剱岳・黒部縦走(馬場島〜早月尾根〜剱岳〜剣沢〜阿曾原温泉小屋〜欅平)
- GPS
- 53:48
- 距離
- 31.9km
- 登り
- 3,708m
- 下り
- 3,867m
コースタイム
9月5日 6:00剣沢小屋−11:00仙人池ヒュッテ−15:10頃阿曾原温泉小屋
9月6日 6:40頃阿曾原温泉小屋−10:50欅平
天候 | 9月4日曇り後雨 9月5日晴れ後雨 9月6日晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2008年09月の天気図 |
アクセス | |
コース状況/ 危険箇所等 |
早月尾根は長い登りですが、登山道は比較的歩きやすくて、道の付け方が良く勾配も急ではありません。 早月小屋から先、山頂に近づくと流石に岩稜が続きますが、鎖も整備されていて怖さを感じる場面はなかったです。 山頂から別山尾根を下山、途中で雨に降られました。雨が降ると鎖も岩場も滑るので注意! 今回全般的に人が少なかったですが、混雑時は相当通過に時間がかかります。 剣沢雪渓はやや緩めであったためアイゼンがなくても歩けました。雪質も安定していて不安はありませんでしたが、雪渓が薄い場合は巻き道を歩くことになります。 仙人新道の登りはちょっと堪えます。 雲切新道の下りはかなりの急尾根があります。 関電の宿舎を過ぎると水平歩道までの登り。これも堪えます。 阿曾原温泉小屋から欅平までは気が抜けない水平歩道歩き。躓いたら場合によっては谷に落ちてしまいます。 滑り易い箇所もありますし、絶対に「ながら歩き」をしないように、人とのすれ違いにも気をつけましょう。 こちらが少なく相手の人数が多い場合は、譲った方が安全です。 多くの人とすれ違うのは危険だと思います。その場所がすれ違うのに適している箇所とは限らないからです。 ザックに余計な紐や輪っかが付いているのも岩に引っかけるもとです。 途中、長いトンネル歩きがあり。要ヘッデン。 |
予約できる山小屋 |
|
写真
感想
仕事があって休みが取れない8月が終わりいよいよ自分的には夏休み。
去年は槍穂高を堪能したので、今年は剱岳に行くことを決意。
どうせ行くなら欲張りコースを、早月尾根と別山尾根、剣沢雪渓に黒部の温泉、水平歩道歩きを一度に味わう旅に。
仕事を半日で切り上げ、富山に向かう。
馬場島には上市駅からタクシーを利用する。交通費が馬鹿にならないが、マイカー登山は自分は得意ではない。
上市駅を降りてコンビニに向かうと、タクシーがすぐに声を掛けてくる。
「食料仕入れてからにしてよ。」
待合所でタクシーに乗り込み馬場島へ。運転手さんはちょっとだけ観光案内してくれる。
馬場島荘の管理人さんは10時過ぎの到着にも拘わらず、嫌な顔せずに迎えてくれた。良かった。
風呂には入りたかったが仕方ない、酒をちょっと(どころじゃない)飲んで寝る。
翌朝は5時登山口出発のつもりだったが、登山口に着いたのは5時30分。
試練と憧れ、標高差2200メートルの旅が始まる。ゾクゾクする。
登り始めると意外や意外、歩きやすいし登りやすい。標高も結構稼げる。
早月小屋近くでゆっくり早お昼を食べる。この分なら正午までに着けるかなと余裕もあった。
小屋を出ると、今までと違う感覚に襲われる。高くなれば空気が薄くなることを忘れていた(笑)
ペースが落ちる、荷物が重く感じる、標高が稼げない。やはり甘くない。
岩場・鎖場はさほど怖くない。ストックは邪魔だったけど。(誰かストックを落とした様だ)
山頂直下で韓国人のテレビクルーのグループと遭遇。当然の様に登りの自分を待たせて何やら喋りながら下りてくる。
目線もあわさず挨拶もない。何て奴らだ!と思った刹那、最後尾の唯一の女性がこちらに目線を合わせ会釈してくれた。ちょっとホッとした。
やがて別山尾根の道と合わさり山頂に。12時を少し回っている。
目標の6時間は切れなかったが、疲労感もさほどなく登ってこられた。
高山とやや重い荷物に慣れてないのがやや遅くなった原因。
丹沢を駆け抜けるのと訳が違う。当たり前だけど(笑)
山頂には自分の他は老夫婦のみ。写真を撮り合って軽く食事。
風景は一切なし。ガスガス。雲行きも怪しく、老夫婦は先に下山。
自分も後を追うように下山を開始した。
直ぐに追いついたが、ご主人の方の歩みは異様に遅い。「大丈夫か、これ・・・」
カニのヨコバイを慎重に通過したころ、雨が落ちてきた。新調したストームクルーザーを着る by モンベル。
岩場・鎖場は濡れてちょっと緊張したが、落ち着いていれば問題ない。
ここでも先ほどの夫婦のことが思い浮かぶ。「大丈夫だろうか・・・」
やがて雨も止み、剣沢に下りる。広い沢も見通せる程にガスもきれていた。
剣沢小屋に着くと若主人が受付。明日の予定を聞かれ、天気が良ければ剣沢を・・・と言いかけたところ、即座に否定された。
不本意ながら、では明日は一応室堂に帰ると告げ部屋に入る。
ここはシャワーが使える。嬉しい。
部屋は空いていて、相部屋の人と談笑して食事、食後の楽しみであるビールを飲んでいると何やら騒がしい。
どうやら剣沢で人が動けなくなって、小屋に助けを呼びに来たらしい。さっきの夫婦だ!と気付く。
どうやらご主人が剣沢に下りた時点で力尽きたらしく奥さんが助けを呼んだようだ。
剣沢には濃いガスが出ており、ご主人の居る位置が分からない模様。しかもご主人、奥さんと別れた地点から移動しているらしい。
1時間もした後、奥さんだけが剣沢小屋に戻ってきた。二人はこの小屋に泊まり、朝から別山尾根から剱岳に向かったようだ。
ご主人が見つかったという連絡が聞こえたあたりで就寝。
翌朝出発しようとするとご夫婦が。色々謝っていた。
自分の体力を超えた登山、しかも一般登山道としても危険な別山尾根。
命が助かって本当によかった。もしものことになったら、下山時に会っていた自分も何か罪悪感が残ってしまう。
さて、天気は・・・なんと晴れ。若主人も昨日自分に言った言葉も忘れて喜んでいる「ラマが動ける」
富山からヘリコプターで輸送するには前剱あたりが晴れていないと来られないらしく、今なら剣沢からクリアに見える。
小屋を出て剣沢に向かう。ダイナミックな風景。やがて雪渓が始まる。
雪渓の表面は少し溶けていて、アイゼンがなくても歩けるちょうど良い感じ。
斜度の緩い箇所を選んでダブルストックを使って歩く。
スノーブリッジとなる箇所もあるが、一切巻かずに下れた。見上げれば平蔵谷がクリアに見える。
長次郎谷あたりからは雲が再び出てきた。やはり今日は天気が悪いようだ。
真砂沢ロッジで軽く補給して仙人池を目指す。仙人新道の登りは昨日の今日で堪えた(><)
仙人池ヒュッテに着く。飲み物を買って少し休憩。
年配の女性(小屋主人)が話しかけてくる「どこから来た?」
剣沢から来たことを告げると驚いて「いい足してる」と褒めてくれた。
「今日はどうする?」聞かれて「予定では仙人温泉で泊まるのだけど、時間も時間だし阿曾原まで行きたい」と答えると
無線を利用して阿曾原小屋に連絡してくれた。「サービスしてやってよ」
他にも昨日の遭難騒ぎの話をしたりと、束の間の会話を楽しんだ。池の畔で写真も撮ってくれた。
いつか機会があったら泊まりたいと心から思う。
仙人谷はいかにも奥深い山の谷といった感じ。木樵さんでもいそうな雰囲気。
谷の中頃に仙人温泉がある。小屋はひっそりとしている。泊まれないのかな、と思うぐらい。
ここからは谷の道が使えないため、雲切新道というこの辺りの小屋の方が作った道を仙人谷ダムに下りる。急尾根あり。
途中で雨が強くなったため、合羽を着る。
ダムは登山客用に「ここを通ってくれ」的な看板がしっかり出ているので安心。
途中あの「高熱隧道」の中を通る箇所がある。本当に熱い。
ダムを抜け関電の宿舎を過ぎると水平歩道まで上がるための登りが始まる。
長い距離を歩いてきた体には本当に堪えた。
何とか阿曾原小屋に到着、今夜は自分を入れて5組ぐらいだった。
ここでも剣沢から来たことを驚いてくれた。年に数組しかいないそうだ。
しかも前日早月尾根を上がってきたことを聞きまたビックリ。
自分より体力があって脚が速い人なんて掃いて捨てるほどいる。だがそういう人は今回のような物見遊山的コースには来ないだけ。
山小屋泊でこういうところに来る客では確かに珍しいコース設定だとは思う。
荷物を整理して乾燥室に入れる(乾かない乾燥室だったが・・・)
番が来ていよいよ温泉に!小屋から少し下りたところにある露天風呂。貸し切り!
お湯が熱くて入るのが大変だったけど、慣れたら気分最高。雨も上がってる。
小屋の衛星電話で家に宿泊地が変わったことを連絡、無事を知らせる。
小屋の食事は豪華、天ぷらも出てきた。客が少ないからのサービスなのかな?
心地よく酔った中、同じく単独のオジサンと会話を交わす。
こうしたオジサンの欠点は自分の山行の話ばかりすること(><)聞き役は仕事だけにしたい。
今に自分もそうなるに違いない(笑)
翌日は晴れ、しかも気温が高い。昨日のオジサンと一緒に欅平を目指して出発。いい小屋でした。
途中で写真を撮り合ってお別れした(写真にはオジサンの指が写っている・・・)
水平歩道歩きは長い。飽きる程長い。しかも地味に危険。転けたらアカン。
途中で歩道を広くするために木材が架かっている箇所がある。ここでちょっと滑ってしまった。
もう少し滑って体勢崩したらどうなっていたことやら。足の置く場所にも気を遣わないと駄目。
長いトンネル歩きでは途中にヒカリゴケが。どこか幻想的。
黒部の奥深い谷や向かいにそびえる壁「黒部の怪人」、とにかく今まで観たことがない雄大で厳しい風景が続く。
欅平が見える位置からも時間がかかる、先はまだ長い。
そのうち欅平からの団体客とすれ違うことに。あまり気を遣ってくれない団体で、しかも人数が多い。
結構苦労して通過したが、ちょっと危ない場面もあった。すれ違いは慎重に。
単独で相手が団体であったら、むしろ自分が安全な場所で動かない方が良い。
多くの人とすれ違うのはリスクが高い。
水平歩道が終わり、急な下りをこなしようやく欅平に到着。
汗臭いままトロッコ列車に乗り宇奈月温泉に。すぐに電車で魚津へ。
魚津で着替えを調達して独り打ち上げ。白海老の天ぷらと地酒で乾杯。
お疲れ様でした。
いいねした人
コメントを書く
ヤマレコにユーザー登録いただき、ログインしていただくことによって、コメントが書けるようになります。ヤマレコにユーザ登録する