宙吊りからの脱出は出来なかったのか?
先日、jRO(日本山岳救助機構)の「2013年の事後分担金の通知とご報告」の遭難概要を見ていたら、次の記事が目にとまりました。
『・飯能市 日和田山
・単独登攀の練習中、ビレイデバイスがフィックスロープにロックしてしまう。外そうとしたが外せず、ハーネスそのものも外すことができず宙づりとなる。翌朝登ってきた別パーティーに意識をほぼ失った状態で発見され、救助。ヘリで病院に搬送された。
・滑落
・病院収容』
この文章だけから正確に状況を判断することは難しいですが、「単独で練習していて、ロープを上から垂らしてフィックスロープにしてアッセンダー(この場合ビレイディバイス?)で登攀していて、何かの拍子に滑落してフィックスロープにぶら下がった。ディバイスがロックしているので、そのロックを外そうとしても外せなかった。ハーネスを脱ごうとしても脱げずに宙吊りの状態で意識を失い翌朝救助された。」ということでしょうか?
ともあれ、きびしい言い方ですが宙吊りからの脱出が出来なかったという技術不足準備不足であることは間違いないと思われます。
『・飯能市 日和田山
・単独登攀の練習中、ビレイデバイスがフィックスロープにロックしてしまう。外そうとしたが外せず、ハーネスそのものも外すことができず宙づりとなる。翌朝登ってきた別パーティーに意識をほぼ失った状態で発見され、救助。ヘリで病院に搬送された。
・滑落
・病院収容』
この文章だけから正確に状況を判断することは難しいですが、「単独で練習していて、ロープを上から垂らしてフィックスロープにしてアッセンダー(この場合ビレイディバイス?)で登攀していて、何かの拍子に滑落してフィックスロープにぶら下がった。ディバイスがロックしているので、そのロックを外そうとしても外せなかった。ハーネスを脱ごうとしても脱げずに宙吊りの状態で意識を失い翌朝救助された。」ということでしょうか?
ともあれ、きびしい言い方ですが宙吊りからの脱出が出来なかったという技術不足準備不足であることは間違いないと思われます。
・宙吊りからの脱出で有効なシュリンゲ(スリング)
宙吊りからの自己脱出は何度も練習を積んで訓練をしておれば必ずしも難しい技術ではありません。しかしながら、一度も訓練していないと非常に厳しい状況となります。場合によっては宙吊りのまま死亡することもあります。
宙吊りからの脱出で有効な物はシュリンゲ(スリング)です。
登攀に必要なシュリンゲ(スリング)を何本ももってクライミングをしているのは普通のことだと思いますが、万一、宙吊りになったことを想定して必ず非常用のシュリンゲ(スリング)はすぐに出せるようにしておかなければなりません。
宙吊りからの脱出で有効な物はシュリンゲ(スリング)です。
登攀に必要なシュリンゲ(スリング)を何本ももってクライミングをしているのは普通のことだと思いますが、万一、宙吊りになったことを想定して必ず非常用のシュリンゲ(スリング)はすぐに出せるようにしておかなければなりません。
・片手プルージック - YouTube
プルージックは片手でもできるので慣れれば使い勝手の良いフリクションノットである。
・自己脱出の方法は省略するが…
宙吊りからの自己脱出の方法は省略しますが、プルージックなどのフリクションノットを利用した方法は絶対に覚えておかねばなりません。簡単に説明すると、シュリンゲ(スリング)を使ってプルージックなどのフリクションノットで足用とハーネス用を作り、そこに交互に体重を移動させて脱出します。つまり、最低でも2本あるいは3本のシュリンゲ(スリング)が必要です。足を乗せるにはテープスリングをカラビナかタイオフでつなげるといいですね。
■非常用のシュリンゲ(スリング)
宙吊りからの自己脱出のシュリンゲ(スリング)は、5ミリか6ミリの補助ロープで作ればいいと思いますが、他にも「非常時」には様々なことが想定されます。
そのために、私は昔から6ミリ、5ミリ、4ミリ、3ミリの非常時用のシュリンゲ(スリング)を何本か持参して岩登りや氷の壁を登っていました。
そのために、私は昔から6ミリ、5ミリ、4ミリ、3ミリの非常時用のシュリンゲ(スリング)を何本か持参して岩登りや氷の壁を登っていました。
■5ミリのシュリンゲ(スリング)
■4ミリのシュリンゲ(スリング)
■3ミリのシュリンゲ(スリング)
ハーネスに非常用シュリンゲをつけておくとよい
まとめ
5ミリ補助ロープ:110センチで作る。35センチのシュリンゲになる。
4ミリ補助ロープ: 60センチで作る。17センチのシュリンゲになる。
3ミリ補助ロープ: 55センチで作る。19センチのシュリンゲになる。
4ミリ補助ロープ: 60センチで作る。17センチのシュリンゲになる。
3ミリ補助ロープ: 55センチで作る。19センチのシュリンゲになる。
最後に
シュリンゲとスリングは同じです。ドイツ語読みと英語読みの違いです。
昔は登山用語はドイツ語が日本ではよく使われていましたが、最近では英語が多くなっているようですね。
尚、プルージック用に太い補助ロープ(7ミリとか)の芯を縮める方法もありますが、強度は見た目よりも極端に落ちますので注意してください。
何はともかく、非常時のためには常日頃の訓練が非常に有効です。練習しなければ変な所で命を落とすハメにもなりかねません。練習は命を守るためにとても大切です。
昔は登山用語はドイツ語が日本ではよく使われていましたが、最近では英語が多くなっているようですね。
尚、プルージック用に太い補助ロープ(7ミリとか)の芯を縮める方法もありますが、強度は見た目よりも極端に落ちますので注意してください。
何はともかく、非常時のためには常日頃の訓練が非常に有効です。練習しなければ変な所で命を落とすハメにもなりかねません。練習は命を守るためにとても大切です。
お気に入りした人
人
拍手で応援
拍手した人
拍手
さんの記事一覧
- シャントをバックアップに使った懸垂下降の方法(事故防止) 304 更新日:2014年08月28日
- 北アルプスの週間天気予報(Mountain forecast.comによる) 560 更新日:2014年08月16日
- ミニロースターを自作してみました!! 146 更新日:2014年08月17日
※この記事はヤマレコの「ヤマノート」機能を利用して作られています。
どなたでも、山に関する知識や技術などのノウハウを簡単に残して共有できます。
ぜひご協力ください!
ロッククライミングによる場合が、最も多いのではないでしょうか。有名なのは、もうずいぶん昔ですが、谷川岳での事件がありましたね。
当時は今とは違い、ロ−プを切断するには銃弾しかなかったのかな。
滅多にありませんが、今でもそれが対象の救助要請はありますね。(ソロの場合で、携帯で要請される人もいます)
そうですね、私も経験しましたがその時は「コマ−ル」で回復しましたが、murrenさんのやり方も良いですね。
講習会でも、時々カラナビやシュリンゲの使用方法について、講師の方が説明していますが、直ぐに練習しないと忘れますので、ヤマノ−トで何回も繰り返して、身につける方法もありますね。
murrenさん、初めまして。
日和田の事故の朝、ちょうど、岩場に向かうところでした。
事故は、男岩のバルジというルートだと思います。
日和田は、クライミングの入門者がたくさんきています。
中には、「大丈夫かな〜?」と思うパーティもいますし、リーダーも、昔とった何とかで、かなり怪しい感じもします。
また、ソロクライミングの方もかなり見かけます。
そんな中に起きた事故だったのかもしれません。
from marcy
ユマールのようなアッセンダーがあれば楽に自己脱出できると思いますが、それでも慣れておかないとダメですね。しかしながら重いとう点がありますね。タイブロックやマイクロアッセンダーのような軽量なものもありますが、それを設置するにもプルージックなどの技術が必要ですね。
谷川岳の宙吊りのザイルを銃撃により切断したのは昭和35年だそうですね。そんな大昔だったんですね。今だったら長いザイルで懸垂下降できたと思いますが当時は無理だったんでしょうかね?よく分かりませんね。
昨年のその事故のときをご存じなんですね。
実は私も学生の頃に1度だけ登ったことがあるゲレンデです。どこをどう登ったのか完璧に忘れていますが、駅のホームが秋っぽかったのをなぜか覚えています。すでに38年ぐらいが過ぎようとしております。
昔やれた人もやっぱり基本に戻って一から始める必要がありますね。今の私がまさにそれです。そのためにコーチと選手が自分の中で同居している感じがしています。
コメントありがとうございました。
コメントを編集
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する