蛇谷ヶ峰 灰処谷左岸尾根〜カツラの谷
- GPS
- 04:35
- 距離
- 8.7km
- 登り
- 849m
- 下り
- 848m
コースタイム
天候 | 晴れ |
---|---|
過去天気図(気象庁) | 2024年11月の天気図 |
アクセス |
利用交通機関:
自家用車
灰処谷にかかる小橋の南詰に広い道路余地あり |
コース状況/ 危険箇所等 |
登りの灰処左岸尾根には登山道なし、尾根の取り付きが難しいと思う 下山のカツラの谷コースはところどころ倒木で荒れている |
写真
感想
比良山系の中でも今の時期に紅葉の見頃を迎えている山域としては奥比良と呼ばれる蛇谷ヶ峰から釣瓶岳の間の縦走路が脳裏に浮かぶ。このルート上にはいくつか紅葉のポイントがあるが、縦走するにはバスと車を組み合わせる必要がある。家内は車で出掛けて出発地に戻る山行がいいというので、蛇谷ヶ峰のみを訪れることにする。
カツラの谷コースの登山口となる柏(かせ)集落に向かう。灰処谷の橋の手前にある広い道路余地に車を停めると、右岸の林道を辿って出発する。カツラの谷として知られる谷はこの灰処谷の最上流部に相当する。すぐにも小さな堰堤が現れ、堰堤に向かって下降する道がある。渡渉を繰り返し、谷を進むと、まもなく左岸の平らな河岸には植林が広がるようになる。河岸は多くの倒木で荒れている。ヒルがかなり多そうな雰囲気ではあり、安心して歩けるのもこの季節ならではだろう。
倒木を乗り越えて先に進むと、滝の谷と呼ばれる最初の枝谷に入る。この谷を少し入ったところに不動滝という滝が地図には記されており、谷奥に滝が見える。滝まで容易に滝にたどり着けることを期待していたが、滝の手前はゴルジュとなっており、ここを通過するためには水に入る必要がある。kol-yoshiokaさんが2020/5/30日にこの滝の谷を遡行したレコがyamarekoとyamapのいずれにもアップされているが、滝前までたどり着くには膝まで浸かったと書かれている。
不動滝はゴルジュの手前から眺めるのみで我慢して、右岸の斜面を登る。尾根の上に出ると、尾根には堀割の古道が現れる。古道の状態は良く、普通に歩ける箇所が多い。尾根を登り、camで左手から登ってくる尾根と合流すると驚いたことい尾根上には林道とも呼ぶべき広い道が現れる。
実際に林道だったのだろう、というのもこの尾根上にトヨタの古いバンが現れたからだ。果たして意図的にここに車を廃棄したのか、あるいはここで車が動けなくなったのか、いずれにせよ、錆び付いた車が山中で朽ち果てつつある姿は痛ましく思える。
その後も尾根上には林道が続き、快適に尾根を辿ることが出来る。ca550mで二重尾根となるあたりで唐突に道は終わる。尾根はやや傾斜を増すが、下生のほとんどない尾根は登るのに難儀すことはない。尾根上にはテープの類は一切見かけなかったが、微かな踏み跡が続いているように思われた。尾根には植林がほとんどなく、自然林が続くのも嬉しいところだ。
Ca680mで大野集落から蛇谷ヶ峰に向かう登山道に合流すると途端に尾根上は色づいた楓やシロモジが目立つようになり、華やかな雰囲気となる。紅葉の樹々を愛でながら登山道を辿ると反射板が現れる。その背後を通り過ぎてわずかに100mばかり進むと蛇谷ヶ峰の西峰のピークである。依然として空には雲ひとつない晴天が広がっている。風もほとんどなく、柔らかい秋の日差しが程よく空気を温めてくれていた。
目の前に本峰を望みつつ、その樹木のない山頂の一角でランチを調理する。この西峰は滅多に訪れる人もいないところで、静寂が魅力とも言える。本峰の方角からは風に乗って人の声が聞こえていたが、その声もいつしかフェード・アウトしていった。樹々のシルエットの間からは影絵のように山頂に向かう単独行の登山者の姿が垣間見える。
南には蛇行しながら続いてゆく長い尾根の先に釣瓶岳が大きな山容を広げている。その左では鴨川の上流の鹿ヶ瀬のあたり整然とした棚田が格子模様を見せている。
食後のコーヒーでランチを終えると、いざ本峰を目指す。我々が到着した時には広い山頂には人の姿はなかった。江越国境の上谷山の方向に目を向けると、その彼方には綺麗に白山が見えている。その右手にある大きな山は能郷白山だろう。伊吹山と霊仙山の間からはクジラの背のような恵那山のシルエットが浮かび上がっている。空気が霞がちな午後のこの時間に白山がこれだけ綺麗に見えるのも晩秋の透明感のある空気の賜物だろう。
山頂を辞し、北斜面に入ると紅葉の樹林が西陽に色とりどりの透過光を林の中に散らしている。登りの西尾根と同様、ca700mを過ぎると急に紅葉した樹々は少なくなる。
カツラの谷へと下降すると、谷はすっかり山影に入っている。カツラの滝を巻くと、しばらくは水線に沿って谷を下降してみる。左岸に付けられた登山道は、以前はこんなに荒れていただろうかと思うほどに倒木が目立つ。このルートは登山道を整備する人も少ないのだろう。谷筋に現れるカツラの大樹は、薄暗い谷の中で壮麗な空間を作り出していた。
谷を離れて右岸の斜面をトラバースする。晩秋の季節には林床のコアジサイが一面の黄色に染まるところだが、まだ色づき始めたばかりのようだった。いくつかの小さな谷を横断し、灰処谷右岸の尾根に至るとまもなく林道に出る。林道では夕陽に照らされて黄金色に輝くススキの穂が微風に揺れていた。
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積雪期に廃林道を下ってみます。
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