雨また雨 南アルプス南部周回 荒川三山(悪沢岳)→赤石岳→聖岳 思わぬ事態・・・滑落に遭遇、救助(に助力)!!
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- GPS
- 75:12
- 距離
- 41.7km
- 登り
- 4,377m
- 下り
- 4,352m
コースタイム
- 山行
- 6:16
- 休憩
- 0:02
- 合計
- 6:18
- 山行
- 8:49
- 休憩
- 1:19
- 合計
- 10:08
- 山行
- 8:02
- 休憩
- 0:46
- 合計
- 8:48
コースは手書き、一部ルートが異なっています。
今なお地殻変動?お盛んな南アルプス南部、土砂崩れ等で登山道崩落とおぼしき箇所が複数あり、まだまだ足場が緩い迂回路が登山道になっていました。
北アルプスの岩場等のような極端に危険な箇所はないものの、滑落注意と思われる場所は無数にあり。
ベテラン視点では確かに「特に危険な箇所は無いと」いう表現が適切。
ですが・・・
初級者視点で見れば「危険な場所だらけでどこを挙げろといわれても絞ることができない」というのが実情。
現に今回、滑落者に遭遇(>_<)救助という展開になりました。
※但し今回の滑落者はベテランの方で、一瞬の油断・判断ミスが原因と思われます
天候 | 1日目 曇時々晴 2日目 雨 3日目 雨 4日目 雨(下山すると下界は、曇時々晴) |
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過去天気図(気象庁) | 2017年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
お盆休みの時期にもかかわらず、天候が悪いせいか駐車場は半分も埋まらず余裕そのもの。 往路は、椹島まで特殊東海フォレスト送迎バス利用 ※最初に3000円の支払、系列の山小屋への宿泊すると3000円引きになり領収書がもらえる、その領収書がないと帰りのバスに乗車できない→系列の山小屋利用者のみの送迎 ※始発は7時30ですが臨時便で早めに出発することが多く、8月14日(月)は7時ちょっと過ぎに始発が出発 ※「椹島→畑薙第一ダム臨時駐車場」の午後便は1日2本で13時と14時(終バス)のみ 復路は、聖沢登山口から井川観光協会の送迎バス利用 ※系列の山小屋利用者のみ乗車可能 ※事前予約必要、夏期は宿泊時に山小屋スタッフに利用を伝えればOK ※「聖沢登山口→畑薙第一ダム臨時駐車場」までの便は1日2本で10時と13時のみ 【・・・2017年8月17日時点の状況です・・・】 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
タイツ
靴下
グローブ
雨具
日よけ帽子
着替え
靴
ザック
ザックカバー
昼ご飯
行動食
非常食
飲料
地図(地形図)
コンパス
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
常備薬
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
タオル
ストック
熊撃退スプレー
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感想
1日目 (曇時々晴)
前日22時に自宅を出発して畑薙の臨時駐車場に着いたのが4時。運転だけで疲労困憊、睡眠時間も想定外の僅か1時間(+_+)
特殊東海フォレストの椹島行きのバス、始発よりちょっと早めの7時過ぎの臨時便?に乗れたのは幸いなスタートでしたが・・・。
小屋泊ながら、3セット分の着替えと小道具を惜しまず詰め込んで自分史上最大重量となったザック。その重さに堪えてゆっくりと登ることしかできませんでした。
予定では、調子次第で初日に10時間前後歩いて荒川小屋まで、最低でも中岳避難小屋まで行くつもりでしたが・・・睡眠不足による怠さ?とザックの重量に負けて最低限度と考えていた千枚小屋で停滞。
2泊3日に挑戦するはずが初日敗退、ゆとりの3泊4日に変更となりました。金銭的に時間(タイムイズマネー)的にはきつい状況となりました(×_×)
2日目 (6時前から雨→延々と雨)
5時半を回ってから、ゆっくりと出発。天気予報によっては午前中から14時くらいまで雨が降らないとのことで期待していましたが6時前に雨に変わり止むことはありませんでした。
悪沢〜荒川前岳にかけては3千mの天空稜線のはずですが雨具を着込んでのガスガスの稜線で展望ゼロ、黙々と進むのみです。
がこの辺りから大変なことに。雨具を着込んでの長時間歩行、湿気の高さが相まって透湿・排水機能が限界を迎えます。自らの汗でTシャツ、タイツに加えて登山靴まで内側からビショビショになってしまいました。今まで夏の長時間雨天強付加歩行をしたことがなかったため知りませんでしたが、これは当たり前のようです。
『夏雨の中、長時間登山をするとほぼ例外なく透湿・排水限界を超えて登山靴は内側から自分の汗でびしょ濡れになる』
いや〜な勉強その1です。
更に、赤石岳付近では吹き抜ける風にやられて、軽い低体温状態に。途中の休憩時にやはり透湿限界を超えたびしょ濡れの手袋をはずして外に暫く置いたところ、低温となりそれを再装着して手も冷えてしまったのが災いしたようです。近くの赤石岳避難小屋に文字通り緊急避難。体が軽くガタガタと震えてしまいストーブの前で手袋を温めつつ暖かいカップラーメンときつねうどんの2つを頂いてようやく落ち着きました。避難小屋の親父さんによれば冬の凍死より夏山の雨による低体温症による死亡の方が多いとのこと、ヒヤリとさせられました。
『高山では、夏雨・汗でびしょ濡れになった装着具は外さないのが吉、外す場合は消して冷えないようにする配慮が不可欠』
いや〜な勉強その2でした。
赤石岳を下山したあとの百間平の草原はこの日1番の景色で唯一心癒やされました。百間洞山の家で2日目は終了です。
3日目 (早朝は朝霧だったが6時15分頃から雨、15時頃一時晴れるがつかの間で再び雨)
レインウェアや登山靴が乾かないまま3日目がスタート。
迂回路(巻き道)は使わず稜線ルートで先ずは大沢岳へ、いきなりの急登で最初から疲れました。結構な雨が降る中、ガスガスな稜線のアップダウンが続きます。遠望が無いため前日と同じような感覚でひたすら進みますがこの日は注意して体を冷やしませんでした(^_^)
兎岳避難小屋で昼食に。外から見ると荒廃気味ですが中はきちんとしていて、風雨をしっかりと防いでくれる場所でした。この日の行程ではここ以外に雨を凌げる場所がないため無理して早めの昼食でした。
雨の中、手持ちの地図やGPSマップを見るのは面倒でただ黙々と歩いていたため不意に聖岳山頂へ到着。聖岳は小聖岳経由だと勘違いしていて突然の聖山頂に嬉しくもビックリで小聖岳を見落としたのかと思ってしまいました。兎岳避難小屋で一緒になった方と聖岳山頂で再会してやっと勘違いに気づきました。時間的余裕ができたため、予定通り奥聖岳を往復。雨とガスで相変わらずの遠望ゼロでしたがそのポテンシャルの高さに感服!天気が良ければ気持ちよい絶景が拝めること間違いなし、4日間の山行で最も想像力を掻き立てられた嬉しい山頂でした!
その後も南アルプスらしい当たり前に険しい登山道が続き小聖岳を経由して聖平小屋へ。この日も1番の景色は小屋の手前の草原状の地帯。緑鮮やかな草原と華やぐお花畑に心癒やされました。
4日目 (雨、下山すると曇時々晴)
最終日で下山の日。
聖沢登山口発、13時の井川観光協会バスを利用して駐車場まで戻ることとしたため、時間的余裕があり過ぎて小屋でゆっくりとくつろいでからの出発予定。
当初、8時チェックアウトのつもりでしたが小屋スタッフの清掃活動が激しく次々と登山者も出発。申し訳ない気分となり根負けして?7時40分に小屋を出発しました。4日間ほぼ同じ行程で宿も一緒だった名古屋のHさんが7時に出発しており、もしかしたら途中で追いつけるかもと気持ち飛ばしぎみで下山開始。下山にも関わらずアップダウン気味の南アルプスらしい普通に険しい登山道をズンズンと進んでいきます。途中で山小屋でも見かけた大阪のMさん(青い雨具に青のザックカバーを装着)をやり過ごして9時頃に名古屋のHさんに合流。少し後でこのままではペースが早すぎるということでゆっくりとHさんと一緒に下山する事に。途中で大阪のMさんに抜かされます。このままゆとりの下山をするつもりでしたが途中で予想外のトラブルに遭遇。
下の方で青い者が翻り視界からきえた直後、落石とおぼしき轟音が発生。Hさんが「落石?滑落でないといいけど」と非常に心配。自分が直前に青い者が翻るのを見た話をするととても嫌な予感が・・・、2人で急いで下に降りていくと案の定、人が滑落していました・・・。青い雨具に青いザックカバー、大阪のMさんだったのです。樹林帯の急斜面で滑落して途中の木に引っかかり気絶していました。実は自営で鍼灸接骨院をやっているHさんの適切で迅速なアドバイス、対応で2人ともザックを降ろして直ぐにMさんの引っかかっている斜面の木まで直行。Hさんが大声で話しかけ続けるとMさんの意識が回復。頭を打って出血しているものの骨折や内臓損傷はないようで先ずはザック(推定15kg)を外して動きやすくします、自分がそのザックを上の登山道まで上げようとしますが肩にかける片側がちぎれていて背負うことができません。何とか片手でザックを持って上に行こうと試みますが急斜面のため片手ではズルズルと滑り自分も滑落しそうな状況に。丁度登っている登山者が通りかかり手伝ってもらって何とかザックを登山道に上げることが出来ました。滑落したMさんはHさんの適切な励ましと対応で『ここで頑張らなければ命はないですよ〜、生きるか死ぬかの瀬戸際です、必死に力を振り絞って〜』←※私の勝手な記憶で詳細のかけ声は全く異なっているかもしれません、あくまでも雰囲気で捉えてください
Hさんの必死の補助のもと何とかMさんも力を振り絞って登山道に復帰する事が出来ました、良かった〜!
なおここではネットも電話もつながりません、下山か上の聖平小屋まで戻って山岳救助を要請する必要があります。
その後、頭の出血の止血のアドバイスをして、HさんはMさんに我々がここにとどまれない旨説明、危険なので自力で動かず停滞し救助を待つように説得。自分達は下山して救助を要請することとしました。※途中登りの登山者様で救助を手伝ってくれた方は聖平小屋へ登って救助を要請(のはずです)
聖沢登山口に下山しても相変わらず携帯電話が通じないため、通りかかった車を止めて救助を要請。じばらくすると山岳救助隊・警察官の方々がきて救助へ向かわれました。その後どうなったかは分かりませんがHさんの大活躍のおかげでMさんが無事に救助され快方に向かっていることを期待します。
※私はMさんの救助に関して、ザックを上にあげる補助をした程度でヒーローは間違いなくHさんです、尊敬に値します!!
事故は紙一重で明日は我が身かもしれません。今後同様の状況になった場合は自分も同じ行動をさせていただきます(状況が許す限り)
●今回、(初日以外は)ひたすら雨の南アルプス3泊4日。
非常に勉強となる内容の濃い登山を経験出来ました。案外雨でも3000m峰の登山は可能である反面、間違いなく危険性が高く少しの油断が命に関わる大事故になりかねないということを身をもって体験することが出来ました。
今後も、登山の危険性を忘れず安全登山に留意しつつ覚悟と誇りを持って登山を楽しんでいきたいと思います。ありがとうございました。
コメント
この記録に関連する登山ルート
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レポート読ませて頂きました。救助ご苦労様です。南は電波の入りも悪く、大変だったでしょう。 Mさんがまた山に来れるといいですね
負傷者を救助された方々だったのですね。タイム的には私が1時間ほど後に下りていることになりますが、私が見たとき、負傷された方は血も止まり、意識もはっきりしていました。素晴らしい処置だったと思います。本当にご苦労様でした。
URUTORAMSさん
まずは3泊4日の荒川・赤石・聖の周回お疲れさまでした
本当に大変な天気でしたね
畑薙臨時駐車場から臨時便に乗った時から聖平小屋まで同じ道を前後して通ったものです
まさかヤマレコユーザーさんだったとは!
何回か顔は合わせていたのにこんなことならもっとお話ししとけばよかったです
2日目の稜線上の風雨による冷えは私も一緒で赤石岳に着いた頃には本当に辛かったですが、私の場合は着替えず飛ばし気味で歩行することによって体を温めるよう徹しました(赤石避難小屋からの百諒燭悗硫爾蠅任猟匹け曚靴虜櫃篭辰せてしまいすみませんでした)
名古屋のHさんとは旅は道連れで中岳避難小屋から聖平小屋までご一緒することとなり、下山後の白樺荘
私も3日目の行程で赤チン的なケガをしているので人様の事をどうこう言う立場ではありませんが、どこで何が起こるかわからないので、起こったことに対する判断・対応力などは今後も経験から培っていなければいけませんね
あんな天候でアルプスの素晴らしい景色を見ることは叶いませんでしたが貴重な経験になったことは間違いないです
でも次のアルプスはやっぱり天候の良い日に歩きたいですね
本当にお疲れ様でした
また長々と失礼しました
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