神室連峰 小又山〜火打岳 厳冬期主稜線へ
- GPS
- 17:03
- 距離
- 18.5km
- 登り
- 1,518m
- 下り
- 1,525m
コースタイム
天候 | 27日 雪後晴れ 28日 快晴 |
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過去天気図(気象庁) | 2021年02月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
今回登りに使った尾根は、小又山の南西にある黒滝峰ピークに繋がってる尾根であり夏道はない。詳しくはログ参照。 火打新道登山口から土内川右岸の林道を奥に入って行く。最初は除雪されてるが、20分程歩くと雪壁となって除雪は終了していた。 そこからはラッセルしながら進むのだが、ただ雪の林道を歩く訳ではなかった。雪壁を乗り越えたり、スノーブリッジがあったりなかったりの渡渉をしたりガリガリの急斜面トラバースを余儀なくされたりとかなり危険な道である。 砂利押口を過ぎて、止まりの滝の看板から土内川に下りて渡渉するのだが、ひとっ飛びで越えれるような沢ではない。その年の雪解けにもよると思うが、今回の水深は浅い所でもスネ程度。 素足になったり何か対策は必要である。今回私はここで撤退も考えたが、無心になって大股4歩で走り抜けクリア。ダブルブーツのお陰か浸水は免れた。 ちなみに3月や4月は無理だと思う。 尾根に取り付いてからは超急登。 そして、神室連峰特有の痩せ尾根と雪庇がほぼ全域に渡って続いている。これは支尾根だろうが主稜線だろうが同じである。 そして今回一番苦労したのが、新雪の下のガリガリアイスである。 今回の全行程の9割はアイゼン着用。 主稜線上は固くクラストしており、おかげで灌木帯や笹の上でも踏み抜きは少なかった。 一番の核心はやはり火打岳北峰の登り。 今回、このガリガリアイスの雪質を予想していたので、この北峰の登りに備えてダブルアックスを持参した。ちょっと大袈裟かとも思ったが、全然大袈裟じゃなかった。ホントに持って行ってよかった。 ちなみに逆コース、この北峰を下る場合は懸垂下降が必要になる。 主稜線の雪庇は、まだ本格的な崩落は始まる直前のような感じだったが、クラックには細心の注意が必要。 クラックを避けて樹林帯側を歩く場合も、尾根はほとんど痩せてるので滑落注意。今回この雪質のせいもあるが、急斜面をカニ歩きでアイゼンの前爪だけを信じて結構な距離をトラバースした場所もあった。 火打岳からの下りは前回同様、西火打岳から西尾根を下った。 やたら「今回」が連発してしまったが、積雪期は同じ状況はないと言う事である。 |
写真
装備
個人装備 |
雪山テント泊装備一式。<br />スコップ
ノコギリ
ダブルアックス
補助ロープ
スリング
カラビナ
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感想
積雪期の小又山に登りたいとずっと思っていた。
神室山や火打岳は、アプローチの面からも天気が味方をしてくれれば登頂チャンスはある。もちろん簡単ではないが。
主稜線の中央付近にある小又山や天狗森は縦走しない限り中々登頂は難しい。
積雪期は尚更であり、3月や4月になれば主稜線縦走のチャンスもわずかながらあり得るが、出来れば厳冬期に小又山の山頂に立ちたい。
小又山まで一番最短のルートを探すべく地図をにらめっこして、何本か行けそうなルートを見繕っていたら、2019年の2月に今回私が取り付いた尾根から主稜線まで至る道を登ったレコを拝見した。
同じ事を考えてる方がいらっしゃるんだなぁと、凄く励みになり大変参考にさせて頂きました。この場をお借りしてお礼申し上げます。ありがとうございました。
このルートの最初の核心である土内川の渡渉であるが、2月の最終日、本格的な雪解けはまだ始まってないと思い今シーズンラストチャンスだと思った。
沢は特に激流な訳ではなかったが、スネ程度の渡渉でもこの時期としては撤退するには十分の水量である。もし浸水したら致命的であり、裸足で渡る事も考えたが踏ん切りがつかずしばらく沢の前で途方に暮れた。
あれこれ考えるのは止めて無心で走り抜けた結果、運良く浸水はせずに済んだが、もし浸水していたらここで撤退であった。
当初の予定では5〜6時間で主稜線に到達するつもりだったが、8時間かかっても主稜線に乗る事は出来なかった。
それでもこの二日間の晴天を無駄には出来ないと思い、とにかく行ける所までと、足を進めた。
無事に念願の厳冬期小又山に登頂を果たした後は、ピストンで戻ろうかとも一瞬考えたが、またあの渡渉は嫌だし、あの林道歩きもしたくない。
もう気持ちは火打岳に向いていた。
とにかく、今回歩いたルートの至るところに雪山登山の危険が満載であり、一瞬も気は抜けなかった。
渡渉、急登、トラバース、ナイフリッジ、クラック、雪庇、雪壁登攀、雪崩など、自分の持ってる物を全て出しきるような、そんな山行だった。
厳冬期に神室連峰縦走を考えてなくはないが、今回の山行で多少そのイメージは沸いた。だが、それは自分が思ってるよりはるかに厳しく、はるかに難しい物だと再認識させられた。
雪山登山の危険は、言い換えればそれは雪山の醍醐味であり、それらを一個一個丁寧にクリアして無事に下山出来なければ意味がない。
今こうやって無事に下山出来て記録を書いていると、とにかく全てに感謝したいと言う想いになる。
やたらと厳冬期と謳っているが、この二日間は風もなく春山を思わせるようなとても恵まれた二日間であり、まずはこの天気の中を歩かせて頂いた神室連峰に感謝したい。
まだ山を初めて10年のひよっ子だが、自分の雪山登山史上、心に残る最高の山旅であった。
コメント
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いや〜やりましたね〜。しかもソロで。全てに感激感動しながら見させていただきました。最初の渡渉を想像するとちょっと笑いいも 小又山の西側から登るとは聞いていましたが、地形図を見てもどこから登れるのか分かりませんでした。どこも急だし沢あるし。とにかく、今回は厳しいルートである上、ガリガリアイスでは難易度は半端なかったと思います。やっぱり火打北峰は痺れますね〜。アイスであれば自分は登れなかったでしょう。登り切ったら雪庇は半端なくヤバい感じですよね。とにかく、お疲れ様でした!!そして、いいもの見させていただきました!!
シノンさん、ありがとうございます😁
あの北峰はホントに痺れましたね(笑)
シノンさんの記録を見て、冬はヤバいとは認識していましたが、ホントにヤバかったです。
渡渉もね〜、(笑)さっさと行けよって自分を罵りたくなりました😁
積雪期に神室の主稜線を歩いてる記録は数少ない中、シノンさんの記録は心強かったです。ありがとうございました!最高の景色でした👍
厳冬神室の主稜線ナイフリッジは半端なく痺れますなぁ
西か登ってると聞いて「え、西?そんなルートあったっけ?東の間違いじゃないのか?」と疑問に思ってました(笑)
神室は冬山の醍醐味満載のようで、自分もその体験をいつかは味わいたいものです。
厳冬期小又火打縦走周回お疲れ様でした!いやー天晴スゴイ!!
マーニーに満月だよって教えられなかったら、あの素晴らしい月明かりは見れなかったかも!ありがとうございます😁
冬の神室は危険と魅力が満載の素晴らしい山でした!ますます好きになってしまったよ(笑)
記録見てるとかなりしびれます。ガリガリ斜面を前爪だけでトラバースとかダブルアックスとか。さすがに神室の冬は半端じゃないですね。それに土内川の徒渉、スゴいとしか言いようがありません。なかなか見られない景色ありがとうございます。
お疲れ様でした。
chicken_manさん、今回はガリガリの雪質が一番の曲者でしたね。急斜面トラバースが多かったお陰で片方の足の裏の皮がむけました😅
渡渉は今思い返しても、浸水しなかったのは運がよかっただけですね。
雪山登山たっぷり堪能しました😁
登頂を果たした写真では、私も感動しました。美しく素晴らしい写真をありがとうございます。
雪解けが始まった土内川の渡渉、冬山泊まり装備を背負っての行程、しかも雪面がガリガリで、新雪がクラックを隠している状況・・私がチャレンジした時よりもずっと厳しい条件だったと思います。
おっしゃるように、積雪期に同じ状況はないですね。私の場合はものぐさなので、ルート説明では「雪山バリエーションです。」の一言で済ませることが多いです
「心に残る最高の山旅」のレコをまた見せてください
kamadamさん、はじめまして、コメントありがとうございます。
そして、2019年の記録、大変参考にさせていただきました。本当にありがとうございました。
下山して家に帰ってから、kamadamさんの記録を改めて見返しましたが、スタート地点から主稜線到達まで5時間ですかぁ😵
雪質や荷物の関係もありますが、とても自分には無理でした。凄いなぁと尊敬しております。
まだまだ未熟ながら、私も雪山バリエーション、そして神室連峰に魅了されてしまっています。
まだまだ歩きたいルートがありますので、また参考にさせていただく事もあると思いますが今後ともよろしくお願いいたします。
冬の小又山の山頂から見た神室連峰は、言葉にならない程最高でした👍
ただただ、尊敬するしかないです。
技術、体力はもちろんのこと、運もなければ登れない山行だったと思います。
それに加えて挑戦しようとする精神力ですね。
今が年齢的にも一番充実してるんじゃないですか?
mooreeさんの記事を読んでると、じっとしていられなくなる自分が居ますが到底真似は出来ませんので少しずつでも近づきたいと思っております。
これからも応援しています。
Saitou1977さん、コメントありがとうございます😁
全然、さすがじゃないですよ😅
ここだけの話スタート前、雪が強くて寒くて、車の中で、どうしよう、やめようかな、帰りたいなぁとぐずぐずしてました。
ホントに私は精神的に弱い所があり、そうやって登山口まで行ってそのまま帰った事も何回かあります。
今回の山行も、終わってみれば充実と満足で終われましたが、それはたまたまであり、そこに行くつくまでには毎回自分との闘いがあります(笑)
同じ山を愛する仲間の存在は大きいです。Saitouさんを始め、みんなの頑張りや刺激は本当に大きな活力となっています。
だからこそみんなに感謝です。
私より年配の方々の目を見張るような記録もまた活力となっています。
まず、あまり背伸びはしないように安全に山を楽しみたいですね。
Saitouさんの記録も毎回楽しみにしてますよ👍
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