JWV 黒部峡谷・下の廊下を下る
- GPS
- 46:10
- 距離
- 29.3km
- 登り
- 1,398m
- 下り
- 2,292m
コースタイム
19日 ロッジくろよん5:30‐6:10黒部ダム6:20‐6:40黒部ダム下
(朝食)7:00‐7:55内蔵助谷出合8:00‐10:30別出谷出合‐
12:10十字峡12:45‐13:25半月峡13:30‐14:25東谷吊橋‐
14:50関電人見平宿舎15:00‐16:05阿曽原温泉小屋(泊)
20日 阿曽原温泉小屋6:30‐8:30栃尾谷8:40‐9:50大太鼓‐12:
40欅平13:10=14:30宇奈月温泉(解散)
天候 | 18日 雨のち曇り 19日 晴 20日 晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2005年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
扇沢=バス=黒四ダム 20日 宇奈月温泉発14:59=魚津15:40=新魚津16:10(はくたか17号) =18:00越後湯沢18:08=大宮着19:02 |
コース状況/ 危険箇所等 |
余程でない限り事故は起きませんが、 落石、滑落、雨の日、擦れ違いには注意をしてください。 トンネル内は灯具が必要です。何時でも出せる様にして置いて下さい。 緊張の連続ですので、無駄なことは慎むことです。 体力、気力の勝負です。 ヘルメットは出来るだけ着用して下さい。 このコースを利用するときは、事前に富山県警山岳警備隊 TEL0764-65-5778に問い合わせるのが無難です。 下の廊下の通過可能の時期は、例年9月〜10月中旬頃です。 距離が長いので健脚向きです。 |
写真
感想
10月18日から20日に掛けて黒部ダムから欅平まで歩いてきました。
メンバーはJWVの精鋭6名に限定。これ以上の人数になると問題があるので人数の増加は認めなかったとのこと。
19日、黒部湖の湖畔にあるロッジくろよんを5時30分スタート。ヘッドライトを点け
ダムの堰堤,トンネルを抜け黒部川までの急坂を下る。ここからいよいよ下の廊下の始まりである。安全の為ヘルメットを着用する。
夜も明け朝日が今、真っ盛りの紅葉を照らし,前方には黒部別山の黒部三大魔神、大タテガビンの南東壁が立ちはだかっている。後ろを振り返るとダムの大きさが改めてわかる。軽い朝食を摂り気合を入れて歩き出す。内蔵助谷出合までは川底近くの道を行く。これより先はアップダウンが連続し山側からの危険個所もある。雪のブロックが川底や谷沿いに見え道も岩壁にへつるようになる。道幅は60cm位で山側には針金番線が取り付けられこれが唯一の頼りである。岩壁をくり抜いて造った水平歩道を白龍峡へと進む。途中には丸太2本の橋や梯子が設置してあるが谷底を覗いてみると恐怖がつのる。危険個所が3ヶ所あり緊張の連続である。途中で阿曽原温泉小屋から登ってきた登山者と擦れ違うが一苦労である。叉一番のトロリーバスで来た人たちにも追い越されるがこれも大変である。一歩間違えれば岩魚の餌か、富山湾まで流されてしまう。年に数件あるそうだ。ヘリも入れない所です。やっと十字峡の広場に12時10分に到着する。左側から劔沢が入り右側からは棒小屋沢が流れ込んでいる。ここで昼食。荷物を置き川底までロープを伝い降りて十字峡に近ずく。ほっと一息つくがまだまだ先が長いので,12時45分に出発。劔沢方面からの吊橋を渡り川底から離れるように行くと,半月峡やS字峡を過ぎやっと水平歩道の恐怖から解放される。今度は一気に東谷吊橋までの急坂を降る。これまたスリル満点の吊橋を揺られながら対岸へ渡る。仙人ダムまでは車道をのんびりと20分ほど歩く。欅平から仙人ダムまではトンネルが掘られ車道があるようだ。但しダムの為の車道で登山者は利用出来ない。仙人ダムを渡り左岸に再び戻り,高熱隧道と呼ばれるトンネルを抜け関電人見平宿舎前に14時50分に着く。ここからは劔岳ガンドウ尾根を水源とする無名の谷3枚滝の眺めは絶品である。いよいよ本日最後の上りの急坂を登り登山道に出るが、下の廊下は登り下りをしないと先に行けないのである。1時間程歩くと仙人池からの登山道と合流し,今度は一気に阿曽原温泉小屋まで30分程下る。へとへとだが温泉とビールが待っているので頑張る。小屋着16時05分, 本日の行程10時間30分は終了。缶ビールを飲み15分下り本日の汗を流す。風呂は露天,源泉かけ流し20人はゆったりと入れるぐらいの大きさである。脱衣所は無い。入浴は男女1時間交代である。さっぱりしたのに小屋までの登りで叉一汗かく。小屋は平日の為12人部屋を10人でのんびりと寝られるとのこと。幸せ。混んでいなかったので食事は一交代で宿泊者全員が済ませる。混んでいる時は4〜5回に分けて食事をするらしい。経営は元山岳警備隊の人が奥さんとやっており食事はグー,サービスは満点,何よりもトイレは洋式で清潔さが気に入った。やはり人気の有る所は平日に限る。明日のことを話しながら,飲みながら21時就寝。
20日、今日も快晴。このコースは雨が降っていたら岩壁が滝となりとても歩ける状態ではない。早立ちの人達は4時過ぎに出発したが,我々はのんびりと食事を摂り6時30分に欅平へと出発する。阿曽原谷の川を渡り,山腹の崩壊部分を捲くように急坂を高く捲いて登り再び水平道に合流する。登りはこれで無し。単調な道だがやはり右側は絶壁、谷底を覗くと気分が悪くなる。やがて栃尾谷の手前、枝沢の滝の前に8時30分に着く。ここで一休み。いよいよこれから本日のハイライト,大太鼓の通過が待っている。その前に栃尾谷のトンネルに入る。トンネルの中は幅2m位でライトを点け水の流れる中を歩くが、途中からL時型に右に曲がり大変なところである。何故トンネルがあるかと言うと栃尾谷は雪崩が多く道を作ってもすぐに雪崩で崩壊する為、やむなく谷の内部に道を作ったとのことである。やっと無事通過し黒部川を遥か下に見ながら大太鼓の手前に9時30分に着く。眼前には黒部の三大岩壁、奥鐘山の岩壁が威圧的に聳え、遠く欅平の駅が望まれ,アナウンスや,汽笛の音が聞こえるがまだ暫く先だ。針金を掴み足下が切れ落ちた道を慎重に進む。やっと大太鼓を無事に通過する。よくもこんなところに岩壁を掘って道を作ったかとただただ感服する。谷側に深く進んで行くと志合谷で叉トンネルの通過が待っている。長さは150mだが暗さも手伝い長く感じる。トンネルを出て本当に本日最後の坂を登りきると水平歩道に戻る。短いトンネルを2つ通過すると送電線の鉄塔が出てくる。11時ここで最後の休憩を執る。ここからの展望は,白馬三山,不帰ノ瞼,唐松岳,鹿島槍ケ岳,爺ケ岳が望まれる。来年は白馬三山から不帰ノ瞼を歩くのだと思い眼に焼き付ける。鉄塔からは最後の下り,高低差350mのシジミ坂を一気に下りほうほうの体で欅平に12時40分に到着する。本日の行程6時間10分。長時間の水平歩道歩きは感覚を鈍らせ,油断も出来ず神経をだいぶすり減らした。二度と下の廊下は歩きたくないと思うが時間が経つとどうかな・・・
来年の秋は立山から劔岳に登り,劔沢を下り仙人池へ,そしてハシゴ沢を越え内蔵助谷から黒部ダムまで歩く3泊4日の計画を考えている。
大正時代に関西電力の前身,旧日電が欅平から黒部ダムを結ぶ懸崖の道を作り電源開発事業の一環として拓かれた道である。よくこの岩壁を掘り水平歩道を作ったものかと感じ入る。
ヘルメットは疵だらけ,岩角に頭をぶっつけ落石に合い,ヘルメットが無かったらそれこそどうなっているものやら・・・
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