槍ヶ岳(湯俣から北鎌)
- GPS
- 41:54
- 距離
- 62.6km
- 登り
- 6,495m
- 下り
- 6,430m
コースタイム
6:00 七倉駐車場(タクシー)
6:30 高瀬ダム
8:00 名無避難小屋
9:00 晴嵐荘前分岐
10:00 中東沢
12:00 千天出合
13:20 P2取り付き
15:00 P2
15:20 P3
16:20 P4手前のピーク(ビバーク)
[9月9日金曜日]雨
5:30 ビバーク地
6:10 P4
7:40 P5.P6のコル(P5はトラバース)
7:50 P6
8:00 P7
8:10 北鎌のコル
9:30 天狗の腰掛け
10:40 独標
13:20 北鎌平
14:30 槍ヶ岳山頂
14:45 槍ヶ岳山荘(泊)
[9月10日土曜日]晴れ
5:00 槍ヶ岳山荘
8:00 双六小屋
10:10 三俣山荘
13:00 水晶小屋
14:40 ビバーク地点
[9月11日日曜日]晴れ
5:15 ビバーク地点
6:20 南真砂岳
7:30 湯俣岳
9:00 晴嵐荘
10:00 名無避難小屋
11:15 高瀬ダム
11:30 七倉駐車場
天候 | [8日] 晴れ [9日] 雨 [10日] 晴れ [11日] 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2011年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
タクシー 自家用車
|
予約できる山小屋 |
七倉山荘
|
写真
感想
北鎌に興味を持つようになってから、湯俣からの北鎌はどこかで意識をしていたが、
今回、少し仕事が一息ついたので、思い切って出掛けることにした。
高瀬ダムからの長いアプローチを経て、湯俣温泉に着くと晴嵐荘と言う温泉宿がある。
そこから沢伝いに歩き、千丈沢と天上沢の分岐を過ぎた辺りから稜線に取付くのが今回のルートである。
湯俣から水俣川に架かる古い吊橋を渡ると、これまた古い北鎌尾根の標識が行き先を示してくれる。
最初は左岸の高巻き道をしばらく歩くのだが、程なく河原に降り着く。
あとは、適当に徒渉を繰り返しながら遡行して行くのだ。
今回の水量がどうかというのは、普段の水量を知らないため分からないが、丁度股位の水量であった。
当然パンツはずぶ濡れである。温度も冷たいことは冷たいのだが、我慢できないほどでは無く、わりと順調に遡行を進められることはできた。
今回、遡行用の履物にかなり悩んだが、たまたまガスカートリッジを買いに行ったスポーツ店で見つけたチルシューズ(ccilu)というのを使ってみたのだが、これが軽くてソールも割と滑り難く、インナーも付いているので水の冷たさも緩和され結果的にたいへんGOODだった。(ちょっと高かったけどね)
これに気をよくしてバシャバシャと徒渉しているときに今回の悲劇が・・・。
急流に足元をすくわれ、一瞬流されたときに腰にぶら下げていたカメラもろとも水中に浸かってしまったのだ。今回、ここへは2度と来ることが無いかもしれないので無理して一眼のデジカメを持ってきてしまったのだ。(ま、たいしたカメラじゃないんだけど)以後、もちろんのことカメラは機能せず、その瞬間に重くて邪魔な物体と化してしまった。
しばしの放心状態が経過した後、気持ちを入替えて歩きだす、4日間の日程のまだ半日しかたってないのに・・涙。
そうとなれば写真をとる必要が無いのだからがんがんいくぜ!
水俣川の徒渉は右へ左へと数え切れないほどした。その間、残置ロープを使ったへつりと、大きな高巻きを一回しただけで何とか順調にP2取り付きまでたどり着くことが出来た。
P2の取り付きはすぐに分かった。ここで3リッターの水を補給し、いよいよ北鎌である。
P2の登りはいきなりの急登から始まる。登れば登るほど斜度は増し、最終的にはやばいくらいの斜度にまでなり、いきなりこんなんか、と先が心配になったが、その後P4までは割と順調に足を運ぶことが出来た。
この尾根は、結局は重量との戦いだと思う。荷物が10kgのときと20kgのときとでは同じ場所の登攀でも難易度が全く違ってしまう。とは思っていても僕の山行はいつも軽量化とは無縁のものとなってしまうのだ。
今回も、稜線上のビバークを少しでも快適にしようと、ザックの重量は20kgオーバーである。今回も水抜きで19kgとなってしまった。
今回はさすがにビールは止めにしたが、、焼酎の900mlパックがザックの中に大きく幅をきかせていた。初日の晩はP4の手前のピークでビバークとなった。翌朝、900mlは残り500mlほどになっていた。
夜中、聞き覚えのある嫌な音で目が覚めた。なんと今回は全く予想していなかった雨が降っているのである。
空耳であってほしいと願ったが、どう聞いても雨の音以外ありえない。これで、今日これからの穂先までのルートが一層困難な物となってしまったのだ。
その中にはまだ未知数のP5の通過が含まれている。事前の調べによると、このP5の通過こそが核心のようではないか。
出来れば直登したいと思っていたのだが、そんなことはいっておられず、とにかく危険性の少ないルートで行こうと思った。
1日停滞も考えたが、水もそんなに余裕があるわけではないので強引に行こうと決めた。そう決めた瞬間残っていた500mlの焼酎は北鎌の砂に吸い込まれていった。
その後P5は予定通り天上沢側にトラバースした。このトラバースもかなりきわどい、ただでさえ崩れそうなザレが、雨で一層崩れやすくなっていた。結局このP5の通過だけで1時間30分ほど費やしてしまった。
それに続くP6のザレ場の通過も足元の切れ立った縁の通過となっており、すごく嫌な場所だった。
やっとの想いで北鎌のコルまでたどり着く。誰かいないかと少し期待はしたのだが、無念にもコルには人影は無かった。
ここで軽く食事を取る。未知の区間を過ぎたためか少し安堵感は出てきたが、まだ後半戦が残っている。これからは体力との戦いだ。岩場も増してきて滑りやすくなるので少しも気を抜くことは出来ない。
この後、前の見えない風雨の中直前になって見えてくる一つ一つの岩峰を丁寧にこなしながら何時間歩いたのであろうようやく北鎌平にたどり着いた。
もうこのときから今夜は絶対小屋泊にしようと決めていた。最後のチムニーを攀じ登り、ひと登りで祠が現れた。山頂には誰もいなかった。
こんな安堵感はこの先もなかなか味わうことが出来ないであろう。
3日目、4日目は前半戦の余韻に浸りながら裏銀座をのんびり歩くというのが理想だったが、まさしくそんな後半戦を歩くことができた。
さすがに距離的にのんびりというまではいかなかったが、快晴の天気の中、常に槍の稜線を視界の中に置きながらの素晴らしい稜線散歩は昨日までの壮絶な前半戦を癒すのに理想的なコースであった。
悔むべくは、最後に晴嵐荘上の展望台から見た北鎌を写真に収められなかったことだけである。
コメント
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初めまして、なんと言いますか・・
ルートもさることながら、カメラ水没とはワイルドですね。
面白そうなルートですが、私にはきっと無理でしょう。
焼酎諦めるあたり、なんか泣けて来ますね
同情していただきましてありがとうございます。
そうなんですよ、とほほって感じてす。(ちょっと古いけど)
今回は水難の相って感じでしたが
後半は晴れて素晴らしい景色を堪能できました
taka4さん、こんにちは。
クラシックルート制覇おめでとうございます!
今年はいつ頃行かれるのかなっと思っておりましたが、さすがはいつも精力的なtaka4さん、
P2からの北鎌、お疲れ様でした。
天気は核心の日だけ残念です。確かに9日の天気予報はコロコロ変わっていました。
でもそれ以上にカメラが・・ 。
核心部での雨の状況、重荷でも桁違いに行動されるtaka4さんが、約500グラムまでの軽量を図ってまでですから相当ですね。
今回も臨場感溢れるレポート、楽しませていただきました。特に槍へ無事に抜けたシーン、良いです。
またカメラのリベンジに再訪を検討しなければいけませんね
後半の満ち足りた裏銀座からの展望、湯俣の展望台からの写真、一ファンとしても見れなかったのが悔しいですよ
countryboyさん
いつも身に余るコメントを頂戴しまして恐縮です
なんと!本日カメラが復活しておりました
ご心配をお掛けしまして重ねがさね恐縮しております。
ところで、countryboyさんは今年は北鎌行かないんですか?
僕もまだ昨年のリベンジも無くなったわけではないですよ、でも、できれば晴れた日に
いいですね。北鎌に入るのはここが一番ですね。
カメラは残念ですね。私は沢でも大丈夫ですから雪でも大丈夫です。
見たかったです。千天からのルートも入る人が少なくなって荒れてきているのではないかと心配です。水量も心配ですしね。今年は沢も行かなかったし、かかとの骨折で、剣も行けませんでした。また来年です
よくよく読んだら、荷物が重いですね。極力減らして軽くしていくのが、常ですから驚きです。
天気も今年は台風で被害が多くて山の沢も変わってしまうかな・・・
当分は岩を楽しんでいます。
taka4さん、こんばんは。
カメラ復活、良かったです。
良いカメラですから
湯俣の展望台、ボクだったら北鎌より、眼下に見える温泉入浴の女性にカメラを向けてしまうかも知れません
私事で申し訳ありませんが、今年は腰を痛め7月後半くらいまで山に行けませんでした。
先日も燕岳へ行きましたが、日帰り装備にも関わらずヘロヘロ。しかも山頂まで行けてませんっす
そんな状況ですので、今年の北鎌はちょっと無理です。
でも今月24〜25日で、上高地から槍ヶ岳には行く予定です 。
riekoさんこんばんは
ケガの回復も順調なようで何よりです。
このところriekoさんたちの山行記がすっかり見られなくなって残念です。
今回、久しぶりの山行で条件も悪かったですが、やはり根本的にこういったルートは好きなんだなと感じました。
riekoさんたちの山への復活待ってますよ〜
countryboyさんこんばんは。
>今年は腰を痛め7月後半くらいまで山に行けませんでした。
えー大丈夫なんですか?
それなら後半戦は湯治山行で温泉巡りなどに切り替えては。
もちろんレンズは望遠ですぜ
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