愉快な山行、甲武信ヶ岳(毛木平〜千曲川源流〜甲武信ヶ岳〜三宝山〜十文字峠〜毛木平)【長野県、奥秩父】
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- GPS
- 09:24
- 距離
- 17.7km
- 登り
- 1,481m
- 下り
- 1,470m
コースタイム
- 山行
- 6:59
- 休憩
- 2:04
- 合計
- 9:03
毛木平駐車場 621 ― 源流十文字峠分岐点 630/631 ― 大山祇神社・「源流4km」 645 ― ナメ滝 759― 「源流1.8km」 815 ― 「源流0.9km」 839 ― 千曲川源流の碑 906/916 ― 奥秩父主稜線 930 ― 甲武信ヶ岳 950/1012 ― 甲武信小屋 1024/1035 ― 甲武信ヶ岳三宝山縦走路と巻き道の合流点 1045 ― 三宝山 1109/1123 ― 尻岩 1154 ― 1211/武信白岩山南峰まで往復/1234 ― 武信白岩山北峰基部 1245 ― 大山 1314/1335 ― 十文字峠手前・栃本方面分岐点 1358 ― 十文字小屋 1359/1405 ― 三国山方面との分岐点 1407 ― 「十文字峠あと30分」標示 1424 ― 上の水場 1436 ― 小滝、下の水場1502 ― 渡渉 1509 ― 立派な橋 1513 ― 源流十文字峠分岐点 1515 ― 毛木平駐車場 1522
● 行動時間 9:01
天候 | 晴れ、曇り |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2020年10月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 自家用車
10/2 : (会社=佐久平駅)(泊) 10/3 : (ホテル=毛木平) 毛木平―千曲川源流―甲武信ヶ岳―甲武信小屋―三宝山―十文字峠―毛木平 日帰り温泉 : ヘルシーパーク川上「ヘルシーの湯」 (温泉=佐久平駅=自宅) ●登山口へのアクセス ○毛木平 ・国道141号、南牧村にある「市場」交差点から東進する県道を行くと川上村へと続く。その県道68号を終点まで走ると、「毛木平」登山口 ・自動車はおおよそ50台程度は駐車可能かと思われる (2020.10現在) |
コース状況/ 危険箇所等 |
○毛木平〜千曲川源流〜甲武信ヶ岳 ・初めのうち、長く車道幅の緩勾配の林道が続く。やがて山道然とした登りも混ざるが歩きやすい道。千曲川源流の碑を過ぎると、ジグザグの登りが始まり、思いがけなく主尾根へと到達する。主尾根は低層灌木に包まれたハイキング道だが、甲武信ヶ岳直下からは小岩も交じる急な登りとなり山頂に達する ・標示は途中経過も含め多数ある。「km付き」が多く、目安に使える ・全般よく整備されており、明瞭 ○甲武信小屋〜三宝山 ・小屋から、甲武信ヶ岳から三宝山への尾根道へと至る巻き道がある。これを使うと、小屋から甲武信ヶ岳へと登り返すことなく、三宝山方面を目指すことができる ・分岐点もわかりやすい ○三宝山〜武信白岩山〜大山〜十文字峠 ・樹間の道。道幅広く、明瞭。判りにくいのは、武信白岩山の山頂。北峰は登頂禁止。南峰は、ちょうど南峰の足下にある行き先標示のところから山頂側へと続く踏み跡をたどると、標高点標と一緒に小さな山頂標示が置いてある。武信白岩山の山頂を除けば、全般明瞭 ・行き先標示は要所にある。山頂や分岐など。しかし、武信白岩南峰や大山のように、山頂名称が判りにくいこともある ○十文字峠〜毛木平 ・河原を行くか、斜面をジグザグに登るか。十文字峠寄りの部分は、緩やかなへつり道 ・途中にはピンクリボンの誘導があり、それを追えるならば迷うことはない。方向標示も時折ある |
その他周辺情報 | ●買う、食べる ・川上村にはヤマザキの店があるが、開店時間はよくわからない。国道141号にはコンビニエンスストアは複数ある ●日帰り温泉 ・毛木平や川端下などからほど近いのが、川上村にある「ヘルシーの湯」 ・大人300円。地元の人向けの銭湯の延長線上にあるような施設だが、必要最低限の設備は揃っていたと思う ・南相木村など近隣にも日帰り入浴施設がある |
写真
感想
秋色にはやや早い甲武信ヶ岳へと向かった。毛木平からの逆時計回り周回を選んだ。
たまたま前回の山行(空木岳)で、同業の同輩に遭遇したということがあって、そんな話を同じく同業のH氏と会話した。それでもって次回の山行こともやりとりするうち、ご同行頂けることとなった。
前夜は佐久平でホテル泊とし、まだ星がまたたく頃からレンタカーを出して毛木平へと向かった。先に到着していたH氏が運転を引き受けて下さる。
登山口が近づき、いよいよ日の出の頃。残念ながら今日の主役甲武信ヶ岳はどこから見ても姿が見えない。
毛木平駐車場は、すでに車が多数。みな出が早いようだ。
登山口からは、しばらくは車も走るような緩やかで幅広な林道。やがて、帰りに出てくるはずの十文字峠方面を左に分ける。さらにそんなゆるい道を進むと大山祇神社がある。その先からは林間の山道となり、時折小岩のガレた登りも交じるようになる。
この道の沿う沢は次第に細くなる。最後は西沢と呼ばれる沢筋となり、一枚岩上のナメ滝なども現れる。この流れが長さ最長のようで、やがて「千曲川源流の碑」となる。碑を見逃したら残念だなと思いながら来たのだが、碑はコースのど真ん中に建てられており、そんな心配は無用だった。
碑の側から流れを覗き込む。まさに目の前より上流側は枯れ沢になっている。そして小さな水跡を目で追うと、土手下からわき出る“源流”があるのがわかる。そっと手をさしのべてみると土の中から湧き上がる水。まさに源流だ。黒部川の源流碑のように、まだ上まで流れが確認できてしまうところと異なり、本当の湧き出し点に碑があるのは納得感が違う。
そこからは、ジグザグを暫く登ると、先が明るくなって稜線に飛び出した。奥秩父の主稜線だ。標示の右側には国師や金峰の名がある。いずれは行ってみたいものだ。すぐ先の見晴ポイントからは、富士山が向かい側の雲の上に頭を覗かせている。
快晴ではないが、ほどよい日差しの中、低灌木にうっすら囲まれた尾根道を進む。しばらくは穏やかな道取りだが、やがて小岩の急坂が現れる。それほど長くはない急登を登り切ると、山頂。
振り返ると富士山がまだしっかりと雲海上に姿を現している。金峰山にかけての奥秩父主稜線の背後には南アルプス、八ヶ岳もしっかりと見えている。蓼科の先には北アルプスであろうか、遠くまでが見渡せる。
それでも東側は白くなっており、ガスが迫っていることがわかる。天気予報は日本気象のてんきとくらす有料版で確認してきたのだが、今日はとりわけ正確だ。正確なのはいいのだが、ガスって来ることは残念だ。
急斜面を下り、甲武信小屋へ。小屋は丸太組の木造主体。トイレなどを見る限りは、中は外見よりも近代化されているのかもしれない。
小屋の西側には「荒川水源の碑」がある。確か、小屋から10分程度下ったところに「荒川源流点の碑」があったはず。名前は微妙に違うし、事実関係に対する間違いはないように思うのだが、なんだか紛らわしい。
小屋から三宝山へとまっすぐに向かう巻き道は、心地よい樹間の道。シラビソなどに囲まれながら穏やかに進む。ややあって甲武信ヶ岳から下降してきた道と合流。合流後も暫くは穏やかな道取りが続く。
そしていよいよ三宝山に取り付き。一登りで三宝山。この登りくらいから急にガス欠感が高まる。前夜は宿泊まりにはしたけども、やはり短時間睡眠では回復しないということのようだ。歳は取りたくない。とはいえ、なんとか山頂へ。
H氏は埼玉在住。わざわざ長野県を経由して、埼玉県の最高峰にやってきたことになる。かれこれ3度目の登頂とのことだが、山名標の扱いとか、前回よりもちゃんとしているとの感想。埼玉県設置の標識がちゃんとある上に、県最高峰が記されているのを見て、T氏はうなずいていた。
三宝山からはじわりと下りが続く。稜線は稜線だが、樹林帯の緩やかな下り。ややあって、背の高い木々の中に巨石が立ちはだかる。次の武信白岩山へと登り返す基部に「尻岩」。名称標示もある。そこからは、登りに転ずる。巨石がずっと頭上にあり、あまり気持ちが良くない。気持ち良くないので先を急ぐ。
見えていた巨石群を巻きながら進むと方向標示のあるところへ。ピークというわけではなく、山名標示があるわけでもないが、先行者が休憩中。お一人は、道はずれたところに武信白岩山の標示があるよと教えて下さるが、片やの方は山頂はまだ先だし登頂禁止だと言われる。地図やGPSを確認すると、ここから外れに行くと“南峰”があり、この先には登頂禁止の北峰があるということではないかと思量した。
そこから登っていくと、確かに藪の中に境界標らしき小さなものが見える。その脇には手書きの山名標がちょこんと据えられていた。
戻って、軽く昼食を済ませた後、出発。南北峰の間にある岩の上に登ると、険しい岩峰である北峰が眼前に聳える。槙ながら進んでみると、確かに北峰頂上へは通行禁止とされているようだった。
緩やかな山道が続き、大山へ。本来は展望の山頂であるようで、山頂部の反対側にもビューポイントがある。ビューポイントからは川上村側や三宝山などここまでの稜線が見えるはずだが、殆どはガスの中。山頂部からはとなりの武信白岩山やおそらく雁坂方面が見えるはずなのだが、残念ながらガスの中だった。
ここからは、いよいよ下り基調。いきなり何本も鎖場が続く。結構激しく下降し、やがて稜線上で左へ90度向きを変えると、木の根の目立つ幅広の尾根状斜面を下っていく。うっすらとガスが漂っている中、いよいよ十文字小屋の姿を樹間に見る頃に栃本方面からの道と合流。残念ながら、栃本方面は通行止めとのこと。
十文字小屋は造りが甲武信小屋とよく似ている。昔ながらの木造小屋と見てとれるのだが、中は進化しているようで、トイレもきれいな水洗トイレとなっている。今時の技術のさせる技だ。
小屋からは最後の下降。最初は緩やかなへつり道を行くのだが、突然斜面側へと向きを変えたらあとはジグザグを切って下降するばかり。大山くらいからこちら側では苔が目立つ。なんだか八ヶ岳のようだ。斜面の急なところはそうでもないが、穏やかな区間では本当にそっくりな雰囲気だ。
沢筋に出てその沢を渡ると水場。最初に現れた水場は道からやや降りた場所にあったので近寄らなかったが、次の水場は道沿いだ。冷たい水に、生き返らされる気分。
元気を戻して最終盤へ。沢を渡ると道は朝通った林道へと向かい始め、やがて木製の立派な橋で千曲本流を渡る。その先で朝の道に合流。車も走るような緩い幅広のハイキング道を戻る。
そして駐車場に到着。すでに多くの車が帰ってしまった後だ。
車が多かった割には、山の中は人の多い印象がなかった。とりわけ後半は出会う人も少ない静かな山行だった。全般に穏やかなコースの中、H氏とあれやこれやと会話しながら、楽しい時間を過ごすことができた。車もずっと運転して頂き、段取りの良さも含め、感謝しかない。
いい山行とは、山だけで決まるわけでもなく、天気が良ければいいというものでもなく、あるいは季節だけで定まるものでもなかろう。
豊かな時を過ごせたいい山行だった。
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