スマホでビーコン-ヤマレコ

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更新日：2024年01月21日　訪問者数：1793

スマホでビーコン

はじめに

先日、しばらくぶりに四阿山に登頂しました。
転職活動とか手術とかでしばらく登山できなかったので、その間スマホアプリ作りにトライしていました。
作ったのは、Bluetooth通信を使ったビーコンです。
雪崩の遭難者を発見し救助する専用のアバランチビーコンは市販されていますが、概ね4万～6万円と高価です。雪崩の遭難者の救助は、雪崩に巻き込まれてから15分から20分以内に救出できれば生存率は高く、その後は低体温症や窒息のために生存率が急激に下がるため、雪崩遭難者の生命は、その場に居合わせた人達により短時間で救助できるかにかかっています。

参考：山岳医療救助機構
https://sangakui.jp/medical-info/cata01/medical-info-305.html

当然、雪山に入る登山者全員がアバランチビーコンを携帯するのが理想ですが、価格もあり雪山に入る登山者の多くが携帯しているとは考えにくいのが現状ではないかと思います。また、遭難者の探索にゾンデ棒もありますが、雪崩遭難者を短時間で探索するには多くの人が必要ではないかと想像します。
アバランチビーコン以外にも雪崩遭難対策はありますが、今回試作したスマホアプリは、そういった従来のシステムを置き換えようというものではありません。こっちの方が良いと言うつもりもありません。
ただ、現在多くの登山者はスマホを携帯して登山しているので、このような簡易的なアプリでも、何も持たないよりも、救助できる、救助される可能性が高くなり、ビーコンシステムで助かる実例が多くなれば、アバランチビーコンの普及にも貢献できるのではないかとも考えます。

スマホアプリ "Here I am"

雪山に登る時に各自が自分の識別名(ID)を入力
【BEACON】ボタンでビーコン信号を発信
【SEARCH】ボタンで周辺のビーコン信号の強度を表示

アプリ"Here I am"は、これ以上ないくらいシンプルですが、Google Playにアップしました。
https://play.google.com/store/apps/details?id=jp.example.hereiam

実際に四阿山でテストしてみました。

事前テストでは50m程度は通信可能だったので、雪に埋めても20mくらいは届くのではないかと考えていました。
矢印の位置に"Here I am"でビーコン信号を送信しているスマホを30cmほどの深さで埋めています。

もう一台のスマホで受信信号強度を確認。
埋めた場所の直上では -62dBm。問題なし。

その後、徐々に離れていくとビーコン信号の受信強度は一気に下がり、何回試しても上記の写真の距離(5～10m)で信号をロスト。左のスマホのスクリーンショットは、ロスト直前の表示。受信信号強度が-100dBm以下でロストとなる。Bluetoothの無線通信は2.4GHzと高周波で、その性能は市販のアバランチビーコンとは比較にならないものでした。

結果

この結果から、アバランチビーコンとは同じようには使えないものの、5～10m範囲では検知できたため、ゾンデ棒での探索より遭難者の救出の可能性が高まると考えます。スマホの機種ごとの性能差や雪質の違い、埋没深さなどによって性能の保証はできませんが、性能は限定的でもある程度実用性はあるのではないかと思います。

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