<剱岳・別山尾根ルート> 立山経由で念願の剱岳へ!
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- GPS
- 29:52
- 距離
- 23.4km
- 登り
- 2,787m
- 下り
- 2,774m
コースタイム
<1日目(8/8)>
6:50立山駅 - 6:57美女平駅 - 8:00室堂バスターミナル
8:30室堂出発 - 9:00一ノ越 - 10:30雄山 - 11:25大汝山 -
11:35大汝休憩所(昼飯) - 12:05富士ノ折立 - 13:40別山分岐 -
14:55剱沢キャンプ場
<2日目(8/9)>
4:10剱沢キャンプ場 - 4:45剣山荘 - 5:45一服剱 -
6:30前剱 - 7:35カニのタテバイ - 8:15剱岳山頂(昼飯&撮影タイム)
9:18剱岳山頂 - 9:42カニのヨコバイ - 10:50前剱 - 11:48一服剱 -
12:20剣山荘 - 12:55剱澤小屋 - 13:32剱沢キャンプ場
14:55剱沢キャンプ場 - 15:50別山乗越 - 17:20雷鳥沢キャンプ場
<3日目(8/10)>
9:15雷鳥沢キャンプ場 - 9:47雷鳥荘 - 10:20みくりが池温泉 - 11:10室堂
11:50室堂 - 12:35美女平 - 12:47立山駅
天候 | 8/8 曇りのち晴れ 8/9 曇りのち晴れ 8/10 曇り |
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過去天気図(気象庁) | 2013年08月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
バス 自家用車
ケーブルカー(ロープウェイ/リフト)
6:00 チケット発売開始(約30分前から行列) 6:50 ケーブルカー 立山駅発(※始発は6:40) 6:57 ケーブルカー 美女平駅着 7:10 バス 美女平駅発 8:00 バス 室堂バスターミナル着 |
コース状況/ 危険箇所等 |
>室堂〜雄山 ・序盤は整備された遊歩道。途中、少し雪渓がありますがアイゼンは不要です。 ・一ノ越から雄山山頂までは岩場が登場します。 初心者の方も多く登っておられるので、混雑時は落石に注意。 >雄山〜別山 ・絶景が続く、ひたすら快適な縦走路。 ・大汝山頂脇の大汝休憩所は避難小屋風の名前とは裏腹に、 「ラーメン定食」、「時々カレー」等のメニューがあります。 >剱沢キャンプ場 ・別山乗越からの下りは、急な上にザレていました。 ・水量は豊富です。管理小屋前に飲用、そして飲み物を冷やすための掛け流しの 蛇口があります。あと、キャンプ場中央に飲用ではない流し場があります。 (※飲用でない流し場は水が出ない時がありました。理由は不明) ・風の通り道なので強風が吹きます。テント設営は念入りに。 ・売店はキャンプ場から10分ほど坂を下った剱澤小屋にあります。 >剱沢キャンプ場〜剣山荘 ・雪渓が4カ所。アイゼンは不要でしたが、早朝はカチカチなので滑落に注意。 ・岩場では所々ルートがみつけにくいので慎重に。 ・剣山荘では、安全登山マップを貰えます。(非常に役に立ちました) あと、宿泊者に対してのみヘルメットをレンタルしていました。 >剣山荘〜一服剱山頂 ・鎖場が2カ所登場しますが、たいしたことないです。 >一服剱〜前剱山頂 ・武蔵のコルからはじまる前剱の登りは、急登かつ浮石だらけのガレ場。 落石にナーバスになるところでした。ヘルメット着用をおすすめします。 ・ガレ場通過後、一服剱より少しハードな鎖場が2カ所登場します。 >前剱〜剱岳山頂 ・長さ4mの鉄製の橋がみえてきたら、いよいよ核心部。 ドーンとレベルが上がりますが、タテバイ、ヨコバイ含めどの鎖場も足場は しっかりしており、三点支持で焦らず慎重に取り付けば大丈夫です。 ・往復でルートが異なるので道迷いに注意してください。 >剱沢キャンプ場〜雷鳥沢キャンプ場 ・別山乗越から雷鳥沢までの下り500mは絶景ですが、ダルいです。足にきます。 >雷鳥沢キャンプ場 ・よく整備されています。ただ少々騒がしく、また川傍だからか虫が多い。 ・地肌は土ですが、ペグは刺さりにくく、岩も少ないので幕営に苦労します。 (しかもテーブル代わりに岩をガメている人がちらほら) ・近くの雷鳥沢ヒュッテで風呂に入れます。(18:30まで。500円) >雷鳥沢キャンプ場〜室堂 ・観光コースなのでほとんど舗装されています。 ・地獄谷からの硫黄の臭いがたまに辛い程度。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
装備
共同装備 |
テント、グラウンドシート、フライ
バーナー、コッヘル
ファーストエイドキット/医薬品
カメラ
ラジオ
ハイドレーション(2.5L、1L)
ヘッドランプ、予備電池
1/25,000地形図
時計(プロトレック)
ライター
ナイフ、スプーン、箸
笛
非常用水(1L)
粉ポカリ
保険証
携帯トイレットペーパー
携帯電話
ダウンジャケット
フリース
シェラフ
トレッキングポール
寝間着
雨具、ザックカバー(不使用)
スパッツ(不使用)
タオル
食料、つまみ
ウイスキー
ハーネス、スリング、カラビナ(不使用)
日焼け止め
非常食
水筒(ナロゲン)
熊避け鈴
ヘルメット
帽子
サングラス
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感想
一昨年の夏。槍ヶ岳の山頂で友人に「次は剱目指すわー」と
言ったときは、ほとんど冗談みたいなノリでした。
去年の夏。北穂から奥穂へ縦走した後、友人に「次は剱目指すわー」と
言ったときは、少し本気で考えるようにはなってはいたものの
そうはいってもなかなかねえ、という程度のノリでした。
とはいえ何度も口に出していると、こういうのを言霊というんですかね、
何やらこの夏、絶対剱に登らないといけないような気がしてきて、
この春から石鎚、伊勢山上、雪彦山で鎖と岩場に身体を慣らせ、
いよいよ訪れた夏の連休。
登れそうな友人は全員スケジュールがあわず。
剱に単独山行はちょっと危険、とは思いはしたものの、
一旦入ってしまった「絶対剱に登らないといけない」スイッチは
消すことはできず、気がついたら仕事が終わったその日のうちに
立山駅まで車を飛ばしてました(笑)
<1日目>
早朝3時40分、立山駅前駐車場に到着。
1時間ほど仮眠をとり、まずロープウェーで美女平駅へ。
美女平のバス停脇の秤でザックを量ると、水を入れる前なのに
まさかの17kg超え。
ここ最近テント泊装備で歩いてないし、剱岳以前にこの大荷物&寝不足で
キャンプ場までたどり着けるのか俺。
立山縦走せず雷鳥沢経由で剱を目指すか、先に剱に登って
気力があれば立山も行くか、、、などバスの中でもんもんと考えていたら
いつしか寝落ち。室堂到着。
「やっぱりせっかくやし、立山でお祓いしてから剱岳行くか!」と
『立山』の石碑の前で決意を固めていると、単独山行っぽい兄ちゃんに
写真を撮ってくれと頼まれました。
撮影ついでに山行計画を尋ねたところ、
やはり単独山行で、偶然にも同じルートとのこと。
「また会うかもしれませんねー」と言って別れる。
剱沢キャンプ場で暇だったら話しかけにいくことにしよう。
玉殿涌水で水を汲み、ひと際ズッシリと重くなったザックを背負う。
いよいよスタート。颯爽とトレッキングポールを延ばし、
くるくる回して固定、のはずが、
くるくるくるくるくるくるくる、、、あれ?
3段目の固定箇所の故障! 幸先悪いなあ。。。
2段目を目一杯延ばすと何とか使える長さになったのは不幸中の幸い。
出鼻をくじかれた感じで雄山へ。
標準タイムをやや上回るペースで一ノ越到着。
そして雄山を見上げれば、これまでの道程よりも少し急な登山道に
体操服の子どもが大量にたむろっていて渋滞中。
休憩中の集団を抜いたすぐ後から引率の先生が歩き出したので
尋ねてみたところ、立山登山は富山の小学6年生の恒例行事、とのこと。
たしかに自分もかつては山辺の道を歩かされたり、若草山登らされたり、
給食で無理矢理奈良漬けを食わされたりしたなあ、と回想にふけりつつ、
雄山山頂到着。
小学生集団のおかげで焦らされることなく登頂できました。
渋滞に文句言ってる人もいたけど、多謝。
山頂は雄山神社峰本社となっており、登頂にはお祓い料500円がかかります。
これを高いととるか、安いととるか。
(個人的には剱アタックに向けたいい気休めになったので全然アリ)
その後しばらく尾根伝いに歩いて大汝山に。
山頂に立寄り、すぐ脇の休憩所へ。
なぜかガイドブック等ではフィーチャーされていませんが、この休憩所では
インスタントではないご飯が食べられます。
縦走される方にはちょうどよい昼食ポイントではないでしょうか。
腹も満たされたところで山行再開。
富士ノ折立に向かう道すがら、「追いついたー」と後ろから声をかけられました。
振り向けば室堂で声を交わした単独山行の兄ちゃんじゃないですか。
剱沢キャンプ場で話しかけるつもりが、せっかく再会したということで、
以降2人で一緒に行くことになりました。
それにしてもこの縦走路は本当に気持ちがいいです。
とにかく眺めがよすぎて、全然疲れを感じさせません。
どこまでも歩いていけるわー。わははははー。
と思ってましたが、別山は巻きました。
別山乗越まで来れば、あとは剱沢キャンプ場まで降りるだけです。
そしていよいよ剱岳が目の前に現れました。
圧倒的な山容。これまで見て来た山と全く違います。
2年前、槍ヶ岳山荘から穂先を見上げたときと同じ感覚が
ふいにわき上がってきました。
登れるんだろうか、俺。。。
剱沢キャンプ場でテント設営も終わり、幕営届を書きながら、
同行の兄ちゃんと初めてお互いの自己紹介をしたところ、
彼はS君といい、同学年、しかも誕生日も1日違いということが発覚。
タメ年というのは年上とも年下とも違い、年が同じというだけで親しくなれる
何とも不思議な関係だと常々思うのですが、剱の単独山行は危険だと思った
神様が引き合わせてくれたんじゃないか、と思いましたね。
これまで丁寧語とタメ口が入り交じって安定しなかった言葉の語尾が、
お互いタメ口に一本化されたのは言うまでもありません。
剱澤小屋の横のベンチから剱岳を眺めていると、沢の向こうの雪渓を
熊と見紛う大岩が延々と転がっていました。
あんなのには遭遇したくないよねえ、、と言いつつ、
1日目の無事と明日の健闘を祈ってコーラ(+自分は2杯目にビール)で乾杯。
その後テントでちびちびウイスキー。爆睡。
<2日目>
朝2時半起床。
テントから出た瞬間、真っ暗の闇でも一発でわかるくらいのガス。
まさか今日は雨?仮に降らなくても登頂に支障ないだろうか、等と葛藤。
S君と相談して、行ける所まで行ってやばかったら引き返すことに。
ヘッドランプを点けて、4時過ぎに出発。
視界不良の中、雪渓を4カ所越えて剣山荘に。
山荘の人に聞いてみても
「何ともですねえ。晴れることもあれば、晴れないこともある」
30分ほど様子を見た後、安全登山マップを貰い、
依然として立ちこめるガスの中を一服剱へ。
しばらく坂を登ると、1本目、2本目の鎖場が現れました。
晴れろ晴れろと念じつつ、武蔵のコルを過ぎ、前剱へ。
ここからは神経を使いました。ガレ場の急登で、落石が即大事故に
繋がりかねません。
剣山荘で貰った安全マップにも、最も事故が多いのはタテバイでも
ヨコバイでもなく、このエリアと書かれています。
ヘルメット買ってきてよかった。
更に2本の鎖場を抜け、相変わらずガスに包まれた前剱山頂から少し下ると、
前方に鉄の橋が見えてきました。
いよいよ核心部のスタートです。
先ほどまでの鎖場と比べて急にハードル上げすぎじゃね、と
ツッコみたくなるくらいの雰囲気の変わりようです。
S君に爆笑されつつ、ヘッピリ腰、ではなく「石橋を叩いて」鉄橋通過。
そして絶壁トラバースに取り付き。続いて平蔵の頭、平蔵のコル、を通過。
やがてガスの向こうに天を指した矢印が見えてきました。
遂にカニのタテバイの登場です。
この絶壁のためにこれまで石鎚、伊勢山上、雪彦山、と準備してきたと
いっても過言じゃありません。
カッコ悪いので声には出しませんでしたが、もう心の中は
「うぉおぉおぉおおおおお」とよくわからないテンションでした。
先行の登山客が登りきったのを見計らい、アタック開始。
確かにハンパない傾斜ですが、足場はしっかりしていて、意外に
すいすい登れます。気がつけば最初の30mの鎖場を登り終えてました。
その後も鎖の無い斜面を登り、また鎖場を登りましたが、石鎚山の二の鎖で
味わった、このまま手の力が尽きたら落ちて死ぬ、といった類の恐怖もなく、
もっとえげつない難所を想像していただけに若干拍子抜けしたのも事実です。
早良尾根との分岐からゆるい岩場を登り、ついに山頂到着!
何と、ほぼ同時にガスが切れて青空が!
次々に雲間から顔を出す北アルプスの山々、そして眼下に広がる日本海。
シャッターチャンスに恵まれすぎて、昼食を食べる間も気が抜けませんでした。
ガスの中あきらめずに登ってきてよかった!
1時間ほど写真を撮りまくって、下山。
下りの難所、カニのヨコバイですが、
分かりづらいと言われる1歩目の右足の足場は、利き足が左足の自分には
ハンデかもしれない、と思っていましたが、実際にヨコバイに着くと
2歩目にあたるであろう左足の置き場は普通に上から見えています。
だったらこっちからでいいじゃん、ということで、鎖を握りしめ、
まず2歩目のところに左足を置きにいきました。
結果的にスイスイ行けたので、左足が利き足の人はご安心を(笑)
あと、ヤマレコを見ていると単独山行でハーネスを使った方が多く
おられたので保険のつもりで持参していきましたが、特に使う事なく行けました。
平蔵の頭を越え、前剱のザレ場を下り、一服剱をまたぎ、
剣山荘周辺に群生するコバイケイソウの美しさに癒されつつ、
剱澤小屋まで戻ってS君とコーラで乾杯。
このままキャンプ場でまったりしたいところではあるものの、
今のテンションならまだ動けるし、明日少しでも楽したいということで、
雷鳥沢キャンプ場まで移動することに。
テント撤収に手間取り、S君に謝りつつ雷鳥沢へ出発したのは15時前。
別山乗越までは順調な登り。よっしゃあとは雷鳥沢に降りるだけだし楽勝だぜと
思ったら、楽勝どころか1時間以上の長くてだるい下りに地味に体力を削られ、
バテバテになりながら雷鳥沢に到着したのは17時半前でした。
幕営届を出しに管理小屋へいくと、ここにも診療所が。
聞けば金沢大学の医学部生が2、3日交替で張り付いているそうです。
そして雷鳥沢ヒュッテで風呂に入り、ヒュッテ入口でS君と本日2度目の乾杯。
これまでの山行の話で盛り上がっていたら、ヘッドランプもないのに
真っ暗になりかけ、あわててテントへ。これまで登った山があまり被っておらず、
それだけにとても楽しい情報交換になりました。
太陽が沈んだ後の一面の星空をひとしきり撮影し、爆睡。
<3日目>
室堂までは2時間程度の行程のため、ゆったりと起床。
天気は生憎の曇り。立山も隠れてしまっていました。
あらためて1日目、2日目の晴天に感謝しつつ、テントを片付け、室堂へ。
歩を進めるにつれ、スニーカーやサンダル履きの観光客の姿が増え
徐々に日常へと戻っていくのが感じられました。
室堂からのバスの中では眠気に抗えず爆睡。
立山駅に戻ると既にうだるような暑さ。
その後グランドサンピア立山の日帰り温泉に寄った後、
富山駅前で富山ブラックを食し、S君との即席パーティー解散となりました。
1週間くらい籠っていたような錯覚に陥ってしまうほど内容の濃い、
充実した3日間でした。
剱岳登頂という大きなマイルストーンに辿り着いて、次をどうするかは
悩んでいるところですが、とりあえず今は冗談みたいなノリで
「次はジャンダルム目指すわー」と言っておこうと思います。
最後に、S君、3日間ほんまありがとう!
3日間楽しかったね!
やっぱ剱は存在感が別格って感じだったね〜
次はジャンなの?レベル上げるねぇ〜
また休み合ったら、一緒に行きましょ
ほんと別格だったよね。この3日間、何度「凄い山だ」って言ったことやら。
ジャンはまだ冗談のノリだからなんともわからへんよw
予定あったらまたどっか登ろう!
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