三十三間山-熊川宿縦走
- GPS
- 10:04
- 距離
- 14.9km
- 登り
- 1,120m
- 下り
- 1,121m
コースタイム
天候 | 快晴 |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2021年09月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
|
コース状況/ 危険箇所等 |
大根山の南に倒木帯があって難渋した。東側に迂回路があるらしいが、判りにくい。 末端近くの熊川宿側斜面を下降したが、急斜面である上にグズグズとした砂利風のごく薄い踏み跡があったが、時間が遅くなってしまいランプでも苦労をさせられた。 |
写真
感想
かなり前から三十三間山から南下して、天増川に降りられないかを考えていた。その記録を幾つか見つけたので、早速行くことにした。コースは天増川に下降するより熊川宿まで末端を歩きたいと考えた。私の考えと反対(熊川宿から三十三間山)の記録に心が動いたからだ。
熊川宿に置き車をして、倉見に移動して登山口の駐車場に行くと車が1台駐車されていた。もうすでに登山開始されていそうである。駐車場奥には三十三間山の看板とコースが丁寧に掛かれている。キバナコスモスや普通の赤白コスモスの咲く気持ちの良い道を進み、獣害防止柵を入ると木々の生える雑林があるが桐の木が多く、花が咲き終ったあとの長い髪毛状のものが垂れ下がっている。周りを見ると、至る所に桐の実生が大きくなったようなまだ小さい桐の木が無数のあった。自然な形での実生の成長と思われるが、見事なものだ。
最後の水場と書かれた標識があって、沢石の乱れて並ぶところは雨になるといたるところが川になるらしい。登山道は小さな流れをアルミの工事用渡し板で応急的な橋が幾つもある。それくらい小沢は彼方此方に分流している。その先には風神の滝があって、奥の方に2段に落ちていた。この滝からもしばらく沢沿いを進んでから、左の斜面をジグザグと高度を上げると、ヤマボウシの木があって赤い実が着いているが手に届くところのものは熟れていなくて、苦みが残っている。夫婦松は枯れているが、形だけはまだ残っている。
更に進んで、上部が明るくなったと思ったら稜線の分岐である。ススキが見えて来て秋の気配が伺える。乗越に上がると、滋賀県側が見えてきて、目に前には湖北の武奈ケ嶽がドーンと居座って、下には天増川の流れと、送電線が見える。武奈の左には琵琶湖の湖面がキラキラ光っている。反対側は遠くに小浜湾と久須夜ケ岳が良く見え、青葉山の尖鋒が見事である。すぐ下は倉見と三方の町並みや上中の町並みや北川のたおやかな流れが綺麗だ。
ススキの穂に顔を擽られながら、登ると山毛欅の疎林に囲まれた三十三間山である。先ほどまでの眺望はここにはなくて、変形した山毛欅の林で、長い時間はいられない。再び東と西と南の眺望を楽しみながら倉見の分岐迄は直ぐであった。
今日はここから南へ南へと進み、天増川にこの尾根が吸い込まれる所まで稜線漫歩をする予定である。轆轤山方向は木々が殆どなく、所々は芝を植えて土の流れるのを防ぐ作業をしているように見える。サワフタギの碧く綺麗な実とヤマボウシの赤い実を比べながら、赤は口に入れる。時々苦みがあるが、熟していると実にうまい実だ。この稜線にはトリカブトの紫の綺麗な花が多い。湖北の山並には何処もトリカブトが多いと感ずるが、何か理由でもあるのだろうか?
いつの間にか、周囲の木々はなくなり砂地と岩石だけの地形となって、風衝地と言われる場所の様だ。692mピークで早い昼とした。陽ざしはあるものの、秋だからか暑さは感ぜず、周りの景色に見とれながらのランチタイムだ。
すぐ先の芝の植えてある轆轤山までは直ぐで、その先には単独のハイカーの姿が見える、今朝の登山口の車の主ではないだろうか。轆轤山を過ぎた所に倉見への下降点があるが、そのすぐ手前を南東側に張り出す尾根に進んでしまっていた。GPSの確認で元に戻っていると、単独のハイカーも間違いに気づいて戻ってきて、その若者は倉見へ下山とのこと。倉見への分岐で、我々は南へ進みますと言って、若者と分かれた。
今までの木々の無い風衝地から一変して、雑木の茂る藪状のコースとなって、GPSを頼りに、無いに等しい踏み跡を探しながらの歩きであった。その時にアサギマダラ2,3羽がヒラヒラと低い木々や草を渡り歩くかのように舞っている。この時期は何時も湖北の山でこの蝶に出会うことが多い。ピークを一つ越すと左の斜面(天増川側)は木々の何もない斜面にポツンポツンと丸いこんもりした木が散在する地形があった。丁度鈴鹿・能登ケ峰の先にある『鹿の楽園』のように見える斜面があった。その斜面の稜線付近は木々がなくすこぶる歩き易い地形であった。空の上に鳶が羽を広げてホバリングのように同じ場所に居続けている。地上の獲物を探索しているのか、狙いを定めて様子をうかがっているのかは定かではないが、長居時間滞空していた。いつの間にコースは順調に歩ける快適なものとなり、隣の武奈ケ嶽の姿が大きくなってきて、下の天増川では送電塔を新たに建設中のようだ。ヘリが煩いくらいに飛び回っている。
401mと384mピークを越えて実に順調に進んでいる時に、稜線の左側を進んでいると足を取られたのか、メンバーの一人が斜面を転がった。幸いと大したこともなく稜線に登り返した。水を飲んで落ち着いてから、ゆっくりと足元を確認しながら稜線歩いた。ほぼ平らな稜線歩きから大根山への登りにかかり、その斜面が本日一の急斜面で、つかまり場所のない嫌な斜面をステップを切りながら、だましだまし何とか登りきれた。大根山には標識もない。昔税逃れで山頂で大根を栽培したから着いた名称だとの話があるようだが?
2つのピークの大根山の下りもこれまた急斜面で、登りと同等であるが、下りはやはり危険な感じで急傾斜の岩交じりの細尾根を下った。するとそこには大きな台地状があり、ここで大根を栽培したのだろうと納得した。この台地はぼうぼうと生えた草で踏み跡が乏しく、GPSの軌跡を追うばかりであった。
次は358mピークで、これでピークは終わるので後は熊川宿への下降だけだ、と密かにもうすぐだとかいかぶっていた。ピークを越して下降を初めたら、倒木が現れた。見た目には大した倒木ではないなと思って、どちらに行ったらこの先はいいのかを考えながら進むと、1個所越えると次々と倒木が出てくる始末で、それが何度も何度もあって、いい加減嫌になるころ、下に小さな灌木だけの台地状が見えた。あそこまで行けばこの難渋も終了だと、左寄りの倒木の無い、急斜面を無理やり下降して台地に降り立ち、倒木帯を何とか乗り切った。これで本当に熊川宿側斜面の下降だけが課題となった。
更に、尾根を下降しながら、右側の斜面を降りられそうか如何かを見ながら進むが、下れそうな斜面は見当たらない。GPSの軌跡の下降点(標高170m 天増川は100m)から下降すべき方向を目で探すが、下れそうな斜面でなく、首を曲げざるを得ない。薄い踏み跡が下に向かってあるので、末端まで行けないかどうか?と考え更に下降をするも、傾斜は急激に増してきて岩も出てきた。末端は不可能と判断し、天増川集落側(熊川宿の反対斜面)も大きく崩れている上に、天増川の渡渉があるので諦めるざるを得ない。万事休すだ。時間も17時10分を過ぎたので、暗くなることを考え、先ほどのGPS軌跡の下降点まで戻って、そこを下ることにした。
急斜面の上に足元がグズグズなのだ。先頭者のあとを全員が少しずつ少しずつ下降を始めた。徐々に暗くなってきて足元が見えにくくなり、グズグズの足元では立つこともおぼつかない程だ。へッドランプを出して、先頭者は踏み跡らしき場所を何とか確保した時は真っ暗であった。グズグズの斜面は立つことすら難しく、メンバー二人の足元が滑り、このグズグズの斜面の下は直ぐ天増川のようなので、僅かな明かりを頼りに斜面をグズグズと滑りながら、天増川沿いの土手道まで何とかたどり着けたのは18時30分であった。踏み跡を辿った3名のメンバーと合流して、天増川にかかる細い橋を全員が渡り終えて、熊川宿に着いたのは18時45分であった。
取りあえずは全員熊川宿までたどり着けたことにホッとしたものだ。GPSの軌跡はここを登りに使っているである。その報告には急斜面を必死で登ったとある。そんな急斜面の道を下見もせずに下ろうと考えたことがこのハイクの最大のミスであったと大反省である。
”八”、”永”、”竹”、"吉”
コメント
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11年前、逆回りで轆轤山まで歩いたことがあります。県境歩きが目的でした。同じように天増川の末端から登ろうとしましたが、岩の崖で登れず、少し戻って急斜面を這いつくばって登ったのを覚えています。あそこを滑らないように下るのはたいへんだったと思います。
当時は大根山という名前がなくて、開墾した跡を見つけたときは「こんな山の上に!」と驚いたものです。あとで調べたら戦時中に畑だったと知りました。
機会があれば国道の県境から南側も行ってみてください。最初は急ですが、登り切ったらブナの緩やかな稜線が続きます。あと、熊川宿の南に熊川城跡があり、最近登山道が整備され容易に登れるようになりました。11年前に、先ほどの国道から県境を登り、稜線を駒ヶ岳まで歩いて、千石山の手前から熊川宿に下りるという河内川周回をしたことがあります。距離が長くておすすめしませんが、熊川宿から駒ヶ岳までの熊川トレイルが完成したら行ってみるといいですよ。
では
熊川トレイル https://wakasabay.jp/articles/-/703?f=o
最近のレコ https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3511345.html
何度かflatwellさんとやり取りがありますが、庄部谷山の件では色々お教え戴いて有難うございました。私も初めて庄ぬ谷山に今年の春に行きまして、山毛欅林を見てその中に風力発電用の風況観測塔なるものを見てきました。そばにものすごく大きな山毛欅が切り倒されているのを見て、驚きでした。こんなことが次々にこの周辺で起こるのかと思うと慄然とする思いです。
このようなことが、彼方此方で発生するかと思うとゾーとします。下谷山や部子山でも。
余分なことをいいました。
l熊川宿の南部についてもお教え戴きありがとうございます。flatwellさんの記録と思いますがそれを参考に、も少し西の落合橋から駒ケ岳を周回してみようと考えております。また、この周辺の山域の記録を楽しみのしております。ありがとうございました。
こちらもご参考に。
https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-3591710.html
根来集落からオニュウ峠周辺を周回された記録を拝見しました。このコースも魅力的ですね。
新緑の季節にでも散策してみようと思っております。
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