけないとスピードを上げ、烏帽子のテント場へ到着するや、すぐにテントを張りました。張り終わり、ザックを中に入れた瞬間、本降り状態になりすべ りこみセーフ。タイミングばっちりです。ただ、一番下のテン場に張ったため、ひょうたん池のすぐそばで虫が多いのには閉口しました。 テント張り終わったのが午後2時45分。この日の行動時間はちょうど12時間。とても疲れました。こんな縦走は人には勧められません。ここは反省しないといけ ないですね なんやかんやで半分以上が過ぎ、残りは2日。明日以降の天気が気がかりですが、この日は疲れて熟睡しました。 【4日目】 この日は明け方にも少し雨がぱらつきましたが、縦走には問題なく、テント撤収するころには上がりました。ただ、テントは濡れたままなのでザックはかなり重 量感があります。 まずは烏帽子岳。その特徴的な形と意外にいやらしい鎖場があります。でも烏帽子岳の真骨頂は四十八池あたりのお花畑。ここはまさにチングルマのパラダイス 。残念ながら咲き終わった後でしたが、ここは是非満開時期に来ることをお勧めします。 裏銀座は正式には烏帽子からブナ立尾根を降るらしく、ここから先は裏銀座ではなく番外編です。かつここから船窪小屋までの縦走路が険悪なためか登山者 は極端に少なくなります。 確かにこの縦走路は尾根を忠実に辿るようにつけられており、巻くということをしていません。特に不動岳から船窪岳までの尾根はアップダウンがきつくかなり 体力を消耗します。 また、烏帽子小屋〜船窪小屋までコースタイム8時間超のところにほかに小屋がないため、水には注意が必要です。 不動沢の崩壊地はボロボロで、登山道が崖ギリギリにつけられている所も多く気が抜けません。黒部側も木の根がむき出しになっている個所が多くて滑りやすく 、雨天時は要注意です。ただそんな中にも高山植物が咲いていて和ませてくれます。 そして、なぜブナ立を降らず、この大変な縦走を追加したか? それは船窪小屋に泊まるためです。ホスピタリティが良いことで有名な船窪小屋。なかなか辿りつけない先にありますが、苦しい縦走を終えた先に青い屋根の小 屋が見えてきます。 見えたな〜と思ったら、いきなり小屋の鐘がカランカランと鳴ります。そう、登山者が来るたびに歓迎の鐘を鳴らしてくれるのです。宿泊者、テン泊者、通過者 問わず鳴らしてくれて、宿泊の受付は後回しでとりあえずお茶のウェルカムドリンクです。 このあついお茶がうまい。苦労して辿りついた後にこのお茶はありがたい。そしてサンダルを差し出してくれます。あー、なんて人に優しいんでしょうか。 食事の美味しいことは言うに及ばず、食事後のティーパーティまで登山の疲れを癒してくれるなんとも居心地の良い小屋です。なので登山者もここでは不思議と フレンドリーになります。 ●宿帳で同郷とわかったTさん(翌日は無事扇沢に下山されましたでしょうか?) ●千葉から来られたご夫婦(ビールご馳走様でした。ウェストポーチ見つかって良かったですね) ●女性3人組の方々(烏帽子まで無事縦走されましたでしょうか?) ●縦走初体験の女性ソロの方(食べっぷり、飲みっぷり素晴らしいですね!その後の縦走はいかがでしたか?) みなさんといろりを囲み話をすることで小屋と一体感が生まれるなんとも不思議な空間です。 夜半過ぎには風雨が強くなり、予定では早立ちして蓮華岳から針ノ木峠→扇沢へ下山するつもりでしたが、無理せず七倉へ降りることにしました。実はここまで の縦走で足が悲鳴をあげており、これ以上は無理がきかない状況でもありました。 【最終日】 夜中の雨は上がりましたが、周囲は曇り空です。 ゆっくりと朝食をいただき、小屋を後にします。小屋のお母さんと小屋番のトキちゃんが鐘を鳴らして手を振って見送ってくれます。 よし、今度は蓮華岳のリベンジでまたこの小屋に来よう。そういう気にさせてくれる山小屋であります。 七倉尾根は勾配がきつく、ここも木の根がむき出しの登山道です。非常に滑りやすく、前日はけが人も出てヘリで運ばれたという話も聞きました。 午前9時過ぎには七倉登山口に到着。下山路で一緒になった信州大学の学生さん2人とタクシ-をシェアして大町へ向かいます。このお二人は7泊8日で縦走し たらしく、入山時の荷物は40Kを超えていたとか。(驚)食事もペミカンと生米持参で体育会山岳部スタイルです。感心しました。 下山後は穂高駅へ車を取りに戻り、大町温泉郷の「薬師の湯」で5日間の汗を流しました。下山後の体重はなんとびっくり3キロ減でした。 1年越しの計画が実現し、今は充実感で一杯。これからこんな縦走はなかなか経験できないかもしれません。 長文、駄文にお付き合いいただきありがとうございました。