いた☆カムイエクウチカウシ山〜ナキウサギ
- GPS
- 13:35
- 距離
- 35.6km
- 登り
- 2,333m
- 下り
- 2,337m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2022年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
船
通行止めゲート前。未舗装。広大。見た目20台程度。 無料。出入り自由。トイレなし。ポストなし。 道の駅なかさつないから、29km。 ▼北海道地区道路情報(通行止め情報) http://info-road.hdb.hkd.mlit.go.jp/RoadInfo/index.htm ▼札内川ヒュッテ 無料の山小屋。最寄りのトイレは、ここ。ただし、激臭らしい。 http://kankou-nakasatsunai.com/spot/spot-73/ |
コース状況/ 危険箇所等 |
整備された登山道はありません。ルートファインディングは必須です。 なので、距離のわりに時間がかかります。 道標、避難小屋など、便利なモノは一切ありません。 携帯電話も使えません。私のラジオは電波が入りませんでした。 誰かが設置したピンクテープがたまにありますけど、アテにしないこと、頼らないことが、登頂のコツです。 ※追記 私が登頂した翌日に地元山岳パトロールにより整備がされたようです。 テープを設置したようですが、どの程度の整備かまではわかりません。 八ノ沢出合でテント張ってた方々ですね。 地図上には「七ノ沢出合」、「八ノ沢出合」、「三股」、「八ノ沢カール」と表記があるも、現地には場所を明示する看板等は一切ありません。 周辺の地形で現在位置を判断します。 ロープのかかった箇所が数か所ありますが、他の山域ならば、ロープなり鎖がかかっていてもいいような箇所は、数十か所あります。いや、もっとかな。 ▼渡渉 渡渉の回数は、数えていません。数十回か百回以上か。 札内川の水位や通るルートによって変わると思います。 水量が多いと、やらなくていい渡渉が多くなる分、行動時間も変化します。 札内川の水量に関して参考となるのは。以下。 ※札内川ダムリアルタイム流入量 http://www1.river.go.jp/cgi-bin/DspDamData.exe?ID=1368010829410&KIND=3&PAGE=0 私の時は、往路の札内川ダム流入量は、約16㎥/s。 復路の札内川ダム流入量は、約13㎥/s。 本来であれば、10㎥/s以下が、水量膝下で、安全に渡渉できる水位。 ただ、頑張れば、20㎥/sくらいまでは行けるのではないかと思う。 ちなみに、20㎥/sくらいというのは、なんの根拠もありませんので。 行きも帰りも、水量・水圧に変化を感じなかったことからの印象。 たまに、藪の中に踏み跡があります。見つけられたら、ラッキーくらい。 七ノ沢出合から八ノ沢カールまで、沢歩きです。登山靴では滑って危険です。 八ノ沢カールから山頂までのごくわずかな区間は登山靴で行けます。 私は、モンベルのサワークライマー(旧モデル)で通しました。 ▼羆 訪れる登山者は乏しく、数年前には、ルート上に居ついたヒグマによる人的被害も発生してる山です。八ノ沢カールは、ヒグマの採食地であり、特に目撃の多い場所です。日帰りでは熊が活発に活動する早朝に登り始めて、これまた活発に活動する夕方に下山です。行程のほとんどが、鈴音がかき消されてしまう沢沿いと熊が身を隠せる背丈の茂みの中です。沢沿いは熊の目撃例が多い場所。ヒグマに対する準備は怠りなく。フンは5個くらい見かけました。フンは八ノ沢カール内がもっとも多かったです。 八ノ沢カールには、昭和45年の遭難碑がありますが、ここでテントを張っていた数名の大学生が羆に襲われて、、、の有名な場所です。3名のご遺体は悪天候で搬出できず、八ノ沢カールにある岩の上で荼毘に付されました。大学生を襲ったヒグマは射殺されて、その実物の剥製が大学生の遺品と共に中札内村にある日高山脈山岳センターに展示されてます。カムエクに登る前に剥製を見てしまうと、登れなくなるかも。 この山に登るには、運も必要です。天気が良くても、前日まで雨が降り続けば、数日は札内川の水位が上昇して物理的に渡渉できません。 晴天続きで、当日の天気が良く、八ノ沢カール内にヒグマが見当たらず、アクセス道が通行止めでないうえに、休暇日程と合い、気力・体力が充実しているという条件が揃わないと、登頂は困難となります。 ○通行止めゲート〜七ノ沢出合 建設中止になった道道。七ノ沢出合まで未舗装林道。片道7.4km。 ほぼ水平移動だけど、細かいアップダウンある。歩くと2時間。 七ノ沢出合の手前に、派手な道路崩壊あり。自転車は、ここに止めてよいと思う。 その先の自転車走行区間は短い。 七ノ沢出合は、道路が冠水してドロドロ、流木がガードレールに引っかかってる辺り。 ○七ノ沢出合〜八ノ沢出合 キモとなる札内川の渡渉。最初のところが最も深く流れが速い。水量膝上。 最初の渡渉をクリアできれば、その先も行ける。 ここを無理だと思ったら、断念したほうがよい。 何度となく、渡渉を繰り返し、たまに藪に踏み跡があったりする。 ピンクテープはあったりなかったり。あまり、アテにしない。 ○八ノ沢出合〜三股 果てしない沢沿いの登り。何度も渡渉の繰り返し。沢靴で。 ○三股〜八ノ沢カール 滝の脇を登るような感じ。比較的明瞭な踏み跡が見て取れる。 ピンクテープも多少あり。紛らわしい枝沢に誘い込まれないよう。 濡れた岩場の急登のため、滑落注意。 珍しくロープのかかってる箇所もあった。細くて切れそうだったけど。 誰がいつどんな目的で設置したか分からないロープは過信は禁物。 ○八ノ沢カール〜山頂 視界が開けると、八ノ沢カール。すぐ右手の岩場にナキウサギいた。 カール内を見渡して、ヒグマを確認する。 ヒグマのいる場所によっては、登頂断念も視野に入れること。 ここはヒグマの採食地であるため、特に目撃が多い場所です。 カール内には明瞭な踏み跡があり、遭難碑の脇を通って高度を上げ、稜線に出る。 稜線に出る手前から、踏み跡が藪に埋もれる。 じゃかあしいハイマツをかき分けながら、ほとんど崖のキワみたいなところを山頂目指す。 ピラミッド峰方面はハイマツの藪濃い。 装備品として、ヘルメットはあっていいと思う。 私は忘れたというか、全く持っていくという頭が無かった。 水は、650mlx3所持。自転車に650mlx1デポ。 結局、2リットルも消費しなかった。 日帰りで13時間35分で歩いていますけども、標準タイムは22時間だか23時間です。通常は、1泊か、無理しないなら2泊3日の行程です。 札内川の水位によって行動時間は大きく変わります。ご注意ください。 |
その他周辺情報 | ▼温泉 ○天然温泉たぬきの里 モール泉かけ流し 0155-21-2683 8-25 無休 ¥450 P30台分 ▼食事 ○焼肉開拓村 11-15 17-22 月休 0155-67-2223 特上ジンギスカン¥650 ○豚丼一番ぶたいち総本店 帯広市内 11-20 0155-26-4129 ▼カムイエクウチカウシ山バッジ しらべた限り、なし。 |
写真
装備
MYアイテム |
藪犬☆mogless
重量:0.33kg
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個人装備 |
熊スプレー
熊鈴
ホイッスル
カネキャップ
ツェルト
カッパ
防寒着
トレランポール
GPS
ヤマレコアプリ
モンベル・サワークライマー
ネオプレンソックス
ヘッドランプ
LEDライト
予備ライト
モバイルバッテリー
医療品
気合
根性
男塾魂
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感想
やっと。カムイエクウチカウシ山に登ることができた。200名山を志したら、避けては通れない難峰中の難峰。思えば、最初に登ろうとしたのは、2018年。この山に登るために、自転車を持っていこうと考え、自転車を積載するために、車を軽ワゴン車からハイエースに買い替えた。つまり、ハイエースを買ったのは、カムイエクウチカウシ山に登るためだったと言っても過言ではない。さらに、長大な沢歩きと最後の登りを沢靴で通すために、モンベルサワークライマーを購入した。けっこうなお値段で。しかし、2018年は、北海道には上陸したものの、予定していた日の天気予報が、思わしくなく、結局、登らずに、次の山へ向けて移動してしまった。が。後日、私が登ろうとしていた日に、登った方のレコが公開されていて、さらに、すんばらしい好天だった。ほんとにあの日、あんなに天気がよかったのかーしくじったーと歯噛みして、北海道遠征を終えた。
翌2019年。今度こそ、カムイエクウチカウシ山に登らんと、着々と準備を進め、北海道上陸。しかし、天気予報が、、、数日に渡って悪天候。もはや、登頂をあきらめて、道東観光に流れてしまった。
翌2020年。今年こそはと思っていれば、なに、コロナ? 世間はパニックだ。県をまたいでの移動は自粛ですと。仕方ない。自分が媒介したウイルスで、誰かが不幸に見舞われるのは、気が進まない。宣言が出ている間は、おとなしくしてよう。北海道遠征そのものを中止。
翌2021年。なんだか、コロナも落ち着いてきて、宣言も解除されたぞ。これなら、北海道に行けるんじゃないか、、、と、思っていたら。汚職まみれのスポーツ大会が派手に開催されたおかげで、思った通りの感染爆発が起き、予測した通りに自粛宣言。2021年も北海道遠征は中止された。このカネにまみれたスポーツの祭典は、100年後には廃止されてるだろうことを私は予言しておく。今度は、冬季をやるのか。また、同じことやるんだろうなあ。にんげんだもの。
というわけでまあ。今年やっと登れまして。積年の思いが詰まった山だったんです。八ノ沢カールから山頂部を見上げた時に、ガスがかかり始めたのには、衝撃を受けましたけども、風がそこそこ強かったので、吹き飛ばしてくれるだろうと甘く切なく考えていたら、ものの見事に、丸晴れ。自分が山頂に着くのを見計らうようにして、360度視界の大展望でした。そして、なにより。この日、カムイエクウチカウシ山に登頂したのは、まぎれもなく、この地球上で自分ひとりだけ。なんとも愉快じゃあないか。
あとナキウサギ。先人のカムエクレコを拝見させてもらいましても、ナキウサギの写真がまるで出てこないので、かなり珍しい遭遇だったのではないかと。数年ぶりにナキウサギに会えたうえに、それが、カムエクだったというのが、感慨もひとしお。しかしながら、実際は、ナキウサギがいた岩場を通り過ぎてから、鳴き声を聞いて振り返った時に、30mくらい先の岩場にいるのを見つけました。コンデジの望遠では満足に撮れないし、この30mを戻るかどうするか思案しました。それくらい、日帰りでは時間にシビアな山。帰りには出てこないかもしれないし、現時点でいるなら、写真に撮っておこうと思って、戻って正解でした。帰りには鳴き声はすれども、姿は見えませんでした。
数日前から札内川ダムへの流入量をチェックしていて、これなら行けると勝手に思い込んで、出発。懸念だった札内川の渡渉も、最初に最難関がある感じ。そこを渡れれば、その先は、まあ、難所は続きますが、ひとまず、安心ですかね。川幅も広いので、どこを歩くかは適当。あってるかどうかは、GPSにて確認。七沢出合から、八ノ沢カールまで沢歩き。沢靴で通します。モンベルのサワークライマーは、まったく滑らなかったですね。沢では、ただの一度もスリップなし。ドロドロの登山道で、一度だけ、滑りましたけど。
八ノ沢カールは惨劇のあった場所。遭難碑があります。見晴らしよく、怖いです。見つけてしまいそうで。笛をぴーひゃららーとかき鳴らしながら、素早く通過しました。稜線に出ると、今度は、すんげえ崖のキワ。足元はハイマツがうっとうしい。経験、知識、体力、精神力、決断力、判断力、実行力、直感、セブンセンシズと、いろんなモノを試される山でした。コスモが完全燃焼しました。
カムイエクウチカウシ山に登ったことは、はっきり言って、日本百名山を完登した時より、充実感、達成感、満足感がありました。日高横断自動車道の建設が永久に廃止されたことで、カムイエクウチカウシ山は永遠に秘峰であり続けることになりました。もし、この道路が建設されていたら、カムイエクウチカウシ山の登頂は極めて短絡的になモノになり、その感動は1000分の1程度に成り下がってしまったことでしょう。といいつつ、その建設中止になった道道の一部を自転車走行区間として利用させてもらってるんですけどね。なんとも都合の良い感想だこと。
これで北海道にある300名山28座を全て登り切ることができました。別に北海道に行く理由がなくなってしまったわけではないので、何かと理由を付けては、来年も行く予定です。
▼北海道遠征1日目 カムイエクウチカウシ山
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4640965.html
▼北海道遠征2日目 東ヌプカウシヌプリ
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4642007.html
▼北海道遠征3日目 空沼岳
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4651341.html
▼北海道遠征4日目 川又温泉
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4652280.html
▼北海道遠征5日目 チセヌプリ
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4655096.html
コメント
この記録に関連する登山ルート
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私ごときがコメントさせていただき失礼いたします。m(_ _)m
「渡渉」「ナキウサギ」「山頂展望」等々、どれもこれも素晴らしく「大自然の中を探検するような気分」を味わさせていただきました。
「観る山行」として、大変感激です!
どうもありがとうございました。
まさに人口物に乏しい日高山脈のエッセンスを濃厚に凝縮したような過激な山でした。難度の高い山が多い二百名山の中でも、特に難峰の一つ。今回の北海道遠征は、それに登れたというのが、なによりの収穫でした。数年前から登ろうとして断念を繰り返していたので、積年の思いもあって、感慨もひとしおでした。
まして、この山でまさかのナキウサギ遭遇は、まったく想定していなかったことなので、この上ない思い出となりました。
絶景をおがめたモグレスさんがうらやましいです(;・∀・)
また、ナキウサギの写真がそんなに撮れたなんて、これまたうらやましい
私も、やっとの思いで八ノ沢カールに出てたところで、ずっと晴れていたのに山頂部にガスがかかり出した時には、衝撃を受けました。ですが、その翳りのおかげで、岩場に隠れていたナキウサギが次々に出てきてくれたので、ある意味、すごいタイミングだったのではないかと今にして思っています。あまり、時間をかけられないので、10分もいなかったと思うのですが、次から次に出てきてくれて、夢のようでした。
最近の過去レコをいくつか見ても、八ノ沢カールでのナキウサギの写真は、全く出てこないので、貴重な体験だったのだと思います。日高山脈の山でナキウサギを見たのは、ここだけですね。
山頂では、生きて再び、この場所には来ないだろうことを確信しました。これだけの天気の日に登れてしまっては、もう何も思い残すことはありません。ただ、この辺りの登った山の中で、唯一、ガスってた神威岳が、もう一度、登ろうかどうしようか心に引っかかりました。
いつも日記は拝見&コメントさせて頂いていますが、レコを見に来たのはあまり記憶にありませんw。
今回はサワークライマーのレビュー日記からこちらにお邪魔しました。
凄いですね〜あれを日帰りですか 私は2泊掛かりました。足が違いますね。
しかもそこそこ水量がある中をカムエク完全単独なんていうのはメンタル的にもかなりハードな山行で、ただただ感心しております。だからこその絶景でしょう。
本当なら同じ日にペテガリへ向けて、サワークライマーの初使用(古いサワートレッカーは去年のカムエクでご臨終)だったはずでしたが、あちらも林道被害で10数キロの追加林道歩きは断念しました。レビュー日記を見て安心して来年サワークライマーを使えます。有難うございます。
それから八の沢カールでエゾナキウサギに会えたんですね、それもビックリです。去年は殆ど気配はありませんでしたが、人がそこそこいたので仕方がないかな。その代わり今年はニペソツと西天塩岳で会えました。
200名山ももう少しですね。頑張って下さい、応援しています。
いやー特段、日帰りをしたかったわけではないのです。
単に、テント泊となると、ヒグマの襲撃が怖かったんです。
なにしろ、過去には惨劇のあった山ですし、たまに熊による人的被害の発生してる山ですから。
札内川は、写真では浅そうに見えますけど、そこそこ水量はありましたね。気を抜くと流されそうでした。レコでは書きませんでしたけども、渡渉できるポイントを探して、右往左往することが何度かあって、余計に時間がかかってしまいました。
まったく自分以外のニンゲンがいなかったので、それはそれで怖いです。
下山してきて、八ノ沢出合で山岳パトロールの方々を見た時、なんだか安堵しました。
ペテガリ岳は、私も2度、断念しています。林道通行止めと悪天候で。幌尻岳も2回断念。カムエクは4回断念。日高の山は奥ゆかしい。ペテガリ岳は、私はペテカリ山荘まではスパイク長靴。その先は、登山靴でした。日帰りなら、サワークライマー通しでもいいかもしれませんが、ドロドロ地帯が多く、泥水が沁みてくると思います。
ナキウサギは、他の方のレコでは、まず見かけないので、よほど、珍しかったのではと思っています。日高山脈で、見たのも初めてでしたし、久しぶりだったので、興奮しました。時間がかかるので、行きで写真を撮るかどうか悩んだのですけど、撮っておいて正解でした。帰りは出てきませんでした。
残りの200名山は8つですが、厳しいのが2つ残ってます。他は、時間があれば行けるとこばかりですけど。気長に登っていこうと思います。
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