岩手ゆるゆるスノーシュー旅4日間【平庭岳・岩神山】[後篇]
- GPS
- 07:00
- 距離
- 8.4km
- 登り
- 436m
- 下り
- 443m
コースタイム
天候 | 1/21 曇りのち雪 風少しあり 温度−10℃程度 |
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過去天気図(気象庁) | 2023年01月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
電車 バス
2日目 1/20 平庭高原BS13:10-14:34啄木記念館BS(JRバス久慈-盛岡) 【啄木記念館】渋民駅-盛岡駅(JR) 盛岡泊(ここまで[前編]) 3日目 1/21 盛岡駅BS7:40-8:22区界BS(岩手北バス 盛岡⇔宮古 106急行バス) 【岩神山スノーシュー】 区界駅17:33−18:21盛岡駅(JR山田線) 盛岡駅BS18:45-19:33安代BS(秋北バス 盛岡⇔大館 みちのく号) 新安比温泉泊 4日目 1/22 【八幡平市博物館】 荒屋新町駅-盛岡駅(JR花輪線) |
コース状況/ 危険箇所等 |
岩神山 夏道は山頂岩場を除き危険なしと思われる。 積雪は1m越えか。前夜に大雪でトレースなし。しかし夏道は広く、ウォーキングセンターより上は、ルート明確だった。山頂以外は急登もなくスノーシューでも楽に下れた。ただノートレースのためラッセルに苦労した。 |
その他周辺情報 | 区界道の駅に、トイレ・軽食テイクアウト・自動販売機あり。いずれも冬季も営業。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
長袖インナー
ハードシェル
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
アウター手袋
予備手袋
防寒着
ゲイター
ネックウォーマー
毛帽子
靴
ザック
アイゼン
チェーンスパイク
スノーシュー
昼ご飯
行動食
飲料
水筒(保温性)
地図(地形図)
コンパス
笛
ヘッドランプ
GPS
筆記用具
ガイド地図(ブック)
ファーストエイドキット
常備薬
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
カメラ
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感想
JR東日本の大人の休日倶楽部パスを利用した「ゆるゆるスノーシュー、にもかかわらずピークハント」の【後編】。前編の平庭岳に続いて、後編は、3日目1/21の岩神山です。
前夜は大荒れの天気だったが、今朝は雪もやみ良くはないけど悪くもないということで、北上山地の次なる山、区界(くざかい)高原の岩神山のゆるゆるスノーシューを決行しました。標高1102mの低山。初日の平庭岳より少し高く距離も長いけど標準では3時間半というお気軽ハイキングコースです。
計画では余裕を持って5時間を想定しました。帰りは13時半のバスに乗る計画。乗り遅れても次の便もある。しかし4時間待ちになるので万一の時だけと考えてました。しかし、何と7時間もかかってしまったのでした。
誤算は前夜の大雪。しかもここは比較的登山者が多いはずなのに、誰も来ていない。一面が雪で、どこを通っても良いが、どこが正しいかわからない。さらに積雪が1メートルは超えていて、スノーシューでもズブズブ潜る。雪を掻き分けラッセルし、自らトレースを作るしかなかったのです。
これが続いていたら途中で諦めていたでしょうが、後から2人組のパーティがやってきました。「トレースをありがとう」と声をかけてきます。これ幸いと、「この先はよろしく」と、後ろをついていったのでした。熟達者と見えあっという間に引き離されましたが。
このあとはかなり楽になりましたがそれでも予定時刻はかなりオーバー。13時半のバスに乗るには途中で引き返さなければならないことが、明確になってきました。計画通りに下山すれば16時から温泉でゆっくりできる。次の便にすると20時に慌ただしく宿に入ることになる(夕食は待ってくれることは確認済みでした)。
どうするか。寒くて(マイナス10℃はあったか)疲れていたけど山頂に立ちたいという思いが優先したのでした。山頂と言っても天気は悪く展望は望めないことはわかっていましたが。
記録を見ると、山頂に1時間もいたようです。最初は気分が高揚していて、荷物を広げて昼食をのんびり食べ始めたら、急に雪が降ってきて、あっという間に凍えてきて食事の途中で慌てて撤退したのでした。主観的には雪のせいと思っていたけど、長時間動かないでいたのがまずかったようです。昼食は結局下山途中で4回に分けて摂取しました。雪山は油断大敵であることを痛感したのでした。
(平庭岳と岩神山の比較)
せっかく2座を連続して登ったので雪山スノーシューとしての比較をしてみましょう。もちろん天候や積雪の状態に大きく左右されるので単純な比較はできませんが。
いわゆる技術的には、平庭岳の方が若干難易度が高い感じでした。平庭岳は、急登があり、夏道もわかりにくかったです。岩神山は、積雪量は多かったのに夏道が広く取られていてわかりやすかったし、急登も山頂の岩場以外にほとんどなかったです。逆に言うと、平庭岳は、森の中を自由に行けるということですが。
体力的には、距離が長い分、岩神山の方がやや大変でした。単調な道が続いていた感じもします。
しかし、予想通りいずれもスノーシューにはうってつけの山だと思いました。「ゆるゆる」ではなかったけどね。
施設的には、平庭岳に平庭山荘というホテル並みの宿泊施設があるのは遠方から行くには助かりました。レストランなども充実しています。岩神山には近隣に宿泊施設がありません。ただ、盛岡から1時間もかからないので、盛岡泊でも十分ともいえます。
平庭岳は葛巻町と久慈市、岩神山は盛岡市と宮古市の境にあるのも面白い。住所的には久慈市と宮古市です。しかし沿海ではなく内陸の山ですね。さらに、いずれも盛岡駅から久慈や宮古への中距離バスが通っていて、だからこそ冬にも行けるのです。
(温泉とか博物館とか)
最終日(4日目1/22)は、温泉でゆっくりしたかったのですが、どこにするか悩みました。定番なら繋温泉でしょうが、民宿しか空いていなかった。花巻温泉や台温泉は行ったことがあるし、少し遠い。そこで選んだのが、新安比温泉という一軒宿温泉。温泉マニアの間では、評判の温泉でした。メタホウ酸濃度がえらい高い強塩泉。
結果的にこの宿にして大正解でした。大規模な宿で、チェックインも夕食も20時過ぎまでOK。駅からの送迎もいつでも可というサービス充実度でしたから。おかげで、下山予定時間大幅オーバーが可能となりました。
さらに岩神山は−10℃を超える厳寒で、登山中はそうでもなかったのですが、暖房の入った列車に乗ったとたん、足の指が痛み始めたのです。凍傷になりかかっていたのかもしれません。メタホウ酸のためかどうかはわかりませんが、温泉のおかげでその痛みを癒すことが出来ました。
もうひとつ、新安比温泉を選んだ理由があります。八幡平市は合併したので広いのですが、北端の旧安代町(あしろ)にあるのです。安比川(あっぴがわ)沿いです。近くに元安代の博物館の八幡平市博物館がある。
新安比温泉からJR花輪線荒屋新町駅への途中、20分くらいのものですが、除雪して氷結した道はびくびくものでした。積雪1mはあり除雪してなかったらスノーシューでもなければ歩けなかったでしょうが。
八幡平市博物館には、東北の例によって縄文遺跡出土品がわんさか。興味を惹いたのは漆でした。柳田国男が「奥南部」と呼んだ安比川流域は、漆の技術が伝承され流域分業で漆工芸品が生産された。上流の安代が木地製作、中流が漆塗り、そして下流が漆掻き。あれれ?この下流というのが二戸の浄法寺で、安比川は馬淵川に入る。先月、下北への旅のついでに歩いたところです。安代と二戸は意外に近いのです。それが漆で繋がっていた。
蛇足ですが、安代も盛岡から大館への中距離バスの途中にあり交通至便です。
(最後に)
今回、北上山地の山で候補にあげたのは、平庭岳と岩神山と姫神山と七時雨山でした。後者の二つはアプローチが長くて冬場なので断念しましたが、安代は七時雨山の麓になり、無雪期の下見でもありました。しかし、角度が悪く山容が見えなかったのは残念でした。代わりに姫神山は車窓からバッチリでした。初夏にはこれら4つの山は、高原ハイクとして快適でしょう。
JR東日本の大人の休日倶楽部切符は旅行者の最も少ない時期に発行されるので、梅雨時と厳寒期となります。でも、今回はそれがかえって良かったと思います。真冬の豪雪酷寒にこそ山は本来の姿を見せてくれるのではないかと少しだけ感じることができたので。
スノーシューは大きくて持ち運びが大変。冬山登山靴は防寒最強ですが凍結道が不得手です。そこでスノーシューで歩けるコースを最優先にしました。除雪してなかったら町中もずっとスノーシューが使えたのに。でも、道が無くなるから現実的では無いなあ。あたりはずっと除雪車だらけでしたが、改めて雪国の苦労も思い知らされたのでした。
それにしても、幸いにも計画どおりに(時間オーバーだったが)スノーシューを楽しめたのは、比較的良好な天気と適度の積雪のおかげでした。
突然のチェックイン時間変更に快く応じてくれた新安比温泉をはじめとした宿の方々、岩神山でトレースをしてくれた2人組の方、そして温かく迎えてくれた北上山地の山々にあらためて感謝します。
■【前篇】の平庭岳の記録→https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-5121560.html
■文中の下北の旅の記録「初雪の青森/下北半島ハイク4日間(高森山&縄文、斗南藩遺跡と下風呂)」→https://www.yamareco.com/modules/yamareco/detail-4985085.html
「岩神山で拾った木屑」はダケカンバの樹皮で、自然に剥がれ落ちたものだと思います。
ダケカンバは「薄いオレンジ色で、削ったかつお節がくっ付いているような樹皮」なので、山中で観察すればすぐに分かると思います。
ちなみに近縁種のシラカバ(シラカンバ)も、ダケカンバと樹皮がちょっと似ています。
ダケカンバの樹皮が自然に落ちたものでしたか。確かにダケカンバがたくさんありました。雪が積もっていたので、目立ったんですね。何枚も見かけたので、気になって拾ったのでした。てっきり小動物の仕業かと思っていました。
ところで、今週末、ardisiaさんに触発されて、東三河の本宮山を計画しています。ardisiaのように健脚でもないので、手始めに本宮山とその周辺だけ。常緑樹の観察は、落葉樹が葉を落としたこの時期が良いかと思いまして。
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