GW山行 谷川岳 一ノ倉沢 烏帽子沢奥壁南稜~上越国境稜線
- GPS
- 14:07
- 距離
- 12.3km
- 登り
- 2,214m
- 下り
- 1,620m
コースタイム
- 山行
- 0:55
- 休憩
- 0:10
- 合計
- 1:05
- 山行
- 6:51
- 休憩
- 6:10
- 合計
- 13:01
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
一ノ倉沢出合付近の雪渓はもうすぐ割れる可能性が大きい。 それより上部の雪渓は今のところ安定している。 |
写真
感想
GW山行として再び谷川岳へ
昨年度は一ノ倉沢の衝立岩中央稜を登攀したが、今回は一昨年度の学祭山行で登攀した一ノ倉沢烏帽子沢奥壁南稜を上越国境まで抜ける計画にした。
私は南稜はクライミングルートの終了点までは登攀済みなのだが、アルパインクライミングとしては稜線まで抜けるのが美しいとずっと思っていた。その観点からして、今回はほとんど新しいルートの登攀に臨むような思いがあった。
5/3
弘前を未明に出発して、遥々運転してみなかみ町までやってきた。関越自動車道の水上インターを降りると、特徴的な双耳峰の山が見えた。谷川岳である。谷川岳インフォメーションセンターから出発する。もう一つのGW山行パーティーである尾瀬チーム(至仏山 - 2024年05月04日 [登山・山行記録] - ヤマレコ https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-6752289.html)の4人が見送ってくれた。
出発前に3人で谷川岳遭難者慰霊碑に手を合わせた。山岳遭難は100%は防ぎきれない。山岳遭難に限らず、自動車の運転だって100%事故に遭わないとは言い切れないし、病気だって怪我だってなる時はなる。今回は安全のために98%くらいは出来る限りを尽くしたつもりだ。あとの僅かな1~2%の不安は手を合わせて山岳遭難死者の御霊に鎮魂の祈りを捧げ、神仏に護っていただくことで振り払った。そして登攀前に気を引き締めた。一ノ倉沢の登攀に臨む前には必ず行う儀式だ。
1時間ほど国道291号線歩いて一ノ倉沢出合に到達し、テントを張った。
そのあとは私だけでテールリッジ末端まで偵察をした。雪渓の状態を確かめるために行った。雪渓の状態は昨年の同じ時期よりも安定しているように見えた。
5/4
【一ノ倉沢出合~テールリッジ~南稜テラス】
未明に出発する。幕営装備は全てデポした。一ノ倉沢本谷をアイゼンとピッケルで登る。20分ほどでテールリッジに達した。テールリッジ手前でアイゼンを脱ぐ。南稜テラスまでのアプローチであるテールリッジと烏帽子スラブのトラバースはよく乾いており、問題なくこなすことができた。
【烏帽子沢奥壁 南稜】
1p
フォローがチムニーで苦戦したが、私が引っ張りあげて手助けすることで全員何とか通過できた。体感的に南稜のピッチの中で最も難しく感じる。
2p
外傾気味のホールドが多いスラブである。ピンチやカチホールドを拾いながら登る。
3p
歩きピッチだが、フォローの2人には簡易的なビレイをした。
4p
カンテを回り込み、馬の背リッジへ。
5p
馬の背リッジを登る。難しくはないが、高度感があって怖い。
6p
フェースを直登して終了点に達する。
【南稜終了点~上越国境稜線】
南稜終了点からロープを解いて登山靴に履き替える。一ノ倉尾根まではルンゼ状を詰める。ところどころビレイ無しでは際どい部分が現れる。難しい箇所は私が上から手掛かり用のロープを垂らした。一ノ倉尾根に出るまで1時間を要した。
一ノ倉尾根までは想定内のタイムだったが、ここからが長かった。特に5ルンゼの頭は通過に1時間もかけてしまった。どのホールドも信頼がおけず、石橋をたたいて渡るようなクライミングを強いられた。もちろんビレイした。
5ルンゼの頭からは藪が続く。天気が良いことが逆に暑くて苦しかった。やっとの思いで上越国境稜線に出たのが13:40だった。南稜終了点から実に4時間もかかったのである。
【上越国境稜線~谷川岳~天神平】
登山道は途中で谷川岳の山頂を経由して天神尾根を降りた。疲労していたため天神平からは谷川岳ロープウェーで下山をした。下山後、持ってきた自転車で一ノ倉沢出合のデポを回収した。
【その他、随想】
今回の山行は私にとって2つの目的を達成できた。1つは自分のやりたい山行ができたことである。谷川岳の一ノ倉沢を出合から上越国境稜線までクライミングで抜けることは長らく私の目標だった。あの大きな壁を下から上まで抜けるのは実に気持ちがよい。無事に天神平に下山した時、クライマー冥利に尽きるような達成感があった。
そして2つ目は後輩を育てて一緒に連れて行くこと。今回山行を共にした2人の登山歴はまだ浅く、1人は山行の2ヶ月前に初めて登攀装備を身に着けて近郊の岩場で登攀練習を始めたばかりの初心者だった。2人ともよくここまで成長してくれたと思うし、付いてこれたと思う。彼女たちのこれまでの努力と本番でのがんばり、そして何より登攀を楽しめたことは称賛に値する。また、彼女らを一ノ倉沢の登攀に連れていけた私自身も大きな充実感に包まれた。
今回の山行を弾みに、これからシーズンインする沢登りや夏合宿でのアルパインクライミングへとつなげていきたい。
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