八ヶ岳(美濃戸〜赤岳〜横岳〜硫黄岳〜美濃戸)※今回写真・文章超多め
- GPS
- 28:10
- 距離
- 17.2km
- 登り
- 1,596m
- 下り
- 1,586m
コースタイム
- 山行
- 5:49
- 休憩
- 0:51
- 合計
- 6:40
- 山行
- 5:58
- 休憩
- 0:47
- 合計
- 6:45
天候 | 曇り〜晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2015年05月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
美濃戸バス停〜赤岳山荘駐車場は普通乗用車でいけますが、 (普通車だと)どんなテクニシャンでもたぶん一回は底をすります。 |
コース状況/ 危険箇所等 |
前日に雪が降ってしまったので、残雪がちらほら。 アイゼンはあると精神的に安心だったと思うけど、 実際は不要だったかも。(結果論) 一日目はつけている人もいました。 |
その他周辺情報 | 下山後、近隣温泉「もみの湯」入湯。 石鹸とリンスインシャンプー、風呂椅子が妙に低い いわゆる「近所の方が入りに来る系」の温泉ですが、 500円ならこれで十分アリ。泉質も好みかな。 |
写真
装備
個人装備 |
長袖シャツ
Tシャツ
タイツ
ズボン
靴下
グローブ
防寒着
雨具
日よけ帽子
靴
予備靴ひも
ザック
ザックカバー
行動食
非常食
飲料
ライター
地図(地形図)
コンパス
笛
計画書
ヘッドランプ
予備電池
GPS
筆記用具
ファーストエイドキット
日焼け止め
ロールペーパー
保険証
携帯
時計
サングラス
タオル
ストック
ナイフ
カメラ
|
---|---|
備考 | 一応アイゼン。水をもう500ml。 |
感想
<はじめに>
今回は八ヶ岳に初登山を計画している人に向け、
意図的に計画段階から最後まで、できるだけ端折らずに書いています。
そのためブログ並みに長いので、ヤマレコ的ではないかもしれません。
しかし先行事例を見て計画を立てることは多いと思いますし、
自分が初心者なだけに、より八ヶ岳が初めての方に
参考になる目線で書くこともできるだろうと
思ってこのような形で記します。
一人でも多くの方の参考になることを願います。以下本文。
「八ヶ岳なんて名前の山はありません。」
という事を知ったのは、山をやるようになってから。
つまり、去年まで知らなかった。
私が無知なのもあるが、山をやらない人からすれば、
意外とそんなものらしい。
日本全国見回すと、実際は「そんな山はない」山の名前が
その山塊の総称として広く通用していることは多い。
愛鷹山しかり、天城山しかり。
昔の人からすれば「つながって見えるかたまり全て」を
一つのものと見做して信仰の対象としたわけで、
尖った頂一つ一つに名前を付けるなんてむしろナンセンスなのだろう。
山を登る様になった今は、それも良くわかる。
そんな「存在しない山」の中でも
八ヶ岳は一種特別な山だ。
何しろ八ヶ岳という名称だけあって八つ(実際はそれ以上)も
ピークが存在し、まるでアルプスと言ったボリュームであり、
北は蓼科山から南は編笠山まで難易度も風景も様々で、
かつアクセスも良い。
誤解を恐れずに言うならば、どこを切り取っても楽しい
登山界のディズニーランドか富士急ハイランド。
そんな訳で、登山を始めてみて少しすると誰しもが、
「自分も八ヶ岳に登ってみたい」と思う。
働きづめだったGWの代休シフトが二連休あり、
「晴れ」が疑いようのない週間天気予報を目にし、
私は自然と八ヶ岳行きの山行計画を練っていた。
私もまた、例にもれなかった訳である。
前置きが長くなった。
さて、八ヶ岳と言っても様々だが、特にその中でも代表格と言えば
主峰「赤岳」と「横岳」「硫黄岳」であることは異論の余地がないだろう。
昔の巨人でいえば、中畑・原・クロマティ、昔の阪神でいえば
バース・掛布・岡田。そのくらい鉄板だ。阿弥陀岳も大きいのだが
旺文社の「山と高原地図」でも鉄板三座より一回り小さいフォントだし。
従ってこの三座を縦走することは決定。
登山口は複数あるが、やはり初心者としては基本を押さえたい。
よって登山口も美濃戸に決定。
美濃戸バス停から美濃戸山荘まではワインディングロードであると
専らの噂だが、これは一度は試してみないとどんなもんかわからないので
基本行けるところまで車で行ってみる方向で、後はアドリブで。
次に赤岳、横岳、硫黄岳をどのような順番で登るかだが、
時計回りだと一日目に硫黄岳に登り、おそらく硫黄岳山荘に泊まる事になる。
二日目の最後に主峰の赤岳に登るのはドラマティックではあるが、
なんらかの事故や荒天が発生して降りる場合、
主峰をあきらめる事になる確率が高まる。
また、横岳付近のクサリ場を眼前に挫けた場合
そのまま降りるルートがなく、元来た道をはるばる戻る事になる。
逆時計回りの場合、一日目そのまま赤岳のピークを取ることもできるし、
何らかの不都合があった場合でも二日目の早朝にご来光ハントがてら
ピークを取ることもできる。クサリ場に挫けたら地蔵尾根を下りればよい。
よって、逆時計回りに決定。
次に、文三郎尾根を登るか、地蔵尾根を登るかだが、
文三郎尾根を登ると、ルート的にそのまま流れで赤岳に登るほかなく、
イマイチ柔軟さに欠ける。よって、地蔵尾根で決定。必然的に宿泊先は
赤岳山頂小屋か、赤岳展望荘になるが、自分は高度に弱いので、
可能な限り高度が低いところで泊を取りたい。
また、展望荘で荷をデポって空荷で赤岳を目指すこともできる。
よって、展望荘で決定。
ここまで決めればおのずと南沢ルートで行者小屋まで行き、
北沢ルートで赤岳鉱泉から美濃戸に戻ってくるルートになる。
(ここまで計画段階・以下がレポート)
美濃戸バス停から赤岳山荘までの
「ワインディングロード」はまさに時速5キロと言う
徒歩並みのペースで進むことを余儀なくされる道だった。
車高が高い車じゃないと、徒歩でも車でも、時間はそこまで
変わらないかもしれない。結構マジで。
何度か軽トラに抜かれた。軽トラが欲しくなった。
さて、八ヶ岳が見えてくると
まさかの雪化粧。え?そんなん聞いてないよ。
荷物減らしたかったからアイゼンも省いたよ。
どうも前日に雪が降ったとのこと。
しかし「そんなのヤマレコに書いてなかった」とか
許されないのが登山の世界。前日に降ったのであればまだ凍っても無いだろう。
せっかく来たので進めるところまでは進んでみよう。
駐車場から特段登山口方向の案内は出ていないが、
素直に八ヶ岳があるだろう方面に行くと、美濃戸山荘がある。
ここが登山道の入口。計画通り南沢ルートに進む。
南沢ルートは、ほぼずっと沢沿いの樹林帯で何度か渡渉したり、
森に入ったりする。まさに八ヶ岳と言った美しい苔や樹林帯があるので
最初にテンションを高めるには良いルートだと思う。
ただ、少なくとも「ぼっち」では道中の二時間半
ずっとそのテンションを維持するのは不可能だし、
アプローチロードと馬鹿に出来ない登りなので一応覚悟されたい。
ちなみに、今回の山行では木についた雪が日光で解け出し、さながら豪雨だった。
果たして行者小屋に着いてみると、人は居るものまだ営業していなかった。
GW中だけ先行営業し、本格営業は5月末からの様子。
調べが大変甘かった。致命的ミス。
今回荷を減らすため食事は基本小屋で取る予定だったので、
ちゃんとした昼食を持ってきていない。
非常食と携行食で簡単な食事を済ます。
ラーメンとか食うはずだったのにな〜。
行者小屋からはいよいよ本格的な登山が始まる。
地蔵尾根は最初からトップギアの登り。標高差300mを一気に登る。
坂は急で、梯子もまた急である。クサリもちょいちょいある。
楽しいと言えば楽しいが、そこそこ危険で、慎重を要する箇所と言っていい。
例えるなら行者小屋で「キャッキャウフフとビールを2リットルほど
飲んでから登る」とかは避けた方がよいと思う。
ただ、梯子だからからか、緊張感があるルートだからか
標高差のわりにあっという間に登れる感がある。
地蔵の頭から赤岳展望荘までは目と鼻の先。
ここまでの山行でしんどければ、このまま何もせずに休むことも可能。
実はこの時点で案の定軽い高山病を発症していたので、
そのまま休むことも真面目に検討していた。
しかし自分の性格的に明日の朝に赤岳登頂を先送りにして、
スケジュール通りこなすとは思えない。そんなに自分を信用できない。
天候も回復してきたので少しだけ小屋で休憩し、すぐに赤岳山頂を目指す。
赤岳山頂までのルートはやはり岩登りと言った風情。
そこまで厳しいクサリなどはない。ただ正解ルートが
ちょっとわかりづらく、一手間違えると二手三手先で詰む感じだ。
高山病に息を切らしながら、頭を使いつつクライムアップ。
振り返ると美しい横岳が見えるので、
それを愛でつつ、気力で気力で。
ちなみにこの辺からシャッターチャンスに事欠かないので、
初めての方は弾丸登山したらもったいないと心から思う。
赤岳はやはり八ヶ岳の主峰だけあって
祠もあり、神々しい山頂。
いかんせん小屋が近すぎ、趣を削いでいる感もある。(あくまで個人的意見)
古い表現だが「ビビビ」っとはこなかった。
とは言え、展望は最高。しばしぼーっと景色を楽しんだ後、下山する。
登りは高山病に苦しみ1時間かけて登ったが、下りは30分程度で下山完了。
小屋に戻ってみると、なんと自分ひとり貸切とのこと。
ヒマな時期らしい。なんか申し訳なさすら感じる。
せめて大人しくひっそりしていよう。
5時半に夕飯。通常展望荘の食事はバイキングなのだが、
当然一人では成立しないので、決め打ちの食事となった。
ボリューム満点。今日・明日の欠食を補って余りある量だった。
夕食後は早々に就寝。ちなみに展望荘名物の風呂は凍結防止時期のため
まだ稼動していないとのこと。いろんな意味で、まだオフシーズンなのだ。
夜、一旦起きて夜景を撮ろうとしてみたりして
そして失敗したりしていたが、
基本的に小屋ではずっと寝ていた。
細切れに11時間くらいは寝た。一応小説とか持ってきたものの、
文字に目を通す気力は全くわかなかった。
「山上の小屋泊イコール御来光」
4時過ぎに起き出していくつか写真を撮ってみたが、
まぁ、正直イマイチな出来。
寒いし飽きたので再度寝てみる。5時半に朝食の館内放送で起きる。
昨日の夕食後からハッキリ言って睡眠しかしていないので
正直食事が喉を通るか心配だったのだが、普通に食べられた。
小屋のほうで量に気を使ってくれたのかもしれない。
朝食後、三度寝をかまし、6時45分小屋を発つ。
本当にお世話になった。また来ます。
改めて横岳方面を見ると、どう登るのか良くわからない。
それどころか、どこが横岳の山頂かもいまいちわからない。
ともあれ進んでみると、程なくして梯子とクサリが出てきた。
梯子もクサリも、問題ない。
注意して登れば良いだけだし、やることはハッキリしている。
問題は、どこをどう登っていくべきか判然としない
岩登りルートである。ちょいちょい迷う。
大げさではあるが、本来のルートではないルートをぼーっと進んだら
その先は崖だったりする。人が少ない時期だからこそなのかもしれない。
沢山先行者が居れば迷わないだろう。
ちなみに、アミアミの簡易橋のような所に降りてすぐの梯子は罠。
登っても景色がいいだけで進めない。
途中何人かの山ガールとすれ違う。
八ヶ岳くんだりまで来ていると言うことは
ヤマノススメなら楓の「ガチタイプ」だと思われるが
みんなきれいだった。ソロもいた。凄い。
また、ちょっと違った意味で凄かったのは、70〜80代と思しき
おばあちゃんがソロで横岳を登っていたことだ。
80代山ガール。本当に凄い。
話がそれたが、人が少ない時期だからこそ
正規ルートは判りにくかったが、そのぶん人、一人ひとりが妙に印象に残る。
そんなこんなで横岳山頂。
地蔵の頭〜横岳山頂が危険度ではクライマックスかと思われるが、
横岳直後の細尾根も地味に怖い。
それ以降、硫黄岳までのルートはこれまでに比べなだらかで
地に足着いた安全なルートとなる。
しかしそれまでと比較にならないくらいの強風が吹いてきた。
たまらず硫黄岳山荘に逃げ込む。ココア注文。旨いし落ち着く。
硫黄岳山荘もよさそうな山小屋だった。展望荘よりもさらに高度は低いし、
別のルートで登る際に候補に入れようと思った。
硫黄岳まではいくつものケルンがお出迎えしてくれる。
これまでのルートからすればかなりマシとは言え、
足元はガレ気味で上りにくい。
硫黄岳山頂到着。
大変広い。山頂広場の位置関係を示す看板があるくらい広い。
霧だったりすると、山頂で迷うらしい。
もちろん、無事主要三座を登頂できたことについては達成感があるが
広すぎてあまりピークハントした感動が沸かない。
逆時計回りコースは最後あまり盛り上がらないと言うのが唯一の難点か。
また、火口をちょっと覗いてみた。風が強過ぎて怖くてすぐやめた。
三角点はちょっと外れにあった。
これ以降はずっと下り。
それでも赤岩の頭までは周囲の眺望が楽しめて良いのだが、
それ以降は完全に樹林帯に入るので、赤岳鉱泉までは作業と化す。
赤岳鉱泉は行者小屋同様、5月末から小屋開きの様子。
この時点で11時半。昼ごはんは諦めて先を急ぐ。
北沢ルートは、キャラは違えど南沢に匹敵する
沢沿いの端正なルートなのだが、最後はロードになるので、
帰りはともかく行きで選択するとあまりテンションが上がらないかもしれない。
さて、硫黄岳以降の下りはばっさりカットしたが、
ほとんど人にも会わず、特筆するドラマも無かったので仕方ない。
ただ、赤岳鉱泉に着いた時「無事に帰ってこれた」と言う実感と
「人間の歩行って凄いな」と言う感慨を得たことを強烈に記憶している。
しかし赤岳鉱泉といっても美濃戸と比べれば標高は高い。
まだまだ「山」であるはずだ。それなのに同じ八ヶ岳と言う山域に居ながら、
「天上界と下界」を明確に感じることが出来るのは
やはり硫黄岳、横岳、赤岳が赤岳鉱泉から見上げることが出来、
そしてそれがやんごとなき堂々とした姿をしているからなのだろう。
私は三座、いや「八ヶ岳」に一礼をし、帰路に着いた。
まとめ。
1・行者小屋と赤岳鉱泉は5月末から営業開始
2・八ヶ岳奥地に、山ガールを見た!
3・初めて行くなら絶対一泊すべき
4・狙ってなかったけど、この時期意外と空いててお勧め
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