記録ID: 21337
全員に公開
アルパインクライミング
白馬・鹿島槍・五竜
針ノ木岳・西稜、爺ヶ岳
1998年12月29日(火) ~
1999年01月03日(日)
- GPS
- 128:50
- 距離
- 29.7km
- 登り
- 4,008m
- 下り
- 3,654m
コースタイム
12月29日:大町駅(5:00)→七倉(7:10)→舟窪小屋C1(14:30)
12月30日:舟窪小屋C1(7:10)→舟窪山との最低コル(7:55〜8:05)→下降尾根末端(10:20)→西稜尾根末端(13:00〜20)→C2標高1900m(15:00)
12月31日:C2標高1900m(7:30)→標高2100mのポコ(9:20)→第2岩壁基部C3(13:00)→ピーナツ岩頭の捲き(ドーム基部)まで空身でフィックス(16:00)帰還
1月1日:C3(7:40)→ドーム基部(8:30)→P4取り付き(11:30)→C4標高2500m(14:00)
1月2日:C4(7:30)→標高点2544頂上(8:00)→コル1p(8:20〜)→頂上直下岩壁基部2670m(10:15)→針ノ木岳頂上(10:45)→スバリ岳(11:45)→スバリ・赤沢岳コル(12:45〜13:00)→赤沢岳(14:00)→鳴沢岳(14:50)→新越小屋隣C5(15:40)
1月3日:C5(7:50)→岩小屋沢山頂上(8:50)→種池小屋(12:00)→爺ヶ岳頂上(12:50)→扇沢(14:20〜40)→ゲート(15:40)
12月30日:舟窪小屋C1(7:10)→舟窪山との最低コル(7:55〜8:05)→下降尾根末端(10:20)→西稜尾根末端(13:00〜20)→C2標高1900m(15:00)
12月31日:C2標高1900m(7:30)→標高2100mのポコ(9:20)→第2岩壁基部C3(13:00)→ピーナツ岩頭の捲き(ドーム基部)まで空身でフィックス(16:00)帰還
1月1日:C3(7:40)→ドーム基部(8:30)→P4取り付き(11:30)→C4標高2500m(14:00)
1月2日:C4(7:30)→標高点2544頂上(8:00)→コル1p(8:20〜)→頂上直下岩壁基部2670m(10:15)→針ノ木岳頂上(10:45)→スバリ岳(11:45)→スバリ・赤沢岳コル(12:45〜13:00)→赤沢岳(14:00)→鳴沢岳(14:50)→新越小屋隣C5(15:40)
1月3日:C5(7:50)→岩小屋沢山頂上(8:50)→種池小屋(12:00)→爺ヶ岳頂上(12:50)→扇沢(14:20〜40)→ゲート(15:40)
アクセス | |
---|---|
コース状況/ 危険箇所等 |
針ノ木西稜は黒部川にキレ落ちる恐竜の背の様な岩稜。しかしアプローチが遠く、20年前の記録しか見あたらない。アプローチ2日、岩稜3日、縦走1日で爺ヶ岳までの計画を貫徹した。 1日目・主稜線へ 大町駅集合、七倉の登山補導所で山行計画書をだす。ここを通るのは槍の北鎌パーティーばかりとのこと。船窪山への急斜面の登山道を登る。今年は雪が少ないので殆ど夏道状態だ。しかし上に登るに連れ、ラッセルもズボズボに。後半はペースが落ちたが、それにしても初日に2450mの船窪小屋まで至る。小屋は開かないが、行く手の西稜はじめ剣まで見渡せる好天に一同「おおー」。翌日通過予定の船窪岳との最低コルへのやせた尾根を偵察に行く。見かけ倒しでなんともなかった。 尾根を登る途中、朝飯の用意を担当していた僕がすっかり忘れていて、一週間の朝飯が全く無いことが発覚して皆ボーゼン。しかしお正月のスペシャル食がそこそこあり、これを転用して結果的に何とか乗り切った。片岡さんの用意したあれこれの特別食のおかげである。 2日目・針ノ木谷横断 あんまり雪が少ないので、当初使う予定だった船窪山を越えて針ノ木西稜末端の向かいまで延々と伸びるヤブ尾根をやめて、船窪手前のコルから直接針ノ木谷に落ちる夏道付きの尾根を使って谷におり、針ノ木谷本流を降りることに決めた。雪崩の危険があまりないと見たためだ。最初のトラバースで多少ずれたが、うまく尾根の上に出て、楽して夏道を本谷まで下る。 谷の中はどこでも渡渉可、ときどきゴルジュもあるが、大したことはない。一応、黒部の渡しルートのせいか、赤旗が所々にある。目指す西稜末端に付くと、そこはすてきな天場適地。水も取れるしくたびれたし、目の前の尾根はそそり立ってヤブだらけ・・・。しかしそのヤブ尾根に取り付き、この日はプラス300mをかせいだ。ヤブの上にあんまりしまっていないズボズボの雪、ブッシュにアイゼンの前爪を引っかけて登る。 C2はここしかないと言う感じの幕営適地。天気は曇り時々小雪。気温はー3度。重労働で皆びしょびしょ。シュラフも湿ってしまった。 3日目核心部とりつきへ 朝はー6度。寒くもなく暑くもない。一晩中乾かなかった上着やずぼんが、朝外に出たとたんに乾いた。フリーズドライだ。脱いで寝ればよかった。この日はよく晴れ。タンネのかいまに黒部川流域の山岳地帯が見えてきた。雪をまとい風格も抜群。行く手の第2岩壁と、ローソクのようなピーナツ岩峰、そしてその上にドームが見えてきた。 第一岩壁に当たる、通称隠し砦のあるポコは左側をあっさりまく。急斜面だがなにしろ今年は雪が少なくてなだれそうな気配が全然無い。第2岩壁の基部に6人テンひと張り分の吹き溜まりスペースを見つけて、幕営。3人は翌日のために空身で出かけ、フィックスして帰ってきた。第2岩壁を左からまいて、ピーナツ岩峰の基部を通り、ドームの取り付きまでいたるルンゼに3ピッチ。天場では地吹雪の中、濡れたシュラフを干しといたら10分もしないうちにすっかり乾いた。日射しも無いのに不思議なものだ。 4日目、核心部を抜ける 朝のうちのガスはやがて晴れ渡り今日も痛快、良い天気。前日フィックスの3ピッチのおかげで核心部の半分を短時間で抜けられた。ドームは正面から左にバンドを登り、直上するという感じ、トップは空身。続いて半ピッチでハイ松の木登りをするとドームの頭へ。その後のポコを順にp1、p2・・と名付けるとp1、p2はノーザイルp2〜p3間の雪稜で1ピッチフィックス、p4が抜けられず向かって右側面のルンゼ状をトップ空身で直上、ピークのハイ松のトンネルに頭をつっこんで1ピッチ。この間の小一時間は寒風の中でじっと待ちだが、ー6度なので、まあまあしのげる寒さだ。 そのすぐ後のp5はその基部左急斜面をトラバースして直上1ピッチ。続いてアプザイレン1ピッチと迷路のようなこの一帯はノコギリ状岩峰群というらしい。5人パーティーザイル3本をうまく送りながら、効率よく抜ける。ゆるい雪稜、小タンネ付きの幕営適地があり、そこでテント。核心部は殆ど抜けたはず。 5日目、完登 今日も天気だ、遠くまで見える。出発してまもなく着いた小ピークは2峰と呼ばれている標高点2544。この下りはギャップになっていて、最短距離ならアプザイレンだろう。我々は少し左に回って比較的傾斜の緩い斜面を降り、トラバースする。この時は雪が深く、やや雪崩の予感がした。最低コルから短い岩壁の登りで1ピッチフィックス。あとは広い尾根をひたすら山頂へ。しかしここでガスにまかれて見えていなかったのだが頂上直下にはみるも見事な一枚岩の大バットレスがあり、それは間近になって突然姿を見せた。同時にガスが晴れ渡り、北アルプス全域の景色が見渡せる。バットレスは左側のガレルンゼをノーザイルで登ってゆけた。それを抜けると風の強いピーク。ああ、気分はヒマラヤだ。堅い握手のあと、スバリ岳方面へ下山。赤沢岳、鳴沢岳と、個性のないポコ山を越え、新越乗越山荘の前でテント。山荘付近の低い稜線に降りてからは胸まで潜るラッセル、くたびれた。今日はよく歩いた。 6日目、下山・爺から針ノ木を眺める 今日も晴れ渡り富士山も見える。山行中結局一度も寒気団が来なかったし低気圧が抜けても冬型にならず、すぐに移動高がやってきた。 岩小屋沢岳を越えて標高の低い稜線はかなりラッセルが深い。そろそろくたびれてきた体には結構苦行だ。だが光輝く爺ヶ岳山頂が我々を招く。ここらあたりからの針ノ木岳はカールを従え、風格堂々。山群のメインピークに一番美しいルートから登った感動を再び味わう。爺ヶ岳の南尾根で、初めて他の登山者と会った。3パーティー。樹林帯の際に火事で焼けこげたテントを発見した。大町駅前で焼き肉をたらふく食う。 |
予約できる山小屋 |
七倉山荘
|
写真
撮影機器:
お気に入りした人
人
拍手で応援
拍手した人
拍手
訪問者数:3653人
コメント
この記録に関連する登山ルート
この場所を通る登山ルートは、まだ登録されていません。
ルートを登録する
古い記録になってしまいましたが。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する