北岳 〜ここにしか咲かない花を探す弾丸登山〜
- GPS
- 09:45
- 距離
- 12.0km
- 登り
- 1,868m
- 下り
- 1,860m
コースタイム
- 山行
- 8:39
- 休憩
- 1:06
- 合計
- 9:45
天候 | 午前中快晴 稜線では午後から曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2017年07月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
芦安〜広河原までは乗合タクシー利用 料金1200円(協力金含む) |
コース状況/ 危険箇所等 |
≪登山道の状況≫ 全体的によく整備されていています。 ・広河原〜大樺沢二俣:大樺沢に沿って登っていきます。勾配も緩めなので出発からの足慣らしにちょうどいい。 ・大樺沢左俣〜八本歯のコル:梯子が連続する下部までは雪渓上を歩く。夏道もかなり出てきていたが、アイゼンの脱着が面倒だったので最後まで雪渓歩きで登る。アイゼン無しでも歩けそうだが、滑ってパワーロスになりそう。どんどん溶けてきているので端の方に寄りすぎると踏み抜きが怖い。踏み抜いて渓流に落下すると危険。バットレスからの落石もあるので上方にも注意のこと。梯子の連続区間はストックはしまって歩くと良い。 ・八本歯のコル〜トラバース道〜北岳山頂:岩稜歩きになる。トラバース道は間ノ岳側が切れ落ちた斜面なので慎重に通過のこと。 ・北岳山頂〜小太郎尾根分岐:気持ちの良い稜線歩きの道。岩稜歩きが続くので足運びは慎重に。 ・小太郎尾根分岐〜大樺沢二俣:ダケカンバの樹林帯の中を行く道。草すべりほどではないが大段差やハシゴもあるので一歩一歩確実に進みましょう。 |
その他周辺情報 | ・芦安市営駐車場から程近くに金山沢温泉の日帰り入浴施設があるが、18時で閉店なので、最終バスに乗って戻るとゆっくり入浴することは不可能。 |
写真
感想
ここにしか咲かない花。
世界でも南アルプスの北岳にしか咲かないキタダケソウはまさにそんな花です。
高山植物ファンになってからいつかは会いたいと思っていた花でした。
開花時期は6月〜7月上旬
広河原までのシャトルバスが運行開始される頃には終盤を迎えることが多く、みずみずしいキタダケソウを見るのはなかなかにハードルが高いのでした。
今年は7月上旬に北岳登山を予定していたものの、諸般の都合で断念…。
今年はあきらめだなと思っていた7月下旬、諸兄のレコを拝見していると、まだ咲いている!! これは行かねば…。
しかし1日しか山に行く時間は無い…。
始発バスが広河原に着くのが6時半。最終バスは16時40分。
タイムリミットは10時間。
この時間で北岳山頂をピストンしてこれるのか考えると、今の自分なら可能!となり、北岳にここにしか咲かない花を探しに行ってきました。
弾丸登山は危険というお叱りは免れませんが…
芦安駐車場で前夜泊。睡眠時間は4時間半。
それでも前回、前々回は1時間ほどウトウトしただけで登ったので、よく眠れた方でした。
今回は一応日帰りの予定ですが、最終バスに間に合わなければ広河原山荘で泊めてもらうことも考慮して最小限の宿泊装備もパッキング。
先回の燕岳山行で汗かきの自分は水が2ℓでは足りないことも判明したので、今日は4ℓを背負ってのスタート。
ザックが重いけれど、体重もピーク時より13垳困蕕靴燭里任覆鵑箸なるさ。
山登りはエンジンがかかってくるまでの初め30分がきついですが、それを乗り切れば楽になってくるので人間の身体とは不思議なものです。
途中で私を追い抜いて行かれたペースの早い方について行こうとしばらく頑張るも、
大樺沢手前で見失ってしまいました。
白根三山を日帰り縦走される方だったようですね…。
タイムリミットがあるので、今日は稜線に出るまでは花が咲いていてもコンデジで簡単に撮影して通過し、ペースを意識して登りました。
でも美しい藍色の北岳の名花、ミヤマハナシノブを見つけてしまうと写真に納めずにはいられません。
しばし腰を下ろして撮影してタイムロス。
大樺沢二俣には2時間弱かかりました。
キタダケソウの咲く地点まで最短距離で行きたかったので、今日は左俣コースで。
昨冬の大雪で未だに雪渓に覆われてるので、アイゼン・ヘルメット装備で慎重に登りました。
アイゼンを付けていても、ずるずる滑る箇所も多く体力を持っていかれます。
バットレスからの落石もあり得るので、下ばかり向いて歩くわけにもいかない。
10歩歩いて小休止して、を繰り返して1時間ほどで雪渓を登り切りました。
そのあとは険しいハシゴを上り詰めて、八本歯のコルには10:40頃到着。
帰りの時間を考えると北岳山頂を13時までに通過することを目標にしていたので、山頂まであと2時間20分。
でもキタダケソウ探しが主目的なので間に合うかな…。
すれ違う登山者に「キタダケソウはまだ咲いていますか?」と尋ねると、いっぱい咲いているよとか、わかりせんでしたとのお返事。
この時期に稜線に咲き乱れるハクサンイチゲをキタダケソウはよく似ているからなあ…。
まだ残っているか不安ですが、目を皿のようにして進みます。
トラバース道に入って、大き目の白い花があるとじっと観察しますが、どれもハクサンイチゲ。
5日前には咲いていたみたいなんだけど、もう散ってしまったのか…。
それでも根気よく探していると、ハクサンイチゲとは少し違う葉の花を発見!
雌しべが種子になりつつある終盤の姿でしたが、キタダケソウに会えました。
少し進むとまだちらほらと咲き残っています。
7月下旬になっても咲いていてくれたなんて…。神様ありがとうございます。
うれしくて思わず涙が出てきました。
後で振り返ってみると、トラバース道でも最後まで雪渓が残っていた箇所のようで、今年はまだ見ることができたようです。
雪が消えた斜面はシナノキンバイの大群落になっていました。
キタダケソウの他にも稜線は花盛りで、ハクサンイチゲ、シナノキンバイ、ミヤマオダマキ、チョウノスケソウが大群落を作っています。
ワスレナグサの高山型のミヤマムラサキも初めて見ることができました。
チングルマではなくチョウノスケソウが大群落を形成しているのも新鮮な発見です。
キタダケソウ撮影に時間がかかり、北岳山荘からの道と合流したのが12時。
山頂タイムリミットまであと1時間。
花が咲いていても、じっくり撮影することはせず、どんどん進む。
でも流石は日本第二の高峰。高山病にならないようゆっくりとしたペースで、深く呼吸することも意識して登りました。
タイムリミットの5分前に北岳山頂に無事到着。
スタート時点では青空のもとにあった山頂も、雲がどんどん湧いてきて展望は無し。
北岳にはこれで3回きましたが、ここから富士山を未だに見れていないのです。
白峰三山縦走をするときに山頂からの絶景は取っておくか…。
最終バスまであと3時間半。
広河原目指して登山道を駆け下りました。
とはいえ、今日の足元は重戦車のようなスカルパのトリオレプロGTX。
岩稜歩きでの安定感は抜群だけど、軽快に走ることなんてできっこない。
足をちゃんと上げて次の一歩を踏み出さないと、岩に引っかかって転ぶもとなので、一歩一歩意識して進みました。
足をハの字に、しかもクロスさせながら足運びをするとひざの負担が少なくなると聞いたのでやってみると、確かにひざは楽。
でもリズムよくやらないと足がもつれます。疲労がたまってくると特にね…。
まだまだ山歩きの研鑽が必要です。
山頂から草すべり分岐まで1時間、大樺沢二俣までさらに1時間。
残り1時間40分で、道標の案内によると広河原まで2時間。
何とか帰れそうだ…。
最後の区間で捻挫などでタイムアップになると苦労が水の泡なので、「慌てず、急いで、正確に」と意識して下りました。
すれ違う人も数人。追い越しも追い越されもしない…。
大自然の中に自分ひとり。
岳人のテーマパークの北岳でこんな空気感を味わえるなんて…。
最終バスが出る30分前に無事広河原インフォメーションセンターに戻れました。
つり橋を渡って振り返ると、暮れる北岳。
またおいで、と北岳が言ってくれているようでした。
今回の山行ではキタダケソウに会えてのが何よりの収穫。
初めて見るミヤマムラサキ、大好きなミヤマハナシノブ、新鮮な発見のチョウノスケソウの大群落にも会えました。
頑張れば日帰りでも楽しめることがわかりましたが、味わい深い北岳を1日で終わらせるのは本当にもったいないと思いますね。
よく観察するともっと多くの花に会えるだろうに…。
山頂からの絶景、ライチョウとの出会い、幻の花タカネマンテマとの出会いも未だ果たせず。
次に訪れる時は、白峰三山縦走もかねてじっくり楽しみたいです。
南アルプス盟主北岳。またいつかあなたの元へ。
長文・駄文にお付き合いありがとうございました。
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