奥大日岳、大日岳(称名滝→室堂) 【富山県、立山連峰】、立山、劔の前衛にはあらず
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- GPS
- 13:05
- 距離
- 19.6km
- 登り
- 2,393m
- 下り
- 928m
コースタイム
○9月22日(土)
称名駐車場 8:00 - 登山口 8:13 - 牛ノ首 9:08/15 – 大日平山荘 9:59/10:23 – 沢筋で道間違い - 水場 11:30/昼/11:52 – 大日小屋 13:07/宿泊手続/14:24 – 大日岳 14:38/15:05 – 大日小屋 15:15/22 – 中大日岳 15:38 – 七福園 15:45 – 大日小屋 16:00
(泊)大日小屋
○9月23日(日)
大日小屋 5:42 - 中大日岳 5:51 - 七福園 5:57 – はしご 6:37 – 奥大日岳 7:03/33 – 奥大日最高点 7:42/46 – 登山道分岐 7:52 – 室堂乗越 8:44/8:51 – 新室堂乗越 9:04/09 – 雷鳥沢分岐 9:24 – 雷鳥沢キャンプ場 9:27 – 地獄谷 9:48 – みくりが池との分岐 9:56 – 室堂小屋前分岐 10:14 – 玉殿 10:26/30 – みくりが池 – 室堂 11:00/11:20 =<バス>= 美女平 12:05/20 =<ケーブルカー>= 立山駅 12:27/昼/13:00 =<バス>= 称名駐車場 13:20
●歩行時間
○9月22日 … 8:00
○9月23日 … 5:18
天候 | 晴れ/晴れ(ガスあり) |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2007年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
(実家) = (称名滝入口) – 奥大日岳 – (室堂) =<バス、ケーブル、バス>= (称名滝入口)= (実家) ●自動車でのアクセス ○称名滝入口) ・富山からあるいは立山インターから立山を目指し、富山県県道6号を山へ山へと進む。富山地方鉄道立山駅を右対岸に見送り、さらに走ると分岐点となる「桂台」。県道6号は右に別れ、直進方向は県道170号線。これを進むと、すぐにゲートがあり、ゲートから3kmくらいで終点。そこから称名滝へは徒歩約20分。登山口も滝の手前にある。 ○室堂) ・マイカーでは到達不可能。一般車通行止めの立山有料道路の先。富山駅からバス、あるいは「富山駅〜立山駅〜美女平〜室堂」とアルペンルートを乗り継ぎ行く。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
●コース状況 ・コース自体に不明瞭な箇所はない ・大日平から先、大日岳への登りで道を誤ったが、単にぼーっとしていただけのことであり、間違いやすいわけではない。沢筋を渡るときなど、目印をしっかり見ていれば間違うようなものではない ・奥大日岳最高点への道は、奥大日岳山頂側からの尾根筋をたどると、途中に無記名の踏み跡が別れているのが分かる。室堂側から岩場を登る旧ルートがあるとのことだが、見つけることはできなかった ・奥大日岳最高点には、標柱等はなかった ●山小屋 ・大日平山荘と大日小屋があり、いずれも40〜50人規模の小屋 ・食べ物のことは今ひとつ思い出せない ●買う、食べる ・特に付近に店舗はない |
写真
感想
●プロローグ
大日岳は、南北方向に連なる北アルプスから西へ向けて派生した尾根上にある一峰である。しかしただの尾根ではなく、単なる前衛峰でもない、独特の存在感を持っている。麓の富山から見ると、立山の前に立ちはだかる巨大な山塊であり、むしろ立山よりもいばっている。冬には北からの寒気に直接曝されるため、尾根には猛烈な雪庇が発達する。そうした外観的な特徴もさることながら、奥大日岳の山頂が劔岳の真正面に位置することから、絶好の“劔展望台”となっていることも意味ある特徴である。
奥大日岳に登るにあたり、どうせならば、自動車が走る下界から室堂までの間を完歩するような行き方をしたいと思った。当然、室堂から先は各方面に行ったことがある。しかし、そこまでの移動は高原バスやケーブルカーと相場が決まっている。だが、室堂は自家用車がたどり着ける場所ではない。さらに言うならば、約50年前までは、下界から室堂へは歩いて到達していたのである。だから、登山道もある。一度は麓から室堂まで歩き通したいものだと思っていたので、今回それを実現することとし、称名滝から室堂に向けてのルートを進むことにした。
●称名滝〜大日小屋
称名滝駐車場から称名滝への遊歩道を歩く。早朝なので、観光客とは出会わない。滝の手前にある登山口から登山道へ。急斜面をジグザグに登るが、それでも急。滝壺からの断崖の登り。
牛の首でようやく急勾配も小休止。対岸に鍬崎山が堂々と聳えている。前方には大日岳が初めて姿を現す。大日平の草原を気分良く逍遙。やがて、大日平山荘。山荘奥からは称名川を超えて立山の展望が楽しめるはずだが、そちら方面はガスの中。
小休止の後、いよいよ大日への登り。木道を進むうちに、急斜面に取り付き。流れを横切る地点で、誤って流れに入り込む。しばらく行って、歩けるところがないので気が付く。戻ろうとして、滑る。カメラが岩の隙間に落ちてしまった。持っていたロープで工夫して辛うじて引き上げる。壊れてはいないようだが、ちょっと不安。
急坂を登り続け、2度目の水場で昼休憩。結構疲れた。昨年はこれ以上の登りだったはずだが、一年間ろくに運動していないと体力も落ちてしまうと言うことか。
やがて、ガスがかかったり退いたりし始め、登り尽くした登山道が右手に回り込みながら、鞍部の大日小屋に到着。
●大日小屋〜大日岳
手続きを済ませ、服も乾燥させ、大日岳へ。
大日岳までの登り尾根は、明瞭に見通すことができるきれいな尾根。一休みによる快復と荷物のないことで、この尾根を軽快に駆け上がる。
やがて、大日岳。最高標高点は三角点や山頂標式のある地点よりも手前のハイマツの中か。見渡せば立山や劔が一望のはずだが、残念ながら、ガスが出ている。大日岳自体はガスの外なのだが。劔は、一瞬姿を見せるも、すぐさまガスの中に隠れてしまう。
ふと見ると、北斜面に数名の若者。みんなでお参りしている。どうやら友人の遭難のようである。彼らの年齢から想像すると、若い命が奪われたのか。
そののち七福園まで足をのばし、劔が顔を出してくれることを期待したが、うっすらと見えるだけであった。
その夜、先ほどの若者たちが小屋の外で遅くまで飲んでいるのが分かった。
●大日小屋〜奥大日岳最高点
大日小屋からまだ明るくなる前に出発。
中大日までのハイマツ帯の登りを過ぎると、見通しのよい岩場の道となる。
七福園まではきのうも歩いた道。奥大日にはガスがかかっていないので、その姿を見ながら進む。
最後の鞍部を超え、本体に取り付き、通路状の地帯を抜けると奥大日岳山頂。残念ながらガスが視界を奪う。谷を挿んだ向かい側に劔岳が対峙しているはずだが、見えない。山頂部もガスの中に。眼鏡が一気に曇る。
一休みの後、最高点を目指す。最高点は、かつてのルートでは経由していたようだが、今は道があることも紹介されていない。とはいえ、登山道からの分岐には明確な踏み跡。
踏み跡を行くと、ほどなく最高点と思われる地点に。標識も何もないので、確認するすべもない。
●奥大日岳最高点〜室堂
まるで放置された最高点から登山道に戻る。登山道は、そこからは南面を徐々に下っていく。岩くずの崩れやすい斜面を降りて、2501mピークを過ぎる。このあともいくつかのピークを過ぎながら、次第次第に高度を下げていく。
途中、劔と立山がずっと見えているが、ガスに巻き付かれた神秘的な姿から、徐々にそのベールを脱ぎつつある。
やがて、室堂乗越。かつての峠のはずだが、室堂に向けての旧道はあるようだが、地図にはないこともあるので選ばない。
最後の小ピークを超えて、新室堂乗越。
ここでちょっと思案。劔御前に行けば「点の記」ロケ。その様子を見てみたい。しかし、俗を離れて山に来たにも拘わらず、俗な思いで野次馬もないものだと思い直し、予定通り称名川に向けて下る。雷鳥沢とは異なる緩斜面。見通しはよい。室堂に至る立山の懐を、まるで見渡せる。やがて雷鳥沢からの道と合流し沢を渡り幕営地。色とりどりのテントが並ぶ広々とした一帯を脇目に地獄谷へ。記憶では地獄谷はすぐそこ、のつもりだったが、曖昧なもので、結構登る。よく整備された遊歩道を進むと、異様な光景の地獄谷。硫黄臭が漂い、温泉が辺りを流れる。この地の象徴でもある鍛冶屋地獄に着くが、やせ細ってしまっている。かつての姿は殆ど残っていない。約30年前に見た迫力は失われていた。
地獄谷から、みくりが池に向けて階段歩道を一気に登る。飽きるほどに登ってみくりが池温泉。今回は室生道直行ではなく、血の池を巡り、室堂山荘を目指す。行ってみたことのない玉殿に立ち寄るつもり。室堂山荘の歴史ある小屋を見た後、玉殿へ。万年雪の手前で、立山への登山道から左手に逸れ、谷に分け入ると、節理が発達した洞窟。ここが玉殿。不思議な光景。
室堂への帰路、みくりが池でお定まりの“逆さ立山”を見て、高原バスに。バスの中から奥大日岳を顧みる。室堂から見ると、浄土、立山、劔、大日、それぞれが“一家の主”であり、個性的。その中にあって、冬の険しさを感じさせずに穏やかな山容を見せる奥大日岳は、そこからの劔岳の眺望だけではなく、自らが十分に存在感のある山だった。
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