武尊山
コースタイム
- 山行
- 19:00
- 休憩
- 8:00
- 合計
- 27:00
天候 | 晴れ一時雨 |
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過去天気図(気象庁) | 2015年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
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コース状況/ 危険箇所等 |
剣ヶ峰は特に西からのルートが非常に急傾斜で危険です |
装備
個人装備 |
Tシャツ
タイツ
靴下
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
ザック
行動食
非常食
飲料
ハイドレーション
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
予備電池
ファーストエイドキット
保険証
携帯
|
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感想
上州武尊120kに参加しました。普段書かないのですが、来年以降の参加者の少しでも参考になればと、手記を書いてみます。グダグダですみません。
[前日 出発〜ブリーフィング〜宿]
会場までの道中は、Facebookで知り合ったEさんが同乗してくれることになり、楽しく移動できました。会場付近のセブンイレブンは前日おにぎりなどの食料が枯渇するというEさんの情報を踏まえ、少し手前のスーパーで、A4で受取るドロップバッグに預ける食料として、ポカリ、太巻き、シューマイを買いました。会場到着時間が2回目のブリーフィングの直前になったので、受付を後回しにしてブリーフィング会場に入ります。ブリーフィングで強調されたことは、最初のA2の関門が、スタートから7時間半後の14時とかなり厳しい設定になっている。理由は地元山岳会からA2〜A3間の武尊山を日が暮れる前に全員が通過するという条件を満たす為とのこと。通常はTOP通過想定の倍の時間を関門に設定するが、TOP通過想定は4時間強なので、中盤以降の選手は最初だけどがんばってとのこと。事前調査でもかなり厳しいと感じていたのですが、第1関門脱落は絶対に避けたかったので、オーバーペース覚悟でがんばることにしました。ただその後の関門はかなり緩い時間設定で、貯金が作れるとのこと。A4〜A6は去年のルートは危険すぎるとのことでロードや林道が中心に変わり、かなり時間を稼げるらしい。ただ後半が緩いという情報を真に受けすぎてA2以降のエイドで過剰な休憩を取り、A6以降の終盤で焦ることになります(^-^;) ブリーフィングが終了し、受付も無事終了するのですが、ブリーフィングの途中からGPSウォッチを忘れたような不安が芽生えはじめます。ザックには入っておらず、前日や朝の準備でしまった記憶も出てきません。家族にLINEで家にGPSウォッチ無いか確認したのですが、ぱっと見は見当たらないとのことで、車に置いてきたボストンバッグに入っていることを祈りながら車に戻りましたが、やっぱりありません。家族にもう一度確認したところ、見えづらいところに隠れていたとのことでした。。。ここまで心拍維持によるペースコントロールの訓練を続けていたので、120kmを安心して走り切るためにはGPSウォッチが必要不可欠なのですが、今から取りに帰ることも家族に持ってきてもらうことも現実的ではなく、心拍計だけは持ってきていたので、スマホアプリで心拍確認すれば良いと気持ちを切り替えました。しかしスタート直後にスマホの電波が入らないと計測しないという信じられない仕様が判明し、この大会はスマホのみ、心拍計無しという情報不足で挑むことになります(^-^;) 私の予約した宿は車で30分くらいの片品花咲地区のペンションの相部屋で、この時点で、チェックイン時間の17時に近づいていたのですが、Eさんの情報で相部屋はイビキ被害のリスクがあるとのことで、急遽車で10分くらいのところのマツキヨに行き、Eさんが購入した耳栓を一つ譲っていただきました。私はポカリの粉と何故かカラムーチョを買いました。その後Eさんを川場村付近の宿に送り、ペンションについたときは18時ちょっと前だったのですが、ペンションのお風呂が壊れているため、夕食前に近くの花咲の湯という温泉施設を無料で利用することになりました。ペンションや民宿などの狭めのお風呂は苦手なので、綺麗で広い花咲の湯を利用できたのは前日のリフレッシュの為にはラッキーでした。夕食はご飯と味噌汁がお代わり自由で頑張って2杯お代わりしました。おかずのハンバーグやエビフライも美味しかったです。Facebookを確認したら先月のスパトレイルの前泊で、無料足湯で一緒に一夜を過ごしたHさんが上州武尊にも参戦していることを知り、ゴール時間があったら一緒に帰ろうと約束します。
[当日スタート 6:30 参加人数 498人]
夜は21時から3時半頃まで眠れたので私にしては良く眠れた方です。広めのスタート会場で、最後の案内をする鏑木さんをみんなで緩く囲んで、ゆったりとスタートラインに移動。ゲートも広く、この距離なので、少しでも先頭に並ぼうとするような人はいなかったです。スタート後、しばらくはロード、林道、トレイルなど緩めの傾斜で淡々とA1に向かいます。一箇所だけ滑る急下降があり、早速尻餅をつきました。10人中2,3人は転んでました。その直後の急峻が少し渋滞していたのですが、その後みるみる渋滞が伸びて、急下降の方まで列ができてしまい、待つのが大変ではと思っていたら、転んだであろう女性の奇声が何度も響き、みんなで笑ってました。A2の関門が中級以下の選手には厳しいので、最初だけ急ぐようにとの鏑木さんからのブリーフィングにビビり、A1までかなり頑張ったのですが、2時間弱かかり、焦りに拍車がかかりました。
[A1 8:23頃到着8:27出発 速報順位240位]
エイドではセブンイレブンの塩むすびがあったので、塩を付け足して無理やり押し込みました。コーラを飲んだ後、アクエリアスと水をハーフアンドハーフでボトルに詰め込み、短い滞在で出発しました。ここからはいよいよ剣ヶ峰へ向けて長い登山です。本来ゆっくり登るべき局面でぐいぐい登る気満々でしたが、スタート前に知り合った、昨年の大会を24時間で完走したサブ2.5ランナーのIさんに追いつき、ゆっくりペースでしばらくお話しました。A1通過時点でA2の関門まで残り5時間半なのですが、事前調査でA1からA2はコースタイム6時間の登り下り共に走れない剣ヶ峰越えに加え、走れない登り2kmと下り9kmくらいの道のりで、仮に剣ヶ峰以外の11kmを短めの1.5時間に設定しても、コースタイムの2/3で剣ヶ峰を越えねばならず、急峻で起きがちな渋滞も考えると、関門突破がまったく安心出来ない状況でした。このままIさんとゆっくりペースを維持すべきか迷いましたが、感覚的には参加人数の半分よりは前にいるハズだし、24時間フィニッシャーと一緒だし、この位置で後ろ全員が脱落する大会があるハズがないと信じ、オーバーペースも心配だったので、我慢してゆっくり進むことにしました。やがて追い抜けないシングルトレイルで強制的にさらにゆっくりペースになりました。8人ほど前の過剰にゆっくりペースの人に付き合うことになり、「あなたのせいで後ろ全員が脱落したらどうしてくれる?」とか、「いや、ここで強制的に休めるのは神様のプレゼント。大丈夫、間に合う」とか葛藤しながら登りました。やがて過剰ゆっくりさんは偽ピークで力尽きたのですが、少し先に同じレベルの渋滞が続いていたので無理な追い抜きをしなくて本当に良かったです。ここで温存できたのは結果的にはとても良かったです。ここで焦って登っていたら120人以上の大量リタイヤを出したA2の餌食になっていたと思います。時間ばかりが過ぎて、剣ヶ峰までの距離がまったく減らないこの局面は焦りとの戦いかと思います。そんな心理状況で進んでいると、あるピークにたどり着き、標識にXX峰と書いてあり、剣ヶ峰かと勘違いしました。剣ヶ峰を過ぎたハズなのに全然急な下りが始まらないので、コースロストが不安になりはじめました。これだけの人数が大量にロストする可能性があるのか考えながらドキドキ進んでいたら、本当の剣ヶ峰に到着するのですが、まだ急降下は始まらず、ついに武尊山まで1.7kmの標識が出てきて、A2へのルートは武尊山を通らないはずなのでロストかもしれない疑惑がさらに高まったのですが、さらにもう少し行くとやっと分岐点が現れました。ここからが地獄の下りでした。手や尻をつかないと下りられない、足の置き場にもしばし悩むような切り立った下りがかなり長く続きます。時間帯的にもハイカーさんと重なり、時にはストックをザックにしまわずに片手で必死に下りているハイカーさんにしばらく付き合わねばならず、譲ってくれと祈りながら下りました。しかもしばらく続いていた雨の影響で地面は泥んこで、ただでさえ怖い急斜面の危険度がアップしています。この下りで左側の尾てい骨を強打したり、木の根が尖っている所にタイツをひっかけてやぶいたり、心理的にもダメージを背負いました。徐々に走れるパートが増えてくるのですが、相変わらずの泥んこで少し油断してかかと着地すると、かかとにグリップの無いadizero mana7では簡単に転んでしまいます。そのうち転んでも滑りながらロス無く立ち上がれるようになり、転ぶことに抵抗がなくなってきますが、出来る限りつま先着地して慎重に進みます。このあたりから沢を渡る場面も増えてきて、逃げ場のないぐちょぐちょ泥道なども通過して、靴は真っ黒になります。ようやく林道らしくなってきたのですが、14時までは少し時間があったので、下りも低い負荷で慌てず走ります。しばらくするとロードに出てやっとのことでW1にたどり着きます。ウォーターステーションではペットボトル各自1本が支給されるので、半分ほどその場でがぶ飲みし、残りをボトルに足しました。さらにロードを走ったり歩いたりしていると、宝台樹のキャンプ場エリアに入ります。ここで地図や残りの距離が頭に入っていなかったので、スマホを取り出して確認しようとした際に最大の危機が発生します。一瞬だけロストしてしまいました。ただ10mも進まないうちに後ろの方が「こっちじゃないですか〜!」と声をかけて下さり死を免れました。単調な登りロードの途中に不意にトレイルの入り口が現れる箇所で、よそ見さえしていなければ見逃すような場所では無いのですが、スマホを見ていたらさすがに通り過ぎてしまいます。今後一切大会中にスマホ歩きをしないことを心に誓いました。。。命の恩人の方のお名前やゼッケンを控えそびれてしまい。お礼ができなかったことが心残りです。トレイルに入ると割と急な下りや登りがはじまり、スピードが落ちます。しばらく昇り降りを繰り返すとロードに出てしばらく進むとW2に到着します。水を飲んだり、足したり、頭にかけたりしました。ブリーフィングで熱中症が危ないから首の後ろや太ももを冷やすように言われていたのを思い出します。ここからはじまる雨呼山が私にはしんどく、ここまでのオーバーペースがたたり、足のゾンビ化の兆候が現れます。この時点でまだ14時の関門まで2時間近く残っていたので、もう大丈夫かと思い、ゾンビ化阻止のため、パワーセーブモードに切り替えます。雨呼山頂上につくと白人のような外見の参加者が座り込んでいます。「お疲れ様です」と声をかけて通過しました。雨呼山を抜けてロードに出ると、すれ違う選手は皆それなりに疲れきっていました。「A2にはなんとか間に合いそうですね」と声を掛け合いながら進みます。ロードが終わるとこんなにつらい区間の最後にゲンナリするゲレンデ登りが見えてきます。時間はまだ充分にあるので、ゆっくり慎重に力を使わないように登ります。スキーのリフトが切れているようなポイントが見えてきて「あそこが頂上じゃないか」「いやリフトの中継の柱かも」と疑心暗鬼になっている方と喋りながら歩きます。幸いそこが頂上だったので、最後の下りもゆっくり慎重に、でも歩かないように下ります。
[A2 13:10頃到着13:53出発 速報順位281位]
ついにA2に到着です!今回の最大の難関を越えたと安堵します。到着してすぐにライト2個の点灯チェックです。そして関門が14:30に延長されたとアナウンスを受けます。後にこのA2で120人という大量DNFが発生したことがわかるのですが、この30分の延長がなければさらにもう100人ほどDNFが増えていたかもしれません。エイドの建物は広い建物なのですが、その光景はまるで野戦病院のように満身創痍の人々であふれていました。私が豚汁におにぎりを浸して5杯ほどお代わりをしている間、となりの男性が救護員に「大丈夫ですか」と何度か尋ねられても「大丈夫です」としか答えられず、私が出発するときまで俯き姿勢で動いていませんでした。かける言葉が見つかりませんでした。。。他にも横になっている人多数、座り込んでいる人多数、「氷ができましたー」とアナウンスが入ると群がる人々。意を決して出発する人々。横山さんが必死に武尊山頂付近の湧き水ポイントを説明していて、それを熱心に聞く人々。こんなに壮絶なエイドは始めてでした。私はここからはゾンビ化現象を食い止めるため、当初の関門時間の14時までしっかり休もうと決め、幸いにもまだ美味しいと思える豚汁におにぎりを浸したものをお腹の限界までコーラを飲みながらお代わりしました。お腹が落ち着いたら家族に無事を知らせ、車で一緒に来たEさんから調子が悪いのでA2で休んでいるというLINEが12:52に入っていることに気づきますが、すれ違いだった模様。実力的には昨年の女子優勝選手と同等のはずのEさんもなんらかの理由で苦しんでいることがわかります。その後ゆっくりトイレに篭ったり、また豚汁おにぎりをお代わりしながら、のんびり過ごします。13:40頃から出発準備のため、ボトルとハイドレーションに氷を目一杯とアクエリアスをつめます。最終的には13:53頃A2を出発します。長期休息と豚汁おにぎりのお陰でなんとかゾンビ化はまぬがれたと思います。出発してすぐにまたゲレンデ登りです。パワーセーブモードで最低限の力でゆっくり登っているのですが、前の人々や後ろの人々とほとんどペースが変わりません。みんな苦しんでるねと隣の人と話し合いながら、ゆっくり歩いて回復を狙います。その後またゲレンデを下り、ロストしかけた宝台樹キャンプエリアのロードに戻ってきます。灼熱の日差しが降り注ぐ中、冷えたアクエリアスは美味しくてどんどん元気になります。ロードを少し走るとまたW1に戻ってきます。ここは一応15:30(延長で15:45)の関門があったのですが、到着は14:40頃だったと思います。ボトルには氷が少し残っているので水を足しました。ハイドレーションはもうぬるいです。途中のトイレでは、ペンションでお風呂一緒になった方が水をかぶっていました。みんな灼熱地獄と戦っています。W1を過ぎたということはあの地獄の剣ヶ峰がまたやってきます。となりの人とやだねーと言い合いながらゆっくり進みます。ただひとつの楽しみは沢の水です。林道をしばらく進むと沢のせせらぎが聞こえてきますが、なかなか飲めるポイントまで来ません。結構進んでからやっと沢にたどり着くとみんな生水構わず浴びたり飲んだりしています。私も迷わずに手ですくってがぶ飲みします。ボトルにも継ぎ足します。頭にも太ももにも靴にもかけました。やがてさっき苦しんだ激下りを登らなければいけません。この登りは長かった〜。絶対に無理をしてはいけないので常に小集団の先頭をキープですw 後ろにいる方に積極的に道を譲るのですが、前に行ってくれません(^-^;) 慎重に登ったお陰で大きなアクシデントも無く、長い長い激登りを終えて分岐路に到着です。ここから武尊山までは斜度が常識的になりますが、それでもゆっくり進みます。途中視界が開けるところがあり、霧に包まれた眺望は幻想的で一緒に登っている人と歓声をあげました。写真を撮ってあげて、私の分も撮ってくれると言うのですが、余裕が無いため断ってしまいました。結果的には今後数秒を惜しむような局面には追い込まれなかったので後悔です。。。このあたりからブユの集団が襲ってきます。数十匹のブユに常時つきまとわれて、耳の穴や口に容赦なく飛び込んできます。後ろにいたカップルの女性が何度も発狂してました(^-^;) Eさんと一緒に進んでいたある女性は貴重なタンパク源と言いながら飲み込んでいたそうですが、すごいメンタルだと驚愕しました。帰宅するまで気付かなかったのですが、両腕はもちろんのこと、両耳の耳たぶ、耳の上、耳の穴に近いところなどご箇所くらい刺されていました。丁寧に破れたタイツの小さな穴までしっかり刺されています。。。そのうち後ろの集団が抜いてくれたので寂しい道中になったところで雨がふりはじめます。2,3人カッパを着用している人がいました。標高が上がって寒くなってから降るなんてヒドイと思いながらカッパを着るには少し暑そうだったので、動き続けるモチベーションにもなるのでカッパ無しで進みます。やがて武尊山頂手前の分岐に到着しました。分岐を左に行ってちょっと進めば頂上、トレランのコースは右ということでしたが、余裕はまったく無かったので迷わず右に進みます。肌寒い空気の中、時々早い人に追いぬかれながら一人でさみしく進みます。剣ヶ峰に比べれば天国のような下りではありますが、走りやすいというほどではありません。所々ぐちゃぐちゃ道もあります。しばらく進むと46km地点近くの左側にあると横山さんがA2で叫んでいた水場が出てきます。後ろの方が「ここかー」と言いながら給水していましたが、寒いし水も充分に残っていたので通過します。さらに少し進むと鎖場迂回経路に入ります。今回のために切り開いた迂回路のため、笹が沢山残っていて、その踏み方を間違えると滑り台のように転びます。2名ほどの方が転びまくって心が折れていました。ロープにしがみついてなんとか急傾斜を下っていきます。途中ハシゴも2箇所ありました。かなり心がやられていたところに、スタッフさんから「ここが迂回路の中間地点です」というアナウンスがあり、まだ半分もあるのかと滅入りましたが、そこから先は前半に比べれば楽な道のりで、すぐに通常にコースに戻ってこれました。この迂回路でもブユが大量に居て、ドロドロの手で払っていたら顔が泥んこになり、ゲリラ兵のようになりました(^-^;) しばらく進むと雪渓が残っていましたが、注意すれば問題無いレベルです。そこから先は泥んこではありますが、足さえ残っていれば軽快に下っていける下りに入ります。最初のうちは寒いのもあったので、後ろ方にせっついてもらいながら頑張ってスピード出して下りましたが、疲れてきたのでパスしてもらい、スピードダウンしました。徐々に斜度も緩くなってきて、飛ばそうと思えばかなり飛ばせる感じになってきましたが、足を温存するため淡々と下ります。やがて日が暮れ始め視界が少しずつ悪くなってきたので、腰に装着していたBDストームを点灯し、完全に日はくれていないので、ヘッドライト出さずにA3まで行ければなと思いながら下っていたところ、突然体が宙に浮き、前のめりにダイブしていました。左膝を強打して2回転ほどしたのですが、うずくまると心が折れそうだったので、「クソー!」と何度も叫びながら、痛みを無視してそのまま走りつづけました。このあたりは木の根がたくさん露出していて、恐らくそれに足をかけたのだと思います。しばらく走って痛みが大分収まった頃にかなり暗くなってきて、もう転びたくなかったし、まだストックも持っていなかったので、手軽なジェントスのハンドライトを出して走りました。暗くなってからは気分が高揚したのか、わりといいペースで走ることができて何人か追い抜いたのですが、2人くらいライト無しで頑張っている方がいて、2人目のライト無しの方に「ライト無しすごいですね」と話しかけたところ、「死ぬ気でついていきます!」と言われ、A3まで2人で走りました。私のように根っこで転ぶことは望まなかったので、根っこがあるところは根っこを照らしてあげながら進みました。
[A3 19:30頃到着20:00出発 速報順位264位]
ライト無しさんと「文明の明かりを久々に見れて嬉しい」と言いながらA3に到着。ついさっきまで鏑木さんがいたとのことで残念。鏑木さんの伝言で「ここではたっぷり休んで下さい」とのことでした。A2よりは小規模な武尊牧場スキー場の小屋です。取り急ぎコーラを飲み干して、大好きなうどんを「わんこそばみたいだね」と言われながら立て続けに10杯ほどいただきました。ここでも疲れを癒やすために慌てずにゆっくり休もうと思い、椅子は空いていなかったので、机にこしかけて、20時まで休もうと決めました。それでもA3出発関門は20:30なので、30分貯金ができます。まずは家族や仲間にA3到着を伝え、後はのんびりと過ごします。A2程では無いですが、A3にも疲れた人たちが沢山いました。ある人はブユに耳をやられてミッキーマウスのように耳が腫れていました。マメがつぶれて救護員にケアしてもらっている人も。スタッフが電話でロストしてしまった人について大きな声で話していました。車に乗って元の道に戻るのはリタイヤになるので自力で戻らないといけないと話しています。まだ時間的には余裕があるハズなのにリタイヤのバスに回収される人も結構いました。そのバスの列にさっき武尊山で写真を撮ってあげた人も見えました。近寄って声をかける元気はありませんでしたが、心のなかでお疲れさまを伝えました。後はハイドレーションとボトルに水を補給して準備完了してしまったのですが、まだ19:50なので出発我慢してまだ休むことにします。今思えばもったいなかったかなと思いつつもじっと10分休んでいよいよ出発です。小屋を出た瞬間冷えた汗が冷たい空気にあたり激寒でした。歯がガタガタ震えるほどの寒さですが、防寒着を着れば暑いと思うので、必死に動いて暖まるのを待ちます。少しだけスキー場の不整地を走ったあと、すぐにロードに出て下りが始まります。下りは比較的速いようで、ゆっくり走っていても前の人をどんどん追い抜いて行きます。6kmほど下りきったところがW3ですが、夜で水もほとんど飲まなかったので、そのまま通過して登山道の登りに入ります。序盤の登りは傾斜もそこまでキツくないので、淡々と登りますがやがて私にはキツ目の傾斜にかわり何人かに追いぬかれます。それでも差はそれほどつかずに下りに入ってまた追い抜いて下りのトレイルを淡々と走ります。途中からゲレンデの下りとなり、淡々と下って行くとA4に到着しました。
[A4 22:30頃到着23:42出発 速報順位256位]
A4は出発前に預けたドロップバッグを受取る場所で、ここからストックを使うことができます。出発関門は0:30なので、かなり貯金ができました。ここで相当余裕こいて眠りもせずにぼんやりと大休憩を取るのですが、後から考えればA3やA5の休憩含めてもったいなかったなーと思います。まずはコーラをいただき、味噌汁おにぎりにウィンナーを入れて何杯かいただきます。その後泥んこになった靴を履き替えようと思うのですが、ここまで履いてきた靴はadizero mana7というランシューズで、ドロップに預けたのはadizero takumi sen2というさらに軽い(180g)ランシューズとVASQUEというメーカーのトレランシューズの2種類です。takumi sen2はトレイルで試したことがなかったので怖かったのですが、ここまでもmana7で順調に来れたので思い切ってtakumi sen2を選びました。結果的に今回程度の路面はしっかりグリップしたので正解でした。メールを確認するとHさんがA3でリタイヤとの連絡あり。A3までが厳しさの大部分を占めていたので、そこまで辿り着くだけで充分だと思いました。ドロップにはお楽しみ食事も預けていて、まずは前日にスーパーで購入したシューマイに醤油をかけて食べてみます。でも気持ち悪い。かろうじて美味しいと思えるレベルだったので、4個ほど食べました。隣に座っている人にも食べるか聞きましたが、丁寧に断られました(^-^;) 次は美味しく食べられることがわかっているイシイのミートボールを食べ始めました。濃い目の味のソースがたっぷり絡めてあるので美味しくいただけます。隣の人に笑われたので、食べるか聞いてみましたが、やっぱり断られました(^-^;) 他にもサラダチキン、ウィンナー、チキンハンバーグ、太巻きなどありましたが、食べることを検討もしませんでした。足裏ケアの為にプロテクトS1というワセリンのようなものと靴下の代えも用意していたので、マメ防止のために足を乾かしてからワセリンを塗って靴下を履きます。ここのエイドはトイレが地下にあったので、つかれた足にはつらい階段を昇り降りして2回ほどトイレにも行きました。エイドの奥には仮眠所があって多くの人が休んでいました。先ほどA3を出発した際にとても寒い思いをしたので、濡れたシャツは脱いで、ファインテックのパワーメッシュのロングスリーブを来ます。さらにアウターをひとつ羽織ったら暖かくなりました。走り始めてすぐにアウターは脱ぐのですが、ザラザラしたパワーメッシュにザックの衝撃が直接かかり、背中が擦れて後半いたくなってしまいます。この頃から内腿でもタイツが擦れて炎症が起きて痛かったです。内腿についてはタイツの履き方が甘かったと思います。背中については再発するようなら対策を考えないといけません。ライトの電池も余分にドロップに預けていたので、念のため全てのライトの電池を新品に取替えます。23:30に出発するつもりが直前にもよおして23:42に出発します。ここからはまたしばらくロードの下り。もう選手は大分ばらけているのですが、それでも下りは何人かを追い抜くことができます。歩いて下っている人も何人かいました。ここは宿泊した片品村花咲のペンション地区も通過するのですが、私の泊まったペンションのすぐそばも通過するので不思議な気分になります。下りきると赤倉林道の登りに入ります。ここまで何度もなのですが、私のゼッケンが1234番を、スタッフ含めてかなり多くの人が突っ込みしてくれます。小さなことでも声をかけてもらえると元気になるので嬉しいです。赤倉林道を含むこの区間はかなり斜度の緩い上り下りなので、ボーナスステージのような感じのはずなのですが、ゆっくり進んだせいか30分しか貯金を増やせませんでした。
[A5 2:00到着2:20頃出発 速報順位238位]
ここのエイドではスープがあったのですが、あまり食欲がわかず、2杯しか飲めませんでした。空腹になるリスクに不安を感じながらも、ここまでにしては短めの休憩で出発します。ここからしばらくロードの登りになるのですが、ロードの登りを歩いていると眠気が猛烈に襲ってきます。眠り歩きを試すのはロストも含めて怖かったので、瞬きを長めにしてなんとかこらえました。ロードを登り切るとトレイルの下りに入るのですが、正直このあたりはよく覚えていません。ブユにまた襲われたような気がします。下りきったところで大きく右に曲がる所があるのですが、EさんもIさんもまっすぐ進んでロストしてしまったようです。Eさんはすぐに気づいて引き返したのですが、Iさんはそのままロードの道に戻ってしまい、スタッフに2周するのかと尋ねるも違うとの回答でロストを知り、心も体も折れてしまい、次のエイドでリタイヤしたようです。知り合いが2人もロストした場所ですから次回参加する時は注意が必要です。しばらく進むと仮眠所が現れます。ロード登りの眠さがつらかったのですが、休んで心が折れてしまうことと、朝が来れば眠気が覚めるという情報を信じてがんばることにしました。ここで仮眠していたEさんを知らずに追い抜いていたようです。暗闇だったせいか、その後の道のりも全然覚えていません。。。あまり難易度の高い部分ではなく、淡々とペースを維持したと思います。途中夜が明けてきたのですが、木に覆われて視界が悪い間をライトをつけたままにしました。最後ロードに出てからエイドにつくまでが意外に長く、登りも少しあったりして、メンタル的につらかったです。
[A6 5:27到着5:40頃出発 速報順位220位]
このエイドは温かいものが無く、試しに塩バナナを食べてみたのですが、美味しいわけもなく気分が悪くなります。ザックに秘蔵していたさつま揚げを食べてみたのですが、ひと口で吐き気がもよおしました。ここで右足の親指が痛いので、マメのケアを救護員の方にお願いしました。コンピードというマメ用の絆創膏を持参していたので、やぶれたマメにつまった泥をガーゼで拭いてもらってから、コンピードを貼ってもらいました。そろそろ足が終わってきて、A5からA6の区間に時間がかかってしまい、貯金が20分減ってしまったので、長居せずにエイドを出発します。慌てていたせいか、もう明るいのにライトをあたまにつけたままで出発してしまい、気になりました。エイドを出てからは、ごろごろした石の多い砂利の登りを登っていきます。ここで隣歩いていた人が昨年の完走者だったので、このペースで間に合うか聞いたところ、この先のつづら折りの急な下りでしっかり走れれば、貯金ができて、A7以降は4時間半ほどなので、間に合うとのこと。ただこの方は体格も良くリーチが長くて登りが私より全然速いので、油断はできません。案の定登りで少しずつ離されていきます。気づくとかなり高齢の選手が後ろから追いついて来ます。この方に追い抜かれるようでは遅すぎると思い、自分もストックの力を最大限に利用しながら追い抜かれないようにがんばります。しばらく登るとつづら折りの下りが始まりました。わりと良いペースで下りているつもりなのですが、後ろの高齢の方が迫ってきます。下りではさすがに抜かれるのは嫌だと思い、思い切ってラストスパート用の余力を使って下りのスピードをアップします。勢いがついてかなりのスピードになったので、あっというまに高齢の方は引き離し、その勢いで、先程の完走者さんに「すごいね〜」と言われながら10人くらいの選手をごぼう抜きしました。この区間も山岳地区を抜けてからエイドまですごく長かったです。スピードをセーブしていたら本当に長かったと思うので飛ばして良かったです。この区間はラストスパート用の足を使ったこともあり、1時間半程で抜けられて貯金を少し復活させることができました。
[A7到着 7:03到着7:15頃出発 速報順位212位]
A7では待望のうどんに再会でき、最後の5時間の超ロング区間に備えて5杯以上苦しくなるまで食べました。余裕が有るか判断できなかったので短時間でエイドを出発しました。少しだけロードを走って、すぐに浅松山への林道がはじまりました。登り始めてすぐに鏑木さんのメッセージボードに「疲れを抱きしめて」とあり、ちょっと泣きそうになります(^-^;) ラストスパートのゴボウ抜きに気分が良くなっていたので、ここの登りでもラストスパート用のパワーを使ってガンガン登ります。普通は絶対に歩く登り傾斜も強引に走って後ろの人達がすぐに見えなくなりました。20kmなら押し切れるのではないかという淡い期待で、飛ぶように走って登ります。飛ばしているからには誰かを抜きたいのですが、ここまで来ると選手の間隔がかなり広がっていてなかなか前の選手が見えてきません。結局浅松山の頂上あたりまで2人しか抜けませんでした。浅松山の頂上あたりに近づいたときに、草陰から熊のような黒い顔がこちらをじっと見ていることに気づきました。驚いて後ずさりするのですが、こちらを見たまま向こうも動きません。必死に手で熊鈴を鳴らしているのですが、全然動きません。恐る恐る近づいて見ても全然動きません。結局それは熊に見えなくもない木で彫られた置物のようでした。。。そこからもガンガン走るのですが、ポツンポツンと潰れたランナーを捕まえる程度で、あまり楽しくないのですが、W5に到着すると何人かの選手がぐったりしていましたので、水を手早く補給して通過します。そこからは離れていた集団に追いついたのと、平坦な地形に変わったのでさらにスピードアップしたのでガンガン追い抜きます。A2やA3であたりで随分前に会った人たちを一瞬で抜いていきます。その中には私のロストを救ってくれた方もいました。ちょっとした急傾斜なら駆け上がります。この時は追い抜いていることを知らないのでEさんに追い付きたい一心でした。そうこうしているうちに一つ目の偽ピークに突入するのですが、かなりの急傾斜でスピードダウンすると残念なことに足が売り切れてしまいました(^-^;) 足が終わっている状態でのラストスパートは10kmくらいが限界のようです。偽ピークの急傾斜でスローダウンしていると、さっき追い抜いたA2でロストを救ってくれた人が、ついてきていたようで、「覚えていないけどこんな偽ピークが2,3個あったんだよなー」と言いながらすごいスピードで急傾斜をかけ登って行きました。急傾斜を登り切っても足が売り切れているので、今までに無いほどのスロースピードでなんとか進みます。平地も時々歩いたりするほど足が終わっています。A3で話していた人が追い付いてきたのですが、抜かないでくれたので、せっついてもらいながらしばらく一緒に進みます。がんばって走っているとだんだん足の痛みが麻痺してきたので、下りのスピードが出てきてまた少し差がつきます。2つ目の偽ピークにつきましたが、登りはまだ力が入るので腕の力を活用して頑張って登ります。その後また下り基調になるのですが、途中からすごい下りの急斜面になり、ついにロープが登場します。これが噂の急斜面かと思いながら頑張って下ります。下りの急斜面って雨乞山の後のハズなのに雨乞山過ぎたっけ?と思いながらもう登りは無いのではと期待しながら進むとまた登りが始まります。そこも登り切ってしばらく進むと最後のウォーターステーションに到着しますが、疲れたのでエナジードリンクと水をもらって椅子に腰掛けてしまいます。この休息が災いして、その後痛みが再度麻痺してくれることはありませんでした。4,5人で一緒にしばらく休息します。5分程休憩してから、「よし!」と無理やり気合を入れて出発します。ちょっと強めの傾斜を少し登るとすぐに雨乞山頂に到着します。お天気で素晴らしい眺望でしたが、休むと動けなくなるのでそのまま通過します。すぐに急傾斜の下りに入ります。下りの筋肉が悲鳴をあげているので、3人くらいパスされながらゆっくり下ります。なかなか急傾斜が終わらず泣きそうになりながらなんとか急なところを下りきるのですが、緩い下りも歩く人に抜かれそうなスピードで一応走ります。
[終盤〜ゴール 11:52ゴール 順位191位]
顔を歪めながらゆるい傾斜の林道を下っていると正面から上半身はだかの鏑木さんがやってきました。「あと少しです、がんばってください」と声をかけられるものの、引きつった笑顔を返すのがやっとで、鏑木さんは一瞬で通り過ぎました。後ろからA3で話した人がまた追い付いてきて「鏑木さんでしたねぇ」と言われながらあっというまに置いて行かれました。もうひとり、A7までに何度かすれ違った人にも抜かれて「鏑木さんでしたねぇ」と言われながらあっというまに置いて行かれました。それ以降は誰とも会わず、必死に下ってようやく山道が終了しました。スタッフの方に「あと3キロがんばって」と言われて、一瞬だけロードに出た後にすぐにトレイルに戻ります。遠くに川場村が見える景色の中、淡々とトレイルをすすみます。しばらくすると「ここまで来てくれてありがとう。あなたを心から誇りに思う by 鏑木」とあり、やっと終わるんだという思いが湧いてきます。最後のロードに突入し、「あと2キロです!」と言われます。灼熱のロードをゆっくり走ります。最後にふれあい橋という長い橋を渡ります。何人か歩いて渡っているので抜くのは気が引けたのですが、歩く気にはなれなかったので抜かせてもらいます。最終コーナーに入ると「ゼッケン1234番 東京都 古橋選手ゴールです」とアナウンスされゆっくりゴールに駆け込みました。
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