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記録ID: 6977036
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沢登り
北陸

【敦賀】海辺の沢登り(その2) 西方ヶ岳・中道川

2024年06月29日(土) [日帰り]
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GPS
--:--
距離
8.8km
登り
771m
下り
772m

コースタイム

日帰り
山行
7:00
休憩
1:30
合計
8:30
7:00
40
駐車地(馬背峠トンネル西口付近路肩)
7:40
7:40
180
中道川に入渓
10:40
12:10
170
15:00
15:00
30
中道川から脱渓
15:30
駐車地(馬背峠トンネル西口付近路肩)
天候 曇りのち晴れ
過去天気図(気象庁) 2024年06月の天気図
アクセス
利用交通機関:
自家用車
馬背峠トンネル西口付近にある路肩が広くなったところに駐車。4,5台は停められそう。中道谷に沿った農道は,離合困難な狭路で転回スペースもないため,無理に奥まで車で入らないほうが良い。農道を少し入ったところに車が止められそうな路肩もあったが,農作業の邪魔になる可能性があるかと思い停めなかった。
コース状況/
危険箇所等
・ 中道谷は,特に堰堤から280m二俣までの区間にそこそこの規模のナメ床やナメ滝が現れ,なかなか美しい。ゴーロ区間も多いが,かなりの大きさの巨岩がゴロゴロしており,空が大きく開ける区間もあるなど,低山に似合わぬスケールの大きさを感じさせる。この山域特有のヤブっぽさもあまりなく,概ね気持ちよく歩ける。
・ 280m二俣以降は,右俣を取るか左俣を取るかで一長一短ある。右俣は,源頭を除けばヤブっぽさはなくスムーズに抜けられるが,大きな滝場はないためやや単調。対して左俣は,等高線の詰まる辺りで50mほどの長い樋状ナメ滝が出てくるなどポツポツ滝場があり楽しめるが,いかんせんヤブっぽい。
・ この谷は傾斜のゆるいナメ滝が多く,左右の斜面も穏やかで簡単に巻けるため,遡行は難しくない。慣れた人ならロープも不要で,沢靴だけあれば大丈夫なレベル。あと,なにぶん小さな谷なので,水量が多めのとき(梅雨時など)がおすすめ。
西方ヶ岳・蠑螺ヶ岳の谷は記録がないところが多く,たいてい谷名が分からないので,現地に着いて最初の仕事は谷名を調べること。あ,「中道川」って言うんですね。…なんかパッとしない名前だなぁ(だいぶ失礼)
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西方ヶ岳・蠑螺ヶ岳の谷は記録がないところが多く,たいてい谷名が分からないので,現地に着いて最初の仕事は谷名を調べること。あ,「中道川」って言うんですね。…なんかパッとしない名前だなぁ(だいぶ失礼)
地形図にも書いてある農道をたどって中道川の奥へ。最初は美しい田園の中の道だが,途中からヤブ化してしまい,あるかなきかの道の痕跡を辿って,堰堤付近へ。
地形図にも書いてある農道をたどって中道川の奥へ。最初は美しい田園の中の道だが,途中からヤブ化してしまい,あるかなきかの道の痕跡を辿って,堰堤付近へ。
地形図の堰堤は左岸から越えた。堰堤の上は写真のように小さなダム湖になっていた。
地形図の堰堤は左岸から越えた。堰堤の上は写真のように小さなダム湖になっていた。
堰堤を越えると…なんと突然,美しいナメ滝のお出迎え。これには驚いた。
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堰堤を越えると…なんと突然,美しいナメ滝のお出迎え。これには驚いた。
滝の上は,広いナメ床。予想外の美しい景観に,この先の期待が高まる。
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滝の上は,広いナメ床。予想外の美しい景観に,この先の期待が高まる。
が,その先はやや荒れた感じの河原状。まあ,こんなもんよね…。でも,思っていたよりもだいぶ川幅が広く,空も大きく開けて,なんだか気持ちいいぞ。
が,その先はやや荒れた感じの河原状。まあ,こんなもんよね…。でも,思っていたよりもだいぶ川幅が広く,空も大きく開けて,なんだか気持ちいいぞ。
おっ,またナメ滝。長さ20mほどだろうか。水線を愉しみながら越えていく。
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おっ,またナメ滝。長さ20mほどだろうか。水線を愉しみながら越えていく。
この谷はナメが多いようだ。花崗岩特有の白と赤褐色の岩肌が美しい。
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この谷はナメが多いようだ。花崗岩特有の白と赤褐色の岩肌が美しい。
ナメ滝が浅い滝壺をいくつも連ねて,曲がりくねりながら流れ下る美しい区間もあった。
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ナメ滝が浅い滝壺をいくつも連ねて,曲がりくねりながら流れ下る美しい区間もあった。
いいねぇ
その後も斜滝がちらほら。どれも水線沿いを簡単に登れるのがうれしい。
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その後も斜滝がちらほら。どれも水線沿いを簡単に登れるのがうれしい。
巨岩が多いのもこの谷の特徴。時々乗り越しに苦労する。
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巨岩が多いのもこの谷の特徴。時々乗り越しに苦労する。
河原状の区間を挟みながらも,ナメっぽい谷が続く。
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河原状の区間を挟みながらも,ナメっぽい谷が続く。
おおー。全長30〜40mほど?の大きなナメ滝。
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おおー。全長30〜40mほど?の大きなナメ滝。
いやー,まさかこんなに規模の大きな風景を楽しめるとは。これは当たり沢かも?
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いやー,まさかこんなに規模の大きな風景を楽しめるとは。これは当たり沢かも?
滝上は巨岩がとおせんぼ。でも横から簡単に抜けられます。
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滝上は巨岩がとおせんぼ。でも横から簡単に抜けられます。
280m二俣は右俣へ。写真はその後の310m二俣。面白いことに,広い一枚岩の二俣の滝になって出合っていた。
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280m二俣は右俣へ。写真はその後の310m二俣。面白いことに,広い一枚岩の二俣の滝になって出合っていた。
水量は少なくなるものの,しばらくナメっぽい谷が続く。
水量は少なくなるものの,しばらくナメっぽい谷が続く。
5m滝。直登できそうにも見えたけど,右手から巻き上る。
5m滝。直登できそうにも見えたけど,右手から巻き上る。
これぞトイ状,ってくらいのトイ状滝。直登。
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これぞトイ状,ってくらいのトイ状滝。直登。
なんか妙に傾斜が強い,巨岩が詰まった区間。どうやら,もともと大きなナメ滝だったけど,土石流かなにかで埋まったっぽい。これは残念…。
なんか妙に傾斜が強い,巨岩が詰まった区間。どうやら,もともと大きなナメ滝だったけど,土石流かなにかで埋まったっぽい。これは残念…。
ポツポツとナメ滝。
ポツポツとナメ滝。
と,ついに,事前の地形図の読みで最も期待していた,等高線が詰まり岩記号のある区間に差し掛かった。しかし現れたのは期待していた滝ではなく,巨岩の群れ。な,なにこれ?
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と,ついに,事前の地形図の読みで最も期待していた,等高線が詰まり岩記号のある区間に差し掛かった。しかし現れたのは期待していた滝ではなく,巨岩の群れ。な,なにこれ?
とにかくみっしり巨岩が詰まっている。台高の谷ですかここは…。
とにかくみっしり巨岩が詰まっている。台高の谷ですかここは…。
やっと滝が出てきた…が,露出しているのはせいぜい5mくらい。滝上も滝下もおびただしい岩で埋まってしまっている。どうやら,この滝場も,過去の土石流かなにかで埋まってしまったらしい。残念すぎる。
やっと滝が出てきた…が,露出しているのはせいぜい5mくらい。滝上も滝下もおびただしい岩で埋まってしまっている。どうやら,この滝場も,過去の土石流かなにかで埋まってしまったらしい。残念すぎる。
その後は平凡化…。うーん,下部が良かっただけに,もう一声ほしかった!
その後は平凡化…。うーん,下部が良かっただけに,もう一声ほしかった!
まあ,そいでも,それなりに穏やかで気持ちいい源頭。
まあ,そいでも,それなりに穏やかで気持ちいい源頭。
分かりにくい写真で申し訳ないですが,山頂付近の緩傾斜帯の谷沿いには,古い炭焼き窯の跡が多い。この山域では昔はさかんに炭を焼いていたようだ。
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分かりにくい写真で申し訳ないですが,山頂付近の緩傾斜帯の谷沿いには,古い炭焼き窯の跡が多い。この山域では昔はさかんに炭を焼いていたようだ。
梅雨時のブナやサワグルミがきれいですよ
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梅雨時のブナやサワグルミがきれいですよ
獣道を辿れば,少なくとも山頂直前まではそれほどヤブ漕ぎもない。
獣道を辿れば,少なくとも山頂直前まではそれほどヤブ漕ぎもない。
山頂直前はまあまあ濃い灌木のヤブ。これはしゃーない
山頂直前はまあまあ濃い灌木のヤブ。これはしゃーない
山頂付近の美しいブナ。梅雨時の霧にけむる森が好きです
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山頂付近の美しいブナ。梅雨時の霧にけむる森が好きです
三角点ダイレクト
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三角点ダイレクト
三角点から少しだけ歩いて,看板と避難小屋のある山頂広場へ。さすがに曇っているので誰もいない。
三角点から少しだけ歩いて,看板と避難小屋のある山頂広場へ。さすがに曇っているので誰もいない。
山頂広場からちょっとだけ東へ踏み跡を下りたところにある,展望岩。あらら,一面のガスやね。晴れるまで昼寝でもしよ
山頂広場からちょっとだけ東へ踏み跡を下りたところにある,展望岩。あらら,一面のガスやね。晴れるまで昼寝でもしよ
岩の上で1時間ほど昼寝して(寝すぎ),何か明るいな…と思って目覚めると,眼下には雲の切れ目に海が!
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岩の上で1時間ほど昼寝して(寝すぎ),何か明るいな…と思って目覚めると,眼下には雲の切れ目に海が!
水島ブルーも,ちょこっとだけ楽しめた。
水島ブルーも,ちょこっとだけ楽しめた。
霧が飛び交う中で見ると,山腹の奇岩が仙人境のようだ。
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霧が飛び交う中で見ると,山腹の奇岩が仙人境のようだ。
さて,海の眺めを楽しんだ後は,中道川の左俣を下降するため,再びヤブへ突入。山頂付近は尾根が広く視界がきかないので,狙った谷に下降するには慎重な読図が必要。コンパスに首ったけで下っていく。
さて,海の眺めを楽しんだ後は,中道川の左俣を下降するため,再びヤブへ突入。山頂付近は尾根が広く視界がきかないので,狙った谷に下降するには慎重な読図が必要。コンパスに首ったけで下っていく。
谷状地形に降りた。コンパスで何度も谷の走向を確認し,中道谷左俣に降りた確証を得た。
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谷状地形に降りた。コンパスで何度も谷の走向を確認し,中道谷左俣に降りた確証を得た。
右俣もそうだったけど,ときどき立派なスギの木立を見かける。天然ものだろうか,それとも炭焼き窯跡もあったし,人の手で植えたものだろうか。
右俣もそうだったけど,ときどき立派なスギの木立を見かける。天然ものだろうか,それとも炭焼き窯跡もあったし,人の手で植えたものだろうか。
穏やかな源頭をしばらく下ると,ポツポツ小滝が。
穏やかな源頭をしばらく下ると,ポツポツ小滝が。
どれもホールド豊富で,クライムダウンできる。
どれもホールド豊富で,クライムダウンできる。
と,谷の傾斜が強まったところで,急にナメ滝スライダーの連続が始まった。
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と,谷の傾斜が強まったところで,急にナメ滝スライダーの連続が始まった。
傾斜は緩いが,結構長く続く。慎重に滝身をクライムダウンしていく。それが難しいところは左岸側を巻いていく。
傾斜は緩いが,結構長く続く。慎重に滝身をクライムダウンしていく。それが難しいところは左岸側を巻いていく。
ここは登りなら,ステミングでクリアかなー。登ったら面白そう
ここは登りなら,ステミングでクリアかなー。登ったら面白そう
結局,50mほどのナメ滝地帯でした。きっと,登りに使った右俣の急傾斜帯も,土石流さえなければこんなナメ滝が続いていたのだろう。
結局,50mほどのナメ滝地帯でした。きっと,登りに使った右俣の急傾斜帯も,土石流さえなければこんなナメ滝が続いていたのだろう。
その後もちょくちょく小滝が出てくるのはいいんだけど…
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その後もちょくちょく小滝が出てくるのはいいんだけど…
でもこの左俣,下れば下るほどヤブっぽくなっていくのが残念。右俣は割とすっきりしてたのにどうしてだろう。これさえなければそんなに悪くない谷なんだけどなー
でもこの左俣,下れば下るほどヤブっぽくなっていくのが残念。右俣は割とすっきりしてたのにどうしてだろう。これさえなければそんなに悪くない谷なんだけどなー
きれいなナメや小滝はある…のにヤブっぽすぎて沢芯を進めないという残念なパターンが続く
きれいなナメや小滝はある…のにヤブっぽすぎて沢芯を進めないという残念なパターンが続く
なかなかいいのにねー
なかなかいいのにねー
こことかねー
ここもねー
二俣からも見える8m岩間滝
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二俣からも見える8m岩間滝
280m二俣に戻って来た。急に川幅が広がり,ヤブっぽさから解放される。というか,晴れてきましたな。
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280m二俣に戻って来た。急に川幅が広がり,ヤブっぽさから解放される。というか,晴れてきましたな。
登りで越えてきたナメ滝群を,今度は下っていく。傾斜は緩いので散歩するように下れる。なんならスキップでも下れる。やっぱりこの区間は気持ちいいね。
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登りで越えてきたナメ滝群を,今度は下っていく。傾斜は緩いので散歩するように下れる。なんならスキップでも下れる。やっぱりこの区間は気持ちいいね。
「ミニ奥七ツ釜」と命名! 台高の堂倉谷の奥七ツ釜にそこはかとなく似てる(気がする)ので…。本家の堂倉谷に怒られるだろうか。たぶん怒られるな
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「ミニ奥七ツ釜」と命名! 台高の堂倉谷の奥七ツ釜にそこはかとなく似てる(気がする)ので…。本家の堂倉谷に怒られるだろうか。たぶん怒られるな

装備

備考 ・ フェルトソール沢足袋使用。花崗岩の谷でありフリクション良好なため,ラバーのほうがいいかも。
・ ロープ(40m)など沢登りの基本装備は携行したが,使用場面はなかった。

感想

 一度ある山域が気になり出すと,しつこいくらい通ってしまう悪い癖が出て,今週も敦賀の海辺の山,西方ヶ岳。
 今回の中道川(例によって先行記録がないので,この谷名も現地で知ったけど)は,実はこの山域の谷の中では,最も気になっていた谷だった。航空写真を確認すると,この谷だけ深い樹林を割ってはっきりと川底が映り込んでおり,それなりに規模が大きい谷であることが予想された。さらに,滝らしくも見える白い水流さえ何か所か写り込んでいた。これが本当に滝なのか,現地で確かめてみたい。
 結果,航空写真に写り込んでいた滝らしきものは本当に滝で,いくつかの大きなナメ滝が出迎えてくれた。この山域を構成する花崗岩の岩盤が,良い意味で本領を垣間見せた谷だと言える。平凡なゴーロ区間も多いけど,こんな小さな山のどこから転がってきたのかと驚いてしまうほどの巨岩がゴロゴロしていて,空が大きく開ける区間もあり,700mぽっちの海辺の山とは思えないスケール感を時に漂わせる谷だった。280m二俣より上部の急傾斜帯(地形図で等高線が詰まっている部分)は,大きな滝があるのではないかと予想していたこともあり,思ったより平凡で残念だったが,それでも左俣では50mほどのナメ滝スライダーが出てきて楽しませてくれた(ちょっとヤブっぽかったけど)。
 睡眠不足がたたって,山頂の展望岩の上に伸びて一時間も昼寝してしまった。誰も来なくてよかった。目を覚ますと,いつのまにかガスが晴れはじめていて,眼下に青い海が広がりつつあった。

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